EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
公認会計士 鯵坂雄二郎
公認会計士 中村 崇
【ポイント】
『企業会計』と『税務会計』の違い(ズレ)の中には、「発生」した後「解消」されるものがあります。
それぞれの会計の目的が異なるため、『企業会計』と『税務会計』には違い(ズレ)があるとしましたが、この違い(ズレ)の中には、「発生」した後「解消」されるものがあります。
具体的に、第1回で使用した長期滞留在庫の例を用いて、「発生」と「解消」の流れを見ると次のようなイメージとなります。
×1年度:発生 (『企業会計』と『税務会計』の違い(ズレ)100が発生)
※1 損金として認められなかった在庫の評価損100を加算(プラス)
×2年度:解消 (『企業会計』と『税務会計』の違い(ズレ)100が解消)
※2 ×1年度に評価損を計上した長期滞留在庫を廃棄し損金として認められたため、在庫の評価損100を減算(マイナス)
【ポイント】
『企業会計』と『税務会計』の違い(ズレ)は、「一時差異」と「永久差異」の二つに分かれます。
(1) 一時差異 → 税効果会計の対象となる差異
(2) 永久差異 → 税効果会計の対象外となる差異
『企業会計』と『税務会計』の差異(ズレ)は、二つに分かれます。
(1) 一時差異:
『企業会計』と『税務会計』の認識時期のズレによるもの(いずれ解消されるズレ)
(2) 永久差異:
『企業会計』と『税務会計』の考え方自体が異なるもの(永久に解消されないズレ)
すなわち、一時差異は「発生」したら「解消」される差異と言え、永久差異は「発生」しても「解消」されない差異と言えます。
【ポイント】
一時差異は、その解消する際のパターンで「将来減算一時差異」と「将来加算一時差異」の二つに分かれます。
(1) 将来減算一時差異:
将来解消する時に、課税所得が『減算』(マイナス)される一時差異
(2) 将来加算一時差異:
将来解消する時に、課税所得が『加算』(プラス)される一時差異
税効果会計の適用対象となる一時差異はさらに二つに分かれます。
将来解消する時に、課税所得が『減算』(マイナス)される一時差異
特徴
将来解消する時に、課税所得が『加算』(プラス)される一時差異
特徴
ここまでを要約すると、差異は次のように分類されます。
【ポイント】
「将来減算一時差異」・「将来加算一時差異」に、それぞれ税率を乗じることで「繰延税金資産」・「繰延税金負債」が計算されます。
(1) 繰延税金資産:
将来の税金が安くなる権利(実質的には、法人税の前払い)
(2) 繰延税金負債:
将来の税金が高くなる要因となるもの(実質的には、法人税の未払分)
ここまで説明した「将来減算一時差異」・「将来加算一時差異」というものに、それぞれ税率を乗じることで「繰延税金資産」・「繰延税金負債」の金額が計算されます。
なお、「繰延税金資産」・「繰延税金負債」という勘定科目を使う際には、法人税等調整額(P/L科目)という勘定科目を相手勘定として使用します。
将来減算一時差異 → 繰延税金資産 |
---|
将来、課税所得が『減算』(マイナス)される一時差異 |
将来加算一時差異 → 繰延税金負債 |
---|
将来、課税所得が『加算』(プラス)される一時差異 |
【前提】
税引前利益500
将来減算一時差異100が×1年度に発生し×2年度に解消
税率は40%
【前提】
税引前利益500
将来加算一時差異100が×1年度に発生し×2年度に解消
税率は40%
わかりやすい解説シリーズ「税効果」