ベトナム、医療機器管理の改正、ラオスとの自由貿易協定のための特恵輸入関税について他

ベトナムJBS 税関とグローバルトレードの最新情報2021年12月

今回のアップデートでは、以下の事項について解説します。

  • 医療機器の管理に関する2021年11月8日付政令98/2021/ND-CP(政令98)
  • ベトナム社会主義共和国とラオス人民民主共和国間の貿易協定を実施するためのベトナムの特恵輸入関税に関する2021年10月19日付の政令90/2021/ND-CP(政令 90)
  • 貿易救済措置に関するベトナム社会主義共和国と英国間の自由貿易協定(UKVFT A)の実施に関する通達14/2021/TT-BCT(通達14)
  • 税関事後調査(PCCA)の一時的な延期に関するお知らせ
  • 税関総局(GDC)のオフィシャルレター(OL)によりいくつかのガイダンスが提供されました。
    • 輸入関税と付加価値税(VAT)について
      • 医療機器にかかるVAT 
      • リサイクルや廃棄物処理から産出された製品の輸出関税 
      • 過剰に支払われた税金や関税に関する処理 
    • 国内では生産できない商品
      • 地中ケーブル製品
    • 通関手続
      • 免税品リストの通知 
      • 輸出加工企業(EPE)に適用される税関検査・監督の条件
      • 保税倉庫(BW)に保管されている商品の税関手続について
      • 通関後の追加申告 
      • 商品の通関

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医療機器の管理に関する政令98 

2021年11月8日、政府は医療機器の管理に関する政令98を発行しました。

政令98では、医療機器に関する条件、書類、手続を規定しており、医療機器の製造資格の公表、適用される基準の公表、医療機器の流通登録、医療機器価格の申告、輸入許可証の申請が含まれています。

政令98は、従来の規制と比較して、行政手続を簡素化し、医療機器の国家管理に関する措置を強化・補足する目的とした新たな規定を導入しています。

注目すべき点は以下のとおりです。

  • 医療機器の登録番号の有効期限は、伝染病の予防と制御、自然災害からの復旧を目的として使用される医療機器に対して発行される場合を除き、無期限となります(以前は、グレードAの医療機器の登録番号の有効期限はなく、グレードB、C、Dの医療機器の登録番号の有効期限は5年間でした)。
  • 医療機器グレードBについては、企業は所轄官庁が発行する流通証明書を申請する代わりに、適用された規格を申告します。
  • 医療機器グレードC、Dについては、登録番号を迅速に発行する仕組みが適用されます。
  • 医療機器および生物学的製品は価格を申告しなければなりません。したがって、輸入価格または製造原価、管理活動に関連して発生した費用、トレーニング、保証、予想利益、最終販売価格を企業が申告しなければなりません。
  • 医療機器の価格は一般に公開されなければなりません。価格を申告する前に医療機器を販売したり、当局に申告した価格よりも高い価格で販売することは禁止されます。 

例えば、医療機器のグレードを分類する組織や人の条件、医療機器の分類の適格性の公表に関する管理手続、医療機器の広告に使用されるコンテンツの発行、再発行、調整、認証に関する手続など、多くの条件や手続が政令98では削除されています。

政令98第76条では、政令98の発効前に登録番号や輸入許可証が発行されている場合の規定を設けています。特に、登録番号の所有者や政令98の発効前に輸入許可証が発行された企業は、現在市場に流通している機器や、まだ流通していない機器を含めて、2022年4月1日より前までに医療機器の価格申告手続を行わなければなりません。

政令98は、13の章と77の条文で構成され、医療機器の管理に関する以下の規定を含んでいます。 

  • 医療機器の分類
  • 医療機器の製造、臨床研究、流通、貿易、輸出、輸入およびサービスの提供
  • 情報提供、医療機器の広告、医療の価格管理、医療施設での医療機器の管理と使用

政令98は、2021年1月1日から施行されます。

以下の政令は政令98の発効後は効力を失います。

  • 2016年5月15日付政令36/2016/ND-CP
  • 2018年12月31日付政令169/2018/NĐ-CP
  • 2020年1月1日付政令03/2020/NĐ-CP

ベトナムとラオスの自由貿易協定のためのベトナムの特恵輸入関税について

2021年10月19日、政府はベトナムとラオスの貿易協定のため、特恵輸入関税を規定する政令90を発行しました。

政令90によると、政令90の付録に指定されていないラオス原産の商品は、以下の条件を満たす場合、0%の特恵輸入関税率が適用されます。

  • ラオスからベトナムに輸入された商品である。
  • 特恵関税の適用を受けるために、原産地証明を満たしている。
  • ラオスの管轄機関が発行した原産地証明書フォームS(C/OフォームS)が提出されている。

2020年10月4日以降、政令90の発効日より前までに登録された税関申告については、上記の条件がすべて満たされ、申告者が高い関税率で輸入関税を支払っていた場合、過払分は税関当局から還付されます。

政令90号は9つの条文と3つの付録からなり、2020年10月4日から2023年10月4日までの期間の、特恵輸入関税率とその適用条件を規定しています。

付録は以下のとおりです。

  • 付録I -ATIGAに基づく特恵関税率の50%の関税率が適用される商品のリスト
  • 付録II-関税優遇措置を受けられない商品のリスト 
  • 付録III - 年間関税割当制度の対象となる商品のリスト

貿易救済措置に関する UKVFTA の実施ガイダンスに関する 通達14

2021年10月29日、商工省(MOIT)は、UKVFTAを実施するための貿易救済措置に関する通達14を発行しました。

救済措置は以下のとおりです。

  • アンチダンピング・反補助金対策
  • 二国間セーフガード措置

通達14 では、アンチダンピング・反補助金対策の適用が社会的な利益にならない場合には、その対策を適用してはならないと規定しています。アンチダンピング・反補助金の関税率は、ダンピングのマージンや補助金の水準よりも高くすることはできません。

二国間セーフガード措置は、英国との間で別段の合意がない限り、移行期間、すなわち2021年1月1日から2030年12月31日までの期間を超えて適用されません。

通達14は、UKVFTAを実施するためのアンチダンピング、反補助金、二国間セーフガード措置の調査と適用に関する4つの章と11の条文で構成されています。

通達14は、UKVFTAに基づく英国を原産国とする輸入品に適用されます。

通達14は2021年12月15日から発効します。


税関事後調査の一時的な延期に関するお知らせ

2021年9月9日付決議105/NQ-CPの実施に関する財務省の2021年9月11日付通知616/TB-BTCによると、税関総局(GDC)は2021年に実施予定だった税関事後調査(企業の税務コンプライアンスに関する調査、リスク管理調査を含む)をCOVID-19の流行が抑制されるまで延期することを指示しました。違反が検出され、税関事後調査を実施しなければならない場合、税関部署は違反の兆候を明確に報告し、上位の税関当局の承認を得なければなりません。

すべての税関部署は、COVID-19の流行が抑制された際の税関事後調査を計画できるよう、各規定を検討し、違反の検出とリスク分類のため、より多くの情報を収集しておくことが求められています。

税関総局(GDC)からの公式ガイダンス

No.

件名

コンテンツ

5185/TCHQ-TXNK

2021年11月1日付

医療機器にかかるVAT

税関総局は、歯科で使用される医療機器や医療器具のVATの取り扱いについて、企業に回答するレターを発行しました(2020年8月14日付OL 5379/TCHQ-TXNK、2021年9月13日付OL 4408/TCHQ-TXNK)。

5301/TCHQ-TXNK

2021年11月9日付 

付加価値税

1.付加価値税(VAT)の取り扱いについて
法律で定められた輸入許可証、流通登録証明書、または公表されているフォーマットによる領収書のいずれかの要件を医療機器が備えている場合、5%の付加価値税率が適用されます。
 

2.HSコードについて
シンチグラフィ装置や、その他の電気医療装置、視力検査装置などを含む医療、外科、歯科、獣医用の機器・器具はHSコード90.18に分類され、ポンプ、針、カテーテル、ドレーン、類似品はHSコード9018.3xに分類されます。
 

硬質ゴム以外の加硫ゴム製の衛生用品または医療用品(おしゃぶりを含む)は、硬質ゴム製の付属品を組み込んでいるかどうかにかかわらず、HSコード40.14に分類されます。

5021/TCHQ-TXNK

2021年10月25日付

リサイクルや廃棄物処理から生まれた製品に適用される輸出関税

企業が有害廃棄物から製品を製造するためのライセンスを取得している場合、固形廃棄物から製造/リサイクルされた輸出品は、輸出関税が免除されます。
 

税関当局は、企業の敷地内で税関事後調査を実施し、輸出書類、固形廃棄物から製造/リサイクルされた輸出品に関連するその他の書類、および実際の生産活動を監査することで、規制に従って免税が認められていることを確認します。

5051/TCHQ-TXNK

2021年10月25日付

過剰に支払われた税金や関税の取り扱い

国内企業がEPEから機械設備を借りて、当該EPE向けの製品を生産する場合

  • 税関手続:EPEは一時的な輸出申告を行い、国内企業は一時的な輸入申告を行います。リース契約終了後、国内企業は再輸出通関手続を行い、EPEは再輸入通関手続を行います。
  • 税務上の取り扱い:一時的に輸入する場合、国内企業は輸入関税を申告・納付しなければならず、これは再輸出時には還付されませんが、輸入VATを申告・納付する必要はありません。
  • リース契約終了後、国内企業が機械設備を再輸出せずに使用し続ける場合、国内企業は新たに税関申告を行い、輸入関税(前回の申告と比較した際に追加で関税を支払う必要がある場合)およびVATを支払わなければなりません。輸入関税、VATの支払終了後、機械設備は税関の管轄から外れます。リースされた機械設備が破損し、処分しなければならない場合、当該機械設備が実際に処分されていれば、国内企業は輸入関税、VATを申告・納付する必要はありません。 

リースされた機械設備の関税額が誤って申告され、追加申告が認められる場合には、国内企業は関税額修正のために追加申告をしなければなりません。過剰に支払われた税金や関税がある場合は、還付されます。

5195/TCHQ-TXNK

2021年11月2日付

国内で生産できない商品

税関総局が発行した2021年9月13日付のオフィシャルレター4398/TCHQ-TXNKに記載されている3芯の35kVトランスシーサブマリンケーブルという商品は、計画投資大臣の2018年3月30日付の通達01/2018/TT-BKHDTおよび2021年8月17日付の通達05/2021/TT- BKHDTとともに発行された国内製造品リストには該当しません。

4979/TCHQ-TXNK

2021年10月21日付

免税品リストの通知 

免税品リストの通知について

  • 投資奨励プロジェクトの固定資産を形成するために輸入された商品は、企業が規定に従って免税リストを税関当局に届け出れば、輸入関税が免除されます。
  • 免除リストの通知に関する要件を満たす必要があります。企業は、人民委員会の決定で承認された期間内に免税リストを通知しなければなりません。企業が承認された期間外に免税リストを通知した場合、当該通知は却下され、輸入関税は免除されません。

通関・商品のリリースについて

  • 企業が通知した免税リストがまだ税関当局によって承認されていない場合、税金と関税が支払われていれば、商品は通関またはリリースされます。
  • 免税リストの通知に関する企業の提案については、2021年7月16日付のオフィシャルレター3611/TCHQ-TXNK、2021年8月16日付のオフィシャルレター4038/TCHQ-TXNKのGDCのガイダンスを検討する必要があります。

4882/TCHQ-GSQL

2021年10月15日付

EPEに適用される税関検査・監督の条件

政令18/2021/ND-CPの発効日である2021年4月25日より前に設立されたEPEについては、規定されている税関検査・監督の条件を満たす必要があります。懸念事項については、ハイフォン税関が税関総局に報告し、解決策があればそれを提案し、関連する管轄当局に対応を要請することが求められます。
 

EPE が存在する地域の税関当局が、税関検査・監督に必要な条件の充足を確認しなければならないという提案について、税関総局はこれを検討し、関連規則の改正を提案します。 

5027/TCHQ-GSQL

2021年10月21日付

保税倉庫に保管されている商品の税関手続

決定23/2019/QD-TTgが定める、輸入国境ゲートで通関手続を行わなければならない輸入品リストに該当してはいるものの、MOIT発行の再輸出用一時輸入証明書を保有しなければならない商品に該当しない商品が実施すべき通関手続は以下のとおりです。

  • 海外からの保税倉庫(BW)への輸入について
    通達39/2018/TT-BTCの91条1項が適用され、企業は(i)輸入国境ゲートからBWに商品を移す場合は輸入国境ゲートにて国境を監督する税関部門と通関手続を行うこと、(ii)海外からBWに輸入される商品に適用される通関手続は、当該BW・非関税地域を監督する税関部門と行うことができます。
    これら2つは管轄する部門が異なりますが、通関手続に大きな違いはありません。輸入国境ゲートからBWへ輸送する間も、商品は税関部門の監督対象となります。
  • BWから国内市場への商品の輸入について
    通達39/2018/TT-BTCの91条4項が適用され、企業は、BW・非関税地域を監督する税関部門との間で、通関手続を行うことができます。企業は、BWに商品を輸入するための通関手続を行い、その後、BWから国内市場に商品を輸出するための通関手続を行います。

2070/GSQL-GQ1

2021年10月25日付

通関後の追加申告

追加申告の手続は、2018年4月20日付通達39/2018/TT-BTCで改正された2015年3月25日付通達38/2015/TT-BTCの第20条に規定されています。
原産地証明書に反映されたHSコードと輸入通関申告書で申告されたHSコードが異なる場合の取り扱いは、2018年4月20日付のCircular 38/2018/TT-BTCを修正した2019年9月5日付のCircular 62/2019/TT-BTCに規定されています。

5017/TCHQ-TXNK

2021年10月25日付

通関手続

税金・関税の免除を申請する書類について

  • 商品が国防・安全保障目的で輸入される場合、公安省または公安省が認可した組織が、通関日または商品のリリース日から30営業日以内に税関総局に税金・関税の免除を求める書類を提出することになります。
  • 上記期限を過ぎて書類が提出された場合、税関総局のさらなる検討のために、納税者は税関総局に説明書を提出する必要があります。 
  • 納税者が説明書を提出しない場合、申請書類は返却され、税金・関税は免除されません。

国防・安全保障のために輸入された商品のその後の出荷について
 

これらの目的で輸入された商品について、納税者に強制措置が課されている場合でも、通関を停止する強制措置は適用されません。

お問い合わせ先

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Huong Vu | General Director
EY Consulting Vietnam Joint Stock Company


Khanh Vu Phu Nguyen | Director
EY Consulting Vietnam Joint Stock Company


Ho Chi Minh City Office

Robert King | Indochina Tax Leader
EY Consulting Vietnam Joint Stock Company


Anh Tuan Thach | Partner
EY Consulting Vietnam Joint Stock Company


Japanese Business Services

Takaaki Nishikawa | Director
Ernst & Young Vietnam Limited


Japanese Business Services

Takahisa Onose | Partner
Ernst & Young Vietnam Limited


Korean Business Services

Kyung Hoon Han | Director
Ernst & Young Vietnam Limited


Korean Business Services

Phil Choi | Director
Ernst & Young Vietnam Limited



China Overseas Investment Network

Owen Tsao | Director
Ernst & Young Vietnam Limited 



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