「ベトナムの税務環境と開発の方向性に関連する二重課税防止協定の有効性の検討に関する提案書」に対する首相の承認を定める決定他

ベトナムJBS 税務アップデート2022年1月

本アップデートの要点は以下のとおりです。

  • 2021年12月10日付「ベトナムの税務環境と開発の方向性に関連する二重課税防止協定の有効性の検討」に関する提案書に対する首相の承認を定める決定2072/QD-TTg
  • 科学技術企業に適用される税制優遇措置の条件に関するガイダンス
  • 2022年1月1日以降の外国人労働者に対する社会保険料率の引き上げについて
  • 労働組合基金企業内で使用するための留保額引き上げについて

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2021年12月10日付「ベトナムの税務環境と開発の方向性に関連する二重課税防止協定の有効性の検討に関する提案書」に対する首相の承認を定める決定2072/QD-TTg

2021年12月10日、首相は「ベトナムの税務環境と開発の方向性に関連する二重課税防止協定の有効性の検討」に関する提案書(以下、「本提案書」)に対する承認を定める決定2072/QD-TTgを発行しました。

本提案書は、「ベトナムの経済発展に対応するための二重課税防止協定」(以下、「租税条約」)交渉、締結における政策の改善、ベトナムが批准する国際条約における国際基準およびベトナムの公約の実施、また、ベトナム税制の一貫性および透明性の向上を目的としています。

本提案書は、以下の重要課題を含みます。


課題

実行予定年

新たな租税条約における締結国との交渉にかかる政策の策定

  • 経済協力開発機構(OECD)が租税条約に含めることを推奨している新しい条項、特に、租税条約の濫用防止、恒久的施設 (PE) 認定の人為的な回避、デジタル課税、および相互協議 (Mutual Agreement Procedures : MAP) に関する条文の適用について各国の見解と対応を検討する。
  • 国際的慣行と発展およびベトナム経済を考慮した租税条約の交渉に関する原則を策定する。
  • ベトナムがさまざまな状況や条件で異なる租税条約の相手国と交渉できるように、柔軟性のある新しい租税条約のテンプレートを構築する。 

2021 - 2022

現行の租税条約における相手国との再交渉 

  • 既存の租税条約を見直し、適切でなくなった条項を特定する。
  • 租税条約の相手国がベトナムとの租税条約において再交渉する提案を受理する可能性を評価する。
  • 現行の租税条約の相手国との間で、新たな条項の追加や適切でなくなった条項の削除など現行の租税条約について再交渉する。

2021 - 2023

デジタル課税に関する条項の策定

  • デジタルビジネスで得る所得への課税に関するOECDや国連の提案、ベトナム経済への潜在的な影響の分析、ベトナムと重要なデジタルビジネスを行っている国や地域でのデジタル課税に関する慣行や展開について、関係省庁が調査した結果に基づいて、デジタル課税に関する条項を策定する。
  • 徴税漏れや税務争訟の可能性を軽減するために、それらの国や地域と租税条約の交渉を積極的に開始する。

2021 - 2022

租税条約の変更に伴う国内の租税管理規則改正

  • 租税管理について国際的に一般に認められている基準を検討し、国内の租税管理規則の改正を提案する。

2021 - 2024

租税条約に関する公約の実施

  • 多国間条約(MLI)を締結し、締結後のMLIを実施する。

2021

  • 租税条約濫用の防止に関する行動や、紛争解決メカニズムの有効性向上に関する行動など、BEPS(Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクトのミニマムスタンダードを採用する。

2021 - 2030

  • 租税管理、税務調査、情報交換、特に、共通報告基準(CRS)および国別報告書(CBC)に基づく自動的情報交換に関する国際協力を強化するための「租税に関する相互行政支援(MAAC)」および「当局多国間合意(MACC)」を実施する。

2021 - 2023

科学技術省発行2019年2月1日付政令13/2019/ND-CP の施行に関するガイダンスを規定する2021年11月17日付通達10/2021/TT-BKHCN

2021年1月11日、財務省は、2019年2月1日付政令13/2019/ND-CPに定められる科学技術企業に対する法人税優遇のガイダンスを規定する通達03/2021/TT-BTC(通達03)を発行しました。

通達03では、以下の条件を満たす科学技術企業は、4年間の免税、続く9年間の50%減税からなる法人税優遇を享受できると規定されています。

  1. ベトナムの管轄官庁から科学技術企業証明書を取得していること。
  2. 科学技術活動による製品の製造・販売から得られる年間の収益が、当該企業の年間総収益の30%以上であること。
  3. 科学技術の成果を応用したITサービスの提供による収益は、市場の既存のサービスではない、新規サービスによる収益であること。

2021年11月17日、科学技術省は、2019年2月1日付政令13/2019/ND-CP の施行に関するガイダンスを規定する通達10/2021/TT-BKHCN(通達10)を発行しました。

通達10では、通達03における科学技術企業に適用される法人税優遇について、以下の条件が明確にされました。

  • 異なる省や市に支店や生産拠点を持つ企業に対する科学技術企業証明書の申請および発行に関する規則
  • 科学技術活動から得られる収益に関する条件
  • 科学技術の成果を応用した新しいITサービスについての条件

2022年1月1日以降の外国人労働者に対する社会保険料率の引き上げについて

  • 政令143/2018/ND-CP では、2018年12月1日から2021年12月31日の期間において、特定の外国人労働者に対して、短期保険(疾病、妊娠、出産、労災)の加入が義務付けられていましたが、2022年1月1日以降は、外国人労働者に対して、上記の短期保険に加え、長期保険(退職、死亡)への加入が全面的に義務付けられます。これに伴い、社会保険料率は、外国人労働者の負担分が8%まで(2021年12月31日以前は0%)、会社の負担分が17.5%まで(2021年12月31日以前は3.5%)引き上げられます。
  • 要約すると、2022年1月1日以降、会社とその外国人労働者は、下表のように強制社会保険の対象となります。

 社会保険健康保険労働組合費合計
2018年12月1日から2021年12月31日まで    
会社3.50%3.00%2.00%8.50%
外国人労働者-1.50%-1.50%
2022年1月1日以降    
会社17.50%3.00%2.00%22.50%
外国人労働者8.00%1.50%-9.50%

(拠出金を計算するための基礎となる給与は、基本最低賃金の20倍が上限とされ、現在の最低賃金は、月額139万VNDです。)

  • 2022年以降、外国人労働者に対する保険給付は、ベトナム人従業員に対する保険給付(疾病給付、妊娠出産給付、退職年金、遺族給付)と同等になります。本国への帰任の際に一時金の還付を請求する方法については、今後ガイダンスが発表される予定です。

ベトナム労働総同盟発行2021年10月1日付労働組合基金企業内で使用するための留保額の引き上げに関する決定3308/QD-TLD (決定3308)

  • 決定3308において、会社の労働組合は、2022年において、組合経費基金の75%(2021年の71%から引き上げ)、また、組合加入費基金の60%(2021年と同率)を企業内で使用するために留保できると定められました。

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