ベトナム、自由貿易協定(FTA)を実施するための特恵輸出関税・特別特恵輸入関税を規定する政令の公布他

ベトナムJBS 税関と国際貿易に関するアップデート 2023年2月

今回のアップデートの要点は以下の通りです。

  • 自由貿易協定(FTA)を実施するための特恵輸出関税・特別特恵輸入関税を規定する政令の公布
  • ベトナム商工会議所(VCCI)に登録輸出者コード(REXコード)の登録及び取消しの権限を委任する商工省(MoIT)の2022年12月16日付決定2795/QD-BCT(決定2795)
  • 中古機械等の輸入に関する新規定
  • 情報技術(IT)製品、デジタルコンテンツ、ソフトウェアの製造のために輸入される原材料及び部品に適用される輸入関税の免除
  • 日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)における原産地規則に関する通達 
  • EU-ベトナム自由貿易協定(EVFTA)に基づく品目別規則(PSR)の改正 
  • EUは、加盟国への輸入品に対し、炭素税を課税します。
  • 税関総局(GDC)が発行した各種オフィシャルレター(OL)は以下の通りです。
    • 財務省(MoF)発行2022年6月8日付通達31/2022/TT-BTC(通達31)の実施
    • 国家管理対象品に適用されるポリシー 
    • 海外顧客への売却による輸入材料の清算
    • オン・ザ・スポット(OTS)輸出入貨物の関税価値確認
    • OTS輸出通関申告書へのインボイス番号の記載に関するガイダンス

その他の税務・法令に関するアップデート(英語)については以下のURLをご参照ください。
ey.com/en_vn/tax/tax-and-law-updates

特恵輸出関税、特別特恵輸入関税に関する政令の公布

2022年12月30日に、政府はFTAにおけるベトナムのコミットメントを実行するため、2022年~27年まで適用される特恵輸出関税及び特別特恵輸入関税を規定する17の政令を公布しました。

17の政令は以下となります。

  • 政令112/2022/ND-CP、2022年~27年までのベトナム・チリ間のFTA実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令113/2022/ND-CP、2022年~27年までのベトナム・ユーラシア経済連合間のFTA実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令114/2022/ND-CP、2022年~27年までのベトナム・キューバ間のFTA実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令115/2022/ND-CP、2022年~27年までの環太平洋パートナーシップに関する包括的及び進歩的協定の実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令116/2022/ND-CP、2022年~27年までのEU・ベトナム間のFTA実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令117/2022/ND-CP、2022年~27年までの英越間のFTA実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令118/2022/NĐ-CP、2022年~27年までのASEAN・中国間のFTA実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令119/2022/ND-CP、2022年~27年までのASEAN・韓国間のFTA実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令120/2022/ND-CP、2022年~27年までの日本・ASEAN包括的経済連携の実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令121/2022/ND-CP、2022年~27年までのASEAN・オーストラリア・ニュージーランド間のFTA実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令122/2022/ND-CP、2022年~27年までのASEAN・インド間のFTA実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令123/2022/ND-CP、2022年~27年までのASEAN・香港、中国間のFTA実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令124/2022/ND-CP、2022年~27年までの日本・ベトナム経済連携協定の実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令125/2022/ND-CP、2022年~27年までのベトナム・中国間のFTA実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令126/2022/ND-CP、2022年~27年までのASEAN とのFTA実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令127/2022/ND-CP、2022年~27年までのベトナム・ラオス間のFTA実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年
  • 政令129/2022/ND-CP、2022年~27年までの地域包括的経済連携の実施に伴うベトナムの特別特恵輸入関税、2022年

当該政令で指定された関税率は、List of Goods 2022 に基づいています。当該政令は、2018年~22年までの特恵輸出関税及び特別特恵輸入関税を公布するために発行された政令の内容を継承しています。当該政令は署名日から発効となり、以前に発行された関税税率に関するすべての政令の代替となります。 

GDC のガイダンスにより、輸出入関税は電子通関システムにアップデートされます。企業が税関申告書に正しいHSコードを申告すると、電子通関システムが該当する輸出入関税を生成し、税金及び関税が自動的に計算されます。

VCCIにREXコードの登録及び取消しの権限を委任する決定2795

2022年12月16日に、MoITはノルウェー及びスイスの一般化特恵関税制度(GSP)のスキームに基づくREXコードの登録及び取消しの展開をVCCIに委任する決定2795を公布しました。

2795/QD-BTC(No.2795)、REXコード登録及び取消しのVCCIへの委任、MoIT、2022年

当該決定の発効日において、以下の決定が取り消されます。

  • EU、ノルウェー、スイス、トルコのGSPスキームに基づくREXコードの登録及び取消しの展開をVCCIに委任している2018年11月6日付MoIT決定4173/QD-BCT
  • 決定4173に規定された委任期間の延長に関する2022年1月21日付MoIT決定76/QD-BCT

決定2795の有効期間は2023年1月1日~2027年12月31日までとなります。

中古機械・設備・技術生産ラインの輸入に関する新規定

2022年12月20日に、政府首相は中古機械・設備・技術生産ラインの輸入に関する2019年4月19日付決定18/2019/QD-TTg(決定18)の条文を修正する決定28/2022/QD-TTg(決定28)を公布しました。

決定28/2022/QD-TTg、中古機械・設備・技術生産ラインの輸入、政府首相、2022年

決定28では、以下の内容が含まれます。

  • ハイテク企業、ハイテク応用プロジェクト、特別投資優遇措置対象プロジェクトに対する中古技術生産ラインの輸入に関する規定の追加
  • 当該企業、又はプロジェクトは、決定18第7条に規定される税関手続き、又は決定28第7.a条に規定される手続きのいずれかを選択することができます。 

後者の場合、

  • 検査は、輸入された中古技術生産ラインが設置された後、企業の製造施設、又はプロジェクトサイトで実施されます。
  • 検査証明書の有効期間は、発行日から3カ月以内となります。
  • 通関手続き完了後3カ月以内に、科学技術省(MoST)は、関連する管轄当局と連携し、企業が安全、経済的かつ効率的なエネルギー利用、環境保護に関する規定に準拠しているかどうかを評価するための検査を実施します。

決定28には2つの添付資料が含まれています。

  • 付録I-一部の機械・設備のHSコードの変更
  • 付録III-中古機械・設備を輸入する際に使用する新しいテンプレート

決定28は2023年3月1日から発効となります。 

IT製品、デジタルコンテンツ、ソフトウェアの製造のために輸入される原材料及び部品に適用される輸入関税の免除

2022年12月31日に、情報通信省(MIC)は、通達25/2022/TT-BTTTT(通達 25)を発行しました。

25/2022/TT-BTTTT(No.25)、IT製品、デジタルコンテンツ、ソフトウェアの製造のために輸入される原材料及び部品に適用される輸入関税の免除、MIC、2022年

通達25によると、IT製品、デジタルコンテンツ、ソフトウェアの製造のために輸入される原材料及び部品で、輸入関税が免除されるものは以下の通りです。 

  • 2021年12月3日付通達 20/2021/TT-BTTTTにより改正された2013年4月8日付MIC 通達 09/2013/TT-BTTTT に規定される製品 
  • MICが発行するデジタルプロダクツリストに指定されている製品

免税対象となる製品は、条件として、2021年8月17日付計画投資省通達 05/2021/TT-BKHDTの付録8で規定された国内生産可能な電気通信-IT産業用の機械、設備、材料、供給、部品、デジタルコンテンツ、ソフトウェアのリストに含まれません。

免税適用の手続きは、2021年3月11日付政令18/2021/ND-CPにより改正された2016年9月1日付政令134/2016/ND-CPの第30条及び31条に規定されています。

通達25は、2023年2月15日から発効となります。

AJCEPに基づく原産地規則に関する通達

2022年12月23日に、MoITはAJCEPにおける原産地規則を規定する通達37/2022/TT-BCT(通達37)を公布し、以下のように定めています。

37/2022/TT-BCT(No.37)、AJCEPに基づく原産地規則、MoIT、2022年

  • 原産地の一般的なルール
  • ハーモナインシステム(HS)2017年版をベースに構築された特定原産地規則(PSR)
  • AJCEPで発行されたC/Oの申請、発行、検証の手順

通達37は2023年3月1日から発効となります。移行期間中は、以下の手続きに従うものとされます。

  • 通達37の発効日以前は、HS2002年版(旧 PSR)に基づく PSR に基づいて、C/O が発行されます。輸入加盟国の税関は当該C/Oを受け入れます。
  • HS2002に基づくC/Oが通達37発効日前に発行され、通達37発効日後に輸入加盟国の税関当局に提出された場合、当該C/Oが輸入国において引き続き受理されます。
  • 通達37の発効日前に輸出された製品で、C/Oが通達37の発効日後に発行される場合、C/O申請及び発行にはHS2017に準拠したPSRを使用する必要があります。 
  • バック・トゥ・バックC/Oについて、HS2002に基づく旧PSRに基づいて発行されたC/Oで製品を輸出する際、輸入国でバック・トゥ・バックC/Oが適用される場合、輸入国のC/O発行機関は、C/Oに表示されるHSコードをHS2017年版の各HSコードに変更する必要があります。

通達37には5つの付録が含まれます。

詳細は通達37をご覧ください。

EVFTAに基づく品目別規則の改正

2022年12月30日に、MoITは、EVFTAの原産地規則を規定する2020年6月15日付通達11/2020/TT-BCT(通達11)を修正する通達41/2022/TT-BCT(通達41)を公布しました。

41/2022/TT-BCT、EVFTAに基づく品目別規則の改正、MoIT、2022年

具体的には、通達41は、通達11の付録 II-PSRの3欄-加工工程を以下のように修正しています。 

  • HS 5309~5311に関しては:「又は人造フィラメントから紡がれた"のフレーズが"又は人造フィラメントに押し出された」のフレーズに変更されています。
  • HS 5907、脚注3:「染色又は糊付けされた織物・・・使用された未印刷布地の価値が製品の出荷価格の47.5%を超えないことを条件とする」が削除されました。
  • HS 6213 及び 6214、脚注5:「-刺繍されたもの、及び」「-刺繍されていない布地から製造されたもので、使用された未刺繍布地の価格が製品の出荷価格の 40%を超えないことを条件とする、又は」が追加されました。
  • HS 9608:「...ペン先及び、その製品が使用できるものと同じ小見出し“のフレーズは、”...ペン先及びその製品が使用できるものと同じ見出し」のフレーズに変更されました。

通達41は、2023年2月20日から発効となります。

EU 輸入品への炭素税課税

2022年12月13日に、EUは、EUに輸入される商品に対して、生産国での生産工程における温室効果ガスの排出強度に基づいて炭素税を課す炭素国境調整メカニズム(CBAM)を発表しました。 

当初、CBAMは鉄鋼、セメント、肥料、アルミニウム、電力、水素など、EUの産業排出量の94%を占める高リスクの商品に適用される予定です。輸入者は、輸入品に含まれる排出量の報告が義務付けられ、排出量がEUの基準を超える場合、輸入者がEUの現在の炭素価格で「排出権証明書」を購入する必要があります。

CBAMは、2023年10月からEU加盟27カ国で実施されることが予定されています。

GDCの新規オフィシャルレター

文書

題名

内容

5731/TCHQ-TXNK

2022年12月29日付

MoF発行の通達31の実施

MoFは、2022年12月30日から発効したHS2022年版に基づくベトナムの輸出入品のリスト(List of Goods 2022)を提供する通達31を発行しました。 

従って、輸出入品のHS分類は、2022年の商品リスト、通達31に規定された6つの一般解釈規則、及び現行の関税分類に関する規則に基づいて行われます。 

OL5731には、2つの付録を提供しています。

  • 付録1: 一般的な規制による輸出関税率、特恵輸入関税率、通常輸入関税率、関税割当外輸入関税率
  • 付録 2:手動による関税申告に関するガイダンス
    付録 1 の関税率が「KBTC」と表示されている場合、企業は e-customs システムで関税を手動で申告しなければならないもととします。

FTAに基づく特恵輸出関税及び特別特恵輸入関税について,企業は,2022年12月30日に政府が公布した関連政令を参照するものとします。

5772/TCHQ-GSQL

2022年12月30日付

国家管理対象品に適用されるポリシー

財務省は、2022年12月30日から発効したHS2022年版に基づき、作成されたベトナムの輸出入品リスト(List of Goods 2022)を提供する通達31を発行しました。 

しかし,多くの関係省庁は,国家管理及びその監督下にある商品リストに記載されている商品のHSコードをまだ更新していません。当該リストにある製品のHSコードは,依然として旧版のHSに基づいています。 

税関手続きを行う際、企業は2022年版商品リストに基づき、HSコードを自主的に決定し、税関申告書にその旨を記載しなければなりません。旧 HS バージョンに基づき発行された証明書やライセンスは、引き続き税関当局に認められます。

39/TCHQ-GSQL

2023年1月4日付

海外顧客への売却による輸入材料の清算

企業が輸入材料を海外の顧客への売却により、清算手続きを行う場合、輸入材料がベトナム国内で加工活動を行っていないことを条件として、企業は B13 通関申告書を作成する必要があります。海外の顧客に売却する前に、使用目的を変更するための通関申告が不要になります。 

商品が B13 通関申告書に基づき申告される当該商品が 企業によって輸入されたこと、又は当該商品が海外の顧客に売却する前にベトナムで加工されていないことを証明できない場合、輸出時に 関税が適用されることになります。その後、税関当局は該当するケースを税関事後調査に移行し、更なるチェックを行います。 

87/TCHQ-TXNK

2023年1月6日付

OTSの輸出入品の通関価格チェック

OTSの輸出入品には、通常の輸出入品に適用される輸出入税、税関検査及び監督方針が適用されます。 

企業が電子税関システムでOTS輸出入通関申告を行い、税関評価リスク通知が発生した場合、税関当局は当該OTS輸出入通関申告で申告された貨物の関税価値を確認します。

5653/TCHQ-GSQL

2023年12月23日付

OTS輸出通関申告書へのインボイス番号の記載

国内企業がクレジット方式で VAT を申告・納付し、EPE企業、非関税区内の企業(輸出製品の加工施設を含む)に商品を販売する場合、OTS 輸出通関申告書の「送り状番号」欄に、国内企業が出荷ノート兼内部輸送の番号を申告する必要があります。

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EY Consulting Vietnam Joint Stock Company

Ho Chi Minh City office

Robert King | Indochina Tax Leader
EY Consulting Vietnam Joint Stock Company

Japanese Business Services (JBS)

Takaaki Nishikawa | Director
Ernst & Young Vietnam Limited

Anh Tuan Thach | Partner | Tax 
EY Consulting Vietnam Joint Stock Company

Korean Business Services (KBS)

Kyung Hoon Han | Director
Ernst & Young Vietnam Limited

Japanese Business Services (JBS)

Takahisa Onose | Partner
Ernst & Young Vietnam Limited

Korean Business Services (KBS)

Phil Choi | Partner
Ernst & Young Vietnam Limited

China Overseas Investment Network

Owen Tsao | Director
Ernst & Young Vietnam Limited

※所属・役職は記事公開当時のものです

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