EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2024年4月17日、国際会計基準審議会(以下、IASB)は、共通支配下の企業結合に関するプロジェクトサマリーを公表しました。プロジェクトサマリーでは、IASBのリサーチ結果と共通支配下の企業結合に関する要求事項を開発しないとした理由について説明しています。
IFRS第3号「企業結合」では、共通支配下の企業結合をその適用対象範囲から除外しており、また、移転先企業における会計処理を定めたIFRS会計基準書は存在しません。そこで、IASBは共通支配下の企業結合の移転先企業の会計処理に関する要求事項を開発するかどうかを検討するリサーチプロジェクトに着手し、2020年にディスカッションペーパー(以下、本DP)を公表しました。
IASBは、2022年に本DPに関するフィードバックの分析を開始し、分析を通じて移転先企業における共通支配下の企業結合の会計処理にばらつきがあり、新しい要求事項が開発されない限り、当該状況が継続するであろうことを確認しました。一方で、IASBのリサーチ結果では要求事項の開発がもたらすベネフィットが、要求事項の開発と会計処理の変更のコストを上回る可能性が低い事が示されていました。
2023年11月、リサーチ結果を受けて、IASBはプロジェクトの方向性を検討し、共通支配下の企業結合の認識及び測定に関する要求事項の開発を継続しないことを決定しました。また、開示のみに関する要求事項についても開発しないことを決定し、プロジェクトの中止を決定しました。
英語版の資料は下記のリンクをご参照ください。
IASB ends project on business combinations under common control
EYのIFRS専門家チームは、国際財務報告基準の解釈とその導⼊にあたり、企業が直⾯する問題を精査します。
IFRS財務諸表記載例、日本基準とIFRSの比較、毎期決算上の留意点などのIFRSプロジェクトにおいて有用な基本ツールをご紹介します。
EYのプロフェッショナルが、国内外の会計、税務、アドバイザリーなど企業の経営や実務に役立つトピックを解説します。