EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
米国の大規模な州政府機関が、デジタル変革による混雑解消で「市民ファースト」に転換した事例をご紹介します。
本事例は、RPAやAIを活用したインテリジェントオートメーションによって、煩雑であることが当たり前であった行政手続きをデジタル化し、市民のエクスペリエンス向上を実現した好例です。短期に成果を上げた米国の事例は、同様に行政窓口での事務処理の効率化や、働き方改革について議論されている日本への示唆に富んでいます。
サービスのデジタル化とは、単純に既存の処理プロセスを電子化するだけではありません。特に、定型業務の自動化やデータ活用によるサービス品質向上、業務負担の軽減、環境負荷の低減など、多面的な効果を実現するためには、マニュアル処理を前提とした考え方を大きく変える必要があります。
テクノロジーの導入効果を最大化するには、従来とは異なるオペレーションへ非線形に進化させることが不可欠です。EYは、AI導入や自動化の取り組みを価値創出につなげ、クライアントの真の競争力強化に向けてご支援します。
EY Japanの窓口
金子 直弘
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 デジタル・エンジニアリング パートナー
The better the question
米国のある州政府機関では、先端テクノロジーに投資し、迅速で便利なサービスを提供できるようになりました。
わざわざ行列に並んで購入する価値のあるものは、もはやほとんどないでしょう。数少ない例外と言えるのは、入れたてのコーヒーやライブイベント、ジェットコースターくらいかもしれません。一方で、自動車登録や年次更新といった定められた手続きのために待たされると、忙しい利用者は「他にもっと良いやり方があるはずだ」と考えるでしょう。
そこで良い知らせがあります。実はもっと良いやり方は、あるのです。
多くの重要なサービスが、従来型のサービスモデルからオンライン型に移行していく中で、企業や政府機関は人工知能(AI)や機械学習(ML)などの先端テクノロジーを活用することにより、オペレーションを刷新・効率化し、サービスを高度化し、そして顧客体験を向上する方法を模索しています。長蛇の列や対面受付、手作業で行う事務処理といった従来当たり前だった不便さは過去のものとなりつつあり、インテリジェントオートメーションが企業や政府機関と、利用者との関わり方そのものを変化させているのです。
ある大規模な州の交通局では、利用者が急増し1,000万人を超え、待ち時間が長時間化し、対応が滞りました。車両管理局(以下、DMV)がサービスを向上させ、市民にシームレスなデジタル体験を提供するためには、IT環境をアップグレードする必要がありました。
DMVでは、長年のパートナーであるEYと共に、AIを活用した業務プロセスの効率化や、手作業で行っていた業務の自動化、そして組織全体の生産性向上に取り組みました。利用者の期待に応え、顧客体験を向上させるためのデジタル変革の一環として、インテリジェントオートメーションを活用した、車両更新や登録、支払い処理を行うバーチャルサービスを構築しました。
本事例が示すように、AIの導入に成功することが、人々の日常生活にもたらす影響は計り知れません。
本プロジェクトの大きな成果は、新たなデジタルサービスチャネルを構築したことです。これにより、利用者がフォームの入力や書類のアップロード、安全なオンライン決済、州政府で必要になる手続きを完了するまで、すべてオンラインで行えるようになります。さらに、こうした新しい仕組みによって紙の使用量が減り、CO₂排出量の削減や、職員の業務時間の節約につながり、利用者の生活も格段に便利になりました。
The better the answer
ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)とAIが、DMVのサービスを新たにする
本プロジェクトで顧客体験イノベーションの取り組みを開始するにあたり、EYのチームはDMVの経営陣と協力し、部門全体でインテリジェントオートメーションを推進するために必要なテクノロジー、プロセスおよびガバナンスについてアセスメントを実施しました。
そこですぐに明らかになったのは、RPAやワークフローベースの自動化、AIおよびMLのすべてが、業務を補助・効率化するものであり、公共機関のインターフェースをデジタル化する上で不可欠だということでした。
EYのチームは、まず優先度の高いニーズへの対応から着手しました。毎回決まった手順で処理される年次更新など、DMVで最も一般的で需要の高い業務プロセスを特定し、組織で集中管理されているシステム内の既存データを使用して初期のユースケースを作成しました。そこからさらに、利用者向けサービスの詳細を設計し、新たに作成された項目やフォームを用いて、DMVのさまざまな業務や手続きに対応する50以上の追加機能を開発しました。
本プロジェクトを担当したEYのプロフェッショナルは、幅広い分野の知識と経験を有していました。具体的には、プロジェクト管理、エンタープライズアーキテクチャ、テクノロジーやソフトウェアの開発、セキュリティ分析、開発・運用、エンジニアリング、ビジネスソリューション分析などがこれにあたります。また、プロジェクトの範囲には、デジタル変革とインテリジェントオートメーションCoE(Center of Excellence)の設立も含まれていました。
現在、DMVでは米国最大級のインテリジェントオートメーションを導入し運用しています。オンラインサービス範囲を拡大し、業務サービスの質を向上させると同時に、利用者の負担を大幅に軽減しています。これにより利用者には、時間節約になることはもちろん、業務を抜けることによる機会損失もなく、さらには移動にかかるガソリン代や、DMVを何回も訪れる際にかかる子どもや高齢者のケアなどの費用も生じることがないのです。
The better the world works
デジタル変革の価値は、数百万米ドル規模のコスト削減に匹敵
DMVは新しいデジタルポータルの導入によって「市民ファースト」を実現した結果、利用者の貴重な時間を取り戻し、繰り返される手続きに対するストレスを抑制しました。増大する需要に対応するため、初期のオンライン機能はわずか3カ月でリリースされ、その後すぐに機能を追加しました。
インテリジェントオートメーションにより、DMVでは書類作業を職員の必要に合ったデジタルワークフローに変換し、オンライン取引データをバックオフィスのアプリケーションに効率的に連携できるようになりました。こうしたテクノロジーの導入により、州政府職員がかけていた数千時間に及ぶ手入力の作業時間が削減され、年間で重さ数百万ポンドにのぼる紙の使用量も減少しました。また、バックオフィス業務の精度と効率が改善され、より有効な税金の使途にもつながっています。
業務上、個人利用のいずれの目的であっても、これらのサービスを定常的に利用する何百万人もの住民にとって、新しいポータルは「ゲームチェンジ」効果をもたらしました。つまり、対面でのやりとりへの待ち時間に費やす必要がなくなり、オンライン画面の「ワンクリック」操作で必要な手続きをスムーズに完了できるようになったのです。こうした一連の手続きを安全に実行することで、利用者は自分にとって最も便利なタイミングで、州所定の手続きをシームレスに行うことができます。これまでにオンラインポータルを通じて1,200万件以上の手続きが完了しました。
RPAとMLを活用したインテリジェントオートメーションにより、これまでDMVが削減できたのは、約30万時間に及ぶ職員の作業時間、400万枚以上にのぼる用紙、そして1,440万米ドル相当の関連コストです。
「このようなAI導入の成功が、人々の日常生活に与える影響は計り知れません」と、EY US State, Local, and Education (SLED) Artificial Intelligence & Automation LeaderのCristina Secrestは述べています。「仕事や家族から離れて、半日あるいは丸1日ほどかけて順番待ちの番号札を取りに行くのと、画面上で数回クリックするのとでは、どれほど違うか想像してみてください。そして、インテリジェントオートメーションのおかげで、すぐに日常生活に戻ることができるのです」
大規模な州政府機関にとって、時間(とコスト)をかける価値のある取り組みと言えるでしょう。
EYの関連サービス
デジタル・エンジニアリングは、デジタルテクノロジーとコンサルティングを融合し、企業変革や社会課題の解決に向けて構想から実行・運用までEnd-to-Endで伴走支援するトランスフォーメーションチームです。 Business ConsultingやPeople Consultingと連携し、業務改革から組織・人材変革までを一体で推進。新技術の活用やデジタル基盤の構築を通じて、クライアントや社会の持続的な価値創造の実現を目指します。
続きを読む2010年代後半からRPA、AI-OCRなどを活用しさまざまな効率化が実現されてきました。 EYは、日々進化を遂げる生成AI、AI Agentなどの最新テクノロジーや、人口減少問題を解決するための人材ソーシングの見直しなどを融合させ、End to Endの業務を抜本的に直す新たなハイパーオートメーションの実現を支援することで、クライアントの継続的なビジネス成長に貢献します。
続きを読む将来のワークフォースにインテリジェントオートメーションが組み入れられるようになれば、未来の働き方は現在とはまったく異なる形態になるでしょう。自動化、プロセス、サービスの向上に関して全体を俯瞰した視点を持てるよう、EYはクライアントを支援します。
続きを読む