2026年以降のIPO市場を読み解くーフォローアップ会議とグロース市場の見直し(後編)

企業価値を高め続ける経営の設計と実践 - IPOをゴールとせず、持続的に企業価値を高め続ける経営とは

企業価値向上を実現する企業は、どのように成長を設計し実践しているのでしょうか。福岡で開催されたセミナーでは、スタートアップから上場企業まで異なる成長ステージの経営者が、持続的成長を支える考え方と経営の打ち手を語りました。


要点

  • 企業価値向上を支える成長の仕組みについて、長期ビジョンや理念浸透、資本市場との対話など、成長企業に共通する原理原則を共有した。
  • 成長ステージごとに異なる経営の打ち手に関して、スタートアップから上場企業まで、市場・組織・意思決定に関する実践論を比較しながら議論した。
  • 持続的成長に向けた実践的な学びとして、企業成長に必要な共通項と、自社に活用できる具体的な示唆を得た。

企業価値を高め続ける企業は、どのように成長を設計し実践しているのか

EY新日本有限責任監査法人は2026年6月11日、福岡市のTHE KEGO CLUBにおいて、IPO地区戦略室設置記念セミナー「企業価値を高め続ける経営-成長の設計と実践-」を開催しました。当日は105名が参加し、成長企業やIPO準備企業の経営者、金融機関、ベンチャーキャピタル、支援機関など、多様な参加者が集いました。

本セミナーは、IPOを単なるゴールではなく、持続的な企業価値向上の通過点として捉え、成長企業はどのように成長を設計し、それを実践しているのかを考える場として企画されました。プログラムは、「成長の設計」をテーマとしたPart1と、「成長の実践」をテーマとしたPart2の二部構成で実施されました。

EY新日本有限責任監査法人 理事長 松村 洋季
EY新日本有限責任監査法人 理事長 松村 洋季
EY新日本有限責任監査法人 常務理事 矢部 直哉
EY新日本有限責任監査法人 常務理事 矢部 直哉

成長企業に共通する「成長の仕組み」をひもとく

Part1「成長の設計をひもとく」では、GMOインターネットグループ株式会社の安田昌史氏とベータ・ベンチャーキャピタル株式会社の林龍平氏が登壇し、企業が持続的に成長するために必要な仕組みについて議論しました。

GMOインターネットグループ株式会社 取締役グループ副社長執行役員 安田 昌史 氏
GMOインターネットグループ株式会社 取締役グループ副社長執行役員 安田 昌史 氏
ベータ・ベンチャーキャピタル株式会社 林 龍平 氏
ベータ・ベンチャーキャピタル株式会社 林 龍平 氏

セッションでは、GMOインターネットグループが創業以来大切にしてきた価値観や、2051年を見据えた55カ年計画などが紹介されました。事業や組織が拡大しても理念や価値観を共有し続けること、長期視点で経営を行うこと、そして資本市場との対話を通じて企業価値向上を目指すことが、持続的成長を支える重要な要素として語られました。

参加者からも、「長期ビジョンの重要性を再認識した」「企業理念を組織へ浸透させる仕組みが参考になった」「IPO後を見据えた経営の視点を学ぶことができた」といった声が寄せられました。

成長ステージによって異なる「経営の打ち手」

Part2「成長を実装する経営の打ち手」では、株式会社オーレックホールディングスの今村健二氏、Tensor Energy株式会社の堀ナナ氏、GMOインターネットグループ株式会社の安田昌史氏が登壇し、EY新日本有限責任監査法人の井本賢治がモデレーターを務めました。

株式会社オーレックホールディングス 代表取締役社長 今村 健二 氏
株式会社オーレックホールディングス 代表取締役社長 今村 健二 氏
Tensor Energy株式会社 代表取締役 堀 ナナ 氏
Tensor Energy株式会社 代表取締役 堀 ナナ 氏

本セッションの特徴は、異なる成長ステージにある企業が同じテーマについて議論した点にあります。

  • スタートアップとして新たな市場創造に挑戦するTensor Energy
  • 地域発グローカル企業として成長を続けるオーレックホールディングス
  • 上場企業グループとして多角的な事業展開を進めるGMOインターネットグループ

それぞれの立場から、企業成長の実践論が共有されました。

議論は、「マーケットをどのように見立てるか」「理念やビジョンをどのように戦略や組織に落とし込むか」「やり続ける・やめる・修正する、をどう見極めるか」という3つのテーマを軸に進められました。

市場の見方一つをとっても、顧客課題から新たな市場を創造する視点、制度変化を事業機会として捉える視点、長期トレンドから次の成長領域を見極める視点など、それぞれの企業が置かれた環境や成長段階によって異なるアプローチが示されました。

また、理念やビジョンの浸透方法、組織運営、事業の継続や撤退に関する意思決定などについても、多様な実践例が共有されました。参加者は、自社の成長ステージに照らし合わせながら議論に耳を傾けていました。

共通する原理原則と、自社に応じた経営のヒント

会場では講演終了後も活発な交流が続き、多くの参加者が登壇者との対話や参加者同士の意見交換を行いました。

EY新日本有限責任監査法人 企業成長サポートセンター IPO地区戦略室 福岡責任者 パートナー 宮本 義三
EY新日本有限責任監査法人 企業成長サポートセンター IPO地区戦略室 福岡責任者 パートナー 宮本 義三

アンケートでは、長期ビジョンの重要性、理念や価値観の浸透、市場創造の考え方、経営における継続・撤退判断などに関する学びが多く挙げられました。また、「異なる成長ステージの経営者の考え方を比較できた」「自社の成長フェーズに応じた打ち手を考えるきっかけになった」といった声も寄せられました。

今回のセミナーは、成長企業に共通する「成長の仕組み」を学ぶとともに、それぞれの企業が置かれた環境や成長段階によって異なる「経営の打ち手」を考える機会となりました。企業価値を高め続けるための原理原則と実践の両面を学ぶ場として、多くの示唆が共有されたセミナーとなりました。


【執筆担当者】

井本 賢治
EY新日本有限責任監査法人 企業成長サポートセンター IPO地区戦略室 福岡 シニアマネージャー 

「IPO地区戦略室設置記念セミナー 企業価値を高め続ける経営 一成長の設計と実践一」をダウンロード

サマリー

2026年以降のIPO市場を展望。「量から質」へとシフトする上場環境の中で、黒字化・大型化・選別化の行方や、グロース市場の見直し、投資家との対話を促す新施策を解説します。

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