エネルギー需要の急増を長期的な「繁栄」につなげるための6つの対策

企業のエネルギー需要が急増しています。エネルギー事業者の準備は整っているのでしょうか。EYの調査結果から、成長を加速させて、真の「エネルギーの繁栄」を実現する方法が明らかになりました。


要点

  • 世界の電力需要が急増し、その増加分のほとんどを企業需要がけん引すると予想される。
  • EYが新たに実施した調査の結果から、需要家が、価格上昇と事業目標に沿ったエネルギーソリューションを利用できるかどうかに不安を感じていることが明らかになった。
  • 需要家のエネルギー供給構造を見直すことで、「エネルギーの繁栄」という新たな時代を切り開ける。

エネルギー需要が拡大する新たな時代が到来しました。そして、それを先導しているのは需要家です。データセンターの急増と電化の加速、製造業の増産により、電力需要はここ数十年見られなかった水準に押し上げられているのです。世界的なボラティリティの高まりや貿易政策の変化、マクロ経済の混乱を受けて、あらゆるセクターの企業がエネルギー目標と成長目標の調整を図りながら、将来の安定を確保するためにエネルギーへの注力を強めています。

こうした需要の急増への対応は、エネルギー事業者とエネルギー・エコシステムにとってまたとないチャンスです。ところが、事業者とエコシステムの準備が整っていない可能性があります。長年にわたる需要低迷と家庭需要に重点を置いてきたことで、エネルギー事業者の多くは現状に安住し、高度化する需要家のニーズへの対応が期待される水準に達していないのです。

事業者は今こそ役割を拡張して、企業のエネルギー目標の達成を支援するべきです。成功を収めるには、エネルギーのあり方を根本から再構築する柔軟な姿勢が必要です。多様なエネルギー源を検討し、エネルギーソリューションの設計と目的を見直すだけでなく、エネルギー事業者のあり方も再定義しなければなりません。つまり、これほど重大な局面では、あらゆることを検討する姿勢が求められるのです。


単にエネルギーを供給し続ければよいのではではありません – 未来のより高度な社会を支える原動力を供給する必要があるのです。


セクターを超えた協働で需要家のエネルギー供給構造を再構築することにより、成長と価格の妥当性、サステナビリティ、レジリエンスを同時に対応して、真の「エネルギーの繁栄」実現に向けた取り組みを先導できます。

需要家のエネルギー転換に関する知見を紹介するレポートをダウンロードする

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第1章

エネルギーはどの企業にとっても重要な問題

産業用の電力需要が急増するのは間違いありませんが、エネルギー事業者の準備は整っているのでしょうか。

世界の電力需要は今後25年間で倍増し、その増加分の4分の3を企業需要が占めることが予想されます1。メディアでは、生成AIが電力消費に与える影響が大きく取り上げられる傾向にあります。実際、生成AIが需要急増の大きな要因であることに間違いはありませんが、テクノロジーだけでなく天然資源や製造業もまた、電力需要の大幅な伸びに大きく寄与しているのです。調査対象企業の約8割の企業は、今後3年間で自社の電力消費量が増えると予想し、その増加率が10%を超えるとみる企業はほとんどのセクターで半数以上に上ります。需要の増加要因はテクノロジーと人工知能(AI)に加え、新規設備と電気自動車(EV)です。

電力の需要増加要因

電力の需要増加要因

エネルギー事業者にとって絶好の機会が来ています。エネルギー需要をここ数十年見られなかった水準に一気に押し上げて、「エネルギーの繁栄」を促進し、成長とサステナビリティ、レジリエンス、価格の妥当性を向上させるチャンスです。ところが、事業者の多くは長年にわたり家庭需要を重視してきたため、企業需要の規模と緊急性を過小評価し、需要家の期待に十分に応えられないのが現状です。

 

企業需要のエネルギー供給構造に対する印象は停滞しています。今回の調査結果から分かったのは、デジタル体験の質が低いことや、ニーズに応じた選択肢がないこと、専門知識とアドバイスに対する期待とのギャップが拡大することなどの理由から、企業の需要家の不満が高まっていることです。70%強が今後3年間でエネルギーソリューションの管理に費やす時間と資金を増やし、また選択の余地があれば、事業者を比較して最適な事業者を見つけると回答しています。

エネルギーへの対応は強化され、
の企業が今後3年間で電化とCO2排出量・エネルギーコスト削減に費やす時間と投資を増やす。

エネルギー事業者にとっては「今を逃せば次はない」という極めて重要な局面です。需要家へのエネルギー供給構造の再構築を決断し、推進する事業者は、新たな収益源を確保し、全てのステークホルダーに便益をもたらす成長を実現するでしょう。一方、行動を先延ばしにすれば、新規参入者や企業自身が先導してペースを加速させるレースで後れをとることになるでしょう。

エネルギー事業者に求められるサービス領域は、従来の枠を超えて拡大しています。エネルギーがどの企業にとっても重要な問題となる今、ITや金融サービス、モビリティをはじめ多様なセクターの企業参入が増えて、多くの場合、斬新なアプローチのエネルギーソリューションで参入しています。いち早く参入したセクターの1つが自動車メーカーです。例えばスウェーデンのEVメーカーPolestar社は、欧州11カ国の個人/法人顧客向けに、EV充電の自動化と管理を容易にし、顧客が特典を直接活用できるようガイドするアプリを開発しました2

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第2章

競争上の差別化要因としてのエネルギー

エネルギーが自社の未来を加速させる可能性もあれば、阻害要因にもなることを、企業は認識しています。事業者は自らが作り出した障壁を打破できるのでしょうか。

企業は、エネルギーが将来の成功に不可欠であることを認識しています。調査対象企業の約7割(71%)が、成果の達成を目的とした明確な対策と投資を盛り込んだ、包括的なエネルギー戦略を策定していました。

こうした戦略は当然ながら、コストの抑制を重視していますが、同時に企業が、将来的な「エネルギーの繁栄」の実現を見据えた確かな信頼を求めていることも示します。エネルギー供給が混乱するなか、供給安定は重要であり、企業の64%がエネルギーコストの不安定化がすでに収益力に影響を及ぼしていると回答しました。自社成長の拡大に必要なエネルギーが利用できるかも優先課題です。企業の66%が将来のニーズ充足に必要なエネルギー確保に不安を感じています。

エネルギー利用について
の企業が将来のニーズ充足に必要なエネルギーが利用できるか不安を感じています。

企業は、エネルギーと企業成長という密接に絡み合う目標を達成すべく迅速に対応を進めていますが、数々の障壁にそれを阻まれています。調査対象企業が挙げたエネルギー分野の課題のトップ3は「資金調達とコスト」、「複雑な規制」、「エネルギー事業者」でした。

「エネルギーの繁栄」実現の取り組みにおいて、最大の障壁としてエネルギー事業者自身が挙げられているのは憂慮すべきことです。しかもこれは全てのセクターに共通して見られる傾向です。一方、自らが築いてしまった障壁を打破する覚悟がある事業者にはチャンスが生まれています。

企業は課題に正面から向き合うことに意欲を示しており、調査対象の3分の2が今後3年間で自社のエネルギー関連ニーズが複雑化すると回答しています。具体的には、エネルギーに関する専門知識の構築を積極的に進めています。専門能力の獲得方法では自社の能力構築に加え、提携と外部調達に注目が集まっています。

企業の97%が今後3年間に、以下の手段でエネルギーに関する専門知識を高めることを計画

企業が今後3年間にどのような手段でエネルギーに関する専門知識を高めることを計画しているかを表したグラフ

これはエネルギー事業者にとって大きなチャンスです。しかし、企業が自らの専門性を高めて、より明確な価値提案を掲げる新規参入者に関心を寄せる中、事業者はまず自らの価値を示すことが求められます。すでに企業の約3分の1が、現在利用している事業者が付加価値を提供してくれるとの確信を持っておらず、74%が従来型の顧客サービスへのアプローチではもはや不十分だと回答しました。

事業者は今こそ、提供するサービスの水準と、それを誰に提供するかも見直すべきです。エネルギーはどの企業にとっても重要な問題です。そのため、業務、財務、法務、人事といったさまざまな部門と連携し、他事業者との協業も視野に入れたビジネス中心のエネルギーソリューションを提供することで、多様化・高度化するニーズに応えることが必要です。

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第3章

成長とグリーン化の両立

企業が期待しているのは自社の成長を支える持続可能なソリューションです。それが得られなければ、新たな方策を探ることになります。

企業にエネルギー関連ニーズの優先順位を尋ねたところ、サステナビリティは上位にランクされ、信頼性と価格に続く、僅差の3位でした。また、調査対象企業のほぼ全社(99%)が、カーボンフリーエネルギーの利用拡大とCO2排出量全体の削減を中心に据えたエネルギー目標を定めていました。

とはいえ、企業が成長を犠牲にしてまでグリーン化に取り組むことはありません。企業の多くは、再生可能エネルギーやエネルギーインフラが利用できたり、接続が迅速化されたりするのであれば、追加コストを容認すると同時に、自らのニーズに合わせたソリューションのカスタマイズを期待しています。エネルギーの未来に対する主導権を握るために、企業はエネルギー投資を増やし、エネルギーの自給自足と管理の強化を図っているのです。企業の3分の2が今後3年間で、オンサイト発電や蓄電システムへの投資か機能の増強を計画しています。

現在投資している/投資を計画している主要なエネルギー製品・サービス


このような広範な投資計画には、多様な事業者がエコシステムに参加することになるでしょう。多様化したエコシステムで、エネルギー事業者は中心的な役割を担えるのでしょうか。それとも、脇役に追いやられることになるのでしょうか。今回の調査結果から、企業は今後も再生可能エネルギーとグリーン天然ガスの供給をエネルギー事業者に頼るものの、それ以外の全ての製品・サービスについては、別の事業者の利用を考えていることが分かりました。一方、エネルギーマネジメント企業や専門ソリューションのプロバイダー、エネルギーサービス会社、設備メーカー側も、より大きな役割を担う態勢を整えています。

エコシステムの構築方法の1つにチームアプローチがあります。米国に拠点を置く電力会社AES社は15カ国で事業を展開しています。同社がよりスマートなエネルギーソリューションを企業需要に提供することに寄与するのが、グローバルなエコシステムです。AES社は多様なパートナーとさまざまな形で連携して、顧客ごとに異なるニーズを満たすことに意欲的に取り組んできました。例えば、Siemens社と共同で、産業用途向けの蓄電システムを提供するFluence社を設立したほか、クラウドベースでエネルギー効率化サービスを提供するUplight社への投資で、産業用の大口需要家と家庭用需要家のエネルギー管理を助ける、新たなデジタル・エンゲージメントプラットフォームも提供できるようになりました。Google社とのパートナーシップは、24時間365日提供するカーボンフリーなエネルギーソリューションの開発につながり、バージニア州にあるGoogle社のデータセンターにおいてもこのソリューションを利用しています。また、オーストラリアの太陽光発電システムメーカー5B社と協力して、需要家がより多くの再生可能エネルギーを迅速に利用できるよう支援もしています。

これはエネルギー事業者が、類似するセクターや全く異なるセクターの企業を、競合相手ではなく協働相手と再定義した結果として得られる好例です。戦略的に提携することで、企業が持続可能な方法でエネルギー目標を達成するにあたって、さらに手厚い支援ができると同時に事業者自身の将来の安定確保にもつながります。成長目標とグリーン化目標のバランスを取り「エネルギーの繁栄」を実現するには、関係者全てがその役割を果たすことが不可欠です。

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第4章

企業需要をめぐる争奪戦

変化し続ける企業需要に応える闘いはすでに始まっています。この闘いに勝てるのは、データから知見を導き出せる事業者です。

いまだに需要家を単純にとらえ、消費量やセクター、地域で分類する事業者が少なくありません。しかし、今回の調査結果から、組織の成熟度や脱炭素化への注力度、エネルギーに対する慎重度(すなわち、エネルギーが業務運営にどの程度重要か)、さらには業務を別の場所に移転させる能力などの要因で、ニーズの多様化が大幅に進んでいることが明らかになりました。

企業のエネルギー関連需要に影響を与えるさまざまな要因


エネルギー事業者を選定する際に需要家が重視しているのは、自社の細かなニーズを満たせるかどうかです。需要家は、より多くの専門知識とイノベーション、サポートのカスタマイズを期待していますが、意外なアピールポイントが決断を左右することもあります。Meta社がデータセンターを新設する用地をアラバマに決定した際には、Alabama Power社や州政府、地元の商工会議所の連携に加え、新設された最先端の急流ラフティング施設が近くにあることが契約締結の決め手の1つとなりました3。エネルギー事業者や政府、地域社会が企業の誘致競争を繰り広げていますが、その競争に勝ち抜くうえで鍵を握るのは、価値について従来の枠にとらわれない発想で取り組むことです。

エネルギー事業者の検討時に企業が重視する要素トップ10

エネルギー事業者の検討時に企業が重視する要素トップ10を表した図

テクノロジーも、高まる企業の期待に応えるうえで不可欠な存在となるでしょう。調査したほぼ全ての企業(99%)が、エネルギー事業者に求めるものとして高度なデジタルツールの提供を挙げ、また全体の3分の2強が、AIをエネルギー供給構造に組み込むことを期待しています。特に、問題の自己解決やエネルギー利用の分析、イノベーションの加速につながる、エネルギーに関するより深い知見の発見を望んでいます。


中堅企業は高いエネルギー目標を掲げる一方、実現性に対する不安に直面しており、十分な能力もまだ備わっていません。


自社のポジショニングに悩む事業者にとっては、「取り残された中堅企業」のサポートに重点を置くことが、差別化を実現するチャンスになるでしょう。年間売上高が2.5億米ドル未満の中堅企業は高いエネルギー目標を掲げる一方、実現性に対する不安に直面しており、十分な能力もまだ備わっていません。3分の2強が、オンサイト発電、蓄電システム、デマンドレスポンス・プログラム、設備の電化、EV活用を検討していますが、こうした取り組みの進捗は緩やかであり、資金調達コストの高さ、複雑な規制などの障壁があると回答しました。

こうした中堅企業のニーズに合わせた支援を提供すれば、事業者自身の収益が拡大する可能性が大きく広がり、また「エネルギーの繁栄」の推進につながります。オーストラリアでは、AGL社が中小企業向けに、エネルギー効率の良い照明や力率改善(PFC)、カーボンオフセット、ニーズに応じた太陽光発電のオプションなどのソリューションを提供して、企業のエネルギー目標達成を後押ししています4。このような支援は、中小企業の成長にとって極めて重要であり、経済全体の繁栄にも直結します。将来的には、中小企業が世界の雇用とGDPに占める割合は70%に達すると予測されています5

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第5章

企業需要への新たな向き合い方

「エネルギーの繁栄」を促進するために事業者が担うべき4つの役割

EYは、需要家のニーズに合わせて組織を再構築するために、エネルギー事業者が目指すべき4つの役割を特定しました。

  • 中核的なエネルギー事業者:シンプルな料金体系とエネルギー源の選択肢、企業のニーズに合ったプログラムを提供する
  • エネルギー転換の推進者:適切な製品とサービス、優遇策の導入に関するアドバイスや支援で、需要家のクリーンエネルギーソリューションの理解と導入を積極的に支援する
  • エネルギープラットフォームの調整者:企業のエネルギーの利用・コストの管理と最適化に役立つプラットフォームとテクノロジー、サポートを提供する
  • 専門ソリューションの提供者:エネルギー関連の製品とサービスを戦略的に組み合わせ、個別またはバンドルで提供する。例えば、ソーラーパネルや蓄電システム、EaaS(サービスとしてのエネルギー)などがある

ソリューションポートフォリオや業務モデル、市場に応じて、事業者は役割の1つを選ぶことも、複数を組み合わせることも可能です。または1つの役割から別の役割に移行することも選択肢になります。例えば、エネルギー市場が進化し、エネルギー需給調整でより大きな価値が生まれるようになるに伴い、「エネルギー転換の推進者」から「エネルギープラットフォームの調整者」に移行することも考えられます。

4つの役割に優劣はありませんが、その価値に対する見方は企業により実にさまざまです。半数近く(42%)が「エネルギー転換の推進者」を最も求める一方、4分の1近く(23%)が事業者に従来型の「中核的なエネルギー事業者」の役割を果たしてほしいと回答しました。

エネルギー事業者が「プラットフォームの調整者」や「専門ソリューションの提供者」になることを期待する企業は全体のわずか3分の1(35%)にとどまっています。これらの役割を担うかどうかは、事業者が抜本的な自社改革に取り組む意思にかかっています。特に、協業が今後ますます重要性を増していきます。成果を上げる事業者は、ステークホルダーのネットワークを広げ、シームレスに連携しながら、エネルギーソリューションの調整役を務めて、付加価値の高い専門製品やサービスを提供することが求められます。

エネルギーの未来を新たに形づくる

エネルギーはどの企業にとっても重要な問題です。企業の成長、脱炭素化、競争の加速で、エネルギーはますます重要度を増し、企業はより広範な目標に沿ったエネルギー供給構造を確立するために、より多くの時間と資金を費やすことを辞さない姿勢です。

このように高まる期待に応えることは事業者にとって難しい課題であると同時に、待望の需要増加で生まれる価値を創出するチャンスでもあります。事業者がエネルギー・エコシステムで積極的に連携・協働してイノベーションを推進し、需要家の優れたエネルギー供給構造を構築することで、経済成長を加速させ、最終的にさらに大きな価値を創出する原動力になります。成長と価格妥当性、サステナビリティ、レジリエンスの全てに対応可能なエネルギーシステムは、真の繁栄を実現し、よりレジリエントなエネルギーの未来を形づくることができるでしょう。

取るべき6つの対策
  1. 需要家把握の新しいアプローチ:セクターやエネルギー消費量、地域の枠を超えて、全く新しいやり方でエネルギー関係のニーズや期待に影響を与える多様な特性を理解する。
  2. アカウントマネージャーのエネルギー目標達成責任者への転換:需要家を支援できる人材にマネージャーを育成する。需要家ごとにカスタマイズした提言を行い、トレンドを常に把握しながら、かつ、従来の縦割り組織から脱却して、エネルギーを競争上の差別化要因にする責任者にする。
  3. デジタル面における差別化:AIを活用した、セルフサービス・教育・分析向けの機能を備えた、先見的な知見やアドバイスが得られるツールを開発する。
  4. 「取り残された中堅企業」への注力:野心的なエネルギー目標を達成と繁栄を阻む障壁を打破する。
  5. 「エネルギーの繁栄」に向けた、自社組織の役割の明確化:組織のビジョンに沿った明確かつ先進的な計画を策定して、企業のニーズを満たし、新たな価値を獲得する。テクノロジーや能力のギャップを把握して、自社構築、買収、提携といった、そのギャップを埋める方策を見極める。
  6. 企業需要向けのエネルギー・エコシステム構築:他組織と連携して革新的なエネルギーソリューションを開発すれば、さまざまな顧客のニーズにより適切に対応できる。

サマリー

EYの新たな調査の結果から、企業はエネルギーを競争力の源泉と位置付けているものの、競争優位を得るには支援が必要であることが分かりました。エネルギー供給構造の再構築に向けて今すぐ対応するエネルギー事業者は、需要家の高まる期待に応えて、収益増加を実現させ、「エネルギーの繁栄」という新たな時代を切り開くことができます。一方、成功を収めるには、大胆な施策と積極的にエネルギー・エコシステム全体で協働してイノベーションを推進する姿勢が必要です。事業者が今後進むべき方向性を決めるうえで、4つの役割が有効な指針になるでしょう。

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