未来的な歩行者用トンネルの写真

2026年におけるテクノロジー企業のビジネスオポチュニティ・トップ10


加速する投資サイクルの中でROIを実現するには


要点

  • 2026年、テクノロジー企業は、M&Aやジョイントベンチャー、さらにフィジカルAIを組み込んだ相互運用可能なAI製品を活用することでイノベーションを創出し、成長を加速させることができる
  • AIを安全に組み込み、データ主権を前提に組み込んだ設計方針を採用し、技術専門人材を配置して導入を拡大し、ガバナンスを強化する
  • 成果ベースの価格設定でビジネスモデルを変革し、全社の各機能でAI戦略を最適化することで、持続可能な価値創出を実現する


EY Japanの視点

AI時代に求められる変革とは──ROIと責任ある実行を両立するために

AIの社会実装が加速する中、世界のテクノロジー企業では、スピードと責任ある実行を両立させながら、AI投資のROIを明確に示すことがこれまで以上に求められています。
不確実性が高まる経営環境において重要なのは、AIを単に既存業務に追加することではなく、AIの活用を前提に、業務や意思決定の進め方そのものを見直し、価値創出と事業成長へと継続的につなげていくことです。
こうした変革は、技術基盤やビジネスモデルにとどまらず、組織の設計、ガバナンスの在り方、人材の活用、さらにはエコシステムとの連携にまで及びます。
このように変革の対象が企業全体に広がる中で、日本企業がこれまで培ってきた品質管理やリスク管理を重視する考え方は、AIの判断や結果を適切に管理し、社会や顧客からの信頼を損なうことなく、AIを大規模かつ持続的に展開していく上で、重要な競争力の源泉となるでしょう。
EY Japanの窓口

加速するAIの導入、複雑な地政学的環境、強まる成果創出への圧力。こうした状況下で、テクノロジー業界は2026年を迎えています。テクノロジー企業はAIのROIの証明に注力し、ビジネスモデルを再考するとともに、AIの大規模実装を必須課題として推し進めています。経営陣の問いはもはや「AIはビジネスを変えるのか」ではなく、AIネイティブな戦略をいかに安全で信頼性の高い形で実装し、エージェント型ソリューションを通じてどのように価値を獲得するかへと移りつつあります。

こうした状況に拍車をかけているのが、NAVIが進む経営環境です。NAVIとは非線形(nonlinear)、加速(accelerated)、変動(volatile)、相互接続(interconnected)で特徴づけられる環境を指します。競争優位の鍵を握るのはこうした「超流動的」な環境を味方につける企業です。すなわち、ルーチン業務は自律的なシステムに任せ、人間が戦略的な判断に集中できる体制を整えた企業です。自律型AIやWeb3、スマートコントラクトといった技術は摩擦を低減し、リアルタイムで適応的なガバナンスを可能にします。

こうした状況を踏まえ、急速に変化する環境の中で成長を促し、レジリエンスと信頼を高めるために、テクノロジー企業のリーダーが取るべき行動を以下に示します。

オポチュニティ1

AIが超高速で進化する今、M&Aやジョイントベンチャーを通じたエコシステム戦略で規模拡大を加速させる

2026年の成功を左右するのは「スピード」です。AIイノベーションは極めて速いペースで進んでおり、企業が規模を拡大し優位性を確保する上で、スピードは最優先の課題となっています。相互運用性やガバナンスを損なうことなく迅速に行動できる企業は、先行者が価値を独占し、競争環境で優位に立つことができます。

今日のデータ主導型経営において、テクノロジー企業は戦略的なアライアンスや成果志向のパートナーシップを構築し、新たな市場の開拓、販売・流通規模の拡大、データ権利の体系化を進めています。例えば、EYがNVIDIAと共同で進めるEY.aiプラットフォーム上のリスク管理ソリューションでは、アライアンスによって業界知見と高度なAIインフラとを統合し、イノベーションを加速させ、差別化された価値創出を実現できることを実証しています。こういったコラボレーションは、成長を加速させるだけでなく、従来、規制や財務上の障壁で制限されていた業界への参入を可能にします。テクノロジー企業のCEOを対象にEYが実施した最近の調査では、83%が今後数カ月間においてジョイントベンチャーやアライアンスを重視すると回答し、2025年1月時点から約30ポイント上昇しました。この結果は、迅速な行動が急務であることを示しています1

83%
83%
のテクノロジー企業のCEOが、2026年はジョイントベンチャーやアライアンスを重視すると回答

また、市場環境も、目的特化型のM&Aを後押ししており、高度なAI統合や独自のデータ機能を実現する技術を持つスタートアップに大企業は特に関心を示しています。先見性のある経営者は、あらゆる選択肢を視野に入れ、パートナーシップや買収を通じてポートフォリオを最適化し、機会を逃さず捉えようとするでしょう。

こうした環境で成功するには、機会頼みの案件だけでは不十分です。相互運用性や透明性の高い成果共有メカニズムを初期段階から重視することが不可欠です。エコシステムやパートナーシップ全体にガバナンスを組み込み、利害を一致させることで、差別化された価値を提供するレジリエントな体制を構築できます。それによって、規制や技術要件が変化しても、スピード感を持って適応できる俊敏性を確保できるでしょう。

オポチュニティ2

エージェント型相互運用性とフィジカルAIに対応した設計を行う

製品へのAIの組み込みは、もはや差別化要因ではありません。次に注力すべき領域は、クロスプラットフォームかつクロスクラウドで機能するエージェント型の相互運用性です。これにより、製品は複数のエコシステムを横断してシームレスに動作し、新たな自動化やオーケストレーションのレイヤーを実現できるようになります。企業がマルチクラウド環境や異種混在のスタックにまたがる柔軟性を求める中、相互運用性は設計原則の中核に位置づけられつつあります。

強い追い風を受け、イノベーションの重要な注力領域としては、フィジカルAIとロボティクスです。これらの技術はエッジ環境へ近づきつつあり、差別化された製品・サービスを生み出す新たな機会を創出しています。自律型システムと産業オートメーションは、相互運用可能なエージェント型フレームワークと組み合わせることで、複数のクラウドや商用プラットフォームを横断して運用できるようになります。今後、ソフトウェア・インテリジェンスと物理的実行の融合に投資する企業が競争優位を獲得できるでしょう。


マルチクラウドAIは排他的モデルを壊しつつあり、オーケストレーションやGPUの容量の仲介に対する需要が生まれています。こうした環境では、複数のクラウドやプラットフォームにまたがるエージェント型相互運用性を前提に設計できる企業が有利になります。高度なAIとフィジカルAIの双方に特化した専用の製品グループを設けることで、デジタルとフィジカルの両領域にまたがるイノベーションを確保し、より迅速なアイデア創出と実行が可能になります。

オポチュニティ3

特にAI導入が成熟・拡大する局面において、安全で信頼性の高いAIを業務に実装するため、部門リーダーに権限を付与する

状況や挙動を把握できる度合いの向上に伴い、安全で信頼性の高いAIは、倫理やコンプライアンスにとどまらず、収益とレピュテーションを守るための必須要件となっています。AIがあらゆる機能に浸透し、初期のPoC段階から全社導入へと拡大する中、ガバナンスの柔軟かつ能動的な対応が不可欠です。企業では、説明責任を分散させる方向に進んでいます。その方法として、ワークフローやリスクの最前線にいる部門リーダーに権限を付与し、事前に定めた運用上のルールや制約の明確化、どこまでリスクを受け入れるのかという判断基準の明確化、信頼性確保のための取り組みを日常業務の中に組み込んでいます。強固な枠組みが欠けていると、取り組みが断片化し、連鎖的な失敗を招き、事業目標から逸脱した判断をしてしまうリスクがあります。最近のEY調査では、自社の倫理や責任あるAI戦略に強い自信を持つテクノロジー企業の幹部は3分の1に満たないことが明らかになっており、迅速な対応が求められています。


安全で信頼できるAIを大規模に組み込むことは、製品・サービスやオペレーションのライフサイクルの一環としてガバナンスを制度化することを意味します。とりわけ、データ整備は、最も対応が遅れている領域と言えます。AIが拡大するにつれ、システム全体に波及する障害を防ぐには、強固なデータの履歴、質の高いチェック、そしてガバナンスが不可欠です。経営陣がデータ品質やデータの履歴、ポリシーのコード化、判断の偏りや性能変化を検知・管理する仕組み、インシデント対応手順、監査可能なロールバックといった基準を整備する際、ツールもそれに合わせて進化させる必要があります。適切なバランスを見いだすことで、レジリエンス、信頼性、信用を損なうことなく迅速に検証を進めることができます。成功する企業は、規制リスクやレピュテーションリスクを軽減し、成長や顧客成果を損なうような運用上の失敗を防ぐことができるでしょう。

オポチュニティ4

エージェントの時代に向けて商業戦略を見直す

ソフトウェアの価格設定、パッケージ化、購入方法をAIネイティブ企業が再定義しています。AIエージェント主導の購買の台頭で顧客エンゲージメントが変わりつつあり、従来のサブスクリプション・従量課金モデルから、セキュアなAPI、即時トライアル、成果ベースの価格設定への移行が進んでいます。顧客からは、単に「アクセスできる」「利用できる」だけでなく、摩擦のない体験と価値の透明性が求められるようになっています。

ビジネスモデルのイノベーションは加速しています。実際、テクノロジー企業CEOを対象にした調査では、89%が、成果ベースの価格設定など革新的な価格モデルを検討していると回答しています2。しかし、検討するだけでは不十分です。2026年は、試験運用から本格導入へと移行し、価格を成果および測定可能な価値に直接連動させる必要があります。AIによって周辺業務や付随作業が削減できるようになったことで、成果ベースの価格設定は、変化する顧客の期待やマクロ経済的な圧力への対応策として有力視されつつあります。こうした成果ベースのモデルは、顧客に「後悔のない」購入体験を提供することが目標です。

また、営業・サービス・ファイナンスなどの各機能にもAIツールが導入されつつあり、統合型サービスや新たな価値提案の機会が生まれています。生成AIやエージェント型アプリケーションを組み込むことで、企業はこれらの機能を強化し、製品・サービス・ファイナンスを一体化したスムーズな体験として提供するバンドル型ソリューションを実現できます。こうした進化により、従来は人が担ってきたサービス提供をインテリジェントな自動化プラットフォームで実現する「Service as Software」が台頭しています。成功の鍵は、人ではなくエージェントが取引を主導することを前提とした、商用モデルに再設計できるかどうかです。例えば、製品情報や価格をセキュアAPI経由で公開したり、商用モデルを成果ベースの指標と整合させたりすることが求められます。複数のプラットフォームやクラウドをまたいでシームレスなエンド・ツー・エンドのワークフローを構築するには、相互運用性が極めて重要な成功要因となります。これは技術面だけでなく、商用面でも同様にチャレンジを伴います。

オポチュニティ5

AIモデル選択の柔軟性を最大化する

AIモデルにはオープンモデルとクローズドモデルの間に多様な選択肢が存在し、テクノロジー企業に新たな戦略的判断が求められています。透明性・カスタマイズ性・コストといったオープンモデルの利点と、パフォーマンス・サポート・統合的な安全性といったクローズドモデルの利点とのトレードオフを見極める必要があり、この分岐点をどう進むかが、競争優位の源泉となります。オープンモデルのエコシステムは急速に成熟しており、参入障壁の低さ、迅速な改善サイクル、企業独自のワークフローへの組み込みやすさなどが利点です。しかも多くの場合、コストは従来の数分の一で済みます。一方、クローズドモデルは、本来の性能や信頼性において依然として高い水準を示しています。しかし、高コストになりやすく、単一ベンダーのリスクや、ローカライズやコンプライアンス対応における柔軟性の低さといった課題を伴います。


こうした状況の変化は、技術的な議論にとどまらず、グローバルなビジネスや規制・制度面にも関わる問題です。独自モデルや特定インフラへのアクセスが制限される地域では、オープンなアプローチが導入の裾野を広げイノベーションを促進します。企業にとって重要なのは、価格と性能のバランスを見極めつつ、単一ベンダーへの依存を避け、進化する規制やデータ主導の要件に柔軟に対応できる戦略を構築することです。オープンモデルとクローズドモデルを用途や地域、コンプライアンス要件に応じて使い分けられる企業は、AI基盤が分散・多様化する環境においても、価値創出とリスク管理の両立を実現できるでしょう。

オポチュニティ6

データ主導を前提に設計し、ボーダーレスな人材モデルを構築する

規制の断片化や地政学的な不確実性が、企業のオペレーティングモデルを再定義しています。データ管理や法令遵守に対する各国の要求が高まる中で、主権を確保したAI処理や地域内でのAI処理が標準になりつつあります。欧州連合のデジタル市場法(DMA)、デジタルサービス法(DSA)、AI規制法などの法規制が企業活動に影響を与える中、単なるコンプライアンスだけの問題ではありません。その影響は、人材の配置や計算処理の実行場所にとどまらず、基盤モデルが各国・地域の価値観や倫理、文化的背景をどのように反映するかにまで広がっています。各国・地域は、自らの優先事項に沿ってインフラを管理・統制し、AIの構築や運用の在り方を見直し始めています。

テクノロジーリーダーにとって、このテーマは技術面だけでなく、組織設計や人材戦略にも関わる課題です。アーキテクチャには初期段階から、地域ごとの法規制に対応した制御を組み込み、パフォーマンスとコンプライアンス要件のバランスを取る必要があります。こうした判断は、コストや処理の遅延、事業拡大への対応力に影響を与えるとともに、地域をまたいで編成される少人数の専門チームや地域ごとの専門スキル拠点の構築など、人材戦略の刷新を促します。しかし、企業はその点にまだ自信を持てていないようです。グローバルなテクノロジー企業の経営幹部のうち、自社のAI戦略が組織全体の人材を効果的に活かせていると考えているのは47%にとどまり、技術や地政学的変化のスピードに人材活用モデルが追いついていない実態が見て取れます3。イノベーションにはグローバルな連携が欠かせない一方で、ビザの制限や地域の規制がモビリティを複雑化させ、インフラと人材配置の機動性の双方に二重の圧力を生み出しています。

こうした環境で成功するには、データやAIの管理・統制を前提とした設計を制度化し、地域ごとの規制に対応した制御をワークフローやインフラ計画に組み込むとともに、分散配置された少人数の技術チームやリスク管理を組み合わせた人材モデルを採用できる企業は、スピードとコンプライアンスを両立させながら、分断が進む環境下でも持続的な成長を実現できるでしょう。

オポチュニティ7

複雑化するAIプラットフォームに対応するため技術スペシャリストを現場に配置する

AIプラットフォームやエコシステムの複雑化・専門化が進む中、企業は重要な問いに直面しています。事業現場と伴走しながら導入・運用を支える技術専門人材をはじめとする、の配置は、成功に不可欠となるのでしょうか。その答えがもたらす影響は広範です。技術人材を事業ユニットやプロジェクトチームに組み込むことで、導入を加速し、サービス品質を高め、プラットフォームの進化に応じた継続性も確保できます。一方で、人材の確保・定着、財務的な投資、スケーリング、そして明確なKPIによる効果測定といった新たな課題も生じます。現在、テクノロジー企業の経営幹部の27%が、AIスキルの不足は、企業全体への導入拡大を阻む最大の障壁だと回答しており、この割合は他の技術的・運用上の課題を上回っています4


組織は、迅速な問題解決やより深い統合といったメリットと、専門家組織を大規模に維持するためのコストや運用上の負荷を、てんびんにかける必要があります。価値を最大化するために、こうした役割をどう構築するか――具体的には、技術スペシャリストが孤立せず、組織としての学びやガバナンス、成果測定と広くつながるようにすること――に成長の機会があります。

オポチュニティ8

デジタルインフラとAIの時代にむけて税務戦略を再考する

コンピューティングやデータセンター、独自AIモデルやツールの急速な開発など、デジタルインフラへの投資が前例のない規模とスピードで進み、税務戦略はテクノロジー企業にとって極めて重要な意味を持つようになっています。AIリーダーがグローバル展開を進め、複数の地域にまたがった人材採用や業務運営を強化するのに伴い、税務計画がかつてないほど複雑かつ重要になってきました。その理由は明白です。急速に変化する環境において、税務はもはや単なるコンプライアンス機能ではなく、資本を解放し、導入を加速させ、利益を守る戦略的要因でもあるからです。

テクノロジー企業にとって、税務は「事後」ではなく「事前」に考えるべき事項です。拠点をどこに置くのか、知的財産の所有構造をどう設計するのか、コストや利益を、国境を越えてどのように配分するのかといった点を事前に検討しておく必要があります。適切な税務は、データセンターの設立やクラウドの拡張、デジタルIPの収益化やグローバルAIチームの構成に至るまで、あらゆる領域に影響を及ぼします。

税務そのものも経営に活用可能なデータ基盤へと進化しつつあります。先進的な企業は、税務分析を自社の中核的データプラットフォームに組み込み、タイムリーな判断材料を活用して経営判断を支援し、リスクを管理し、ステークホルダーや規制当局との透明性を高めています。こうした動きは、税制優遇や税額控除、コンプライアンス義務の能動的な管理を可能にし、税務をコストセンターから価値とレジリエンスの源泉へと変えつつあります。成長の鍵は、税務戦略をデジタルトランスフォーメーションの基盤に組み込むことにあります。これにより、ビジネスが成長する過程で、俊敏性とコンプライアンスを確保しつつ、グローバルなリスクと機会を明確に把握できるようになります。

オポチュニティ9

AI FinOpsを制度化して、財務をROI創出の基盤へと位置づける

AIが企業変革を推進する力を持つことは、コーディングや顧客対応といった分野ですでに実証されています。次に焦点を当てるべきは財務です。財務は、投資対効果を検証し、経営に説明責任を果たす役割を担うと同時に、主要なプロセスや統制、リスク管理の要として機能しています。そのため、AIの価値を経営成果として具現化する次の舞台として、財務は極めて重要な領域です。

企業は財務向けAIに多額の投資を進めていますが、そのリターンはまだ顕在化していません。現在、グローバルテクノロジー企業の51%が、AI予算の優先領域トップ3の1つに財務を挙げています(IT/デジタル、基幹ビジネスに次ぐ順位)。一方で、AIのROIをけん引する要因のトップ3に財務を挙げている企業はわずか27%です5。このギャップが課題を浮き彫りにしています。実験運用や試験的ユースケースに十分なリソースを投じている割に、企業規模の価値にまだ結びついていないのです。2026年は、この状況を変える時です。実験段階から本格展開への移行を進めなければなりません。AIを予測に組み込み、クローズサイクルを加速し、コンプライアンスを自動化し、予測分析によって高度な意思決定を支えることが求められます。

AI FinOpsの制度化とは、AIを財務オペレーションの中核に据えることを意味します。キャッシュフローのリアルタイム可視化、ダイナミックなシナリオモデリング、コンプライアンスチェックの自動化、インテリジェントなリソース配分を実現することを指します。これを適切に実行できれば、財務は「報告部門」から「戦略のエンジン」へと進化し、利益率の拡大や資本配分の最適化を支え、企業全体での迅速かつ高度な意思決定を可能にします。

オポチュニティ10

AI、アイデンティティ、国家レベルの脅威に対応するため、企業セキュリティを再定義する

AIは、攻撃側にとっては攻撃能力を増幅する要因となる一方、企業にとっては防御を高度化する中核的な手段でもあります。国家レベルの主体や犯罪組織、AIを悪用する集団によるサイバー脅威は、頻度と規模を増し、手口も高度化しています。認証・アクセス管理、データ、業務プロセスの信頼性は、常にリスクにさらされています。規制当局による監督の強化と、顧客からの信頼に対する要求の高まりを受け、サイバーセキュリティは取締役会が主導して対応すべき最優先課題として浮上しています。企業の投資行動もそれを裏付けており、EYの調査によれば、テクノロジー企業の幹部は、高度化するAI関連の脅威に対応するため、今後2年間でサイバーセキュリティへの投資を大幅に拡大する見込みです。

 

テクノロジー企業は「最低限必要」なセキュリティを超え、AIを活用したより積極的なサイバー防御と、本人確認や権限管理の信頼性確保へと進む必要があります。具体的には、パッチ適用や修復に関する対応目標(SLA)を週単位から時間単位へ短縮すること、脅威の検知や対応を自動化すること、利用状況に応じた継続的な本人確認を組み込むことなどが挙げられます。さらに、AIシステム自体(モデル、データの収集・加工・連携の仕組み、エージェント型の業務フロー)についても、AIへの不正な指示の挿入、学習データの改ざん、安全機構を回避する不正操作といった攻撃から保護しなければなりません。AIが社会や企業活動を支える重要な基盤となるにつれ、障害が発生した場合の影響はシステム全体に波及し、業務停止、規制対応上の問題、評判の低下が業界や市場を横断して連鎖的に広がるリスクが高まっています。

 

AIの活用が進むにつれて、サイバー攻撃の対象領域は拡大しています。こうした環境で先行するためには、利用者やシステムの行動に基づいて異常を検知・学習する仕組みに加え、APIやクラウド環境の構成状況を継続的に把握・管理することが不可欠です。重要なのは、防御と統制の双方にAIを活用し、端末、クラウド環境、認証・アクセス管理、データ保護を一体として管理するセキュリティ基盤を構築することです。AIが攻撃手段として悪用される一方で、規制当局からも高度な管理が求められる現在、サイバーセキュリティと認証・アクセス管理はもはやIT部門だけの課題ではありません。企業の成長、信頼の確保、市場参入を支える戦略的な基盤となっています。

 

サマリー

2026年は、スピードとスケール、そして責任を持って実行に移す年です。ここで示した10のオポチュニティは、実験段階から運用の成熟とレジリエンス強化への移行を示しています。エネルギー消費の増大や法的課題、依然として残るAIハルシネーションなど、課題は多いものの、オポチュニティのスピードと規模は拡大し続けています。ここで示したAIネイティブな戦略を採用し、ガバナンスを変革し、商用モデルを再構築する企業が、次の時代をリードする存在になるでしょう。


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