2025年12月4日開催セミナーレポート  2025年の崖を乗り越える鍵:ERP×ServiceNow AI Platformで実現するトランスフォーメーション

2025年12月4日開催セミナーレポート

2025年の崖を乗り越える鍵:ERP×ServiceNow AI Platformで実現するトランスフォーメーション


老朽化した基幹システムが企業の成長における課題となる中、ERP刷新とモダンアーキテクチャへの転換が急務となっています。ServiceNowとAIを活用し、システム負債を解消しながら変化対応力を高める戦略を解説します。


要点

  • ERP刷新は「疎結合型」アーキテクチャでシステム負債を解消し、変化対応力を強化
  • 「2025年の崖」回避には、ServiceNowとAIを活用した自動化と可視化が不可欠
  • App Engine for ERPでゼロコピー連携とクリーンコア戦略を実現しDXを加速


第1部 ERPアドオンは“システム負債”か?

~レジリエントな業務システムを実現するためのアーキテクチャ戦略~

近年、多くの企業がERP(基幹業務システム)の導入や刷新に取り組んでいますが、プロジェクトの失敗や期待した効果が得られないケースも少なくありません。その背景には、従来型のシステム開発とERP導入のアプローチの違いへの理解不足や、プロセスオーナー不在によるend-to-end視点の欠如が挙げられます。特に、現場の業務要件に合わせてアドオン開発を重ねた結果、システムが複雑化し、“システム負債”が蓄積されることが大きな課題となっています。

 

現在、デジタルアーキテクチャはモノリシック型から、個別サービスを組み合わせた水平型へと進化しています。ERPを中心としつつも、CRMやBPMS、ETL、MDMなどの専門ツールやプラットフォームを連携させることで、柔軟性と拡張性を両立させる設計が主流です。しかし、こうしたアーキテクチャへの理解が不十分なまま導入を進めると、個別サービスのガバナンス不全や、属人化・所在不明な機能の乱立といった新たな問題が発生します。

 

このような状況を打破するためには、「疎結合型」の基幹システムへの転換が有効です。プラットフォームを基軸に、ERPや個別サービス、ローコード/ノーコードツール、AI・RPAなどを柔軟に組み合わせ、システム全体の互換性と統制を確保します。これにより、ERPのバージョンアップやクラウド化にもスムーズに対応でき、要件変化に応じてデジタルツールを入れ替えることが可能となります。

 

さらに、ERPリプレースも従来の「Big Bang」型ではなく、段階的な移行が現実的です。費用対効果の高い領域からアドオン機能を個別サービスに置き換え、ユーザーインターフェースをBPMSなどに集約することで、最終的にはクリーンコアなERPへと移行できます。ユーザーは裏側でシステムが刷新されたことに気づかないほど、業務への影響を最小限に抑えたリプレースが実現します。

 

この変革を成功させる鍵は、end-to-endの視点で業務プロセスを設計・維持できる「プロセスオーナー」の存在です。プロセスオーナーは、部門横断で最適な業務プロセスを構築し、KPIやサービスレベルを設定・合意しながら、変化に応じてプロセスを継続的に改善していきます。

 


第2部 「2025年の崖」を乗り越える

ServiceNowを活用したモダンアーキテクチャへのアプローチ

2018年、経済産業省が発表した「DXレポート」は、日本企業のITシステムが老朽化し、ブラックボックス化することで、2025年以降に年間12兆円もの経済損失が発生するリスクを警告しました。これが「2025年の崖」と呼ばれる問題です。DXレポートを契機に多くの企業が基幹システム刷新やDXプロジェクトに着手しましたが、現実には「現行踏襲」でレガシーな技術や手作業・紙ベースのプロセスを温存したまま新システムへ移行するケースも多く、ユーザー主導の運用やシステムの可視化が進んでいない現状があります。

今後の経済損失を回避するためには、システムのブラックボックス化を解消し、自動化を推進することが不可欠です。ERPは本来、ベストプラクティスに沿ったオペレーションに特化したSoR(System of Record)であり、業務効率化や事務作業の自動化は個別システムやプラットフォームと連携して実現するべきです。ベンダーに開発を委託する場合でも、ユーザーが主導権を持ち、プロセスやシステムの可視化に取り組むことが求められます。また、セキュリティや商習慣で変更できない独自プロセスはカスタマイズを許容しつつ、AIによるデータ活用や自動化を積極的に取り入れることが重要です。

ERPの特性を生かした疎結合アーキテクチャ――ERPの特性を生かしたモダナイズには、固有システムとレガシーなデータを組み合わせて活用するデジタルワークフローが必要、SoRであるERPの本来の機能を活用するクリーンコアを推進する

ERPの特性を生かした疎結合アーキテクチャ

この文脈で注目されるのが、ServiceNowを活用したモダンアーキテクチャです。ServiceNowは、ERPとネイティブに連携できるプラットフォームとして、APIやRPA連携、ゼロコピーによるデータ活用、アドオンのマイニングなど、柔軟かつ高可用性なアーキテクチャを実現します。標準機能を活用した「セミオーダー型」開発や共通部品化・モジュール化によって開発コストを抑え、変化対応に強い基盤を構築できます。さらに、Workspace UIやApp Engine Studioなどの市民開発ツールを活用することで、ユーザーとベンダーが単一のビューで開発物を議論し、外注・委託でもユーザー主導の開発が可能となります。組み込まれたAI Agent機能は、ERPの企画・アドオン分析から新規開発・業務運用まで幅広く活用できます。 

ServiceNowの特性と基幹モダナイズへの貢献ポイント――テクノロジーの近代化に向けて、デジタル技術を活用したプラットフォームとAIの活用が 鍵になる。ServiceNowはプラットフォームとして基幹システムの近代化に貢献可能である

ERPの特性を生かしたモダナイズには、固有システムとレガシーなデータを組み合わせて

「2025年の崖」は、レガシーシステムの老朽化による経済リスクが顕在化する「はじまり」の時期です。ServiceNowを活用したモダンアーキテクチャへの転換は、業務・基幹システムと疎結合でデータドリブンな仕組みを実現し、変化対応力を高めます。標準機能を最大限活用した「セミオーダー型」アプローチと日本式市民開発の推進、AI自動化との共存が、今後の基幹システム刷新において成功の鍵 となるでしょう。


第3部 ERPの未来を切り拓く:ServiceNow App Engine for ERP がもたらす業務革新

企業の成長と変革を支える基幹システムERP(Enterprise Resource Planning)は、今まさに大きな進化の時を迎えています。従来のERPは複雑なデータ構造やカスタマイズ、レガシー運用が障壁となり、迅速な業務改善やイノベーションを阻んできました。こうした課題を根本から解決するのが、ServiceNowの「App Engine for ERP」です。

単一のアクションシステムでインテリジェントなERPワークフローを構築

App Engine for ERPは、「Zero Copy Connector for ERP」と「ERP Semantic Mining」という2つの主要機能を備えています。Zero Copy Connectorは、複雑なERPデータソースをServiceNowのシンプルなデータモデルに変換し、カスタムコードを排除。開発者やビジネスユーザーが直感的なビジネス言語でERPデータを活用でき、アプリケーション開発やモダナイゼーションの時間・コストを大幅に削減します。ERP Semantic Miningは、ERP全体をスキャンし、移行すべき重要なアプリや残すべきカスタマイズを特定。技術的負債を可視化・管理し、移行リスクを低減します。これらにより、ERPデータ層の簡素化とAIによる業務自動化・効率化を同時に実現し、企業のDXを強力に後押しします。

さらに、ServiceNowのノーコード・ローコード開発基盤App EngineとWorkflow Data Fabricを活用することで、ERP専門知識がなくても業務アプリを迅速に開発・運用・分析できます。600以上の事前構築済み連携や生成AI機能により、ERPデータを活用したワークフローの統合・拡張が可能となり、全体最適化と継続的な業務改善を推進します。

「クリーンコア」戦略も大きな特徴です。ERPの複雑さを解消し、シンプルな体験を提供することで生産性を向上。実際にServiceNow社自身が導入した債権管理ソリューションでは、70%の生産性向上や決算サイクルの20%短縮など、具体的な成果が報告されています。これらはSAPなどのERPシステムにおける売掛金管理や決算業務の自動化・最適化によるものです。

ユースケース例として、営業担当者がAIエージェントとのやりとりで割引申請を作成し、マネージャーがワークスペース画面やプレイブックを活用して承認する流れが考えられます。このとき、SAP販売注文の更新や通知もリアルタイムで行われ、業務効率と従業員体験の向上が実現されます。

App Engine for ERPは、「作る・使う・分析する」を一気通貫で支援し、ERPの複雑さを解消。誰もが価値創出までの時間を短縮できる新しい業務体験を提供します。今後も企業の成長に合わせてERPと業務プロセスが進化し続けるための基盤として、ますます注目が高まっています。 


【登壇者】

セッション1:
山岡 正房
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
ビジネスコンサルティング パートナー

セッション2:
立花 俊樹
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
デジタル・エンジニアリング ディレクター

セッション3:
金井 盛隆 氏
ServiceNow Japan合同会社  
スペリャリストSC統括本部 プラットフォームAI&データ部 シニアアドバイザリーソリューションコンサルタント

※所属・役職は記事公開当時のものです。




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サマリー 

ERP刷新とモダンアーキテクチャでシステム負債を解消。ServiceNowとAIを活用し、2025年の崖を回避する戦略と先進性の高いソリューションを紹介します。


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