EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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今日の国境を越えた働き方は、もはやモビリティプログラムの枠組みの中で管理される長期的な海外赴任だけに限られません。短期プロジェクト、変化する出張パターン、さらにはハイブリッドな勤務形態やリモートワークなど、従来の運用プロセスの枠外で行われる働き方が増えています。こうした働き方は、ビジネス上合理的であり、従業員にとっても利便性の高いものです。しかし同時に、後に予期せぬリスクを生じやすいケースでもあります。何らかの事象をきっかけに検証が必要になるまで、モビリティ案件として扱われないことが少なくないためです。
こうした状況が、モビリティ担当部門の負担を増大させている理由の1つです。モビリティ担当部門には、組織全体で発生する幅広いリスクを管理しながら、柔軟性とスピードを実現することが求められています。規制や入国管理は、モビリティプロセスの迅速化を阻む最大の障壁として広く認識されています。これは多くの担当チームにとって実感を伴う課題です。というのも、ボトルネックとなるのは1つの大きな意思決定であることはまれだからです。むしろ、数多くの微妙なケースが積み重なることによって、業務の複雑性と負荷が増しているのです。
2026年度 「EY Mobility Reimagined Survey」 の調査結果も、この傾向を裏付けています。調査対象企業の74%は、入国管理部門が、営業案件への入札やクロスボーダーM&Aといった戦略的な意思決定に対して助言を行っていると回答しています。また、51%の企業が、過去2年間に入国管理制度上の課題を理由として事業機会の追求を断念した経験があると回答しました。さらに、69%の企業は、最近の政策変更を受けて、米国における就労ビザのスポンサーシップを停止または縮小したと回答しています。
複雑性の高まりが、成長、事業遂行、投資に関する意思決定といった中核的な企業活動で顕在化する中、企業には、従業員データや勤務地ごとの税務および入国管理制度上の要件について、より高い可視性と統合的な管理が求められています。また、事業目標の達成を推進しながら潜在的なリスクを管理するためには、信頼性の高いプロセスを整備することも不可欠です。
最初に顕在化するのは、給与計算と社会保障に関するリスク
多くの企業は、入国管理制度上のステータスが明確であれば、税務や給与計算への対応も比較的容易だと考えています。しかし実際には、入国管理制度上の許可が明確であっても、働き方の変化によって新たな税務/給与計算上の義務が生じることがあります。ある地域での滞在や就労が認められていたとしても、その結果として給与計算や税務上の影響が発生し、後の対応や修正が難しくなる場合があります。
多くの場合、最初に問題となるのは、国内での実務運用に関する領域です。短・中期のリモートワークにおいて、給与からの源泉徴収はいつ開始するのでしょうか。現地で給与計算の仕組みが整備されていない場合、どのように対応すべきでしょうか。断続的な滞在であっても、それが繰り返される場合、社会保障上の義務はどのように適用されるのでしょうか。また、出張が常態化し、通常の勤務形態に近いものとなった場合、どのような報告義務が生じるのでしょうか。こうした問題に四半期末になって初めて気付くのでは、すでに手遅れです。
PEは依然として重要な問題ですが、それだけが企業にとってのリスクではありません。多くの企業においては、給与税、社会保障、運用面のコンプライアンスこそが、最も差し迫った課題であり、またその影響が最も速く拡大しやすい領域です。これらの課題は、給与の支払いや各種控除、福利厚生、さらには従業員にとって実際どのような業務ができるかに影響を及ぼすため、従業員体験にも直接関わります。不確実性が高まる環境においては、こうした領域への備えが不十分であることで、小さな問題が大きな混乱へと発展する可能性があります。
入国管理制度のルールは比較的明確であっても、税務上の影響は多くの場合、それほど単純ではありません。それぞれのビザ制度には固有の要件があり、リモートワークが認められる場合であっても、居住性の判定基準、滞在日数、租税条約上の取扱い、給与計算上の義務が発生するタイミングなどについては、個別に検討する必要があります。