グローバルITガバナンス最適化サービス

グローバル展開を加速する企業にとって、本社・海外拠点・グループ会社を横断したITガバナンスの整備は、事業成長を支える経営インフラです。既存の仕組みを前提に、形骸化を防ぎつつ、経営戦略と整合したグローバルITガバナンスの最適化を支援します。

なぜ“グローバルITガバナンス”が不可欠なのか?

成長戦略の前提として、グローバルでの事業拡大を位置付ける国内企業は増加しています。M&Aによる海外企業の取得、新興国への生産・販売拠点の展開、デジタルを活用したグローバルサービスの拡大など、こうした戦略を確実に実行するためには、グループ全体のITが一貫した方針のもとで機能していることが不可欠です。

一方で、拠点・子会社ごとにITの整備水準や管理体制が異なるままでは、経営判断に必要な情報がグループ横断でそろわず、事業統合や業務標準化のスピードは上がりません。グローバルITガバナンスが最適化されていない状態は、成長戦略の実行そのものを制約します。 

さらに近年では、国・地域ごとに異なるデータ保護・サイバーセキュリティ規制への対応、サプライチェーンを起点としたサイバーリスクの拡大、クラウドや生成AIの急速な普及など、外部環境の変化が加速しています。 こうした環境下では、グループ横断でITを統制・可視化し、継続的に見直していく「最適化」の視点が不可欠となっています。 
 

グローバル企業で顕在化する主な課題例 

主な課題

概要

1

事業価値・競争力の分断
  • 拠点ごとに事業の生産性・収益性・コスト構造が異なり、グループとして一貫した競争力を発揮できない状態
  • 成功している事業モデルやオペレーションを横展開できず、グローバル展開による規模の優位性が生かせない構造

2

経営判断を誤らせるリスク把握の不全   

  • 各拠点に内在するリスクや事業上の問題を経営として十分に把握できず、判断の前提となる情報が不完全な状態
  • 結果として、投資・優先順位・是正判断を誤り、経営判断の質そのものが低下するリスク

3

治責任・説明責任の脆弱(ぜいじゃく)化
  • 規制対応や管理の実態が拠点ごとに分断され、本社として一貫した統治・監督のストーリーを持てない状態
  • 法規制や重大インシデント発生時に、経営として管理・監督の妥当性を対外的に説明できないリスク

4

統制と成長スピードの不整合  
  • 経営リスクを意識した統制強化が、現場の意思決定や事業推進のスピードを低下させる状態
  • 統制の在り方が事業実態と乖離(かいり)、結果として統制そのものが形骸化するリスク

5

投資成果・資本効率の不透明化
  • IT・デジタル関連投資は拡大する一方で、経営として投資効果や成果を明確に説明できない状態
  • 拠点単位での最適化が優先され、グループ全体としての資本配分や戦略的優先順位と乖離した投資が累積

 


グローバルITガバナンス構築のポイント 

ポイント1:ガバナンス方針の選択――自社に合った統制方針の設計 

グローバルITガバナンスの設計において最初に問われるのは、「どこまでを本社が統制し、どこを現地に委ねるか」という方針の選択です。

中央集権志向が高くなればなるほど、本社による統制の一貫性が確保できる一方で、各拠点・子会社での対応の俊敏性を損ないます。 

また、ローカル志向が高くなればなるほど、国や地域の特性に応じたシステムやサービスが展開しやすい一方で、コスト抑制が難しくなります。 

自社にとって最適な方針は企業の持つ特性によって異なります。グループの規模、事業の多様性、自社の経営戦略、リスクプロファイル、本社・各拠点・子会社のITケイパビリティ――これらの特性を踏まえ、どこまでを本社が統制しどこを現地に委ねるか方針が導かれます。
重要なことは「自社の実態に即した方針を、意図を持って選択し、明確化すること」です。 



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グローバルITガバナンス構築のポイント(図)
図表: EY作成 - グローバルITガバナンス構築のポイント

分類

各戦略の説明

グローバル戦略

  • 世界市場を単一であるとみなし、経営資源と権限を本社に集中
  • 全ての国で標準化されたシステムやサービスを展開
トランスナショナル戦略
  • ローカル対応の必要性を認識し、グローバル統合の有効性を踏まえ経営資源、権限を配分
  • システム、サービス特性を踏まえ規模化のコスト抑制とローカライズの両方を追求
インターナショナル戦略
  • 国や地域による差異は許容し権限委譲するが、重要な経営資源と権限は本社に集中
  • 本社が企画や開発を担当してシステムやサービスを展開

マルチナショナル戦略

  • 国や地域により市場は異なるとみなし、各拠点・子会社に経営資源と権限を委譲
  • システムやサービスを国別に個別に作り対応


図表:EY作成


ポイント2:ポリシー/組織・人材/モニタリングの構築――モデルを実行に移すための土台づくり 

実効性あるITガバナンスが「ポリシー」「組織・人材」「モニタリング」の3要素で構成されること自体は、国内でも変わりません。グローバルで問われるのは、この3要素をグループ全体で機能させることです。 

ポリシーは、本社が「原則」を持ち、現地が「実装」する――中央統制と現地適応の役割を明確に分けることが起点となります。
解釈がぶれない原則レベルと、現地でローカライズする適用レベルを階層化することで、統一性と実効性を両立します。
組織・人材は、本社と現地の「パイプ役」となるガバナンス責任者を各拠点に配置し、権限・責任・評価を現地にひもづけることで、現地担当者が自分ごととして動ける体制をつくります。モニタリングのポイントは、現地からの自己申告に依存しない設計が不可欠です。
客観的な指標と自動収集の仕組みを確立し、何が起きているかを本社が迅速に把握できる可視化の基盤を整備することが重要です。 

グローバルITガバナンスの実効性の確保(図)
図表: EY作成 - グローバルITガバナンスの実行性の確保

ポイント3:確実な定着――グローバルITガバナンス構築における段階的な取り組み 

国内の組織変革と異なり、グローバルITガバナンスの整備では「構築」と「定着」の間に大きな断絶が生まれやすいという特性があります。
本社から数千キロ離れた拠点に対して直接フォローができない、言語の壁で意図が伝わりにくい、現地へのリソースの割当が十分に確保できない――このような実情を踏まえると、グローバルITガバナンスの構築、定着に向けては段階的な対応が求められます。 

具体的には、グループ全体での対応優先度の決定、全社基準の明確化、現地担当者の自立自転を促す仕組みづくりを、スモールスタートで着実に実施していくことが、グローバルITガバナンスの定着の成否を分けるポイントとなります。 

グローバルITガバナンスの段階的な取り組み(図)
図表: EY作成 - グローバルITガバナンスの段階的な取り組み

EYのアプローチ 

現状評価から設計・整備・構築・定着化まで一貫して支援し、グループ各社がグローバルITガバナンスを自律的に運用・改善を回し続けられる体制の実現を目指します。 

Step1:現状評価・リスク可視化 

ヒアリング、ドキュメントレビュー、ITリスクサーベイを通じて、グループ全体のITガバナンス成熟度を把握し、優先的に対応すべき領域を特定します。 

Step2:ガバナンスモデル・組織設計 

事業戦略およびリスクプロファイルを踏まえ、CIO機能の役割を明確化するとともに、本社・地域統括拠点間のRACI1および意思決定フローを設計します。

Step3:グループITポリシー整備・拠点

グループ共通のITポリシーや基準類、関連する手続き文書を整理・整備した上で展開し、現地法規制への適合性確認と現地担当者のキャパシティビルディングを一体的に実施します。

Step4:定着化支援・継続的改善 

モニタリングやレポーティングの仕組みを前提に、グローバルITガバナンス会議体の運営支援や経営層向け報告の高度化を通じて、ガバナンス運営の定着と継続的な改善を支援します。 

EYは、グローバルITガバナンス領域における豊富な支援実績を背景に、グローバルで展開するリソースを生かし、コスト効率とスピードを両立した支援が可能です。
事業構造や運営形態の異なる企業・グループを支援してきた知見を踏まえ、ガバナンスを構想にとどめず、実行段階まで一貫して進められる点に強みがあります。
さらに、ITガバナンスを起点とする関連領域についても、領域ごとに分断することなく、ワンチームでの支援を提供します。 



1. RACI(レイシー):Responsible(実行責任者)、Accountable(説明責任者)、Consulted(相談先)、Informed(報告先)、の4つの役割の頭文字を取って作られた言葉で、プロジェクトや業務の責任や役割を明確化するフレームワーク




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