サステナビリティ情報開示のグローバル動向 2025年2月号

EYではサステナビリティ開示・保証等に関連したグローバル動向の最新情報を毎月お届けしています。

 

サステナビリティ開示・保証

【Global】

国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)

1月30日、IFRS財団は、IFRS S2号(気候関連開示)に従って気候関連情報のみを企業が開示する場合に、IFRS S1号(サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項)のどの要求事項が適用されるかを作成者が理解するための手助けとなる新しい教育的資料(*1)を公表しました。このガイドは、他のサステナビリティ関連リスクの開示準備が整っていない企業に関して、気候関連情報の開示を求める投資家の要求に応えるものです。さらに、利害関係者のフィードバックに応える形で、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は1月29日、IFRS S2号に対する狭い範囲での修正を提案(*2)することで合意しました。提案された修正案では、スコープ3のカテゴリー15(投資)の温室効果ガス排出の開示をIFRS S2号で定義されたファイナンスド・エミッションによる排出に限定することが含まれており、特にデリバティブ等が除外されています。ISSBは今後数週間のうちに公開草案を公表し、60日間のコメント募集期間を設ける予定です。
 

国際会計士倫理基準審議会(IESBA)

1月17日、国際会計士倫理基準審議会(IESBA)は、サステナビリティ保証業務に関する国際倫理基準(IESSA)(*3)を最終化しました。IESSAは、公表当日に公益監視委員会(PIOB)により承認(*4)され、証券監督者国際機構(IOSCO)により支持(*5)されました。IESSAは、サステナビリティ保証業務における一貫した倫理および独立性の基準に対する公益上のニーズに対応することで、サステナビリティ関連情報の品質と信頼性を向上させることを目的としています。さらに、1月27日には、国際監査・保証基準審議会(IAASB)と国際倫理基準審議会(IESBA)がそれぞれ定めるサステナビリティ関連基準(IESSA)およびサステナビリティ保証基準(ISSA 5000)の効果的な適用を支援するための統合的な取り組み(*6)を開始しました。両基準は、2026年12月15日より、基準を導入する法域で適用されます。
 

国際会計士連盟(IFAC)

2024年12月19日、国際会計士連盟(IFAC)およびWe Mean Business Coalition(企業や投資家等が参加する気候変動対策を推進する国際的なプラットフォーム)は、サステナビリティ情報の信頼性を構築するための効果的なガバナンスおよび内部統制システムの確立方法に関する財務報告の専門家のためのガイダンス(*7)を発表しました。このガイダンスでは、統合された内部統制環境がサステナビリティ情報の質を高め、サステナビリティ情報と財務情報の統合とつながりを実現して、サステナビリティリスクと機会の財務的影響の理解を深めるために不可欠である理由を強調しています。
 

証券監督者国際機構(IOSCO)

2024年12月18日、IOSCOは、成長・新興市場委員会(GEMC)内に、31の新興市場におけるISSB基準の導入を促進するための専門ネットワーク(*8)を立ち上げることを発表しました。このイニシアティブは、基準導入のための現地の対応能力を強化し、情報共有と能力開発のためのプラットフォームを提供することで、法域における基準導入の取り組みを支援することを目的としています。
 

【Americas】

米国カリフォルニア州

2月3日、米国カリフォルニア州中部地区(CA)は、同州の気候関連情報開示法(SB 253およびSB 261)に対する3件の訴訟のうち2件を棄却(*9)し、同法が合衆国憲法修正第1条で保障された企業やその他の団体の言論の自由を侵害しているかどうかという点に絞って訴訟を継続することになりました。この訴訟は、裁判所の判断により狭められた範囲で進められることになりました。

2024年12月5日、カリフォルニア州大気資源局(CARB)(*10)は、気候企業データ説明責任法(SB 253)に基づく新たな気候報告規則の施行について、1年間の猶予期間を設けることを発表しました。2023年10月に法制化されたSB 253は、大企業に対して、すべてのスコープにわたる排出量の開示を義務付けており、スコープ1および2の排出量については2026年、スコープ3の排出量については2027年から報告が開始される予定です。CARBが施行を延期した決定は、企業がデータ収集プロセスを確立するために必要な時間を確保することを目的としています。
 

カナダ

2024年12月18日、カナダサステナビリティ基準審議会(CSSB)は、初版のカナダサステナビリティ開示基準(CSDS 1号およびCSDS 2号)(*11)を公表しました。これらのISSBに整合する基準は、カナダ証券管理局などの規制当局やカナダの地方政府によって義務付けられない限り、任意の基準となります。CSDS 1号および2号には、ISSB基準と比較して拡張された救済措置が含まれています。これらの拡張には、気候関連以外のサステナビリティのリスク及び機会の開示に関する救済措置を1年延長、整合した報告(サステナビリティ報告と財務報告の同時公表)の開始およびスコープ3排出量報告の両方に関する救済措置を2年延長、シナリオ分析データ報告の定量的側面に関する3年間の救済措置が含まれます。CSSBがこれらの追加の経過的な救済措置を盛り込むことを決定したのは、公開草案に対する利害関係者の意見に応えるためです。
 

【EMEIA(欧州・中東・インド・アフリカ)】

EU

1月29日、欧州委員会(EC)は、2024年から2029年の戦略的アジェンダ(*12)の要となる「競争力コンパス」(*13)を発表しました。競争力コンパスは、主にドラギ・レポート(*14)およびレッタ・レポート(*15)に基づいており、今後2年間にわたって実施される38の施策からなるロードマップです。中核となるのは、欧州連合(EU)の企業向け規則を簡素化する取り組みです。これは、2月26日に発表予定のオムニバス簡素化パッケージの第一弾から始まり、企業への情報開示義務を含む3つの法律の簡素化を目指します。対象となるのは、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)、企業サステナビリティ・デューディリジェンス指令(CS3D)、EUタクソノミー規則です。ECは、企業に対する報告義務を少なくとも25%、中小企業(SME)に対する報告義務を少なくとも35%削減することを約束しており、これには新たなスモール・ミッド・キャップ(small mid-caps, SMC)企業の定義も含まれます。

1月16日、欧州財務相らは、オムニバス簡素化パッケージの提案に強い支持を表明しました。この支持表明を受け、ドイツのオラフ・ショルツ首相はECに書簡を送り、CSRDの2年間の延期を正式に要請しました。ショルツ氏は書簡において、企業への補助金増額、新しい排出目標を達成できない自動車メーカーに対する罰金の免除、エネルギー集約型産業を保護するためのEUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)の再検討などを要求しています。また、フランス政府もECに書簡を送り、CSRDやCS3Dを含む新規および既存の法律を再検討し、改正するための「大幅な規制の一時停止」を正式に要請しました。
 

欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)

2024年12月17日、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)は、非上場の中小企業(SME)向けの任意のサステナビリティ報告基準(VSME基準)(*16)を発表しました。この基準は、環境、社会、ガバナンス(ESG)報告を簡素化することで、CSRDの適用対象外であるSMEの報告を支援することを目的としています。
 

カタール

2024年12月20日、カタール金融センター規制当局は、ISSBに整合したサステナビリティ報告要件を導入する提案に関する意見募集(*17)を開始しました。2026年1月1日からの報告開始が提案されています。
 

アイルランド

1月9日、アイルランド企業・貿易・雇用省は、2024年企業サステナビリティ報告規則によりアイルランド法に統合されたEUのCSRDに関する包括的な概要のガイド(*18)を公表しました。このガイドでは、CSRDの適用範囲について、影響を受ける企業の範囲、法令順守のスケジュール、作成者が利用できるリソースなどを含めて概説しています。
 

パキスタン

1月1日、パキスタンの証券取引委員会は、ISSB基準の導入(*19)を発表しました。基準は上場企業を対象に2025年から2027年まで段階的に適用開始となり、報告の2年目から保証が義務付けられます。
 

英国

2024年12月18日、英国サステナビリティ開示技術諮問委員会(TAC)は、英国での使用を目的としたISSB基準(IFRS S1号およびS2号)を承認するよう英国ビジネス・貿易大臣に最終提言(*20)を提出しました。この提言には、IFRS S1号およびS2号に対する軽微な修正が含まれており、その中には「気候ファースト」の救済措置を2年間に延長することが含まれています。今後の協議を踏まえて、英国政府は、英国上場企業による任意適用を目的とした英国サステナビリティ報告基準(UK SRS)を策定するために、ISSB基準を承認するかどうかを決定する見通しです。承認が得られた場合、英国金融行為規制機構(FCA)は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)からUK SRSへの移行と、上場企業の移行計画開示に対する期待の明確化を目的とした、英国上場規則の改正に関する協議を行う予定です。
 

インド

2024年12月6日、インド証券取引委員会(*21)は、バリューチェーンに関するESG開示について上場企業が報告を行う期限を1年間延長し、バリューチェーン報告の初年度は任意とすることを発表しました。この企業責任とサステナビリティ報告(BRSR)制度の改正により、「保証」という用語の使用が「評価」という用語に置き換えられ、業界の利害関係者から提起された懸念に対処し、この用語が監査業務のみに関連付けられることがないようにしています。BRSR core制度は現在、上場企業上位150社のみに適用されていますが、2026-2027年度までに上位1,000社に拡大される予定です。
 

スイス

2024年12月6日、スイス政府は、最新の国際的な規制動向(ESRSやIFRS S2号など)を反映し、企業に義務付けられる移行計画の最低要件を定めることを目的として、気候関連開示条例の改正に向けた協議(*22)を開始しました。協議は2025年3月21日まで行われ、2026年の施行が予定されています。
 

【Asia-Pacific】

オーストラリア

1月28日、オーストラリア監査・保証基準審議会は国際監査・保証基準審議会(IAASB)のISSA 5000の導入を承認(*23)し、サステナビリティ保証業務の一般的要求事項を導入した世界初の国となりました。
 

中国

2024年12月17日、中国財政部(MoF)は、他の9つの政府機関と共同で、ISSB基準と整合する企業サステナビリティ開示基準(基本基準)の最終版を発行しました。2024年5月にMoFが協議のために公表した草案と比較すると、基本基準は柔軟性を重視し、投資家にとって財務的マテリアリティがある情報により重点を置いています。財務省が最終的な強制適用の要件と適用スケジュールを策定し、公表するまで、企業は任意で基本基準を適用することができます。
 

インドネシア

2024年12月17日、インドネシア勅許会計士協会は、2027年の適用開始を想定し、ISSBガイドラインに整合したサステナビリティ報告基準の草案に関する意見募集を開始しました。提案された基準草案では、企業が開示を気候関連リスクの開示に限定できる3年間の移行期間が認められています。意見募集は2025年3月31日まで実施されます。
 

香港

2024年12月12日、香港公認会計士協会は、ISSB基準に完全に整合する香港サステナビリティ開示基準(HKFRS SDS)(*24)を公表しました。 HKFRS SDSは、同基準の使用を義務付ける法規制が制定されるまでの間、2025年8月1日より任意で使用可能となります。2024年12月10日、香港特別行政区(SAR)政府(*25)は、大規模な上場企業にHKFRS SDSの完全採用を遅くとも2028年までに段階的に義務付けるというアプローチを概説した包括的なロードマップ(*26)を発表しました。



カーボンプライシング・炭素市場

【Global】

2024年12月12日、国連組織である国際民間航空機関(ICAO)は、国際民間航空向けのカーボン・オフセットおよび削減スキーム(CORSIA)の第1段階(2024年~2026年)で使用するプログラムとして、Verra(民間カーボンクレジット認証の大手プロバイダー)が運営する検証済み炭素基準プログラム(*27)を承認しました。この決定により、パイロットフェーズ(2021年~2023年)からプログラムの適格性が拡大され、航空業界におけるコンプライアンスのための検証済み炭素単位(Verified Carbon Unit)の利用可能性が大幅に高まることになります。
 

【EMEIA(欧州・中東・インド・アフリカ)】

ガボン

1月6日、ガボン閣僚評議会は、より広範な環境戦略の一環として、航空および海運業界を対象に、2025年2月15日より新たな炭素税を実施することを発表しました。CO2換算トン(tCO2e)あたり17ドルの課税額で、この課税は年間300万~500万tCO2eの排出量をカバーすることが期待されており、企業は2026年までに現地で開発された炭素プロジェクトを通じて、排出量の30%をオフセットできるようになります。このプログラムは、アフリカ・ソブリン・カーボン・レジストリの下で運営されます。
 

アラブ首長国連邦(UAE)

2024年12月30日、アラブ首長国連邦民間航空総局(UAE GCAA)は、CORSIAの実施に特化した同国初のデジタルプラットフォームの立ち上げを発表しました。このプラットフォームは、国営航空会社の炭素オフセットの計算を合理化し、国際基準への準拠を強化するものです。

2024年12月28日、UAEは、カーボンクレジットの国家登録簿(NRCC)(*28)を設立する閣議決定を発表しました。この登録簿は、パリ協定およびUAEグリーンアジェンダ2030に沿って、2050年までに温室効果ガス排出量を削減し、気候中立を達成するというUAEの取り組みの一環です。NRCCは、UAEにおける炭素クレジットの測定、報告、検証、取引を規制し、専用のプラットフォームを通じてコンプライアンスと取引の促進を支援します。

2024年12月26日、アブダビ環境庁は、GHG排出量を正確に追跡し、カーボンプライシングの仕組みの基盤を築くことを目的とした国際基準の炭素測定、報告、検証プログラム(*29)を開始しました。このプログラムでは、大規模な炭素排出施設に対して、排出量を毎年監視、報告、検証することが義務付けられ、最初の報告は2026年に行われる予定です。
 

【Asia-Pacific】

インドネシア

1月20日、2024年11月のCOP29で最終決定されたパリ協定6条4項の完全運用化の合意を受け、インドネシア政府とインドネシア証券取引所は国際的な炭素取引を正式に開始(*30)しました。



その他の主なサステナビリティ政策の動向

【Global】

自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)

1月23日、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、企業が主要産業において自然への影響を評価するのを支援する、新たなセクター別のガイダンス(*31)を発表しました。TNFDの最新のガイダンスは、繊維、飲料、建設資材およびエンジニアリング、建設および不動産を対象としており、TNFDがガイダンスを提供しているセクターの総数(*32)は13となりました。
 

金融安定理事会(FSB)

1月16日、金融安定理事会(FSB)は、世界の金融システムにおける気候関連の脆弱性を評価・分析する枠組みとツールを概説した報告書(*33)を発表しました。この報告書では、金融システムをグローバルでモニタリングすることを支援する可能性があるとして、ISSB基準を強調しています。このイニシアティブは、2021年7月にG20首脳が承認したFSBのより広範な「気候変動に伴う金融リスクに対処するためのFSBロードマップ」の一部です。1月14日には、FSBは金融安定性評価の向上における気候移行計画の重要性を強調する報告書(*34)も発表しました。
 

【Americas】

米国

米国の動向については、下記「EYによるフォーカス」をご覧ください。

【Asia-Pacific】

ニュージーランド

2024年12月18日、ニュージーランド外部報告審議会とサステナブル・ビジネス協議会は、企業と経営者向けの気候移行計画に焦点を当てた2つのガイダンス文書(*35)を発表しました。



EYによるフォーカス:サステナビリティに関するトランプによる大統領令

ドナルド・トランプ大統領は、1月20日に就任して以来、バイデン政権時代の気候変動政策と「Diversity(多様性)」、「Equity(公平性)」、「Inclusion(包括性)」(DEI)政策を覆すことを目的とした一連の大統領令に署名しました。これらの措置は総合的に、化石燃料の増産を容認し、国際的な気候変動協定と再生可能エネルギーのイニシアティブを優先順位の低いものにしています。

主な進展

  • 「国際環境協定において米国第一主義に」(*36):米国のパリ協定からの離脱を義務付け(トランプ大統領は第1次政権でもこれを行いました)、国際的な気候変動イニシアティブに関連する財政コミットメントを撤回します。正式な脱退プロセスは12ヶ月間で、2026年1月20日が米国の正式な脱退日となります。

  • 「国家エネルギー緊急事態の宣言」(*37):連邦政府機関に対して国内のエネルギー資源の特定、開発、輸送の迅速化し、(許認可を含む)規制プロセスの合理化、緊急時の権限行使を含むインフラを強化するよう指示します。この緊急事態の指定により、大統領と政権は、政策変更のために必要な多くの規制上の手続を回避することができます。

  • 「米国のエネルギーを解き放つ」(*38):エネルギー生産者に対する特定の規制上の制約を撤廃し、エネルギーおよび鉱物資源(特に重要鉱物)開発に対する障壁を軽減するための見直しを義務付けるとともに、エネルギーに関する「規制の効率性」と消費者の選択肢を確保します。また、インフレ抑制法(IRA)およびインフラ投資・雇用法(IIJA)の気候関連条項に充てられた融資および助成金の支出を一時停止します。

  • 「過激で無駄の多い政府のDEIプログラムと優遇措置の廃止」(*39):一連の大統領令は、連邦政府におけるDEIを促進するすべてのプログラム(連邦政府の公平性行動計画、連邦政府の雇用慣行、労働組合契約、研修ポリシー/プログラムなど)の終了を指示しています。大統領令の一つでは、民間部門に対し「違法なDEI差別や優遇措置を廃止」するよう奨励(*40)しています。

最近、連邦調達規則(FAR)草案「温室効果ガス排出と気候関連財務リスクの開示に関する規則」の草案が撤回(*41)されるなど、米国政府自身の温室効果ガス排出に取り組む際のアプローチも変化しています。新しいアプローチは、他の国際協定における米国の役割にも影響を与えることになります。例えば、米財務省の連邦保険局(*42)は、トランプ政権の優先事項との矛盾を理由に、金融システムのグリーン化のための中央銀行・監督当局ネットワーク(NGFS)から脱退しました。米連邦準備制度理事会(FRB)(*43)連邦預金保険公社(*44)も最近、NGFSからの脱退を発表し、NGFSの活動範囲が法定任務を超えていると指摘しました。



その他の重要トピック

【Global】

Integrity Council for the Voluntary Carbon Market’s 2024 in Review: Ensuring Integrity in Voluntary Carbon Markets.
2024年度 自主的炭素市場のための十全性協議会(ICVCM)の振り返り:自主的炭素市場における十全性の確保(*45)

GHG Protocol Announces Timeline for Revising Standards.
温室効果ガス(GHG) プロトコルが、基準改訂タイムラインを発表(*46)
 

Taskforce on Inequality and Social-Related Financial Disclosures (TISFD) Forms New Committee.
不平等・社会関連財務開示タスクフォース(TISFD)が新委員会を結成(*47)
 

The United Nations’ “Due Diligence Initiatives, Voluntary Sustainability Standards and Developing Countries” Report.
国連の「デューデリジェンス・イニシアティブ、自主的なサステナビリティ基準および開発途上国」の報告書(*48)
 

Insurance Innovation Could Unlock Billions for Nature-Based Solutions.
保険イノベーションにより、自然に基づく解決策(NbS)に数十億ドルを資金投入の可能性(*49)
 

【EMEIA(欧州・中東・インド・アフリカ)】

The EU and the UK are in the process of agreeing to link their respective Emission Trading Schemes ETS.
EUと英国はそれぞれの排出量取引制度(ETS)を連携させるための合意の過程にある
 

European Commission and the European Financial Reporting Advisory Group’s Co-published Paper: "Understanding the Synergies between ESRS and EMAS”.
欧州委員会(EC)と欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)の共同発表論文:「欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)と環境管理監査制度(EMAS)の相乗効果の理解」(*50)
 

European Securities and Markets Authority (ESMA) Proposes Phase-In for ESRS Digital Tagging.
欧州証券市場監督機構(ESMA)、ESRSデジタル・タグ付けの段階的導入を提案(*51)
 

European Investment Bank (EIB) Warns of Risks in EU Green Reporting Updates.
欧州投資銀行(EIB)、EUグリーン報告書の更新に伴うリスクに警告



今後の日程

現在予定されている、注目すべき今後の主な日程は以下です。

  • 2025年第1四半期:2024年から2029年の戦略的アジェンダの一環として、欧州委員会(EC)は欧州圏の国際競争力強化を目指した一連のイニシアティブを発表する予定。この一連のイニシアティブは、1月29日の「競争力コンパス」発表とともに開始され、農業と食糧に関するビジョン(2月19日予定)、クリーン産業ディール(2月26日予定)など、サステナビリティ関連のイニシアティブが続いており、今後数年間のECの計画とロードマップの概説が示される。

  • 2025年第1四半期:英国政府は、自主的炭素および自然市場の十全性に関する原則(2024年11月15日に自主的使用のために公表)の実施案について協議する予定。

  • 2025年3月:日本サステナビリティ基準委員会は、ISSB基準と整合性のあるサステナビリティ開示基準の確定版を公表する予定。

  • 2025年上半期:協議後、英国政府は、英国上場企業が自主的に使用することができるUK SRSを作成するためのISSB基準を承認するかどうかを決定する見込み。承認されれば、英国FCAは、英国上場規則を改正し、TCFDからUK SRSに移行し、上場企業の移行計画開示に対する期待を明確にするための協議を行う予定。

  • 2025年上半期:ECは、EUの第三国企業向けESRSの公開草案に関する意見募集を開始する予定。

  • 2025年上半期:英国政府は、銀行、資産運用会社、年金基金、保険会社、FTSE100企業などを含む金融機関に対し、カーボンフットプリントの公開と信頼性の高い移行計画の策定および実施を求めるというコミットメントをどのように進めるかについて協議予定。

  • 2025年末~2026年初め:EFRAGは、セクター別ESRSおよび第三国企業向けESRSに関して、ECにテクニカルアドバイスをする予定。


その他のリソース

2024年12月、EYの気候変動・サステナビリティサービス(CCaSS)チームは、以下の2つの新しいソートリーダーシップを発表しました:

  • 2024 Institutional Investor Survey(*52)では、ESG報告に対する投資家の感情と理解の現状、およびそれがどのように投資戦略に組み込まれているかに焦点を当てています。

  • ニューエコノミー・ユニットによる「Beyond sustainability as usual」(*53)は、サステナビリティをビジネス変革の中核に据えた企業による実用的な洞察を提供しています。


〈お問い合わせ先〉
EY新日本有限責任監査法人
サステナビリティ開示推進室

牛島 慶一
EY Climate Change and Sustainability Services, Japan Regional Leader, APAC ESG & Sustainability Strategy Solution Leader
馬野 隆一郎
EY新日本有限責任監査法人 サステナビリティ開示推進室 室長 パートナー

※所属・役職は記事公開当時のものです。


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