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EY新日本有限責任監査法人
公認会計士 加藤 裕一
2026年2月27日に、企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という。)より、実務対応報告第48号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」(以下「本実務対応報告」という。)が公表されています。
2025年2月4日に国会に提出された令和7年度税制改正法案では、防衛特別法人税が2026年4月1日以後開始する事業年度から課されることとされていました。これを受け、ASBJは2025年2月に補足文書「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」を公表し、2025年3月期決算における税効果会計の取扱いを整理しましたが、当期税金に関する情報は示さず、法案成立後に会計基準等の改正を予定していました。
しかしながら、現行の税制改正のスケジュールに鑑みると、税制改正から適用までの短期間で会計基準等の改正を行う必要があると考えられたため、ASBJは、企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(以下「法人税等会計基準」という。)について、適用対象となる具体的な税金を挙げて当該税金について規定する税法を参照することにより特定するのではなく、適用対象となる税金に関する原則的な定めを置き、具体的な税金を特定しない方法に見直すことにより、防衛特別法人税のような新たな税金の創設に対応することとしました。
一定の周知期間等を確保する観点から、ASBJが2026年1月9日に公表した企業会計基準公開草案第94号「法人税等に関する会計基準(案)」等(以下、「法人税等会計基準案等」という。)については、公表した日から1年程度経過した年の4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する方向性で検討がなされています。この場合、仮に2026年3月に改正後の法人税等会計基準等を公表しても、防衛特別法人税が課税される初年度の2026年4月1日に開始する連結会計年度及び事業年度において、防衛特別法人税の会計処理及び開示に関して準拠すべき会計基準等が存在しないこととなります。
このため、短期的な対応として、ASBJは防衛特別法人税の会計処理と開示に関する実務対応報告を策定し、2026年2月24日開催の第571回企業会計基準委員会において、本実務対応報告の公表が承認され、2026年2月27日に公表されました。
なお、法人税等会計基準案等が最終化された場合、防衛特別法人税の会計処理及び開示に関しては、当該最終化された会計基準等に準拠することとなります。このため、今後最終化された法人税等会計基準等の適用により、本実務対応報告の適用を終了することが想定されていますが、防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する取扱いが変更となることは想定されていません。
防衛特別法人税は、法人税額から基礎控除額を控除した額を課税標準として課すこととされているため、法人税に対する付加税という点において、地方法人税と共通の性質を有していると考えられるとされています。このような防衛特別法人税の性質を考慮して、防衛特別法人税に関する会計処理及び表示については、地方法人税と同様に行うものとして、法人税等会計基準の定めに従うこととされました(本実務対応報告第7項、第13項、BC7項、BC12項)。
防衛特別法人税は、法人税に対する付加税として課されるものであることから、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金である法人税等(企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(以下「税効果適用指針」という。)第4項(2))に該当すると考えられるため、税効果会計の対象となる税金に含まれると考えられるとされています。また、法定実効税率の定義(税効果適用指針第4項(11))並びに繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率に関する定め(税効果適用指針第46項)については、適用対象となる税金に関して具体的な税金を挙げて定めています。これらを踏まえ、防衛特別法人税の取扱いについて、次のとおり定めることとされました(本実務対応報告BC8項)。
(1) 防衛特別法人税が地方法人税と共通の性質を有していることを考慮し、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率に関する定めにおいて、地方法人税と同様に取り扱うものとして、税効果適用指針第46項の定めに従う(本実務対応報告第8項)。
(2) 防衛特別法人税は法人税に対する付加税であるため、法定実効税率については、地方法人税率と同様に防衛特別法人税率を考慮して算定する(本実務対応報告第9項)。
防衛特別法人税はグループ通算制度の対象となり、地方法人税と共通の性質を有していることを考慮し、グループ通算制度を適用する場合の会計処理については、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」(以下「実務対応報告第42号」という。)の定めに従うこととされました(本実務対応報告第10項、BC9項)。
グループ通算制度における通算税効果額については、法人税に相当する金額であることから益金不算入及び損金不算入とされているため、実務対応報告第42号において、「当事業年度の所得に対する法人税及び地方法人税に準ずるものとして取り扱う」こととされています(実務対応報告第42号第7項)。この考え方と同様に、防衛特別法人税に係る通算税効果額※については、防衛特別法人税の額に相当する金額として、益金の額又は損金の額に算入されない金額であるため(本実務対応報告第6項(2))、個別財務諸表において、防衛特別法人税に係る通算税効果額は、当事業年度の所得に対する防衛特別法人税に準ずるものとして取り扱うこととされました(本実務対応報告第11項、BC10項)。
グループ通算制度を適用する場合において、防衛特別法人税に係る税効果会計に関する会計処理については、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととされました(本実務対応報告第12項、BC11項)。
また、防衛特別法人税は地方法人税と共通の性質を有しており、防衛特別法人税に係る通算税効果額が損益通算や欠損金の通算等により生じるものであることは、通算税効果額のうち地方法人税に係るものと同様であるため、防衛特別法人税に係る通算税効果額の取扱いについては、通算税効果額のうち地方法人税に係るものの取扱いと同様に実務対応報告第42号の定めに従うこととされました(本実務対応報告第12項また書き、BC11項)。
グループ通算制度を適用する場合において、防衛特別法人税に関する表示及び注記については、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととされました(本実務対応報告第14項、BC13項)。
個別財務諸表において、防衛特別法人税に係る通算税効果額に関する表示については、通算税効果額のうち地方法人税に係るものと同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととされました(本実務対応報告第15項、BC14項)。グループ通算制度を適用する場合の連結財務諸表において、防衛特別法人税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債に関する表示については、地方法人税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととされました(本実務対応報告第16項、BC15項)。グループ通算制度を適用する場合において、防衛特別法人税に係る税効果会計に関する注記については、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととされました(本実務対応報告第17項、BC16項)。
防衛特別法人税は2026年4月1日以後に開始する事業年度から課されることから、本実務対応報告についても、2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとされました(本実務対応報告第18項、BC17項)。
※損益通算、欠損金の通算及びその他のグループ通算制度に関する法人税法(昭和40年法律第34号)上の規定を適用することにより減少する防衛特別法人税の額に相当する金額として、通算会社と他の通算会社との間で授受が行われた場合に益金の額又は損金の額に算入されない金額をいう(本実務対応報告第6項(2))。
公開草案からの変更は軽微な文言の修正のみとなっています。
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