米国、2025年8月1日より銅製品に関税を課す

  • 2025年6月30日、ドナルド・トランプ大統領は「米国への銅の輸入調整」に関する宣言に署名し、2025年8月1日から半製品銅製品および銅集約型派生製品の輸入に対して50%の関税を課すことを発表しました。
  • この関税は、製品の銅含有量に特に焦点を当てており、銅パイプ、ワイヤー、電気部品などに影響を与えますが、銅鉱石、濃縮物、スクラップは除外されています。
  • 企業は、これらの関税の増加が自社の輸入および価格構造に与える影響を評価し、サプライチェーンにおける潜在的な影響を検討する必要があります。
  • 影響を受ける企業は、日々変化する複雑な関税の構造を適切に把握し、法令に準拠しつつ効果的なオペレーションを推進すべく、貿易アドバイザーの支援を受けることが推奨されます。


銅輸入の影響に対処

この大統領布告は、1962年通商拡大法第232条に基づく調査を受け、銅輸入が国家安全保障に与える影響に対処することを目的としています(背景については、2025年2月26日付EY Global Tax Alert「US initiates investigation into imports of copper, scrap copper and copper derivatives」および2025年4月1日付 EY Japan税務ニュース「米国、銅・スクラップ銅および銅派生製品の輸入に関する調査を開始」をご覧ください)。

この大統領布告により、銅に係る複数のカテゴリーに属する製品の輸入に対して50%の関税が課されます。具体的には、銅パイプ、ワイヤー、棒、シート、チューブなどの半製品銅製品が対象として含まれており、さらに、パイプ継手、ケーブル、コネクタ、電気部品などの銅集約型派生製品にも関税が適用されます。

一方で、銅鉱石、濃縮物、マット、カソード、アノードなどの銅原料と銅スクラップといった特定の製品は対象から除外されています。大統領布告は、この銅に対する追加関税は製品の銅含有量に対して適用されるとし、非銅成分は既存のこの他の追加関税の対象となると記載しています。

布告の発表から90日以内に、追加の銅派生製品を関税の対象に含めるプロセスは商務長官により策定される見込みです。


英国への特別な配慮

なお、上記に加え大統領布告では、米国が米英経済繁栄協定(EPD)に基づき、銅セクターにおける国家安全保障の脅威に対処するために英国と協調する意向を示しています(背景については、2025年5月9日付EY Global Tax Alert「US and UK unveil trade deal」をご覧ください)。


企業が検討すべきアクション

影響を受ける企業は、以下のアクションを検討する必要があります。

  • 輸入および価格構造に対する関税の増加による影響を評価する
  • 新しい関税率による潜在的な影響を把握するため、既存のサプライチェーンを分析すると共にソーシングにおいて他の選択肢がないかを検討する
  • 大統領布告の要件に準拠し、複雑性を増す新たな関税構造を乗り越えるために貿易アドバイザーに相談する


お問い合わせ先

EY税理士法人

大平 洋一 パートナー
原岡 由美 パートナー
福井 剛次郎 シニアマネージャー

※所属・役職は記事公開当時のものです