EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
| 急速に変化する税務環境へ的確に対応いただけるよう、EY税理士法人では、最新の税務上の課題・論点を解説するコラム「最近の税務トピックス」を新たに開始いたしました。第1回となる今回は、企業再編において重要性が高まっている「スピンオフ税制」を取り上げ、その概要と実務上の留意点について解説します。 |
スピンオフとは、自社の特定事業または子会社を切り出して企業グループから分離することをいいます。自社の特定事業を分離する手法として分割型分割、自社の子会社を切り出す手法として株式分配が用いられます。分割型分割とは、分割承継法人株式を分割法人の株主が受け取る分割のことをいい(法人税法2条十二号の九イ)、株式分配とは、100%子会社株式を対象とした現物分配(現物配当)のことをいいます(法人税法2条十二号の十五の二)。
法人税法上、このようなスピンオフに対して、税制適格要件が設けられており、対象会社および株主において、法人税または所得税の課税を生じさせることなく、特定事業または子会社を切り離すことが認められています。
実務上、対象会社における課税だけでなく、株主における課税を避ける必要があることが多く、スピンオフを行うのであれば、税制適格要件を満たすスピンオフを行う必要があることが多いと思われます。
スピンオフの特徴は、支配株主が存在しないことです(法人税法施行令4条の3第9項1号、16項1号)。そのため、グループ内再編や合弁解消に使用されることは想定されておらず、上場会社がシナジーのない特定事業または子会社を切り離すことが想定されています。
しかし、スピンオフにより子会社を切り離す場合に、その子会社株式の一部を保有し続けたいというニーズも存在しました。そのため、租税特別措置法68条の2では、株式分配後も、発行済株式総数のうち20%未満を保有するパーシャルスピンオフ(認定株式分配)が認められています。なお、この特例の適用を受けるためには、産業競争力強化法の事業再編計画の認定を受ける必要があります。
本稿校了段階では、新事業活動を対象としたパーシャルスピンオフが認められています。これに対し、令和7年12月19日に自由民主党から公表された令和8年度税制改正大綱では、スピンオフを行う親会社とスピンオフの対象となる完全子法人の事業の成長発展が見込まれるものを対象とすることが明らかにされています。具体的には、令和7年8月に経済産業省が公表した「令和8年度税制改正に関する経済産業省要望【概要】」16頁によると、ノンコア事業を切り離し、コア事業に専念するための事業ポートフォリオの見直しをするものを対象にしていると考えられます。上記税制改正大綱でも、スピンオフを行うグループが経営資源を集中させるものとして事業を特定し、それ以外の事業を主要な事業として営む完全子法人を切り離すものを想定していることが分かります。
本稿では、スピンオフおよびパーシャルスピンオフについて解説しました。本稿校了段階では、自民党税制改正大綱しか公表されておりません。そのため、実務で使用される際には、今後公表される法令、通達、告示を確認した上で、慎重に対応されることをお勧めします。
※本稿の記述は、令和7年12月20日現在の法令等に依ります。
EY税理士法人
佐藤 信祐 アソシエートパートナー
※所属・役職は記事公開当時のものです
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