EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYではサステナビリティ開示・保証等に関連したグローバル動向の最新情報を公表しています。
今月号では、オーストラリアにおけるAASB S2「気候関連開示」に関連する任意の気候移行計画策定ガイダンス及び企業の気候関連財務報告の負担軽減に向けた措置案に関する意見募集、EUにおける包装・包装廃棄物規則(Packaging and Packaging Waste Regulation、PPWR)の段階的適用開始を取り上げ、日本企業の経営戦略にも影響するグローバル動向を解説しています。
当記事はEY Globalより2026年9月9日(日本時間)に配信されたPublic Policy Sustainability Bulletinの日本語翻訳になります。原文の配信を希望される方はこちらよりご登録ください。
2026年8月24日、オーストラリア財務省は、気候関連の移行計画策定に取り組む組織を支援するための任意ガイダンス(※1)を公表しました(※2)。当該ガイダンスは、移行計画タスクフォースの移行計画サイクルを基礎としており、組織の準備状況の評価、戦略的な目標の設定、行動計画の策定及び移行戦略の実施に関する実務的な助言を提供しています。これは、オーストラリアの持続可能な金融市場のロードマップ(※3)におけるPriority 3(信頼性のあるネットゼロ移行計画の策定支援)を実現するものであり、移行計画策定がAASB S2号に基づく気候関連財務開示とどのように関連するかについて説明しています。
2026年8月18日、世界銀行は7年物のサステナブル・ディベロップメント・ボンドを通じて40億米ドルを調達し、110億米ドル超の投資家からの応募を集めました(※4)。調達資金は、貧困の削減及び持続可能な開発の促進という世界銀行の使命に沿った、環境分野及び社会分野のプロジェクトポートフォリオを支援するために使用されます。この力強い需要は、サステナビリティ関連債権の継続的な投資家需要及び環境プロジェクトと社会プロジェクトへの資金供給における資本市場の役割を浮き彫りにしています。
2026年8月17日、カナダ政府は、ラブラドール州及びケベック州における水力発電、風力発電及び送電プロジェクトに対する、約700億カナダドルの支援を発表しました(※5)。この中には、最大100億カナダドルの連邦政府による財政支援が含まれています。これらのプロジェクトにより、再生可能エネルギー発電容量がおよそ14ギガワット増加すると見込まれており、2050年までに発電容量を倍増させることを目指すカナダ国家電力戦略の一部を構成しています。また、この取組みは、重要鉱物の開発及び地域のエネルギー安全保障の強化も目的としています。
2026年8月12日、ブラジルは、持続可能な航空燃料国家プログラム(ProBioQAV)(※6)を規定する政令(※7)を公布しました(※8)。これには、持続可能航空燃料の生産、認証、販売や流通及びトレーサビリティに関する規則が含まれています。国内航空会社は温室効果ガス排出の削減を開始しなければならず、求められる削減率は2027年の1%から2037年の10%まで段階的に引き上げられます。また、当該政令は持続可能な航空燃料に関連する排出削減効果を、実際の燃料とは切り離して取引することを可能にするブック・アンド・クレームの仕組みを導入しています。ブラジルの航空規制当局及び石油規制当局は、補完的な規則を制定するために240日間を与えられています。別の政令では、炭素回収、低炭素水素及び電力市場へのアクセスについても規定されました。
欧州連合(EU)の包装・包装廃棄物規則(PPWR)(※9)は、2025年2月に発効し、2026年8月12日から加盟国において適用が開始されました。最初に適用される要求事項には、食品接触包装に含まれる有機フッ素化合物(PFAS)に関する規制が含まれており、指定された上限値を超える食品接触用包装材はEU市場に投入できなくなりました。包装の最小化要件、特定の使い捨て包装に対する規制、再利用目標、再生材含有率要件及びリサイクル可能性に関する規則を含む追加的な義務は、今後数年間にわたり段階的に適用され、その多くは2030年から適用が開始される予定です。本規則は、加盟国ごとに異なっていた断片的な国内要件に代わり、EU全域で調和された枠組みを導入するものであり、循環型経済への移行を後押しするものです。なお、欧州委員会は、加盟国、産業界及び市民社会との協議を継続しながら、施行措置の策定を進めています。
2026年8月11日、マレーシアは国家エネルギー効率行動計画(National Energy Efficiency Action Plan、NEAAP)(※10)を2035年まで更新しました(※11)。本計画では、現状維持シナリオ(BAUシナリオ)の予測と比較してエネルギー需要を11.6%削減することを目標としており、累積で815,382テラジュールのエネルギー削減を実現するとともに、2,610万トンのCO₂換算排出量の削減を見込んでいます。この計画は、電力削減量が目標を上回る成果を達成した、2016年から2025年まで実施された計画に続くものであり、データセンター投資の拡大に伴う電力需要の増加や大口需要家に対する省エネルギー要件の導入に伴って策定されたものです。
2026年8月6日、国連気候ハイレベル・チャンピオン及び地球規模の気候行動のためのマラケシュ・パートナーシップ(Marrakech Partnership for Global Climate Action)は、地球規模の気候行動(Global Climate Action)アジェンダの「2026-2030ビジョン」(※12)の下で初となる年次作業プログラム(※13)を開始しました(※14)。当該プログラムは、新たなコミットメントの表明よりも、既存のコミットメントの実行に重点を移し、6つのテーマ領域、30の目標及び120の具体的な実行計画に沿って活動を体系化しています。また、新たに設置される調整グループ、実行促進グループおよび諮問グループを通じて、施策の実行力および透明性の向上を図るとしています。さらに、同プログラムでは、クリーンエネルギー、食料安全保障及び廃棄物ゼロを含む、COP31に向けた10の重点分野を示しています。
2026年8月4日、英国金融行為規制機構(FCA)は、気候変動の物理的リスクが不動産保険、住宅ローン、事業運営及び市場の健全性(market integrity)にどのような影響を及ぼし得るかについて、規制対象企業向けの情報を公表しました(※15)。FCAは、「適応」を気候変動の影響に備えるための取組みと定義する一方で、「レジリエンス」を気候変動の影響に対応し、回復する能力として区別しています。また、保険の利用可能性の低下、住宅ローンに関する制約、リスクの価格付け機能の低下といったリスクを強調するとともに、企業に対して、継続的に更新されるデータ及びガイダンスを活用するよう促しています。気候金融リスクフォーラム(Climate Financial Risk Forum)(※16)による追加的な成果物が2027年初頭に公表される見込みです。
2026年8月24日、オーストラリア政府は、同国の気候関連財務開示制度に関連するコンプライアンス負担を軽減するための措置について意見募集(※17)を開始しました。提案には、気候関連開示に対する合理的保証への移行を延期又は適用範囲の限定、バリューチェーン全体にわたるスコープ3情報の要請に関する境界の明確化、及び排出量算定に必要な二次データの利用可能性を高めることが含まれています。これらの改革は、開示情報の信頼性及び比較可能性を維持しつつ、特に中小企業における報告コストの削減を目的としています。意見募集は2026年10月2日まで実施されています。
2026年8月8日、コロンビアは、パリ協定の強化された透明性枠組み(Enhanced Transparency Framework)(※18)に基づく第2回隔年透明性報告書(Biennial Transparency Report)(※19)を、2026年12月31日の期限に先立ち提出しました(※20)。同報告書には、コロンビアの国家温室効果ガスインベントリ、国が決定する貢献(NDC)に向けた進捗状況、緩和策及び適応策、並びに必要な支援及び受領した支援を対象としています。今回の提出は、方法論の改善を取り入れた、コロンビアの第1回報告書を基礎とするものです。継続的な報告サイクルが、第31回締約国会議(COP31)における第2回グローバル・ストックテイクに先立って、どのように各国のデータシステムを強化し得るかを示しています。
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