CFO Imperative(CFOが直面する喫緊の課題)

財務の未来を形づくるのは、人材か、それともテクノロジーか


CFOは、理想や志と価値創造の隔たりを埋めるために、テクノロジーと人材を組み合わせて連携させ、リーダーシップを強化する必要があります。




EY Japanの視点

CFOの役割の変化~テクノロジーと人材の観点

地政学上のボラティリティの高まりやAI(人工知能)の活用の拡大をはじめ、CFO・経理・財務を取り巻く環境がかつてないスピードで変化しています。本サーベイでは、グローバルの1,600名超のCFOらを対象に、CFOの役割の変化、AIの活用、ファイナンス・トランスフォーメーションと人材面での課題などについて調査を行っています。最後の第5章では、将来あるべきCFOの役割に向けての6つの提言を行っています。 

わが国においても多くの企業がAI活用に取り組みはじめています。CFOや財務の役割を企業価値創造に向けたビジネスのパートナーという役割へと進化させるためには、テクノロジーの観点に加えて、リーダーシップやマインドセットといった人材の観点が重要であるという点は、日本においても当てはまる重要なポイントであると考えられます。


EY Japanの窓口

角野 正一
EY新日本有限責任監査法人 FAAS事業部 アソシエートパートナー



要点

  • CFOには企業価値の創造が期待されているが、成果が不確実な場合や長期の取り組みを要する場合、意思決定に一貫して主体的に関与するCFOは多くない。
  • AIは多大な可能性をもたらしているが、進展を妨げているのは、多くの場合、テクノロジーの制約ではなく、CFOとそのチームの考え方、自信、能力である。
  • ファイナンス・トランスフォーメーションの成否は、システムやデータと同様に、人材、つまり行動、スキル、働き方に左右される可能性がある。

CFOは、急速に変化する不確実な環境下で企業の価値創造の在り方を定義し、形づくるという役割をますます期待されるようになっています。テクノロジーと人材にどのように投資するかという問題は、もはやトレードオフではありません。経営陣が、財務の未来に対する明確なビジョンに沿って、テクノロジーと人材をいかに連携させていくかを決定する必要があります。

しかし、EY Global DNA of the CFO Survey(PDF、英語版のみ)では、理想や志と実際の行動の間に隔たりがあることが明らかになりました。CFOは、自らが企業価値を形づくる役割を担っているという認識を強めていますが、その役割を果たすために、一貫したリーダーシップに基づく行動は遅れています。特に、価値が不確実であったり、長期の取り組みを要したり、新しいテクノロジーや働き方に大きく影響されたりする場合、また、意思決定の正当性の証明や実行が困難な場合に、その傾向が顕著です。

この背後には、より根本的な課題が存在しています。価値創造が複雑化するのに伴い、従来の枠組みの中でこれを定義・測定し、それに基づいて行動することがさらに難しくなる可能性があります。その結果、生じているのは、意志の欠如ではなく、価値の捉え方と意思決定の方法の食い違いです。

人工知能(AI)のような変革的テクノロジーは未曽有の機会をもたらす可能性を秘めていますが、企業価値を引き出すには、財務チームに適切なマインドセット、スキルセット、ツールセットが根付くように導く能力をCFOが備えている必要があります。今回の調査結果からは、次のような、より広範な傾向が明らかになっています。成功するトランスフォーメーションの中心にあるのは人材であり、これらの要素が一体となって進化することで、導入を促進し、自信を高め、価値創造が加速します。

EY Global DNA of the CFO Report(2026年版)

CFOは、テクノロジーと人材への投資によって、どのようにファイナンス・トランスフォーメーションを加速させ、企業価値を引き出すことができるのか。レポート全文で詳しく解説しています。

Young businesswoman working on laptop in modern office room
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第1章

なぜ今、CFOの役割が変わるべきなのか

CFOは、企業価値の創造に向けて、テクノロジーと人材の全体にわたる急速な変化に対応する必要があります。

この10年間で、新しいテクノロジーが登場し、消費者の嗜好(しこう)や習慣は劇的に変化し、サイバー攻撃、サプライチェーンの混乱、地政学的緊張といった新たなリスクが顕在化しました。しかし、この2年間で最も大きく変化したのは、このような動向が進展する速さです。例えば、AIの発達は急速に進んでおり、数カ月前には不可能に思えたことが、突如として可能になりつつあります。これを反映して、調査対象のCFOの80%が、AIを活用する事業モデルが、今後12カ月間に、自社において「かなり」または「ある程度」重要な役割を果たすと予想しています。

 

リスクもまた、急速に変化しています。これを受け、調査対象のCFOの77%が、サプライチェーン、投資、リスクエクスポージャーに関する意思決定において、今後1年間、引き続き地政学的な不確実性を考慮することになると考えています。リスクの急速な変化の結果、価値の創造と毀損の双方につながる複数の要因が現在浮上しつつあります。これらの総合的影響のために、CFOは自らのアプローチの見直しを迫られています。

 

価値創造の本質は変化し続けており、従来のアプローチによって価値を定義、測定し、実践することは難しくなる一方です。これに伴い、価値をどのように評価し、伝えるかというCFOにとっての課題も増大しています。従って、CFOは価値の測定と報告の方法を再考する必要があります。この点は調査結果にも表れています。調査対象のCFOの67%が、企業価値の測定方法を早急に見直す必要があると回答しました。また、回答者の71%が、人とテクノロジーの融合を図る取り組みを評価するには、従来の指標では不十分だと述べています。

60%
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の調査対象のCFOが、自社の価値創造の在り方を定義し、形づくる必要があると回答しています。
25%
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の調査対象のCFOが、リターンが不確実または間接的な場合、あるいはリターン獲得に長期間を要する場合の投資判断を主導しています。

一方で、本調査を通じて、理想や志と実際の行動との間に明らかに隔たりがあることが浮き彫りになりました。CFOの過半は、価値創造における戦略的パートナーとしての存在感を高めたいと考えています。回答者の60%は、CFOが自社の価値創造の在り方を定義し、形づくるべきだと考えており、55%が、財務部門が価値創造の取り組みを加速させるべきだという見解に同意しています。さらに、理想や志と現状との間にも隔たりがあります。調査対象のCFOのうち、リターンが不確実または間接的な場合、あるいはリターン獲得に長期間を要する場合の投資判断を主導していると回答したのはわずか25%でした。また、自社にとって最も重要なバリュードライバーとは何か、それはどのように変化しているのかについての議論を主導しているのはわずか26%にすぎません。

この隔たりは、財務部門に対する社内の認識によってより大きくなっています。


財務部門は、多くの場合、依然として、企業価値を形づくるための戦略的パートナーというよりも、統制、リスク管理、またはオペレーションの機能を担う部署として広く認識されています。そのため、意思決定への影響力が限定される可能性や、価値創造に関する議論を十分に主導できない可能性があります。

多くのCFOは、すでに自らを戦略的リーダーだと考えています。CFOにとっての課題は、リターンが不確実な場合やリターン獲得に長期間を要する場合には特に、その理想や志に基づき、バリュードライバーに対して一貫して主体的に取り組む存在へと転換することです。

時間が足りないことも、問題の1つです。調査対象のCFOによると、そのキャパシティの47%は、規制対応、レポーティング、内部統制、および中核的な財務プロセスなどのオペレーションのタスクに費やされています。そのため、財務部門が時宜を得たインサイトを十分に提供できなくなり、社内の意思決定が財務部門の関与なしに行われるリスクが高まる恐れがあります。


提案事項

企業価値を形づくるための役割を強化するため、CFOは以下の行動を取るべきです。

  1. バリュードライバーの進化や、不確実性の高い投資判断に関する議論を主導し、価値創造に主体的に取り組む。
  2. テクノロジー、新しい働き方、長期的な業績の影響を適切に反映できるように、価値測定の仕組みを設計し直す。
  3. 自社全体でより迅速かつ統合的に意思決定が行えるように、財務チームと業務モデルを再構築する。
  4. プロセスの簡素化、ルーティン業務の自動化、業務負担の軽減により、戦略性の高い業務に充てるリソースを確保する。
Two young businesspeople using a digital tablet while standing in a boardroom.
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第2章

財務部門が価値創造を推進するには

AIによって財務部門を変革できる可能性があるものの、財務チームの多くには、AIを効果的に活用し、その真価を最大限に引き出す能力が十分に備わっていません。

AIの急速な進化により、従来は不可能だった方法で、既存の財務プロセスを自動化し、コストを削減できる可能性が生まれています。さらに重要なのは、これまで関連付けられていなかった大量のデータセットから有意義な関連性を引き出し、全社的な意思決定に活用できることです。

しかし、この可能性は、まだ実現には至っていません。財務部門の大半は、企業価値創造のためにAIを活用する準備が整っていません。調査対象のCFOのうち、自社の財務部門でのAI活用の準備状況を「先進的」または「高度」と評価したのはわずか21%です。これは財務チーム全般の現在の準備状況を如実に示しています。

21%
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の調査対象のCFOが、自社の財務部門でのAI活用の準備状況が「先進的」または「高度」であると回答しました。

AIを効果的に活用すれば、多大なインパクトを生み出せる可能性があります。「ある自動車部品・家電部品メーカーが最近、購買・支払いプロセスにエンドツーエンドのエージェント型AIソリューションを導入しました。その結果、これらの業務に要する工数が約85%削減され、各チームがより付加価値の高い業務に集中できるようになりました」と、Ernst & Young LLP. のパートナー、Ben Castellは述べています。「わずか2年前には、これを可能にするテクノロジーは存在していませんでした」


財務部門の活用準備が十分ではない場合、AI関連の取り組みの予算確保が難しくなる可能性があります。CFOに対して、新しいAIツールへの投資を確保する際の最大の課題について質問したところ、61%が、最も難しい課題としてデータの品質と偏りを挙げました。これは、データ基盤がいかに重要であるかを浮き彫りにしています。2番目は、メリットの実現に長期間を要すること、またはメリットが間接的もしくは不確実であることでした(51%)。次いで、スキル、リソース、またはキャパシティの不足が挙がりました(50%)。

61%
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のCFOが、AIツールへの投資を確保する際の最大の課題として、データの品質と偏りを挙げています。

こうした課題は、CFOが現在、価値創造のためにAIをどの程度活用しているのかという点に、特に顕著に表れています。調査対象のCFOのうち、データ分析、成長予測、ダイナミックプライシングなどの分野に大きな可能性を見いだしている人は半数未満です。一方で、多くが、依然として不正検知やリスク評価といった防御的な用途を重視しています。

これは、恐らく、テクノロジーへのアクセスだけではなく、インサイトを導き出し、それを意思決定に反映させるために必要な能力にも、格差があることを示唆していると考えられます。注目するべき点として、AI活用の準備の水準が高い財務チームほど、AI活用の可能性を認識している傾向があります。これは、こうした能力がAI導入状況とCFOの理想や志の双方に大きく影響していることを示唆しています。この傾向は、財務責任者がさまざまなAIアプリケーションの活用の可能性をどのように評価しているかという点にも表れています。


AIの潜在的な価値は、アウトプットの増大にとどまらず、企業全体の意思決定向上に役立つインサイトを明らかにできるという点にもあります。ただし、その基盤となるデータやアウトプットが、信頼できるものでなければなりません。

より情報に基づいた機能横断的な意思決定のためにAIを活用することで価値創造を促進できる可能性があります。EY Americas Tax Sector Leader兼Americas Consumer Products and Retail Tax Leader、Paul Greenは、次のような例を挙げて説明しています。「あるクライアントが、数千万ドルのコスト削減と競争優位性の獲得のため、米国・欧州間の製品輸送に要する期間を150日から100日に短縮することを望んでいるとします。AIは、輸送データ、コンテナデータ、気象データ、港湾データ、税関データ、その他のサプライチェーンに関する情報を分析し、それを踏まえて問題を特定して、実行可能な提案や自律的な提案の作成を開始できます」

これまでに、大部分の財務部門がAI活用を試みていますが、最大の課題の解決への活用には至っていません。

AIへの理解が深まるとともに、財務チームのAI活用は、実験の段階から、意思決定の支援や価値創造促進のためのユースケースへの実際の適用へと進め始めています。しかし、その潜在力を最大限に引き出すためには、個別のパイロット運用から、ケイパビリティ主導型の拡張可能な導入への転換が必要になるとみられます。特に、価値の定義や測定、それに基づく行動が困難な分野では、その必要性はさらに高いと考えられます。


提案事項

AIによる価値創造を増強するため、CFOは以下の行動を取るべきです。

  1. データの品質、ガバナンス、機能横断的な統合に優先的に取り組み、AIに適した基盤を構築する。
  2. 特にAIを意思決定に活用できる分野において、中核的な事業の課題への対処と測定可能な成果の達成に狙いを定め、拡張可能で、付加価値の高いAIのケイパビリティに重点を置いてAI活用を進める。
  3. AI活用を防御的な目的以外にも拡大し、効率性向上だけではなく成長のためにも活用する。
  4. 反復的に利用できるケイパビリティを構築し、それを中核的財務プロセスに組み込むことで、AI導入を企業全体に拡大する。
Young businessman writing while discussing strategy with female colleagues sitting at desk in office
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第3章

ファイナンス・トランスフォーメーションの鍵は人材

ファイナンス・トランスフォーメーションの成否は、通常、テクノロジーと同様に人材にもかかっています。しかし、その成果は、チームが新しい働き方をいかに効果的に取り入れ、実践できるかによって決まる可能性があります。

戦略的なCFOには、テクノロジー、データ、新しい働き方を融合させた、現代的な財務的職能が求められます。ファイナンス・トランスフォーメンションのケイパビリティを活用することで、財務チームはより短時間でインサイトを形成し、事業支援のためのキャパシティを生み出すことができます。

しかし、このようなケイパビリティが、必ずしも常に成果につながるわけではありません。過去2年間において、ファイナンス・トランスフォーメーションの成果が期待を上回ったと回答したCFOはわずか12%です。これに対して、40%が、その進行が「遅い」、または「限定的である」と回答しました。

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の調査対象のCFOが、ファイナンス・トランスフォーメーションの成果が期待を上回ったと回答しました。

これは、さらなる課題を浮き彫りにしています。たとえテクノロジーやデータに関するケイパビリティが整備されていたとしても、トランスフォーメーションの成果は、多くの場合、それらのケイパビリティを効果的に適用できる考え方や行動様式を、財務チームが備えているかどうかで決まる可能性があります。

財務部門では、従来、極めて厳格な統制の下でミスを防ぎ、業務を行えるように人材を育成してきました。より将来志向の組織になるためには、強固なガバナンスを支える一方で、新しいことに挑戦するための余力も確保する必要があります。

本調査では、トランスフォーメーションの成果を高める要因が浮き彫りになっています。財務チームのウェルビーイングや活力、新たなテクノロジーの利用に対する自信、適応力、継続的学習への意欲は、ファイナンス・トランスフォーメーションの成果を左右する要因になりつつあります。

 

これらは、確実性のある状況下で財務チームが効果的に業務を遂行することを支える、行動と考え方を意味します。例えば、決定に異議を唱えることに不安を感じないこと、好奇心と適応力を持ち続けること、チームの枠を超えて協働すること、自信を持って判断を下すことが挙げられます。

 

これらの要因が、データやテクノロジーへの投資を現実の改善につなげるための鍵になり得ます。一例を挙げると、自社の財務チームについて「適応力が高い」と述べた回答者のうち42%が、過去2年間にファイナンス・トランスフォーメーションの成果が期待を上回ったと回答しました。これに対して、自社の財務チームについて「適応力は一般的な水準」だと述べた回答者の場合は16%です。さらに「サポートを受けて適応している」と述べた回答者の場合、期待を上回ったと回答した割合はわずか3%でした。


変化を受け入れ、迅速に対応し、新しい働き方を試みる能力は、トランスフォーメーションの成否を決する重要な要素になり得ます。しかし、調査対象のCFOのうち、自社のチームについて「適応力が高い」と評価したのはわずか11%でした。


CFOがこうした分野においてチームの考え方や取り組み方を改善できれば、財務部門が戦略的ビジネスパートナーとして担う役割の強化を、より良い立場から進められる可能性があります。

考え方が行動を形づくります。ここでいう行動には、質問をする、リスクを早期に洗い出す、学び続けるといったものが含まれます。

成果を向上させるには、トランスフォーメーションの人的側面、特に、適応力、新しいツールに対する自信、継続的学習をさらに重視する姿勢が必要となる可能性があります。


提案事項

ファイナンス・トランスフォーメーションの成果を向上させるには、以下の行動を取るべきです。

  1. 変化、試行、継続的学習を後押しする文化を築き、考え方と適応力の醸成に投資する。
  2. ツールを日常業務に組み込み、実践的な導入を支援することで、新しいテクノロジーに対する自信を形成する。
  3. 変化の時期においてもパフォーマンスを維持できるように、チームのウェルビーイングと活力を重視する。
  4. 業務負担を軽減し、インサイト形成や意思決定にさらに注力できるようにすることで、トランスフォーメーションのためのキャパシティを確保する。

 

Businesswomen having discussion in modern office room
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第4章

未来のCFO:新たな考え方、スキル、リーダーシップのスタイル

CFOは、新たなスキルやリーダーシップのスタイルを習得する必要性を認識していますが、その学習方法についてはおおむね従来の方法が踏襲されています。

CFOの役割の進化が続く中、財務責任者は、新たなスキルや考え方を身に付け、異なるスタイルのリーダーシップを取り入れる必要性が高まっていることを認識しています。例えば、戦略的思考や人材についてのリーダーシップは、多くの場合、成功に不可欠な要素です。

これは、上で考察したトランスフォーメーションの人的側面を基盤とするものです。財務においてインサイト、判断力、協働の必要性が高まっていることを受け、CFOには、チームの能力と同様に自身の能力も進化させることが求められています。

調査結果からは、多数のCFOの間で見解が一致していることがうかがえます。

  • CFOの3分の2超(67%)が、自身の「安全地帯」から抜け出し、デジタル、戦略、人材についてのリーダーシップ習得に積極的に挑戦するよう求められるべきだと回答しています。
  • CFOの3分の2超(68%)が、今後も効果的に職責を果たすには、過去の経験や専門知識に頼るのではなく、新たなスキルやリーダーシップのスタイルを習得する必要があると回答しています。

しかし、能力開発の優先順位と能力面でのニーズは、明らかに食い違っています。今後2年間で最も強化したい分野についてCFOに質問したところ、「人材・文化についてのリーダーシップ」を挙げた回答者の割合は、上から5番目という低さでした。しかも、この分野は、CFOの能力の中で2番目に弱い分野なのです。


パフォーマンスの行動や文化に関する側面は、ファイナンス・トランスフォーメーションにおいて極めて重要になり得ます。この問題に対処するため、CFOはプロフェッショナルとしての自身の能力開発の一環として、チームのダイナミクスや考え方を形づくる能力を強化する必要があります。

CFOの経歴、強み、そして能力が不足している分野は、それぞれ異なります。従って、能力開発には、こうした違いや自社の戦略的優先事項に沿った方法で取り組むべきです。

また、CFOが従来の学習手法に頼りすぎていることもよくあります。学習・能力開発の方法についての質問に対して、調査対象のCFOの61%が、読書やオンライン資料による独学を行っていると回答しており、これが最も好まれる方法になっています。


調査対象のCFOのうち、部下とのリバースメンタリングに参加している回答者はわずか37%でした。これは、潜在的な学習の機会、特に新しいテクノロジーについて学ぶ機会を、多くのCFOが活用していないことを示唆しています。CFOには、テクノロジーの仕組みや財務分野への活用の可能性についての知識を、部下から得られる場合があります。


提案事項

自らの能力とリーダーシップの影響力を強化するため、CFOは以下の行動を取るべきです。

  1. トランスフォーメーション、投資判断、不確実性のある状況下における主要バリュードライバーの形成について経験を重ね、人材、戦略、テクノロジーの各分野において能力開発に優先的に取り組む。
  2. リバースメンタリング、成長を促すための挑戦的な役割や機能をまたぐ経験を通じて、チーム全体のリーダーシップ能力を強化する。
  3. トランスフォーメーションの取り組みやAIのユースケースを能力開発の機会として活用し、継続的学習を日常業務に組み込む。
  4. 人材育成経路の明確化、トランスフォーメーションの取り組みへの経営幹部の配置、後継者育成計画の強化を通じて、経営幹部候補の体系的なパイプラインを構築する。
Businessman wearing glasses and a stylish jacket, confidently smiling while holding a tablet
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第5章

The DNA of the CFO:財務の未来を描き直し、企業価値を創造する

テクノロジーだけでは不十分です。CFOは、トランスフォーメーションの推進と企業価値を形づくることに向けて、適応力と自信を備え、戦略面に力を集中できる財務チームをつくり上げる必要があります。

CFOは、テクノロジー、人材、リーダーシップに関する能力を組み合わせ、連携させることで、企業価値を形づくるのにおいて、より積極的な役割を果たすべきです。

価値創造のドライバーの進化が続く中、課題となるのは、単に新しいテクノロジーを取り入れることではありません。適切な考え方、スキル、リーダーシップを通じて、それらを効果的に活用する必要があります。能力の隔たりが解消されない限り、企業がトランスフォーメーションの価値を完全に実現することは難しい可能性があります。


財務部門を、レジリエンスと革新性を備えたビジネスのパートナーにするために、CFOは以下の行動を取るべきです。

  1. 受け身の姿勢を続けるのではなく、価値測定を強化し、不確実性の高い投資判断への関与を高めることで、より積極的に価値創造を主導する役割を担う。
  2. データ基盤の強化、スキルへの投資、防御的なユースケースから、戦略的で成長に焦点を定めた適用への移行を通じて、AI活用の準備の規模を拡大する。
  3. トランスフォーメーションを持続させ、技術への投資を確実に成果につなげる支えとなるように、人材と文化を中核的優先課題に位置付ける。
  4. 適応力、協働、新たなテクノロジーに対する自信を日々の働き方に根付かせることで、トランスフォーメーションを達成できる財務チームを育成する。
  5. 能力の隔たりの解消、後継者パイプラインの強化、より戦略的な意思決定の支援を目的として、リーダーシップ開発を加速させる。
  6. 業務負担の軽減と、インサイト、意思決定、価値創造に向けるキャパシティの確保のため、財務の役割と業務モデルを再設計する。

 

EY Global DNA of the CFO Surveyでは、CFOがテクノロジー、人材、リーダーシップを組み合わせ、連携させることで、トランスフォーメーションの加速と企業価値の創造を実現できることが明らかになりました。財務に対する期待の変化が続く中、適応力と自信を備え、戦略的に力を集中できる財務チームをつくり上げる能力こそが、財務の将来を決定付けることになるでしょう。


本稿はCFO Imperative(CFOが直⾯する喫緊の課題)シリーズの1つです。ここで取り上げた知見は、財務の将来を形づくるCFOや財務責任者の一助となることを目的としています。


※本書はWill the future of finance be shaped by talent or technology?を翻訳したものです。英語版と本書の内容が異なる場合は、英語版が優先するものとします。

EY Global DNA of the CFO Report(2026年版)

調査の全文をダウンロードしてお読みいただけます。テクノロジー、人材、リーダーシップを組み合わせ、連携させることによって、CFOはどのようにトランスフォーメーションを推進し、企業価値を形づくることができるのかについて、詳しくご紹介しています。

サマリー

財務の未来は、テクノロジーだけでなく、その効果的な活用を可能にする財務チームの考え方、スキル、リーダーシップによっても形づくられていくことでしょう。価値創造のドライバーが進化する中、こうした能力を強化することが、CFOが理想や志を実際の行動に転換し、企業価値を形づくるために役立ちます。

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