EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
がんセンターのチームがEYと協力してデジタル変革を進め、医師・医療スタッフ・職員向けITオペレーションを効率化した事例をご紹介します。
医療業界においてもオンライン診療や患者ポータルなどのデジタル化が進んでおり、医療機関の業務効率化と個人情報保護等のセキュリティ強化とを両立することが求められています。適切にコンプライアンスを遵守し、セキュアな環境で組織横断的な業務プロセスを効率的に運用する仕組みを実現するためには、デジタルプラットフォームの選定が成功の鍵を握ります。
EYはServiceNowとのアライアンスを通じて、柔軟な規制対応や業務オペレーションの電子ワークフロー化、AIエージェントによる自動化や意思決定支援など、戦略的ソリューションを提供しています。デジタル変革に関するプロフェッショナルを集結し、ServiceNow導入に際して電子ワークフローやAI領域など、複雑なインテグレーションの実現をご支援いたします。
EY Japanの窓口
山本 公一
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 デジタル・エンジニアリング アソシエートパートナー
The better the question
大手がんセンターがオペレーションを効率化し、かつセキュリティを強化するために、一貫性のあるIT構想を求めていました。
多くの業界で「デジタル・ファースト」が標語になっていますが、特に医療業界ではIT変革の重要性がこれまでになく高まっています。医療機関は、オンライン診療、スマート医療機器、予約や検査結果の確認をオンラインで簡単に行えるアプリなど、変化する患者のニーズに対応する必要に迫られているのです。しかし、こうしたデジタルサービスの実現は、高いセキュリティレベル下で統合されたシステムに依存します。つまり、こうしたシステム環境が患者体験に影響し、また個人情報や財務データがサイバー脅威にさらされる危険性もはらんでいるのです。
ある米国最大級のがんセンター兼研究機関では、イノベーションと患者ケアのバランスを取らなければならない複雑な課題に直面していました。同センターは、がん患者に高度な医療を提供する多数の病院やクリニックを運営しており、何千人もの教職員やスタッフのニーズにリアルタイムで対応するため、デジタル技術を軸にした運営を目指していました。
より良い意思決定を支え、デジタル技術を活用したサービスを提供するために、がんセンターの最高情報責任者(CIO)兼最高デジタル責任者(CDO)は、ITモダナイゼーション計画を構想しました。そこでは、業務ワークフローを改善し、組織全体で基幹システムデータの一貫性と信頼性を確保し自動化を進め、部門間のコラボレーションを促進することを目的としていました。
こうしたデジタル変革を支えるための中心的な基盤に、クラウド型プラットフォームであるServiceNowが採用されました。まず全体のIT業務を簡素化することから開始し、サービスの拡充と業務効率化をセンター内で進めることで、より一体感のある組織体制を目指していました。そのためには、経験豊富な導入パートナーの支援が必要でした。
そこでServiceNowの「2024 Global Elite Partner of the Year」を受賞しているEYが選定され、導入パートナーとして支援しました。EYは、適切なリスク管理手法を取り入れ、複数のシステムにまたがるプラットフォームを業界標準に合わせるためにカスタマイズし、スムーズに実装しました。EYとServiceNowのアライアンス体制、および医療分野を専門とするEYのチームが、複数年にわたる変革ジャーニーを指南し、加速させました。患者への対応を迅速化し、データに基づいた的確な意思決定を支え、重要な個人情報を保護しながら、がんと闘う何千人もの人々を支えることが関係者全員の願いでした。
The better the answer
合理化されたIT環境が、がんセンターの患者ケアを支えています。
EYのチームは、がんセンターのデジタル変革ジャーニーにおける最初の段階で、情報技術(IT)とオペレーショナルテクノロジー(OT)の両領域にわたるセキュリティとサービス管理基盤にServiceNowを導入する支援をしました。
「ServiceNowは、大規模な医療機関が必要とする、人を中心に据えた『体験重視』のテクノロジーイノベーションを実現し、オペレーション面の柔軟性も備えています。人工知能(AI)や自動化の機能をシステム全体に統合し、業務フローを最新化し他システムと連係させることで、医師や患者にとってより直感的でスムーズな体験を提供できるのです」と、EY ServiceNow LeaderであるJatin Rajpalは述べています。
導入前の準備フェーズでは、EYのチームはまず、がんセンターが持つ既存のIT環境について綿密なアセスメントを行いました。さらに、従業員を対象としたフォーカスグループを実施し、どのシステムが業務に役立っているか、逆にどこが課題なのかを明らかにしました。現状分析では、IT変革に向けた組織の「推進体制」と「準備状況(レディネス)」に焦点を当てました。EYのチームが短期的および長期的なニーズを分析し、それらを業務全体に係るサービス・マネジメント・モデルにマッピングしました。また、変革への理解と協力を得て推進するために、組織内のステークホルダーチームを特定しました。さらに、導入計画と事業との同期を取るために、フェーズごとのコミュニケーションプランを作成しました。
これらの分析から、EYのチームはがんセンターの経営陣と協力し戦略ビジョンを策定しました。その中で、重要なIT優先課題を特定し、今後数年にわたるロードマップを作成しました。同センターにとっての成功とは、医師や臨床スタッフの貴重な時間を確保し、できるだけ多くの患者支援に充てることでした。この目標達成に向けて、EYは段階的なITロードマップとガバナンスの枠組みを設計し、ServiceNowの導入を成功させ維持できる体制を整え、センター・オブ・エクセレンス(CoE)の設計・立ち上げを支援しました。また、ロードマップを管理するステークホルダーグループが、ガバナンスプロセスを推進し、プラットフォームの安全性・拡張性・コンプライアンスの維持を担当する仕組みを構築しました。
実際のシステム導入フェーズでは、がんセンターのITインフラ全体を支える位置付けとして、まず ServiceNowを軸とした基礎的なITプラットフォームの展開を進めました。次に、ITサービスマネジメント(ITSM)や、IT運用管理、プロジェクトポートフォリオ管理などの主要機能を設定しました。がんセンターがITIL(Information Technology Infrastructure Library)などの業界プロセス基準に準拠しながら、医療業界の先進的な実務・標準に沿ったオペレーションを行えるよう、EYのチームがツールをカスタマイズしました。
プロジェクト第1フェーズでは、ITSMシステムの標準化、プラットフォームの統合、およびシステム統合作業の合理化に重点が置かれました。当時、非常に多数のツールやアプリケーションが未統合の状態で使用され、ユーザーおよびIT担当者がシステムトラブルの申請・追跡・解決に多大な時間を費やしていました。
がんセンターでは「EPIC」と呼ばれる電子医療記録(EMR)の管理システムを使用していました。EYは ServiceNowをEPICとスムーズに統合し、医療スタッフがシステムトラブルをツール上で簡単に申請・追跡できるようにしました。その結果、一元化されたセルフサービスポータルでユーザー自身がITリクエストの申請・状況確認を行えるようになりました。これはプラットフォーム統合における成功例の1つと言えるでしょう。
プロジェクト第2フェーズでは、現行のシステム統合を最適化し、 ServiceNowプラットフォームの新機能を活用することに集中しました。また、社内ITおよび臨床PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)のリクエスト管理やプロジェクト管理プロセスを効率化することも重要でした。ServiceNowの機能を拡張し、プロジェクトのリクエストを単一のシステムで管理し、すべてのリクエストをレビューし承認できるようになりました。状況を可視化でき、レポート機能が向上したことで、組織のニーズに沿った優先順位付けが適切に行えるようになりました。
がんセンターの経営陣は、変革を成功させるにはユーザーのスキルアップが欠かせないことを理解していました。対象ユーザーには医師や臨床スタッフ、研究者、IT担当者が含まれ、投資対効果(ROI)の期待値を達成することが最終目的でした。ITSM導入プロジェクトの第1フェーズでは、EYが個別にカスタマイズしたコンピュータベースの研修プログラムとコミュニケーションプランを作成しました。また、新しい働き方が従業員にどのように役立ち、患者ケアを改善するかを、主要なプロジェクトマイルストーンに沿って説明しました。プロジェクト開始から2年経過し、がんセンターでは22,000人がServiceNowを現在使用しています。
The better the world works
IT環境の最適化により、研究活動や患者対応により多くの時間を充当できます。
この大手がんセンターでは、ITシステム全体を単一の統合化プラットフォームで管理し、次世代の医療に向けた取り組みを進めています。医師や看護師、そして研究者が、患者対応や最先端の研究に以前より多くの時間を充てられるようになりました。
現在、同センターではシステムの統合環境とプロセスが大幅に改善されています。ITチケット(IT部門のアクションが必要なインシデントやイベント)は大幅に減少し、ITインシデントに起因するEMR報告も減少しました。また、医療スタッフがカルテの作成・更新にかける時間を節約できるようになったと報告されています。その理由として、統合型のServiceNowプラットフォームの導入によりデータをクラウド上で安全に管理し、分散した複数のプラットフォームを使っていた以前よりも効率的に医療保険の相互運用性と責任に関する法令(HIPAA)へ準拠できるようになった背景があります。
患者向けのモバイルアプリやシステムへのシングルサインオン、また研究ソフトウェア、実験システムなどのデジタル資産は、現在1つのプラットフォーム上にまとめられ、患者や医師が使いやすいツールとして機能しています。組織全体で責任の明確化も進み、プラットフォームが定期的に状況報告や必要に応じたアラートを提供します。データがシンプルかつ直感的に統合され、システムのレポーティング分析機能から複数の指標レポートをカスタマイズして作成できます。レポーティング機能が向上したことで、経営陣が患者の状況を把握し見通せるようになり、がん予防や研究に役立てることが可能になりました。
がんセンターのITシステム運用面における主な改善点として、以下が挙げられます。
プロジェクト第3フェーズでは、同センターにおけるデジタル変革の次のステップとしてServiceNowの導入範囲をセキュリティ運用や資産管理に拡大し、サプライチェーン管理や人事などの非IT業務を統合・刷新します。新たなServiceNowモジュール導入の成功によって、組織全体でより多くの時間を医療予防や研究プログラムに充てることができ、がん根絶に向けた取り組みを前進させることができるのです。
EYの関連サービス
EYとServiceNowのアライアンスが、ビジネス情報の流れを効率化し、パフォーマンス・成長促進に向け、よりダイナミックで革新的なものにするために、どのように役立つかをご紹介します。
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