EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
サーキュラーエコノミーは、企業の持続可能な成長戦略において不可欠な要素となっています。EYでは、クライアントがこの新たな経済モデルを効果的に取り入れるために、特に①方針・戦略の策定、②法規制への対応、③人材育成の観点から支援を行います。これにより、企業は資源の効率的な活用を促進し、競争力を高めることが可能となります。
サーキュラーエコノミーは、廃棄物を削減し、資源を有効活用することを目指す経済システムです。その定義は多岐にわたり、Julian Kirchherr1らによると、221もの異なる定義が存在するとされています2、3。しかし、それらの定義に共通するのは、「資源フローのループを閉じる」ことで廃棄物問題と資源問題を同時に解決するという革新的な概念です。日本では2000年に循環型社会形成推進基本法4が公布され、いわゆる3R(リデュース、リユース、リサイクル)の取組みによって製品の廃棄物化を抑制し、循環資源の適正な利用と処分を促進することで天然資源の消費抑制と環境負荷の低減を目指してきました。
図1. リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの移行
また、この概念は単なる環境問題の枠を超え、最近では経済成長モデルへと進化しています。サーキュラーエコノミーの推進を目的とした国際的な非営利団体であるエレンマッカーサー財団は、廃棄物の排除、製品・資材の循環、自然の再生という3つの原則を掲げており、サーキュラーエコノミーの実現に向けた具体的な行動指針を提供しています5。資源を巡っては、地政学リスクや経済安全保障上の観点からも注目が高まっており、特に資源に乏しいわが国においては、経済成長の機会とリスクの両睨みでの対応への機運が高まっていると考えられます。
このように、サーキュラーエコノミーは2000年代初頭から存在する概念でありながら、今日の持続可能な社会構築においてますます重要性を増しているのです。
サーキュラーエコノミーの概念が経済活動としての重要性を増す中、企業は環境と経済の持続可能な発展を目指した取組みが求められています。中でも、方針・戦略立案、法規制対応、成長ドライバーという3つの軸での取組みが重要だと考えられます。
企業はこれまで、サーキュラーエコノミーに関連する個別の施策を多数立ち上げてきましたが、それらが総合的な方針・戦略の下で統合されてこなかったため、結果として「自分たちが何を目指し、何を実行しているのか」が不明確になるという課題に直面しています。このような状況は、資源循環の効率を低下させ、企業の持続可能な成長を妨げる要因となっています。この問題を解決するためには、ボトムアップ型の個別対応では不十分であり、トップダウン型の方針・戦略も必要です。経営層が方針や目標を明確に定め、企業価値の向上を目指す一貫した戦略を策定し、組織全体で資源循環を意識したビジネスモデルへの転換を図る必要があります。
サステナビリティをけん引する欧州は、サーキュラーエコノミーの先進地域でもあります。関連するEUの法規制は、グローバル市場で活動する企業にも影響を及ぼしています。ESPR(エコデザイン規則)6、バッテリー規則7、ELV規則(案)8、PPWR(EU包装材規則)9などはその一例であり、さまざまな業種に影響を及ぼすことから、企業はこれらの規制に迅速に適応し、グローバルな競争力を維持するための対応が急務となっています。
サーキュラーエコノミーは、新たな成長ドライバーとしての潜在力を秘めています。欧州を中心としたグローバルな政策動向を踏まえ、企業は技術革新や新しいビジネスモデルの開発を通じて、サーキュラーエコノミーを企業活動の中心に据えるべきと考えられます。これにより、事業基盤をより強固なものとし、企業価値の向上とともに、環境負荷の低減と経済成長の両立を目指すことができます。
サーキュラーエコノミーを企業活動の一環として捉え直し、方針・戦略立案、法規制対応、成長ドライバーという3つの軸で具体的な取組みを進めることが、いまの企業にとって重要です。これにより、環境と経済の両面で持続可能な発展を目指すことができるでしょう。
EYでは、企業が直面しているサーキュラーエコノミーに関するさまざまな課題に対し、「方針・戦略の策定」、「法規制対応」、「人材育成」の観点から、総合的なご支援を提供しています。EYは、最新の規制や業界動向を調査し、企業が直面するリスクと機会を明確にします。これに基づき、企業の現状を分析し、サーキュラーエコノミーと経営戦略の統合に向けた具体的な戦略策定をご支援します。さらに、経営層や実務担当者向けの研修を通じて、サーキュラーエコノミーの重要性を理解し、実践できる人材を育成します。これにより、サーキュラーエコノミーの重要性を浸透させ、組織全体での取組みを促進します。
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