米国税関国境警備局、IEEPA関税還付を管理するためのACE内の新たなCAPEプロセスの詳細を公表、段階的導入を予定

  • 2026年3月12日付で米国国際貿易裁判所(CIT)へ提出した宣誓供述書において、米国税関国境警備局(CBP)は、米国電子通関システム(ACE)の新機能および輸入申告統合管理・処理(CAPE)請求ポータルの概要を説明した。CAPEは、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税(以下、IEEPA関税)の算定、清算・再清算および還付を段階的に処理するために使用される。
  • CITは、これに続き2026年3月12日付の命令において、請求ポータル構築の進捗を「満足のいくもの」と評価し、2026年3月19日に新たな進捗報告を提出するよう命じた。
  • CAPEは4つの統合コンポーネント(請求ポータル、一括処理、審査および清算・再清算、還付)で構成され、第1フェーズでは、一部の除外を除き、IEEPA関税が課された大半の正式申告および略式申告が処理対象となる見込みである。
  • 企業は、ACEポータルにアクセスできるかを確認し、輸入申告書(エントリーサマリー)を取りまとめ、電子的な還付受領体制を整備するとともに、CAPEの稼働開始および詳細な申告手続きに関するCBPからの通知を注視して準備を進める必要がある。


2026年3月12日、CBP貿易プログラム部門のエグゼクティブディレクターであるブランドン・ロード氏は、CITに対し、IEEPAに基づいて賦課された追加従価関税を適正に還付するため、ACE内で新たな専用プロセスを構築している状況を報告しました。この状況報告は、Atmus Filtration, Inc. 対米国政府訴訟において、CITが2026年3月4日に発出した命令を受けて、CBPが提出したものです。

CAPE請求ポータルは、輸入者の還付請求を受理し、輸入申告書からIEEPAに固有の米国関税率表(HTS)第99類の規定を除外し、関税と利息を再計算した上で、還付金を電子的に一元化して支払うよう設計されており、CBPによる審査と通常の清算および再清算の管理も可能にしています。

CBPに対し、輸入申告の清算・再清算を行うためのプロセスを構築するよう命じたCITの当初の命令について詳しくは、2026年3月5日付EY Global Tax Alert「US Court of International Trade orders CBP to liquidate and reliquidate entries without IEEPA duties」および2026年3月23日付 EY Japan税務ニュース「米国国際貿易裁判所、米国税関国境警備局に対しIEEPA関税を適用しない輸入申告の清算および再清算を命令:詳細版」をご参照ください。

2026年3月12日付のその後の命令において、CITは請求ポータルの構築が「満足のいく」ペースで進んでいると述べました。CITはCBPに対し、プロジェクトの推進を継続するよう指示するとともに、2026年3月19日に請求ポータルの状況に関する追加報告を提出するよう求めました。これは、裁判所が引き続き監督を行うこと、また実装に向けた着実な進捗を期待していることを示すものです。

CAPEの構成要素の概要と構築状況

1. 請求ポータル(完成率約70%)

請求ポータルは、輸入者および通関業者のACEポータルアカウント内に設けられるウェブベースのタブ(自動通関申告システムではない)であり、申告者はCSV(カンマ区切り値)ファイルをアップロードして、輸入申告書の一覧を記載した「CAPE宣誓書」を提出します。

  • ファイル検証では、必要なデータ、フォーマット、記録上の輸入者または認定通関業者としてのステータス、およびファイルの整合性が確認されます。ファイル検証に不合格となった申告書は、修正および再提出を促すエラーメッセージを付して却下されます。
  • 申告レベルの検証では、各輸入申告がACE内に存在し、IEEPA第99類のHTS番号が少なくとも1つ含まれていることを確認します。申告レベルの検証に不合格となった輸入申告は、当該宣誓書から除外され、残りの申告は処理が継続されます。不合格となった輸入申告は、修正の上、別の宣誓書で再提出することが可能です。


2. 一括処理(完成率約40%)

一括処理では、検証済みの輸入申告からIEEPAのHTS番号を自動的に削除し、ACEの標準的な関税計算チェックを実行します。これにより、IEEPA関税が当初から申告がされていなかったものとして関税額が再計算されます。これらの検証に合格した申告書は、その後の処理に向けて受理されます。


3. 審査および清算・再清算(完成率約80%)

この審査プロセスでは、申告書の受理から一定日数経過後に清算または再清算が自動的に予定され、CBPによる審査が可能となります。そして、修正後の関税総額が輸入申告書に反映され、利息も自動的に計算されます。清算・再清算の処理は、毎週月曜日から木曜日まで実施されます。


4. 還付(完成率約60%)

還付プロセスでは、処理が完了した輸入申告が、ACEの徴収・還付モジュール内のCAPE専用ワークフローに送られます。還付金(利息を含む)は、清算・再清算日および記録上の輸入者(またはCBP様式4811に基づく指定受領者)ごとに集約され、指定された銀行口座に電子的に支払われます。

段階的導入と適用範囲

CBPは、まず上記の中核的な機能からCAPEの導入を開始し、その後、より複雑なケースに対応する機能を追加する形で、段階的に導入を進める予定です。第1フェーズでは、IEEPA関税が支払われた大半の正式な申告と略式申告が処理対象となる見込みです。ただし、一部のカテゴリーは対象外となります。具体的には、アンチダンピング関税または相殺関税(AD/CVD)の対象となる未清算の輸入申告、ACE上で清算ステータスが「一時停止」、「延長」または「審査中」となっている輸入申告、ならびに一部の申告タイプ(保税倉庫からの引き出しや関税払戻請求の対象として指定された輸入申告など)が含まれます。CBPは、各フェーズの実施に合わせて、その対象範囲と機能を説明する詳細なガイダンスを発行する予定です。

企業への影響

CAPEは、ACE内でIEEPA関税の還付を一元化し、検証、再計算、清算・再清算のスケジューリング、還付の集約を自動化することで、手作業による処理の削減を目指しています。申告者は、ACEポータルの新しいタブを通じて、輸入申告書を記載したCSVファイルをアップロードして請求を提出します。各提出内容は、処理に先立ち、ファイルレベルおよび申告レベルの検証を受けます。

初期フェーズでは全ての申告区分やステータスに対応できないため、輸入者は、最初のフェーズで処理対象となる可能性が高い輸入申告を特定するとともに、より複雑なケースを扱う後続フェーズに備える必要があります。処理完了後、還付金は清算日ごとに集約され、記録上の輸入者またはCBP様式4811に基づく指定受領者に対して電子的に支払われます。

検討すべき対策

各社の状況に応じて企業が取るべき対応策としては、以下が挙げられます。

  • 輸入者および通関業者がACEポータルにアクセス可能かをどうか確認し、IEEPA関税の対象となった輸入申告書の一覧を記載したCSVファイルの作成およびアップロードを担当する社内担当者を指定する。
  • 輸入申告書番号を取りまとめ、影響を受けた輸入申告において、ACE上で該当するIEEPA関税に対応する第99類のHTS番号が含まれていることを確認する。併せて、可能な場合には、照会があった際にIEEPA関税額を切り分けられるよう、関税の構成要素を照合・整理しておく。
  • 輸入申告書をステータス別に区分し、第1フェーズで処理対象となる可能性が高い申告と、後続フェーズでの処理が見込まれる申告(アンチダンピング関税/相殺関税〈AD/CVD〉)の対象で一時停止中の申告、ならびに「一時停止」、「延長」または「審査中」のステータスの申告など)を特定する。
  • 還付金が集約されて意図した口座に送金されるよう、電子的な還付受領の手続きおよびCBP様式4811に基づく指定内容を確認または整備する。1
  • CAPEの稼働開始時期、詳細な申告手続きおよび各フェーズの適用範囲に関するCBPからの通知を注視し、それに応じて通関業者への指示および社内統制を適宜調整する。
  • 2026年3月19日の裁判所命令に基づく進捗更新および最終的なCITの判断を注視する。

巻末注

  1. 還付受領手続きについての詳細はこちらを参照してください。


お問い合わせ先

EY税理士法人

大平 洋一 パートナー
原岡 由美 パートナー
福井 剛次郎 シニアマネージャー

※所属・役職は記事公開当時のものです