EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
CITが2026年3月4日にAtmus Filtration, Inc. 対米国政府訴訟(Ct.No.26-01259)において下した命令を受け、CBPの貿易プログラム担当エグゼクティブディレクターは、2026年3月6日、CITに対し宣誓供述書を提出しました。本供述書では、IEEPAに基づく関税の有無にかかわらず、IEEPA関税の対象として申告された未清算の全輸入申告を清算すること、および清算済みではあるものの最終確定に至っていない輸入申告について、同じくIEEPA関税の有無にかかわらず再清算する場合の運用上の課題について説明しました。
こうした課題を踏まえ、CBPはIEEPA関税還付プロセスに関連する運用上の課題に対処可能な新たなACEの機能および関連プロセスのフローを提案しました。
CITの命令に関する詳細は、2026年3月5日付EY Global Tax Alert「US Court of International Trade orders CBP to liquidate and reliquidate entries without IEEPA duties」および2026年3月23日付EY Japan税務ニュース「米国国際貿易裁判所、米国税関国境警備局に対しIEEPA関税を適用しない輸入申告の清算および再清算を命令:詳細版」をご参照ください。
CBPは提出した供述書において、IEEPA関税関連の還付を標準手続きで処理することは運用上困難であると述べています。2026年3月4日時点で、IEEPA関税が課された申告は5,300万件を超え、約2,010万件が未清算のまま残っており、総徴収税額は約1,660億米ドルに上ることに加え、数十万件の正式な輸入申告が毎週ACEで自動清算されていることから、CBPは、ダンピング防止税および相殺関税(AD/CVD)を含むその他の法的義務と矛盾する清算が行われるリスクを抱えており、IEEPA対象申告のみを他の申告から切り離すことはできないとしています。
加えて、CBPは、IEEPAの影響を受ける申告の約63%が略式申告であると指摘しています。CBPは2026年2月24日に略式申告でのIEEPA関税に係る預託金の受領を停止したものの、同日以前に提出された約400万件の申告が未清算のままであり、3月の納付期日に清算されることになっています。CBPの宣誓供述書によれば、2025年12月4日までに清算された1,500万件を超える輸入申告は、2026年3月4日時点ですでにCBPによる90日間の任意再清算期間を過ぎており、さらに6万件を超える申告については、同日に再清算可能期間が終了しています。
IEEPAの対象となる金額を特定することは、多くの輸入者が関税率表(HTS)の単一の品目番号内で複数の関税種別をまとめていたことでさらに複雑化しており、品目単位での手動調整が必要です。CBPの説明によれば、ACEの一括更新は1回の送信につき1万品目に制限されていますが、更新が必要な品目は16億件以上に上り、異常値がある場合は個別に確認する必要があります。
利息の支払いも作業を複雑にします。なぜなら、預託金や還付金の期間が複数の日付にまたがる場合、利息計算を手作業で行う必要があることが多く、また各還付について、回避できないシステム上の必要性からCBPの現場業務局と財務局の双方による認証が必要となります。
宣誓供述書ではさらに、2026年2月6日以降義務付けられている電子的な還付処理にも課題があると指摘しています。IEEPA関税を支払った輸入者33万566社のうち、必要な電子還付手続きの設定を完了しているのはわずか2万1,423社にとどまっており、2,897社に対する7,700件の還付処理を行うことができない状況です。
5,300万件を超える還付処理に、1件あたり約5分を要すると仮定すると、400万時間を超える職員の作業時間が必要になるとCBPは見積もっており、これにより、重要な歳入保護および国家安全保障業務から人員が大幅に割かれる可能性があります。
本供述書では、CBPが約45日以内に導入を目指す新しいACE還付プロセスが説明されています。新プロセスの概要は以下のとおりです。
CBPは、申告プロセスおよび検証に関するガイダンスを発行し、不一致の審査と解決を可能にしつつ、輸入者による提出手続きを最小限に抑えることを目指しています。
提出された供述書は、CITによる検討に向けたCBPからの提案であり、CITがこの提案に対してどのような判断を下すか、今後の動向に注意が必要です。このプロセスがCITに受理された場合にも、還付は即時に行われるわけではありません。CBPが計算・検証・支払いを統合かつ自動化する新たなACEベースのプロセスを導入する必要があるためです。電子還付手続きへの登録は必須であり、輸入者が電子的設定を完了していない場合、還付はシステムに却下されます。
CBPが新たなプロセスを導入し、具体的な管理措置を発表するまで、正式な輸入申告の自動清算は週次スケジュールで継続され、略式申告は、関税の納付(例:月次一括納税)をもって清算されます。
特に、単一の品目番号の行に複数の関税種別が報告されている場合、CBPがIEEPAに基づく金額を分離し、利息を正しく計算するためには、正確な申告データが不可欠となります。
各社の状況に応じて企業が取るべき対応策としては、以下が挙げられます。
EY税理士法人
大平 洋一 パートナー
原岡 由美 パートナー
福井 剛次郎 シニアマネージャー
※所属・役職は記事公開当時のものです
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