EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2026年4月2日、米国のトランプ大統領は、「米国への医薬品および医薬品原料の輸入調整」と題する布告(以下、「本布告」)を発表しました。これは、輸入された特許医薬品および関連原料への依存が国家安全保障上の脅威を及ぼしているとの結論を受けたものです。
本布告は、特許医薬品、関連する医薬品有効成分(API)およびKSMの輸入が米国の国家安全保障を脅かすとして、Annex Iに掲げられた製品に対して100%の従価税を課すものであり、適用除外や軽減税率の枠組みも設けられています。
本布告は、1962年通商拡大法第232条に基づき2025年4月に米国商務省が開始した、医薬品および医薬品原料の輸入が国家安全保障に及ぼす影響に関する調査を受けて発表されました。(2025年4月15日付EY Global Tax Alert「US launches investigation into pharmaceuticals and semiconductors」〈英語のみ〉をご参照ください。)
商務省の報告は、米国食品医薬品局のデータを引用し、2025年時点において米国内で流通する特許医薬品の約53%が米国外で製造されており、米国市場向けの特許APIのうち米国内で生産されるのは数量ベースで約15%にとどまるとしています。本布告では、防衛および公衆衛生における特許医薬品の重要性に加え、米国の競争力を損なう外国政府の介入や、脆弱なサプライチェーンの課題を指摘しています。これを踏まえて、商務省は、交渉、大幅な関税および国内生産にコミットする企業への優遇措置を組み合わせた包括的な施策案を勧告しました。
本布告は、特定の例外が適用されない限り、Annex Iに記載された特許医薬品および関連する医薬品原料の輸入に対し、基本税率となる100%の従価税を課すものです。商務長官の承認を受けたオンショアリング計画を有する企業には、20%の税率が適用され、この税率は布告日から4年後に100%へ引き上げられます。商務省が近い将来にオンショアリング計画について承認を得る見込みが高いと判断した企業に対しても、商務長官は20%の税率を適用することができます。
また、米国保健福祉省とMFN価格に関する合意を締結済み、または交渉中であり、かつオンショアリングに関するコミットメントを有する企業は、2029年1月20日まで0%の税率が適用されます。Annex IIに記載された企業別協定は承認されており、商務長官は追加の協定を締結し、執行する権限が付与されています。当該権限には、マイルストーンの遵守状況を監視し、定期的な報告を義務付けること(場合によっては監査を伴う)、およびコミットメントが履行されず、不正や意図的な虚偽表示があった場合に、将来的または遡及的に税率を引き上げることが含まれます。
本布告は、主要な貿易相手国との医薬品関連のコミットメントを実施するため、差別化された関税上の取扱いを設けています。EU、日本、韓国、スイスおよびリヒテンシュタインの製品には、他の条項に基づきより低い税率が適用される場合を除き、15%の税率が適用されます。英国の製品は10%の税率が適用されますが、医薬品価格に関する将来の二国間協定により0%へ引き下げられる可能性があります。このような引き下げが行われる場合には、官報で公示されます。
また、一定の医薬品および原料カテゴリーには0%の税率が適用されます。これには、承認された全ての適応薬における、希少疾病用医薬品法上の「希少疾病用」と指定されている医薬品、核医学用医薬品、血漿分画製剤、不妊治療関連製品、細胞・遺伝子治療、抗体薬物複合体、化学剤・生物剤・放射製物質・核対策医薬品、商務長官が指定するその他の特殊医薬品、および動物用医薬品が含まれます。これらの取扱いの適用は、当該製品が現行または今後予定される通商・安全保障枠組み合意に基づく国・地域の原産であること、または米国における緊急の医療ニーズに対応するものであることについて、米国通商代表部および米国保健福祉省と協議の上、商務長官が行う認定を得ることを条件としています。Annex IVに記載される医薬品および原料については、第232条に基づく税率0%が引き続き適用されます。
本布告は、バイオシミラーを含むジェネリック医薬品またはそれらの原料については、戦略的API備蓄のための購入を含め、関税を課していません。商務省は、ジェネリック医薬品に関する追加措置が必要かどうかについて、1年以内に報告を行う予定です。
本関税は、2026年9月29日午前12時1分(米国東部時間)以降に、消費目的で輸入消費目的で輸入される、または消費目的で保税倉庫から搬出される物品に適用され(Annex IIIに記載される企業については、より早い発効日が定められている)、議会によって引き下げ、修正または終了されない限り有効となります。米国関税率表(HTSUS)コラム1の税率が適用される場合、コラム1および第232条に定める税率の合計が本布告に基づき適用される税率となります。ただし、コラム1の税率が本布告のそれを上回る場合には、コラム1のみが適用されます。本布告に基づき複数の税率が適用される場合、最も低い税率が適用されます。商務省は、米国国際貿易委員会およびCBPと協議の上、必要なHTSUSの改正および行政措置を公表します。CBPは、関税の施行に必要な措置を講じ、輸入者から情報提供を求めることができます。本布告に基づき課される関税については、関税の払戻しが適用されます。米国原産の医薬品の輸入は、関税の対象とはなりません。FTZについては、発効日以降に搬入される本布告の対象となる非国内貨物は、特恵外国貨物として搬入されなければならず、消費目的で搬入される場合は、適用される従価税率で課税されます。
各社の状況に応じて企業が取るべき対応策としては、以下が挙げられます。
EY税理士法人
大平 洋一 パートナー
原岡 由美 パートナー
福井 剛次郎 シニアマネージャー
※所属・役職は記事公開当時のものです
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