米国、今後発表予定の規則案におけるOBBBA以前のIRCセクション951(a)(2)(B)に関する経過規定およびOBBBAによるNCTI・FDDEIの改正

米国財務省および内国歳入庁(IRS)は、以下に関する3つの通知を発行し、それぞれについて規則案を公表する意向を示しました。

(i)「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」による改正前に施行されていたIRCセクション951(a)(2)(B)の経過規定
(ii)IRCセクション960(d)(4)の施行日
(iii)無形資産(IP)その他の除外資産の譲渡益の外国派生控除対象所得(FDDEI)からの除外

2025年12月4日に公表された次の3つの通知は、財務省およびIRSがOBBBAで改正された国際課税規定のいくつかに対する規則案を発表する意向を示しています。

  • 通知2025-75は、OBBBAセクション70354(c)(2)の経過規定を扱っています。当該セクションは、外国子会社(Controlled Foreign Corporation、CFC)所得の米国株主合算額の算定法を規定しているIRCセクション951(a)(2)(B)の適用を改正したものです。
  • 通知2025-77は、IRCセクション960(d)(4)を扱っています。当該セクションはCFCの課税済留保所得(PTEP)の分配に課せられる外国法人税の10%を外国税額控除対象から減額するものです。
  • 通知2025-78は、IRCセクション250(b)(3)(A)(i)(VII)の適用範囲を扱っています。当該セクションは、IRCセクション250のFDDEI算定時の控除対象所得(DEI)から無形資産等の譲渡益を除外するものです。

IRCセクション951(a)(2)(B)の経過規定に関する通知2025-75

背景

2025年12月31日以前に開始する外国法人の課税年度に適用される従来の規定では、外国法人の課税年度中に当該外国法人が米国税法上、CFCと区分される最終日(合算日)に当該外国法人の株式を所有する米国株主が合算課税対象となるCFCの所得(Subpart F所得)の持分相当額を課税所得として合算する必要がありました。ここで言う持分相当額は、合算日に仮にCFCが留保所得を分配した際に、各株主が受け取るSubpart F所得となります。外国法人の課税年度にCFCではない期間が含まれている場合、非CFC期間に帰する金額は持分相当額から減額されます。米国株主がCFCの期中にCFC株式を取得した場合、CFC株式を取得した米国株主の保有期間に帰さない金額を限度として、株式取得以前に他の者が当該株式から受け取った配当額(譲渡人が認識する譲渡益のうちIRCセクション1248に基づき配当とみなされる額を含む)を、合算日にCFC株式を所有している米国株主の持分相当額から減額します。当合算法はNet CFC Tested Income(NCTI)(旧GILTI)計算目的のCFCのTested Income(NCTI合算対象所得)にも同様に適用されます。

OBBBAは、2026年1月1日以降に開始するCFC課税年度より、合算日にCFC株式を所有する米国株主のみがSubpart FおよびNCTI合算対象所得を合算するという上述の規定を廃止し、CFC課税年度にCFC株式を所有していた各米国株主に帰属する(attributable to)額を各々が合算対象とするという新しい概念を導入しました。したがって、2026年1月1日以降に開始する外国法人のCFC課税年度中のいずれかの日にCFC株式を保有する米国株主は、従来の規則で規定されていた合算日にCFC株式を所有していたか否かにかかわらずCFCのSubpart F所得のうち(新規則に基づいて算定される)持分相当額を合算する必要があります。

OBBBAはさらに新制度適用以前の従来の規則適用時に経過措置を規定しています。経過措置によると、従来の規則適用時にCFCによって「支払われた(または支払われたとみなされる)配当」、すなわち合算日にCFC株式を所有する米国株主の合算額から減額される金額のうち、配当の受け手側で米国課税所得とならない額は持分相当額算定時の減額対象には取り扱われないことになります。この目的では非課税配当所得に加え受取配当控除(DRD)やSubpart F所得から除外される額も米国で課税所得とならない額と取り扱われます。

経過措置は、以下の場合に適用されます。

(i)米国法人株主が2025年6月28日以前にCFC株式を所有していない期間がある場合、同日を含むCFC課税年度内に同日以前に支払われたCFC分配
(ii)2025年12月31日以前に開始する最後のCFC課税年度に関して2025年6月29日以降に支払われるCFC分配

通知2025-75の発行前は、経過規定の適用、ならびに他のIRCセクションや財務省規則との関連性に関して、不確実な点が残されていました。
 

通知2025-75

通知2025-75に基づいて発行予定の規則案では、経過措置で使用される用語の定義、ルックスルー規定が適用されるパートナーシップおよびSコーポレーションを介在させたストラクチャーの取り扱い、経過措置と財務省規則セクション1.245A-5(OBBBA可決以前に経過措置と似た趣旨で配当所得控除を認めない旨を規定)の適用優先順位、ならびに報告義務が規定されるとしています。

「支払われた(または支払われたとみなされる)配当」の定義

支払われた(または支払われたとみなされる)配当とは、OBBBA可決前のIRCセクション951(a)(2)(B)に基づき他の者が配当として認識するあらゆる分配額を意味します。したがって、当該用語には、IRCセクション1248に基づき譲渡人が譲渡益を配当と取り扱う金額が含まれますが、従来の考え方同様、PTEPとして配当所得から除外される分配は含まれません。

「連邦所得税の課税対象となる米国人」の定義

連邦所得税の課税対象となる米国人とは、実際に連邦税の支払いを負うか否かにかかわらず、IRCセクション7701(a)(30)において定義されるあらゆる米国人、すなわち米国市民、居住者(米国居住者であると選択する非居住外国人を含む)、米国パートナーシップ、米国法人、特定の遺産および信託を指します。ただし、国内のグランター・トラスト(グランター・トラストの所得は税務上、受益者の所得と取り扱われるため)、ならびにグアム、北マリアナ諸島、または米領バージン諸島の居住者は、この定義から除外されます。国内パートナーシップおよびSコーポレーションも除外されますが、これらの事業体はルックスルーの適用対象となります。

パートナーシップおよびSコーポレーションに対するルックスルー規定

ルックスルー規定は、(i)CFCにより支払われ、パートナーシップまたはSコーポレーションが受け取る配当、および(ii)Sコーポレーションが合算するSubpart F所得およびNCTI合算対象所得額に適用されます。これらの場合、課税対象かどうかの判断は、パートナーまたはSコーポレーション株主レベルで行われます。

複数のパートナーシップやSコーポレーションを介する階層構造においては、ルックスルー規定はパートナーシップでもSコーポレーションでもない所有者に到達するまで持分ストラクチャーを遡って順次適用されます。ただし、CFCにより支払われた配当がルックスルー規定に基づき、上場米国パートナーシップの「少数持分所有者」(5%所有テストベース)に配賦される場合は原則、配賦される側の実際の課税関係にかかわらず米国課税対象として取り扱われます。ただし、米国上場パートナーシップが、当該少数持分所有者が配賦される配当に関して米国で課税対象ではないこと、または当該配当が米国非課税所得であるという事実を認識している場合、この規則は適用されません。

「課税所得」の定義

経過措置で言及される課税所得は、原則としてIRCセクション63で定義される「Gross Incomeから控除額をマイナスした金額」を意味します。規制投資会社(RIC)、不動産投資信託(REIT)、およびIRCセクション501(a)の非課税団体については、配当控除前の課税所得(RICとREIT)、および非関連事業課税所得を意味します。

「課税所得と認められる」の定義

配当が米国人の課税所得と認められるかどうかの判断は、当該配当に対する非課税規定および配当所得控除(DRD)を適用した後に行われます。通知2025‐75は課税所得と認められない配当の例として次の例を挙げています。

(i)IRCセクション931(グアム等の準州に適用される規則)または933(自治連邦区のプエルトリコに適用される規則)に基づき総所得から除外される配当
(ii)IRCセクション1248(j)(CFC株式譲渡益のうち配当と取り扱われる金額に適用されるDRD)および964(e)(4)(CFCによる下層CFC株式譲渡益のうちCFCレベルで配当と取り扱われる金額にDRDが適用されるためSubpart F所得にならない額)を含むIRCセクション245AのDRD適用対象となる外国源泉配当
(iii)IRCセクション954(c)(6)におけるCFCが関連CFCからSubpart F所得を原資としない配当を受け取る際のSubpart F所得免除、またはIRCセクション959(b)における下層CFCからPTEP分配を受け取る上層CFCよるSubpart F所得またはNCTI合算対象所得免除

これらの判断を行う際、減価償却費や欠損金(NOL)など、当該配当に具体的に関連しない一般的な控除は考慮されません。

さらに、上層CFCが他のCFCから受け取る配当は、米国株主がSubpart F所得またはNCTI合算対象所得として合算する額の範囲内において、米国人の課税所得と認められます。この算定は、以下の要素を考慮せずに行われます。

(i)配当を受け取る配当所得に配賦される費用控除額
(ii)Subpart F所得に適用されるEarings and Profits(E&P)制限、Subpart F所得算定時の適格欠損金およびCFCグループ内の欠損金
(iii)他CFCのTested LossによるNCTI合算対象所得減額やNCTI計算時にマイナスされるみなしルーティン所得

しかしながら、Subpart FおよびNCTIに適用される高税率例外規定、または財務省規則セクション1.951A-2(c)(1)(iii)の高税率除外に基づきSubpart F所得やNCTIから除外される配当は、米国人の課税所得とは認められません。

配当の一部のみ課税される場合、非課税部分は米国人の課税所得とは取り扱われません。これらの判断は、一株ごと(share-by-share basis)に行われます。

財務省規則セクション1.245A-5との関係

財務省規則セクション1.245A-5は、CFCから受け取る特定の配当について、IRCセクション245AのDRDまたはIRCセクション954(c)(6)に基づくSubpart F所得の例外適用に制限を設けています。関連部分において、本規則は、IRCセクション245A適格のCFC支配株主のCFC持分が低減し、低減時点で算定される当該株主のSubpart F所得またはNCTI算入額が減少または消滅する場合に適用されます(「Extraordinary Reduction」制限規定)。本規則は、株主がCFCから受け取った配当で、かつ、当年度のSubpart F所得またはNCTI合算対象所得に帰属するものは、IRCセクション245AのDRDの適用を受けることができ、さらにIRCセクション951(a)(2)(B)に基づきCFC持分を取得した側でSubpart F所得またはNCTI合算対象所得を減額し、恩典が重複する可能性があるという懸念に対処するものです。

この懸念に対処するため、Extraordinary Reduction制限規定ではIRCセクション245AのDRDを否認し、その結果、当該配当は原則として課税所得に算入されることとなります。上層CFCが下層CFCから受け取った配当についても、IRCセクション954(c)(6)に基づくSubpart F合算例外規定に関して同様の制限を定めています。Extraordinary Reduction規定ではいずれの場合もCFC所有割合が減少した日をもって、支払側CFCの課税年度を終了させる選択を認めており、当選択を行う株主は当該短期課税年度についてCFCのSubpart F所得またはNCTI合算対象所得を合算することになります(これらの規則は、原則としてIRCセクション245Aまたは954(c)(6)の恩典を否認する効果を持ち、IRCセクション959も並行して適用されます)。

本通知に基づき米国人がCFCから受け取る配当に課税されるかどうかを判断する際、経過措置の適用よりも前に、財務省規則を含む税法全てを適用する旨を規定しています。このアプローチの下、本通知は、Extraordinary Reduction規定を経過措置よりも前に適用すること、ならびにExtraordinary Reduction規定で認められるCFCの課税年度を終了させる選択が引き続き可能であることを明確にしています。

申告方法

経過措置に基づき、IRCセクション951(a)(2)(B)にてSubpart F所得またはNCTI合算対象所得の合算額を減額する米国株主は、フォーム5471(特定の外国法人に関する米国株主の情報開示様式)に説明書を添付し、減額理由となる配当を特定するとともに、経過規定を適用した後になぜ、どのようにして当該株主がIRCセクション951(a)(2)(B)の減額を受ける権利があるのかを説明することが義務付けられます。

適用日および依拠

通知2025-75は、今後発表される規則案の適用は(i)2025年6月28日を含むCFC課税年度、または(ii)2025年6月28日より後に開始しかつ2026年1月1日以降を期首とするCFCの最初の課税年度より前に開始するCFC課税年度が対象と想定しています。加えて、納税者およびその関連者は、規則案の公表前に支払われた全ての配当について、当該通知の規則を全体的かつ一貫して遵守することを条件として、規則案が公表されるまでの間、当該通知のガイダンスに依拠することができます。

EYの考察

通知2025-75は、経過措置の適用に関する有益なガイダンスを提供しています。重要な点として、本通知は経過措置と財務省規則セクション1.245A-5との調整を図り、課税年度を終了させる選択も引き続き可能であることを明確にしています。また、本通知は、パートナーシップおよびSコーポレーションに対する取り扱い、ならびにRICおよびREITなどの事業体の所得算入についても有益な明確化を行っています。一方で本通知に基づき経過措置を適用する際のコンプライアンス負荷は高いと考えられます。


IRCセクション960(d)(4)における外国税額控除対象法人税10%減額対象に関する通知2025-77

背景

IRCセクション960(d)(1)は、IRCセクション951Aに基づきNCTI合算対象所得を認識する米国法人株主について、外国税額控除目的で、当該合算の基となるNCTI合算対象所得を認識するCFCの外国法人税を支払ったものとみなされます。その上で、米国法人株主は、制限枠内でこれら「みなし納付税額」について外国税額控除を計上することができます。OBBBA以前は、これら「みなし納付税額」の20%に相当する外国法人税が税額控除対象から減額されていました。OBBBAは減額対象を20%から10%に引き下げました。

米国法人株主側でNCTI合算されたCFC留保所得(セクション951A PTEP)の分配に課せられる源泉税もNCTIバスケットで外国税額控除対象となります。下層CFCが上層CFCに行う分配に対する源泉税および上層CFCの法人税も、IRCセクション960(b)に基づき、米国法人株主によって支払われたものとみなされます。

OBBBA以前は、当初のNCTI合算額に対するみなし納付税額に適用される20%の減額措置は、上述のセクション951A PTEP分配時の源泉税、ならびにIRCセクション960(b)に基づき支払われたとみなされる上層CFCの法人税のいずれにも適用されませんでした。例えば、セクション951A PTEPの分配を受け取り、当該分配が源泉税の対象となる場合、米国法人株主は通常の制限枠の範囲で源泉税の全額について外国税額控除を計上することができました。同様に、IRCセクション960(b)に基づき下層CFCによるセクション951A PTEPの分配に関して上層CFCが認識する法人税はセクション78に基づきみなし配当となるにもかかわらず、20%減額は適用されませんでした。

OBBBAはIRCセクション960(d)(4)を新設し、セクション951A PTEPの分配に課せられる法人税、またIRCセクション960(b)(1)に基づく法人税の10%を外国税額控除対象から減額するものです。したがって、OBBBAは、IRCセクション951A PTEPの分配に関連する法人税の取り扱いを、NCTI合算額に関するものと整合させています。

OBBBAの10%減額は「2025年6月29日以降に米国法人株主がNCTI合算したCFC留保所得のセクション951A PTEP分配に課せられる法人税が対象」と規定しています。OBBBA立法直後、10%減額対象が2025年6月29日以降の全てのセクション951A PTEP分配に適用される1のか、同日以降に米国法人株主がNCTI合算した金額を原資とする分配のみが対象なのかが明確でない点が指摘されていました。当通知では後者を採択しこの点を明確化しています。


通知2025-77

通知2025-77は当通知の内容に準じる規則案を発行する予定と公表しています。加えて、2024年12月2日に公表されているPTEP規則案を当通知内容を取り込む形で更新する予定です。

上述のとおり、10%減額は、2025年6月29日以降に米国法人株主がNCTI合算した金額を原資とする分配に適用されます。この適用対象分配の定義に基づくと、特定の状況下では、2025年6月28日以前に受け取ったセクション951A PTEPの分配に課せられた法人税が10%減額対象となる可能性があります。

適用日および依拠

通知2025-77は、納税者およびその関連者が全ての適用課税年度について当通知内容を全体的かつ一貫して遵守することを条件として、規則案が公表されるまでの間、本通知に依拠することを認めています。

EYの考察

通知2025-77は、セクション951A PTEPの分配(2025年6月28日の前後を問わず)に関する法人税は、当該PTEPが2025年6月29日以降に終了する課税年度における米国法人株主のNCTI合算額から生じたものである限り10%減額対象となると確認することで、IRCセクション960(d)(4)の適用対象法人税に関する不確実性を解消しています。


IPおよびその他の除外財産の販売または処分に関するDEIおよびFDDEIからの除外に関する通知2025-78

背景

2017年の税制改正で導入されたIRCセクション250(a)(1)は、米国法人に対し、FDDEIの一定割合の想定控除を認めることで、当該所得に対する米国連邦法人税率を実質的に引き下げています。米国法人のFDDEIとは(i)外国での使用のために米国外の者に対する販売もしくはライセンス供与、または(ii)米国外に所在する者に対して提供される、もしくは米国外に所在する財産に関して提供される役務、のいずれかから生じる控除対象所得(DEI)を指します。また、特定のカテゴリーの所得はDEIから除外されることから、FDDEI控除の対象となりません。

OBBBAによって改正されたIRCセクション250(b)(3)(A)(i)(VII)は、(i)IRCセクション367(d)(4)において定義される無形資産(IP)、および(ii)譲渡人で償却対象となる種類のその他の資産(以下、「その他の除外財産」)の譲渡またはその他の処分から生じるあらゆる所得および利得(以下、「OBBBA除外所得」)をDEIから除外すると規定しています。この目的上、譲渡またはその他の処分には、みなし販売およびIRCセクション367(d)でみなしロイヤルティを認識するタイプの取引が含まれますが、リースまたはライセンスは含まれません。したがって、IPの販売やその他の処分(ライセンスを除く)、またはその他の除外資産から生じる所得もしくは利得は、FDDEIの軽減税率の適用対象外となります。

IPおよびその他の除外資産の譲渡・処分に関するDEIからの除外は、2025年6月1日以降に発生する譲渡またはその他の処分(みなし販売またはIRCセクション367(d)の対象となる取引)に適用されます。

OBBBA除外所得の範囲

通知2025-78は、OBBBAによるIRCセクション250の改正であるOBBBA除外所得の範囲に関する規則案を発表するとしています。

IPもしくはその他の除外資産の譲渡またはその他の処分は、一般的な税制の規定に基づいて判断され、みなし譲渡、その他のみなし処分、およびIRCセクション367(d)の対象となる取引が含まれます。みなし譲渡またはその他のみなし処分には、連邦税法上の資産譲渡・処分として取り扱われるあらゆる取引または選択が含まれます。ただし、譲渡またはその他の処分には、連邦税法上でリースまたはライセンスとされるものは含まれません。したがって、例えば、外国人に対するIPのライセンス供与から生じる所得は、引き続きDEIに含まれ、該当する場合にはFDDEI控除の対象となります。

通知2025-78には例が含まれており、IPに関する取引を譲渡またはライセンスのいずれかと適切に性格付けるかの重要性が示されています。当通知では、形式上ライセンスと位置付けられている合意に、著作権の残存期間全体にわたる独占的かつ取消不能な使用権の付与が含まれる例を挙げ、これは一般的な税務取り扱いとしてIPの譲渡に性格付けられることから、当該(形式的な)ライセンスから生じるあらゆる所得または利得は、DEIおよびFDDEIから除外されるとしてます。一方、もし当該合意が一般的な税務取り扱い下でライセンスとして性格付けられた場合、当該合意から生じる所得または利得はDEIおよびFDDEIに含まれることになります。

この目的のIPはIRCセクション367(d)(4)の定義を参照します。通知2025-78は、著作物(IRCセクション861に基づく特定のソフトウェア規則において定義されるもの)は、この目的上の無形資産には該当しないとしています。

「その他の除外財産」とは、IP以外の資産であって、譲渡人側で(i)IRCセクション167に基づき減価償却の対象となる、(ii)Amortizationの対象となる、または(iii)IRCセクション611に基づき減耗控除の対象となる(あるいは過去に対象であった)資産と定義されています。

通知2025-78に含まれる例の1つは、法人が棚卸資産として保有し、かつ、自らの事業にも使用している種類の資産の譲渡に対して「その他の除外財産」という定義をどのように適用するのかを示しています。この例では米国法人が航空機を自己事業に供し減価償却を計上する一方で、他の航空機を棚卸資産として保有する事実関係を想定しています。例によりますと、過去に自らの事業に供し減価償却を計上していた航空機の譲渡から生じるあらゆる所得は「その他の除外財産」の販売による所得として取り扱われ、したがってDEIから除外されると規定しています。一方、棚卸資産として保有されている航空機の販売から生じる所得はDEIから除外されず、FDDEI控除の対象とすることができるとしています。

また、通知2025-78は関連者間の濫用防止規定を導入しています。これは、グループが「その他の除外財産」に関する規則の適用を回避することを主たる目的としてグループ内取引を行う場合に適用されます。

適用日および依拠

今後発表される規則案は最終化時点で、2025年6月17日以降に発生する譲渡またはその他の処分に対して適用されます。

納税者は、全ての適用課税年度について当該規則を全体的かつ一貫して遵守することを条件として通知2025-78の規則に依拠することができます。

EYの考察

通知2025-78は、DEIから除外される新たな所得カテゴリーの範囲を明確にしています。重要な点として、本通知は、税法のIPのライセンスは、一般原則に基づいて税務上ライセンスと取り扱われる場合、引き続きDEIの対象となることを確認しています。加えて、償却対象となる「種類」の資産でも、棚卸資産のように譲渡人側で償却対象とならない資産はDEIに含まれる点を確認しています。IPまたはその他の除外資産に該当する可能性のある取引(みなし取引を含む)を行う納税者は、それらの取引から生じる所得または利得がDEIに含まれ、有利なFDDEI税率の適用対象となるかどうかを判断するために、取引前に当該資産の税法上の取り扱い、ならびに取引自体の性格付けを慎重に検討する必要があります。


影響

これらの通知はOBBBAが導入した国際課税改正の適用法のいくつかに関して明確化するとともに、経過措置のガイダンスを提供しています。本通知によれば今後発表予定の規則案は、最終確定した時点で、原則として遡及的に適用される見込みです。規則案が発行されるまでの間、納税者は、一定の一貫性の要件を遵守することを条件として、本通知で個別に規定されたガイダンスに依拠することができます。納税者はこれらの通知の内容を慎重に検討し十分に理解しておく必要があります。


巻末注

  1. 上院財政委員会逐条解説、19ページより「本規定はまた、2025年6月28日より後に除外が発生する場合、IRCセクション951A(a)に基づく総所得への算入を理由としてIRCセクション959(a)に基づき総所得から除外される金額に関して支払われた、もしくは発生した(または支払われたとみなされる)あらゆる外国所得税の10%に相当する外国税額控除(FTC)を否認する。その結果、IRCセクション959(a)に基づき総所得から除外される金額が2025年6月28日以前に分配される場合、10%の否認は適用されない。しかし、IRCセクション959(a)に基づき総所得から除外される分配が2025年6月28日より後に発生する場合、10%の否認が適用される。」
    出典:www.finance.senate.gov/imo/media/doc/finance_committee_section-by-section_title_vii5.pdf


お問い合わせ先

EY税理士法人

秦 正彦 シニア・テクニカル・アドバイザー

※所属・役職は記事公開当時のものです