EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2026年6月2日、USTRは、強制労働によって全部または一部が生産された物品の輸入禁止措置の導入および効果的な執行が、各国・地域で行われていない点に関して、第301条に基づく60カ国・地域を対象とした調査(2026年3月12日に開始)の結果を公表しました。
第301条調査の開始に関する詳細については、2026年3月13日付EY Global Tax Alert「USTR initiates Section 301 investigations into 60 economies regarding imported goods produced with forced labor; comment period and hearings announced」〈英語のみ〉をご参照ください。
USTRは、調査対象である60カ国・地域の全てがこのような禁止措置の導入または効果的な執行を行っておらず、これらの行為、政策および慣行は不合理であり、米国の通商に負担または制限をもたらしていると判定しました。その結果、USTRは、各国・地域における強制労働産品の輸入禁止枠組みおよび関連するコミットメントの程度に応じて、差別化された関税率により、これらの国・地域からの輸入品に追加関税を課すことを提案しました。
USTRは、強制労働産品の輸入禁止措置の導入および効果的な執行の欠如は、強制労働産品が低コストで生産される恩恵を認めることであり、国際的な競争環境をゆがめ、結果として労働基準を順守する米国の生産者やその他の市場参加者が不利な立場に置かれていると結論付けました。
USTRは、調査対象となった60カ国・地域の全てが、強制労働によって生産された物品の輸入禁止措置の導入または効果的な執行を行っていないと判定しました。具体的には、54カ国・地域で上記措置の導入および効果的な執行のいずれもが欠如しており、6カ国・地域(カナダ、エクアドル、EU、インドネシア、メキシコ、パキスタン)では、既存の禁止措置の効果的な執行が行われていないとされました。
これらの調査結果に基づき、USTRは、全ての調査対象国・地域における行為、政策および慣行は不合理であり、米国の通商に負担または制限をもたらすとして、第301条に基づく措置の対象となると判定しました。こうした措置や効果的な執行の欠如が不合理とみなされた理由は、強制労働の排除という国際的な目標を損ない、強制労働を用いることにより不当に低いコストでの継続的な生産を可能とし、国際的に認められた基準を順守する企業にとっての公正な競争条件をゆがめるおそれがあるためです。
さらにUSTRは、こうした慣行が輸出市場および米国市場の双方において米国の生産者を不公正な競争にさらすことで、米国の通商に負担を与えると判定しました。グローバルサプライチェーンにおける強制労働の存在により、外国の生産者は基準を順守する競合他者よりも低価格で競争することが可能となり、結果として強制労働を用いずに生産された物品が排除され、米国の輸出、国内生産および雇用に悪影響を及ぼす可能性があります。
USTRは、調査対象国・地域の全ての製品(特定の除外を除く)に対して、次の2段階による追加従価税を課すことを提案しています。
Annex Aでは、製品別の除外が規定されています。Annexに記載された製品に加えて、「提案された措置は、情報資料、寄付品および携行手荷物、第232条関税の対象となっている全ての物品および部品、カナダまたはメキシコのUSMCAに準拠する物品、ならびにCAFTA-DRに基づきコスタリカ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、グアテマラ、ホンデュラスまたはニカラグアの原産品として無税で輸入される繊維および衣料品は対象としない」とされています。
また、USTRは繊維および衣料品について、一定量の輸入品に対して関税引き下げの適用を認める仕組みを提案しました。この仕組みの適用要件は、相手国・地域における米国産繊維(綿や化学繊維など)の使用量と、その国・地域から米国への衣料品および繊維製品の輸入量とを結び付けることにより、米国の輸出実績に連動する形で決定されます。USTRは、この仕組みの設計、範囲および適用について、関係者からの意見を求めています。
本提案により、広範な国・地域からの輸入品に対して10%または12.5%の追加関税が課される可能性があるため、輸入者には大きな負担が生じます。本判定で示された貿易相手国を含むサプライチェーンに依存する企業は、関税負担の増加に加えて規制当局や顧客からの監視強化にも直面する可能性があります。
一方で、このような高い関税環境においても、提案されている繊維製品に関する仕組みにより、衣料および繊維セクターの一部の企業にとっては、関税の軽減につながる限定的な機会が生じる可能性があります。この関税引き下げは、米国の輸出活動に応じて適用される場合があります。
強制労働問題に対する執行の厳格化により、規制、法務およびレピュテーションリスクが高まる可能性があり、サプライチェーン全体にわたる監視、文書化および内部統制の強化が求められます。
USTRは、対象製品の範囲、Annex Aの除外の妥当性および提案された関税率を含む、関税措置の提案についてコメントを募集しています。さらにUSTRは、強制労働に関するコミットメントに応じて関税の取り扱いに差異を設けるべきか、また提案された繊維製品に関する仕組みの設計や適用についても意見を求めています。コメントの提出期限は2026年7月6日です。
コメントは、USTRのポータルを通じて提出する必要があります。
各社の状況に応じて企業が取るべき対応策としては、以下が挙げられます。
EY税理士法人
大平 洋一 パートナー
原岡 由美 パートナー
福井 剛次郎 シニアマネージャー
※所属・役職は記事公開当時のものです
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