2026年3月決算会社での有価証券報告書最終チェック

2026年3月決算会社での有価証券報告書最終チェック


情報センサー2026年5月 会計情報レポート

EY新日本有限責任監査法人 品質管理本部 会計監理部

公認会計士 七海 健太郎
公認会計士 岡本 裕二

品質管理本部 会計監理部において、会計処理及び開示に関して相談を受ける業務、並びに研修・セミナー講師を含む会計に関する当法人内外への情報提供などの業務に従事している。

※所属・役職は記事公開時のものです

Ⅰ はじめに

本稿では、2026年3月期の有価証券報告書の作成にあたり、会計基準等や開示規則の主な改正などによる開示への影響、金融庁による有価証券報告書レビュー(以下、有報レビュー)の審査項目を踏まえた留意事項を解説します。なお、文中の意見にわたる部分は筆者らの私見であることをあらかじめ申し添えます。

Ⅱ 主な会計基準等の改正等による開示への影響

2026年3月期から原則適用又は早期適用可能となる主な会計基準等や、2026年3月末までに公表されている主な会計基準等が開示に与える影響について解説します。なお、これらの会計処理等の詳細については、情報センサー2026年3月掲載「2026年3月期 決算上の留意事項」をご参照ください。

1. 「2024年年次改善プロジェクト」による開示への影響

(1) 2024年年次改善プロジェクトによる会計基準等の改正

2025年3月に、2024年年次改善プロジェクトとして、<表1>の会計基準等が改正され、2026年3月期から原則適用されています。

表1 2026年3月期から原則適用となる会計基準等及び適用時期の一覧
 

略称

会計基準等

適用時期

包括利益の表示に関する改正

包括利益の表示に関する会計基準

株主資本等変動計算書に関する会計基準の適用指針

原則適用:2025年4月1日以後最初に開始する年度の期首から適用

特別法人事業税の取扱いに関する改正

法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準

税効果会計に係る会計基準の適用指針

原則適用:2025年4月1日以後最初に開始する年度の期首から適用

種類株式の取扱いに関する改正

種類株式の貸借対照表価額に関する実務上の取扱い

原則適用:2025年4月1日以後最初に開始する年度の期首以後取得する種類株式について適用

このうち包括利益の表示に関する改正については、連結株主資本等変動計算書の株主資本以外の各項目(その他有価証券評価差額、為替換算調整勘定など)について純額で表示する方法ではなく、主な変動事由ごとにその金額を表示する方法によっている場合などに影響が想定されます。また、特別法人事業税の取扱いに関する改正については影響を受ける企業の数が限定的、種類株式の取扱いに関する改正については実務への影響が生じる場合が限定的であると想定されています。

(2) 表示

包括利益の表示に関する改正では、連結株主資本等変動計算書において株主資本以外の変動を含む場合の「当期変動額」での項目について、「純資産の部に直接計上されたその他有価証券評価差額の増減」を「当期発生額」、「その他有価証券の売却による増減」を「組替調整額」とするなど、用語の変更が行われています。

特別法人事業税の取扱いに関する改正では、特別法人事業税のうち地方税法の規定により計算した所得割額によって課すもの(「特別法人事業税〈基準法人所得割〉」)について、事業税(所得割)と同様に「法人税、住民税及び事業税」として表示することが明確化されています。

(3) 注記

2024年年次改善プロジェクトによる会計基準等の改正により新たに定められた注記事項はありませんが、2024年年次改善プロジェクトによる会計基準等の改正は、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更の場合に該当するため、財務諸表利用者の意思決定への影響に照らした重要性を考慮し、当期又は過去の期間に影響があるとき、又は将来の期間に影響を及ぼす可能性があるときは、当期において、会計基準等の名称など所定の事項を注記します(企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」〈以下、企業会計基準第24号〉10項)。なお、重要性の乏しいものについては注記を省略することができます(財務諸表等規則第8条の3第4項、連結財務諸表規則第14条の2)。

2. 未適用の会計基準等に関する注記

(1) 注記事項

決算日までに公表されているものの、いまだ適用されていない新しい会計基準等がある場合には、以下の事項を注記することが求められます。なお、重要性の乏しいものについては注記を省略することができ(財務諸表等規則第8条の3の3第1項、連結財務諸表規則第14条の4)、連結財務諸表で注記を行っている場合は、個別財務諸表での注記を要しないこととされています(企業会計基準第24号22-2項)。

  • 新しい会計基準等の名称及び概要
  • 適用予定日(早期適用する場合には早期適用予定日)に関する記述
  • 新しい会計基準等の適用による影響に関する記述

新しい会計基準等の適用時期について、財務諸表の作成の時点においていまだ経営上の判断を行っていない場合には、「適用予定日に関する記述」においてその旨を注記する必要があります。また、適用の影響につき定量的に把握していない場合には、定性的な情報を注記することとされ、財務諸表の作成の時点において企業がいまだその影響について評価中であるときには、その事実を記述することで足りるとされています(企業会計基準適用指針第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」12-2項)。

(2) 2026年3月期における未適用の会計基準等

2027年3月期決算以降に原則適用となる会計基準等は<表2>のとおりです。このうち一部については2026年3月期において早期適用が可能です。一方で、これらを早期適用しない場合には、2026年3月期において未適用の会計基準等に該当します。このため、「未適用の会計基準等に関する注記」の要否について検討が必要となります。なお、適用時期については、3月決算会社を前提として記載しています。

表2 2027年3月期以降に原則適用される会計基準等
 

公表日

内容

名称

適用時期

2024年9月13日

借手のすべてのリースを基本的にオンバランスすることになるリース関連会計基準等の改正

企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」

企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」
*2

原則適用:2027年4月1日以後開始する年度の期首から適用

早期適用:2025年4月1日以後開始する年度の期首から適用可能

2025年3月11日

ベンチャーキャピタルファンド等の組合等への出資持分に係る会計上の取扱いの見直し

改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」

原則適用:2026年4月1日以後開始する年度の期首から適用

早期適用:2025年4月1日以後開始する年度の期首から適用可能

2025年10月16日

中間決算と四半期決算で同じ会計基準等に基づき決算できるようにするもの

企業会計基準第37号「期中財務諸表に関する会計基準」

企業会計基準適用指針第34号「期中財務諸表に関する会計基準の適用指針」
*2

原則適用:2026年4月1日以後開始する年度の最初の期中会計期間から適用

2025年11月11日

バーチャルPPA*1において取引される非化石価値に係る需要家の会計処理

実務対応報告第47号「非化石価値の特定の購入取引における需要家の会計処理に関する当面の取扱い」

原則適用:2026年4月1日以後開始する年度の期首から適用
早期適用:公表日(2025年11月11日)以降開始する年度の期首から適用可能

2026年1月9日

後発事象の評価期間の末日を財務諸表の公表の承認日とする

企業会計基準第41号「後発事象に関する会計基準」
*2

原則適用:2027年4月1日以後開始する年度の期首から適用

2026年2月27日

防衛特別法人税の当期税金に係る取扱い

実務対応報告第48号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」

原則適用:2026年4月1日以後開始する年度の期首から適用

*1 バーチャル電力購入契約(Virtual Power Purchase Agreement)
*2 表に記載した会計基準等の他に、関連する会計基準等が複数公表されている。詳細は以下、ASBJのウェブサイトを参照のこと。

出所:以下を基にEY作成
ASBJ「企業会計基準第34号『リースに関する会計基準』等の公表」、www.asb-j.jp/jp/accounting_standards/y2024/2024-0913.html (2026年3月25日アクセス)
ASBJ「企業会計基準第37号『期中財務諸表に関する会計基準』等の公表」、www.asb-j.jp/jp/accounting_standards/y2025/2025-1016.html(2026年3月25日アクセス)
ASBJ「企業会計基準第41号『後発事象に関する会計基準』等の公表」、www.asb-j.jp/jp/accounting_standards/y2026/2026-0109.html (2026年3月25日アクセス)

Ⅲ 開示府令の改正等による開示への影響

1. 2026年2月の開示府令の改正

2026年2月に、サステナビリティ開示基準(以下、SSBJ基準)の適用開始に向けた環境整備、人的資本開示に関する制度見直し等に関して、「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下、開示府令)等の改正が公布・施行されました。本章ではそれらのうち、2026年3月期の有価証券報告書の開示に影響し得る「人的資本開示制度見直し」及び「総会前開示への対応」について解説を行います。なお、当開示府令等の改正に含まれているSSBJ基準の適用義務は、時価総額に応じて2027年3月期以降の開始となります。

(1) 人的資本開示制度見直し

① 概要

人的資本が中長期的な企業価値の向上のために不可欠な要素であり、人的資本に関する情報の充実は投資家が企業の成長可能性を判断するために重要であると考えられることから、有価証券報告書における開示内容の改正が行われました。

これまで有価証券報告書「第1【企業の概況】」の1項目であった「【従業員の状況】」を、「第4【提出会社の状況】」に新設された「5【従業員の状況等】」の中の項目として記載することとされています。そして、「5【従業員の状況等】」において「【人材戦略に関する基本方針等】」を記載することとされました。また、使用人その他の従業員のみを対象としたストック・オプション制度や役員・従業員株式所有制度を導入している場合に、その制度の概要を「第4【提出会社の状況】」の「1【株式等の状況】」における「【新株予約権等の状況】」「【役員・従業員株式所有制度の内容】」に代えて、「【従業員の状況】」に記載することも可能とする改正がなされました。これらを図にしたのが<図1>です。

図1 従業員の状況の記載項目の集約

図1 従業員の状況の記載項目の集約
出所:EY作成

人材戦略に関する基本方針等としては、「第2【事業の状況】」の「1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題】」の項目に記載する連結会社ベースの経営方針・経営戦略等に関連付けた人材戦略、連結会社の従業員の給与(賞与を含む。以下同じ)その他の給付の額及び内容の決定に関する方針について記載が求められています。

従業員の状況においては、提出会社の平均年間給与の対前事業年度増減率について開示が求められることとなりました。

② 留意点

連結会社の従業員の給与その他の給付の額及び内容の決定に関する方針は、提出会社についてのものに限ることができます。ただし、提出会社が持株会社などの主として子会社の経営管理を行う会社である場合は、連結子会社(外国の会社を除く)のうち従業員数が最も多い会社(当該会社の従業員数が連結会社の従業員数の過半数を超えない場合には、次に従業員数の多い会社を含む)についての方針も記載が必要となります。

同様に、提出会社が主として子会社の管理を行う会社である場合には、提出会社の従業員数、平均年齢、平均年間給与、平均年間給与の対前事業年度増減率の記載は、連結子会社(外国の会社を除く)のうち従業員数が最も多い会社(当該会社の従業員数が連結会社の従業員数の過半数を超えない場合には、次に従業員数の多い会社を含む)についても会社ごとに区分して記載することが必要となります。

なお、人材戦略に関する基本方針等の項目と「サステナビリティに関する考え方及び取組」の項目に記載する事項に重複が生じる場合は、参照文言を付した上で、いずれかの項目に記載することも否定されていません。

(2) 総会前開示への対応

① 概要

有価証券報告書の開示負担を軽減し、株主総会前の有価証券報告書の開示を促進する観点から改正が行われています。

総会前開示を行う場合における、定時株主総会又はその直後に開催される取締役会の決定事項について、自己株式の取得及び剰余金の配当に関する事項のみを記載することとされました。

② 留意点

今回の改正は株主総会決議が行われた場合に別途臨時報告書の提出が求められることも踏まえ、有価証券報告書における開示事項を縮小しようとするものですので、株主総会で決議された事項については、これまで同様に開示府令第19条第2項第9号の2(株主総会における決議)に基づく臨時報告書の提出が必要です。

また、この改正で開示が不要となる典型例として、役員選任議案に係る事項が想定されますが、総会前開示後の定時株主総会又はその直後に開催される取締役会を経て役員の異動が生じた場合は、開示府令第19条第2項第9号(代表取締役の異動)に基づく臨時報告書の提出及び半期報告書の「役員の状況」での開示も必要となります。しかし、役員の異動について、総会前に開示する有価証券報告書に任意に記載した場合であって、その者が予定通り選任された場合には、開示府令第19条第2項第9号(代表取締役の異動)に基づく臨時報告書の提出及び半期報告書の「役員の状況」での開示は不要と考えられます。

2. 重要な契約に係る開示府令の改正(2025年3月期に経過措置適用の場合の影響)

2023年12月に、重要な契約の開示に関して、開示府令等の改正が公布され、2024年4月から施行されました。

本改正は、2025年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用されているものの、施行日前に締結された契約については、2026年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から記載が求められることになりますが、それまでは記載を省略することができるとする経過措置が設けられていました。経過措置を適用していた場合には、2026年3月期の有価証券報告書から記載となります。これらの詳細については、情報センサー2025年5月掲載「2025年3月決算会社での有価証券報告書最終チェック」をご参照ください。

Ⅳ 記述情報の開示

金融庁は、投資家と企業との建設的な対話に資する充実した企業情報の開示を促すことを目的として、毎年「記述情報の開示の好事例集」を公表・更新しています。

また、2023年1月に改正された開示府令において、有価証券報告書等に「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新設されたことを踏まえ、どのような開示が投資判断にとって有益と考えられるか、2025年10月から2026年2月にかけて投資家等による勉強会が実施され、これを受けて2026年3月に「記述情報の開示の好事例集2025」が公表されています。詳細は以下、金融庁のウェブサイトをご参照ください。

Ⅴ 金融庁による有報レビューを踏まえた開示の留意事項

1. 2026年度有報レビューにおける審査項目等

有価証券報告書の記載内容の適正性を確保する目的の下、毎年、金融庁と財務局等との連携により有報レビューが行われています

2026年度の有報レビューの概要は<表3>のとおりです。

表3 2026年度有報レビューの概要
 

項目

対象会社

審査内容及び方法

2026年度の対象項目

(1)法令改正関係審査

すべての有報提出会社

毎年の法令改正事項に関して、調査票*1に回答し所管の財務局等に提出

  • 重要な契約等の開示
  • 人的資本に関する開示

 

(2)重点テーマ審査

審査対象会社

特定の重点テーマに着目して審査対象会社を抽出し、個別の質問を送付

  • 人的資本に関する開示*2

(3)情報等活用審査

審査対象会社

適時開示や報道、一般投資家等から提供された情報等を勘案して審査を実施

*1 2025年度の有報レビューで識別された主な課題について審査結果を踏まえた留意すべき事項等に従って開示が行われているかについて確認する調査項目が含まれている。また、当該調査票は、有価証券報告書の作成に向けた準備段階や有価証券報告書の作成時に適宜参照し、提出前のチェックで利用する等、記載漏れ等の防止の観点で利用することが期待されるとされている(ただし、調査票のみで判断することなく、必ず該当の法令等を併せて参照する旨も示されている)。

*2 2026年2月に施行された人的資本開示に関する「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」の適用に伴い、有価証券報告書において開示される「従業員の状況等」に関する記載内容について提出会社による自主的な改善に資するよう審査するとされている。また、有価証券報告書において開示される「サステナビリティに関する考え方及び取組」における人的資本に関する記載内容についても、同様に審査するとされている。

2. 過去の有報レビュー

過去の有報レビューの重点テーマ項目は<表4>のとおりです。

表4 過去(直近3年間)の有報レビューにおける重点テーマ審査項目
 

対象年度

重点テーマ

2025年度

  • サステナビリティに関する企業の取組の開示*1
  • コーポレート・ガバナンスに関する開示(政策保有株式関連の開示を含む)*1

2024年度

  • サステナビリティに関する企業の取組の開示*2 *3

2023年度

  • サステナビリティに関する企業の取組の開示*2 *3

*1 有価証券報告書において開示される「サステナビリティに関する考え方及び取組」及び「コーポレート・ガバナンスの状況等」に関する記載内容について提出会社による自主的な改善に資するよう審査を実施。
*2 2023年1月に施行されたサステナビリティに関する情報開示の開示府令の改正に伴い、有価証券報告書において開示される「サステナビリティに関する考え方及び取組」に関する記載内容について自主的な改善に資するよう審査を実施。
*3 重点テーマ以外の有価証券報告書の記載項目(政策保有株式に関する開示等)についても適宜審査を実施。

3. 2025年度の法令改正等関係審査及び重点テーマ審査で識別された課題

(1) サステナビリティに関する企業の取組の開示に係る審査結果

サステナビリティに関する企業の取組の開示に係る審査結果として、識別された主な課題は<表5>のとおりです。なお、主な課題の10項目は全て前年度(2024年度)の有報レビューにおいても識別されていた課題であり、引き続き留意すべきとされています。

表5 主な課題(「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載)
 

課題①

サステナビリティ関連のガバナンスに関する記載がない又は不明瞭である

課題②

サステナビリティ関連のリスクを識別、評価及び管理するための過程に関する記載が不明瞭である

課題③

サステナビリティ関連の機会を識別、評価及び管理するための過程に関する記載がない

課題④

識別したサステナビリティ関連のリスク及び機会に対応する戦略並びに指標及び目標に関する記載がない又は不明瞭である

課題⑤

サステナビリティ関連のリスク及び機会の記載がない又は不明瞭なため、サステナビリティに関する戦略並びに指標及び目標に関する記載が不明瞭である

課題⑥

戦略並びに指標及び目標のうち重要なものについて記載がない

課題⑦

人的資本(人材の多様性を含む)に関する方針、指標、目標及び実績のいずれかの記載がない又は不明瞭である

課題⑧

人的資本(人材の多様性を含む)に関する指標、目標及び実績が連結会社ベースの記載になっていない

課題⑨

「サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載すべき事項を有価証券報告書内の他の箇所に記載して参照する場合において、記載上の不備がある

課題⑩

「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載事項について、公表した他の開示書類等に記載した情報を参照する場合において、記載上の不備がある

(2) コーポレート・ガバナンスに関する開示(政策保有株式関連の開示を含む)に係る審査結果

コーポレート・ガバナンスに関する開示(政策保有株式関連の開示を含む)に係る審査結果として、識別された主な課題は<表6>のとおりです。なお、2025年度の有報レビューで新たに識別された課題又は更新された課題については太字で示しており、太字で示したもの以外は2024年度の有報レビューにおいても識別されていた課題であり、引き続き留意すべきとされています。

表6 主な課題(コーポレート・ガバナンスの状況等の記載)
 

課題①

取締役会、会社が任意に設置する指名・報酬委員会、監査役会等の開催頻度、具体的な検討内容、出席状況等の記載がない

課題②

内部監査が取締役会に直接報告を行う仕組みの有無に関する記載がない

課題③

政策保有株式の銘柄ごとの保有目的(保有目的が提出会社と当該株式の発行者との間の営業上の取引、業務上の提携その他これらに類する事項を目的とするものである場合には、当該事項の概要を含む)が具体的に記載されていない

課題④

政策保有株式の銘柄ごとの保有目的が安定株主の確保にあるにもかかわらず、当該目的が記載されていない

課題⑤

取締役会等における政策保有株式の保有の適否に関する検証についての開示と実態に乖離(かいり)がある

課題⑥

銘柄ごとの政策保有株式の定量的な保有効果の記載が困難な場合において、政策保有株式の保有の合理性を検証した方法の記載が不明瞭である

課題⑦

政策保有株式縮減の方針を示しつつ、売却可能時期等について発行者と合意をしていない状態で純投資目的の株式に変更を行っており、実質的に政策保有株式を継続保有していることと差異がない状態になっている

課題⑧

政策保有株式縮減の方針を示しつつ、発行者から売却の合意を得た上で純投資目的の株式に区分変更したものの、実際には長期間売却に取り組む予定はなく、実質的に政策保有株式を継続保有していることと差異がない状態になっている

課題⑨

保有目的を純投資目的に変更した場合に、保有目的の変更の理由の記載が不明瞭である

課題⑩

保有目的を純投資目的に変更した場合に、変更後の保有又は売却に関する方針の記載が不明瞭である

(3) 重要な契約等の開示に係る審査結果で識別された主な課題

  • 企業・株主間のガバナンスに関する合意に該当する重要な契約等の開示において、取締役会における検討状況その他の当該提出会社における当該合意に係る意思決定に至る過程、又は、当該合意が当該提出会社の企業統治に及ぼす影響(影響を及ぼさないと考える場合には、その理由)の記載がない又は不明瞭である。

  • 重要な契約等が令和6年4月に施行された改正開示府令等の施行日(2024年4月1日)前に締結された契約である場合に、記載を省略する旨の記載(2025年4月1日より前に開始する事業年度に係る有価証券報告書までの経過措置)をしていない。2025年4月1日以後に開始する事業年度に係る有価証券報告書では経過措置が無くなるため、企業において検討を実施し、重要な契約等の開示漏れが無いように留意する。
     

(4) 内部統制報告書に係る審査結果で識別された主な課題

  • 内部統制報告書の「財務報告に係る内部統制の評価の範囲」の記載について、改正内部統制府令ガイドラインで定められている事項について「決定した事由」の記載がない又は不明瞭である。

4. 識別された課題及び課題への対応にあたって参考となる開示例集

金融庁のウェブサイトでは、個別項目それぞれについて、具体的な留意事項等を事例も交えて解説しています。加えて、課題への対応にあたって参考となる開示例集も示されています。詳細は、金融庁のウェブサイト「有価証券報告書レビュー及び大量保有報告書等のレビューについて(令和8年度)」をご参照ください。

※ 金融庁「有価証券報告書レビュー及び大量保有報告書等のレビューについて(令和8年度)」www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20260327.html (2026年4月28日アクセス)



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