2027年3月期の四半期及び中間決算上の留意事項

2027年3月期の四半期及び中間決算上の留意事項


情報センサー2026年6月 会計情報レポート

本稿の執筆者

EY新日本有限責任監査法人 品質管理本部 会計監理部

公認会計士 宮﨑 徹
公認会計士 久保 慎悟
公認会計士 浅野 浩隆
公認会計士 加藤 裕一
公認会計士 加藤 圭介

品質管理本部において、会計処理及び開示に関して相談を受ける業務、ならびに研修・セミナー講師を含む会計に関する当法人内外への情報提供などの業務に従事している。

※所属・役職は記事公開時のものです

3月決算会社における2027年3月期の四半期及び中間決算に影響する会計基準等を解説するとともに、決算上、留意すべきポイントについて解説します。

要点
  • 2027年3月期から期中財務諸表会計基準が原則適用され、四半期決算と中間決算で同じ会計基準が適用されることになるが、有価証券の減損処理と棚卸資産の簿価切下げの取扱いに留意が必要である。
  • 防衛特別法人税を地方法人税と同様に取り扱うことを明確化する実務対応報告第48号、バーチャルPPAの需要家側の会計処理を定めた実務対応報告第47号が原則適用される。
  • 改正金融商品実務指針が原則適用され、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドの出資持分に関する新たな会計処理が選択可能となる。

Ⅰ はじめに

本稿では、3月決算会社における2027年3月期の四半期及び中間決算に影響する会計基準等を解説するとともに、留意すべきポイントについて解説します。なお、文中の意見にわたる部分は筆者らの私見であることをあらかじめお断りします。

Ⅱ 新会計基準の適用時期及び略称

1. 2027年3月期から原則適用となる会計基準等

3月決算会社において、2027年3月期の期首から原則適用となる会計基準等及びその適用開始時期は<表1>のとおりです。

表1 2027年3月期から原則適用となる会計基準等及び適用時期の一覧
 

区分

会計基準等

略称

原則適用時期
(3月決算)

期中財務諸表(四半期・中間)

企業会計基準第37号「期中財務諸表に関する会計基準」

企業会計基準適用指針第34号「期中財務諸表に関する会計基準の適用指針」

期中財務諸表会計基準

 

期中財務諸表適用指針

 

原則適用:2027年3月期の第1四半期から
(早期適用:なし)

防衛特別法人税

実務対応報告第48号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」

実務対応報告第48号

原則適用:2027年3月期の期首から
(早期適用:なし)

バーチャルPPAに係る会計上の取扱い

実務対応報告第47号「非化石価値の特定の購入取引における需要家の会計処理に関する当面の取扱い」

実務対応報告第47号

原則適用:2027年3月期の期首から
(早期適用:公表日〈2025年11月11日〉以後開始年度期首から可能)

上場企業等が保有するベンチャーキャピタル(VC)ファンドの出資持分

改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」

金融商品実務指針

原則適用:2027年3月期の期首から
(早期適用:2026年3月期から可能)

2. 早期適用できる会計基準等

2027年3月期において早期適用できる会計基準等及びその適用開始時期は<表2>のとおりです。

表2 2027年3月期において早期適用できる会計基準及び適用時期の一覧
 

区分

会計基準等

略称

原則適用時期
(3月決算)

リース

企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」

リース会計基準

原則適用:2028年3月期の期首から

早期適用:2026年3月期から可能

譲受人が特別目的会社(SPC)である場合の金融資産の消滅

改正企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」

改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」

改正企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」

なし

原則適用:2028年3月期の期首から

早期適用:2027年3月期の期首から可能

Ⅲ 期中財務諸表

1. 期中財務諸表会計基準の概要

2025年10月16日に、企業会計基準委員会(以下、ASBJ)から期中財務諸表会計基準及び期中財務諸表適用指針(あわせて以下、期中財務諸表会計基準等)が公表され、2027年3月期の第1四半期から適用されます。

このような期中財務諸表会計基準等が開発されるに至った背景として、2023年の金融商品取引法改正により、上場会社においては2025年3月期以後、新たな四半期開示制度が適用され、期中の財務情報については、第2四半期は金融商品取引法に基づく半期報告書として法定開示が行われています。一方、第1・第3四半期は金融商品取引所の規則に基づく四半期決算短信による開示が行われる制度へと変更されています。この結果、金融商品取引法及び金融商品取引所の定める規則に基づく開示制度の下で、中間財務諸表と四半期財務諸表とが、それぞれ異なる会計基準に基づいて作成されるなど、制度上異なる枠組みの下で作成される状況が生じており、期中に開示される財務諸表全体としての整合性の確保について問題意識が示されていました。こうした状況を踏まえ、上場会社及び財務諸表利用者から、中間決算と四半期決算は同じ会計基準等に基づいて行うべきであるとの意見が示されたことを背景として、中間財務諸表と四半期財務諸表に関する会計基準等を統合した期中財務諸表会計基準等が開発されました(期中財務諸表会計基準BC5項、BC6項)。

2.期中財務諸表会計基準等の適用対象となる財務諸表

期中財務諸表会計基準等は、年度より短い期間の企業集団又は企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況について報告するために期中財務諸表を作成する場合に適用することとされています(期中財務諸表会計基準第3項、BC21項、BC22項)。

上場会社においては、期中の財務情報については、半期及び四半期ごとに開示されており、第1四半期及び第3四半期に係る四半期財務諸表等は、取引所規則に基づき公表される四半期決算短信の中で開示されます。これらの四半期財務諸表等については、有価証券上場規程施行規則別添9の改正により、従来の四半期会計基準に代えて、期中財務諸表会計基準等に準拠して作成することとされています。一方、第2四半期については、金融商品取引法に基づく半期報告書が提出され、当該報告書に含まれる第一種中間連結財務諸表等についても、期中財務諸表会計基準等に基づいて作成されることとされています。また、取引所規則に基づく決算短信についても、四半期決算短信作成要領において第一種中間連結財務諸表等に係る定めを参照することとされています。このように、第2四半期に係る半期報告書に含まれる第一種中間連結財務諸表等及び第1・第3四半期に係る四半期財務諸表等のいずれにおいても、期中財務諸表会計基準等に基づいて財務諸表が作成されることとされているため、同会計基準等は結果として期中開示全体に共通する会計基準等として機能するものとなっています。

期中財務諸表会計基準等の適用対象となる財務諸表は<表3>のとおりです。

表3 期中財務諸表会計基準等の適用対象となる財務諸表
 

区分

財務諸表の種類

内容

適用対象となるもの
(期中財務諸表会計基準第3項、BC21項)
  • 第一種中間連結財務諸表
  • 第一種中間財務諸表
  • 上場会社等が提出する半期報告書に含まれる中間財務諸表
  • 四半期財務諸表等
  • 第1・第3四半期に係る四半期決算短信に含まれる財務諸表等(有価証券上場規程施行規則別添9に基づき、期中財務諸表会計基準等に準拠して作成)
適用対象とならないもの
(期中財務諸表会計基準第3項、BC22項)
  • 第二種中間連結財務諸表
  • 第二種中間財務諸表
  • 非上場会社や特定事業会社等が提出する半期報告書に含まれる中間財務諸表(引き続き「中間連結財務諸表作成基準」、「中間連結財務諸表作成基準注解」、「中間財務諸表作成基準」及び「中間財務諸表作成基準注解」が適用される)

3. 実務上の影響

期中財務諸表会計基準等では、企業の報告の頻度(年次、半期、又は四半期)によって年次の経営成績の測定が左右されることがないようにするという原則が採用されています。また、第一種中間財務諸表及び四半期財務諸表に共通して適用される取扱いと、四半期財務諸表のみに適用される取扱いを区分するなど基準の構成についても整理が行われています(期中財務諸表会計基準BC14項~BC18項)。そして、このような原則を踏まえ、報告の頻度の違いによって会計処理の結果が異ならないようにする観点から、期中特有の簡便的な会計処理については、その適用の可否が個別に検討され、見直し又は取扱いの明確化が図られています。また、これとは別に、年次の経営成績に重要な影響を与え得る項目については、上記の原則の下、期中においても経営成績の測定結果が報告頻度によって左右されないような会計処理が求められています。

具体的には、有価証券の減損処理及び棚卸資産の簿価切下げについては、期中洗替え法によることが原則とされた一方、従前から切放し法を適用していた場合には、例外的にその継続適用が認められています。なお、こうした例外的な取扱いとして期中において切放し法を適用する場合には、その旨を期中財務諸表の注記事項として記載することが求められています。概要は<表4>のとおりです。

表4 有価証券の減損処理及び棚卸資産の簿価切下げに係る期中会計処理(従前との比較)
 

項目

有価証券の減損処理

棚卸資産の簿価切下げ

従前の会計処理(中間適用指針又は企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」)

  • 中間(四半期)切放し法と中間(四半期)洗替え法のいずれかの方法を選択適用することができる。
  • いったん採用した方法は、原則として継続して適用する必要がある。
  • 年度決算において、棚卸資産の簿価切下げに洗替え法を適用している場合は、中間(四半期)会計期間末においても洗替え法による。
  • 年度決算において切放し法を適用している場合は、中間(四半期)会計期間末において、洗替え法と切放し法のいずれかを選択適用することができる。
  • いったん採用した方法は、原則として継続して適用する必要がある。

期中財務諸表会計基準等(期中財務諸表適用指針第4項、第7項、BC16項、BC19項)

  • 原則として、期中洗替え法による。
  • ただし、期中財務諸表適用指針の適用前に企業会計基準適用指針第32号又は企業会計基準適用指針第14号に基づき切放し法を適用していた場合には、継続して切放し法を適用することができる。
  • 期中切放し法を適用する場合には、切放し法を採用している旨を注記する。

また、一般債権の貸倒見積高の算定及び連結会社相互間取引に係る未実現損益の消去については、期中において当該見積りに影響を与える取引状況等に重要な変化がないことを前提として、前年度の実績率や合理的な予算等を用いた簡便的な算定方法が引き続き認められています。さらに、期中において見積りの前提となる状況に重要な変化が生じた場合には、その見直し後の実績率等が期中会計期間末まで大きく変動していないと考えられるときは、当該見直し後の合理的な基準を用いることができるとされています。簡便的な会計処理が認められる範囲は、<表5>のとおりです。

表5 簡便的な会計処理が認められる範囲
 

項目

簡便的な会計処理が認められる考え方

一般債権の貸倒見積高の算定

  • 前年度の貸倒実績率等から重要な変動がない場合、又は期中に見直しを行った後に当該貸倒実績率等が期中会計期間末まで大きく変動していない場合には、前年度末又は見直し後の貸倒実績率等を用いた合理的な算定の前提を使用可能

連結会社相互間取引に係る未実現損益の消去

  • 前年度から取引状況に大きな変化がない場合、又は期中に損益率の見直しを行った後に当該損益率又はその算定の前提が期中会計期間末まで大きく変動していない場合には、前年度又は見直し後の損益率、若しくは合理的な予算に基づく損益率を用いて未実現損益を簡便的に見積ることができる。

なお、期中財務諸表会計基準等の開発にあたっては、これまで他の会計基準において定められていた四半期又は中間に関する取扱いについても、全体的な体系整理の観点から期中財務諸表会計基準等の体系に整理・取り込む対応が行われています。この結果、四半期固有の会計処理や注記に関する取扱いの整理が行われているほか、役員賞与や自己株式の処理など、一部の個別論点についても期中財務諸表における取扱いが明確化されています。

4. 適用時期及び適用初年度の取扱い

期中財務諸表会計基準等は、2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の最初の期中会計期間から適用されます(期中財務諸表会計基準第34項、第35項)。このため、3月決算会社においては、2027年3月期第1四半期から期中財務諸表会計基準等を適用することとなります。また、期中財務諸表会計基準等では、会計方針を変更する場合の経過措置として、適用初年度の最初の期中会計期間から将来にわたって新たな会計方針を適用する取扱いが定められており、遡及適用は求められていません(期中財務諸表会計基準第34項、第35項、BC45項~BC47項、期中財務諸表適用指針第72項、第73項)。

Ⅳ 防衛特別法人税の会計処理及び開示

2026年2月27日に、ASBJから防衛特別法人税の取扱いを定めた実務対応報告第48号が公表され、2027年3月期の期首から適用されます。

企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(以下、法人税等会計基準)は、従来、適用対象となる具体的な税金を挙げ、当該税金について規定する税法を参照することにより適用対象となる税金を特定していました。このため、防衛特別法人税のような新たな税金が創設される場合には、現行の税制改正のスケジュールに鑑みると、税制改正から適用までの短期間で会計基準等の改正を行う必要があると考えられます。

これを受けて、企業会計基準公開草案第94号「法人税等に関する会計基準(案)」等では、特定の税目を個別に定めるのではなく、適用対象となる税金について原則的な定めを置く方法が提案されています。

一方で、当該見直しに係る改正後の会計基準等は、防衛特別法人税が課される初年度の2026年4月1日に開始する連結会計年度及び事業年度には適用が間に合わず、その時点では準拠すべき会計基準等が存在しない状況となるため、短期的な対応として実務対応報告第48号が別途公表されました。

実務対応報告第48号は、防衛特別法人税について、会計処理及び開示に関する当面の取扱いを明らかにするものであり、地方法人税と同様に取り扱うことを基本としています。このため、既存の法人税等や税効果会計に関する会計処理の基本的な考え方を変更するものではなく、これまでの実務に与える影響は限定的であると考えられます。

1. 防衛特別法人税に係る当期税金に関する会計処理及び表示

防衛特別法人税は、法人税額から基礎控除額を控除した額を課税標準として課すこととされているため、法人税に対する付加税という点において、地方法人税と共通の性質を有していると考えられるとされています。このような防衛特別法人税の性質を考慮して、防衛特別法人税に関する会計処理及び表示については、地方法人税と同様に行うものとして、法人税等会計基準の定めに従うこととされています(実務対応報告第48号第7項、第13項、BC7項、BC12項)。

2. 防衛特別法人税に係る税効果会計に関する会計処理

防衛特別法人税は、法人税に対する付加税として課されるものであることから、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金である法人税等(企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」〈以下、税効果適用指針〉第4項〈2〉)に該当すると考えられるため、税効果会計の対象となる税金に含まれると考えられるとされています。また、法定実効税率の定義(税効果適用指針第4項〈11〉)並びに繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率に関する定め(税効果適用指針第46項)については、適用対象となる税金に関して具体的な税金を挙げて定めています。これらを踏まえ、防衛特別法人税の取扱いについて、次のとおり定められました(実務対応報告第48号BC8項)。

①  防衛特別法人税が地方法人税と共通の性質を有していることを考慮し、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率に関する定めにおいて、地方法人税と同様に取り扱うものとして、税効果適用指針第46項の定めに従う(実務対応報告第48号第8項)。

②  防衛特別法人税は法人税に対する付加税であるため、法定実効税率については、地方法人税率と同様に防衛特別法人税率を考慮して算定する(実務対応報告第48号第9項)。

なお、上記②に記載の法定実効税率については次のとおり算定することになります(補足文書「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」第13項)

図1 従業員の状況の記載項目の集約

3. グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示

(1) 防衛特別法人税に係る当期税金及び通算税効果額に関する会計処理

防衛特別法人税はグループ通算制度の対象となり、地方法人税と共通の性質を有します。グループ通算制度を適用する場合の会計処理については、そのような性質を考慮し、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」(以下、実務対応報告第42号)の定めに従うこととされました(実務対応報告第48号第10項、BC9項)。

グループ通算制度における通算税効果額については、法人税に相当する金額であることから益金不算入及び損金不算入とされているため、実務対応報告第42号において、「当事業年度の所得に対する法人税及び地方法人税に準ずるものとして取り扱う」こととされています(実務対応報告第42号第7項)。この考え方と同様に、防衛特別法人税に係る通算税効果額※1については、防衛特別法人税の額に相当する金額として、益金の額又は損金の額に算入されない金額であるため(実務対応報告第48号第6項〈2〉)、個別財務諸表において、防衛特別法人税に係る通算税効果額は、当事業年度の所得に対する防衛特別法人税に準ずるものとして取り扱うこととされました(実務対応報告第48号第11項、BC10項)。

※1 損益通算、欠損金の通算及びその他のグループ通算制度に関する法人税法(昭和40年法律第34号)上の規定を適用することにより減少する防衛特別法人税の額に相当する金額として、通算会社と他の通算会社との間で授受が行われた場合に益金の額又は損金の額に算入されない金額をいう(実務対応報告第48号第6項〈2〉)。

(2) 防衛特別法人税に係る税効果会計に関する会計処理

グループ通算制度を適用する場合の防衛特別法人税に係る税効果会計については、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととされました(実務対応報告第48号第12項、BC11項)。

また、防衛特別法人税は地方法人税と共通の性質を有しており、防衛特別法人税に係る通算税効果額が損益通算や欠損金の通算等により生じるものであることは、通算税効果額のうち地方法人税に係るものと同様です。このため、防衛特別法人税に係る通算税効果額の取扱いについては、通算税効果額のうち地方法人税に係るものの取扱いと同様に、実務対応報告第42号の定めに従うこととされました(実務対応報告第48号第12項また書き、BC11項)。

(3) 表示及び注記事項

グループ通算制度を適用する場合における、防衛特別法人税に関する表示及び注記については、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととされました(実務対応報告第48号第14項、BC13項)。

個別財務諸表における防衛特別法人税に係る通算税効果額に関する表示については、通算税効果額のうち地方法人税に係るものと同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととされました(実務対応報告第48号第15項、BC14項)。また、連結財務諸表における防衛特別法人税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債に関する表示については、地方法人税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととされました(実務対応報告第48号第16項、BC15項)。

さらに、防衛特別法人税に係る税効果会計に関する注記についても、地方法人税と同様に行うものとして、実務対応報告第42号の定めに従うこととされました(実務対応報告第48号第17項、BC16項)。

4. 適用時期

防衛特別法人税は2026年4月1日以後に開始する事業年度から課されることから、実務対応報告第48号についても、2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとされました(実務対応報告第48号第18項、BC17項)。したがって、3月決算会社においては2027年3月期の期首からの適用となります。

なお、企業会計基準公開草案第94号「法人税等に関する会計基準(案)」等が最終化された場合、防衛特別法人税の会計処理及び開示に関しては、最終化された法人税等会計基準等に準拠することとなります。この場合、実務対応報告第48号の適用が終了されるものの、防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する取扱いは変更されないものと想定されています。


Ⅴ バーチャルPPAに係る会計上の取扱い

2025年11月11日に、ASBJから非化石価値に係る会計上の取扱いを定めた実務対応報告第47号が公表され、2027年3月期の期首から原則適用されます。

近年、多くの企業において、脱炭素、低炭素化に向けた取組みを活発化させており、「地球温暖化対策の推進に関する法律」(温対法)への対応等のため、いわゆるバーチャル電力購入契約(Virtual Power Purchase Agreement;以下、バーチャルPPA)を活用する取引が増加しています。実務対応報告第47号は、バーチャルPPAにおいて取引される非化石価値に関し、その購入取引における需要家の会計処理に関する当面の取扱いを定めており、本パートではその概要について解説します。

なお、詳細は情報センサー2026年2月掲載「実務対応報告第47号「非化石価値の特定の購入取引における需要家の会計処理に関する当面の取扱い」の解説」及び企業会計ナビ「実務対応報告第47号『非化石価値の特定の購入取引における需要家の会計処理に関する当面の取扱い』のポイント」をご参照ください。
 

1. バーチャルPPAの概要

バーチャルPPAに明確な定義はありませんが、再生可能電力発電設備の所有者である発電事業者から需要家に、事前に合意した価格と期間に基づいて、電力の取引を伴わずに非化石価値を移転する契約がバーチャルPPAと呼ばれることが多いとされています(実務対応報告第47号BC1項)。

バーチャルPPAにより需要家は、再生可能電力発電設備が生み出す電力と非化石価値のうち、非化石価値のみを取得することができます。これにより需要家は、再生可能電力を直接購入できない場合でも、発電事業者から非化石価値のみを取得し、別途小売電気事業者から調達する再生可能電力でない電力を組み合わせることで実質的に再生可能電力を調達したのと同じ効果を得ることができます。今後も企業の環境意識の高まりとともに、バーチャルPPAの活用がさらに拡大することが見込まれます。バーチャルPPAのイメージは<図1>のとおりです。

図1 バーチャルPPAのイメージ

図1 バーチャルPPAのイメージ
出所:自然エネルギー財団「コーポレートPPA実践ガイドブック(2023年度版)」(2023年7月)を基にEY作成

2. 適用範囲

(1) 対象者

実務対応報告第47号では、非化石価値の特定の購入取引における需要家の取扱いを定めています(実務対応報告第47号第1項)。ここでいう需要家とは、後述の(2)の特徴を有する契約を締結する者のうち、非化石価値を自己使用目的で購入する者を指すとされています(実務対応報告第47号第5項〈2〉)。

(2) 適用する契約

実務対応報告第47号を適用する契約の範囲は、<表6>のとおり、発電事業者と需要家の相対の契約のうち一定の特徴を有する契約と、それに加えて特定卸供給事業者(アグリゲーター)等※2と需要家の契約のうち同様の特徴を有する契約とされています。

表6 実務対応報告第47号を適用する契約の範囲
 

①発電事業者と需要家の契約(実務対応報告第47号第2項)

需要家による非化石価値の転売(子会社又は関連会社への融通を除く。以下同じ)が想定されておらず、発電事業者から需要家に電力の取引を伴わずに非化石価値を移転する契約のうち概ね次の特徴を有するものに適用する。

  • 発電事業者と需要家の相対の契約である。
  • 需要家は、発電事業者との間で、契約で指定された再生可能電力発電設備の発電量に応じた量の非化石価値を購入する契約を締結する。
  • 需要家は、当該非化石価値を買い取る義務を負う。

②特定卸供給事業者(アグリゲーター)等と需要家の契約(実務対応報告第47号第3項)

需要家による非化石価値の転売が想定されておらず、特定卸供給事業者等から需要家に電力の取引を伴わずに非化石価値を移転する契約のうち次の特徴を有するものに適用する。

  • 特定卸供給事業者等と需要家の相対の契約である。
  • 需要家は、特定卸供給事業者等との間で、再生可能電力発電設備で発電を行う者の再生可能電力発電設備を契約で指定し、当該再生可能電力発電設備の発電量に応じた量の非化石価値を特定卸供給事業者等から購入する契約を締結する。
  • 需要家は、当該非化石価値を買い取る義務を負う。


※2  特定卸供給事業者(アグリゲーター)等とは、電気事業法第2条第1項第15号の4に規定する特定卸供給事業を営むことについて同法第27条の30第1項の規定による経済産業大臣への届出をした者及びこれに準ずる者をいうとされている(実務対応報告第47号第5項〈5〉)。なお、特定卸供給事業者等は発電事業者等から再生可能電力発電設備で発電した電力を購入し、当該電力に係る非化石価値を需要家との契約により売買することが認められている。

3. 会計処理

(1) 会計上の考え方

企業会計基準諮問会議に寄せられたテーマ提案では、非化石価値の対価として、契約上の固定価格と卸売電力市場で決定される電力価格(以下、卸電力市場価格)の差額に契約で指定された再生可能電力発電設備の発電に応じた電力量を乗じて得た金額を発電事業者と需要家との間で決済すること(以下、差金決済)が一般的であるとされ、差金決済の想定元本等の量が定まらない場合に、デリバティブに該当するか否かについて明確化することを検討することが挙げられていました(実務対応報告第47号BC21項)。

この点に関して、上述の2.(2)の特徴を有する契約(以下、実務対応報告第47号を適用する契約)には、需要家が支払う対価を固定価格とするものもあり、契約上の固定価格と卸電力市場価格の差額を非化石価値の価格とすることは需要家が支払う対価を決定する1つの方法であると考えられます。このため、ASBJは、契約に含まれる差金決済という特徴のみに着目してデリバティブに該当するか否かの検討を行うのではなく、需要家にとって契約の主たる目的であると考えられる非化石価値の取得について、非化石価値取引の概要や非化石価値の特徴を踏まえてどのような会計処理が経済実態を表すのかを検討することとされました(実務対応報告第47号BC22項)。

(2) 非化石価値を受け取る権利及び対価の支払義務に関する会計処理

非化石価値を受け取る権利及び対価の支払義務に関する会計処理に関し、①非化石価値を受け取る権利の認識時点、及び②非化石価値を受け取る権利の認識時点の会計処理について、<表7>のとおりとされています(実務対応報告第47号第6項、第7項)。

表7 非化石価値を受け取る権利及び対価の支払義務に関する会計処理
 

項目

内容

①非化石価値を受け取る権利の認識時点

  • 契約で指定された再生可能電力発電設備による発電が行われ、かつ、金額を信頼性をもって測定できる時点において会計処理を行う
  • 遅くとも国による電力量の認定時点では、金額を信頼性をもって測定できるものとして取り扱う

②非化石価値を受け取る権利の認識時点の会計処理

  • 費用処理を行い、対価の支払義務に係る負債を計上する

実務対応報告第47号を適用する契約において、発電により将来非化石価値を受け取る権利及び対価の支払義務が需要家に生じていることを考慮すると、発電時点において会計処理を行うことが考えられることが示されています。しかしながら、国による電力量の認定時点より前は非化石価値の量が確定していないことなどにより、発電時点において会計処理を行うことが実務的に困難な場合があることが想定されることを踏まえ、発電が行われ、かつ、金額を信頼性をもって測定できる時点で会計処理を行うこととされています。

この場合、国による電力量の認定時点では、非化石価値の量が確定することとなり、契約内容や卸電力市場価格等に基づき価格についても情報を得ることができると考えられるため、遅くとも国による電力量の認定時点においては金額を信頼性をもって測定できるものとして取り扱うこととされています(<図2>参照)。

図2 認識時点のイメージ

図2 認識時点のイメージ
出所:実務対応報告第47号を基にEY作成

なお、国による電力量の認定時点においても、必ずしも契約上発電事業者等から需要家に対し発電量等の情報が通知されることにはなっていない場合があることも想定されます。このことから、需要家においては、適時かつ適切に会計処理を行えるよう、発電事業者等との間で契約内容や通知の仕組みを事前に整理しておく必要があると考えられます。

(3) 決算日において発電が完了しており、決算日後に国による電力量の認定が行われた場合の取扱い

決算日において発電が完了しているものの、非化石価値の量や価格に係る情報を収集できない等の状況下で、需要家が非化石価値を受け取る権利の金額を信頼性をもって測定することができなかった場合には、当該需要家は非化石価値を受け取る権利に係る費用を計上する必要はありません。したがって、仮に決算日後の事実と状況により信頼性をもって測定することが可能となったとしても、修正後発事象として非化石価値を受け取る権利に係る費用計上の修正を行う必要はない、と考えられることが示されています。

ただし、決算日において発電が完了しており、かつ、非化石価値の量や価格に係る必要な情報を収集したことで需要家が非化石価値を受け取る権利の金額を信頼性をもって測定したことにより、当該需要家が非化石価値を受け取る権利に係る費用を計上した場合には、当該需要家が決算日後により精緻な測定が可能となる情報を入手したことを受けて、重要性に応じて計上した費用の金額を修正することが考えられることが示されています(実務対応報告第47号BC29項)。

(4) 対価の差金決済を行う場合の取扱い

非化石価値の対価として差金決済を行う場合において、卸電力市場価格が契約上の固定価格を上回ることにより、需要家が対価を受け取ることとなるときは、当該対価を費用から減額することとされています(実務対応報告第47号第8項)。

(5) 子会社又は関連会社への非化石価値の融通

子会社又は関連会社への非化石価値の融通に関して、次のとおり定められています。

① 親会社から子会社又は関連会社への融通は「転売」として取り扱わないこととし、本実務対応報告を適用する契約を締結する者が、その子会社又は関連会社に融通する目的で非化石価値を購入する場合において、当該子会社又は関連会社が非化石価値を自己使用目的で取得するときは、当該契約を締結する者を「需要家」として取り扱う(実務対応報告第47号第5項〈2〉)

② 需要家がその子会社又は関連会社に融通する目的で非化石価値を購入する場合、当該需要家とその子会社又は関連会社との取引については、両者の合意内容に基づき会計処理を行う(実務対応報告第47号第9項)


4. 開示

開示について、実務対応報告第47号の開発時点で観察される契約における非化石価値の金額が電力料金に比べて相対的に少額である中で、その開示の有用性を勘案し、非化石価値を自己使用目的で取得するという実務対応報告第47号の範囲では、開示に関する定めは設けないこととされています。ただし、実務対応報告第47号を適用する契約が財務諸表全体の観点から重要であり、利害関係者が企業集団又は企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する適正な判断を行うために必要と認められる場合には、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」等に基づき、追加情報として開示することになると考えられることが示されています(実務対応報告第47号BC45項)。

5. 適用時期

適用時期について<表8>のとおり定められています(実務対応報告第47号第10項)。

表8 適用時期
 

原則/早期

適用時期(3月決算の場合)

原則適用

2026年4月1日以後開始する年度(2027年3月期)の期首から適用する

早期適用

公表日(2025年11月11日)以後開始する年度の期首から適用することができる

6. 経過措置

実務対応報告第47号の適用初年度において、その適用によりこれまでの会計処理と異なることとなる場合、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱います(実務対応報告第47号第11項)。

ただし、実務対応報告第47号の適用にあたっては、遡及適用を求めないこととし、経過措置として、実務対応報告第47号を適用することによりこれまでの会計処理と異なることとなる場合、需要家に生じた非化石価値を受け取る権利で、契約で指定された再生可能電力発電設備により適用初年度の期首までに発電が行われ、かつ、金額を信頼性をもって測定できるものについては、当該非化石価値を受け取る権利の金額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減することとされています。この場合、当該期首時点で国による電力量の認定時点が到来しているものに係る金額は、適用初年度の期首の利益剰余金に加減する金額に含めることとされています(実務対応報告第47号第11項、BC47項)。


Ⅵ VC等の組合等への出資持分に係る会計上の取扱い

VC等の組合等への出資持分に係る会計上の取扱いに関して市場価格のない株式の時価評価を一定の条件の下で可能とする、金融商品実務指針の改正が、ASBJから2025年3月11日に公表され、2027年3月期の期首から原則適用されます。

1. 改正の経緯

企業が投資する組合等※3への出資の評価に関して、当該組合等の構成資産が金融資産に該当する場合には企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」(以下、金融商品会計基準)に従って評価し、当該組合等への出資者である企業の会計処理の基礎とするとされています。このため、企業が投資する組合等の構成資産が市場価格のない株式である場合には、取得原価で評価することとされていました(金融商品実務指針第132項)。

このような定めに関して、非上場株式を時価評価することにより投資家に対して有用な情報が開示及び提供されること等を理由として、VCファンドに相当する組合等の構成資産である市場価格のない株式について、一定の条件の下で、時価評価することを認めるとする、金融商品実務指針の改正がなされました(金融商品実務指針第132-2項、第308-2項)。

※3 任意組合すなわち民法上の組合、匿名組合、パートナーシップ、及びリミテッド・パートナーシップ等(金融商品実務指針第132項)。組合等への出資については、原則として、組合等の財産の持分相当額を出資金として計上し、組合等の純損益の持分相当額を当期の純損益として計上する。

2. 会計処理

(1) 対象となる組合等の範囲

金融商品実務指針では、対象となる組合等の範囲に関して、以下の要件が設けられました(金融商品実務指針第132-2項、第308-3項)。

① 組合等の運営者※4は出資された財産の運用を業としている者であること
② 組合等の決算において、組合等の構成資産である市場価格のない株式について時価をもって評価していること

これは、VCファンドに相当する組合等とそれ以外の組合等を明確に区分することは困難と考えられたため、VCファンドに相当する組合等を直接的に定義することは行わないこととしたこと、また一方で、組合等の構成資産である市場価格のない株式の時価の信頼性を担保するために、当該要件を設けることとされたものです。

なお、②の要件に関して、「時価をもって評価している」場合とは、組合等が適用している会計基準により市場価格のない株式について時価評価が求められている場合のほか、市場価格のない株式について時価評価する会計方針を採用している場合が含まれると考えられるとされています。また、時価評価の方法としては、企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」に基づいた時価で評価する場合のほか、国際財務報告基準(IFRS)第13号「公正価値測定」又はFASB Accounting Standards Codification(米国財務会計基準審議会〈FASB〉による会計基準のコード化体系)のTopic820「公正価値測定」に基づいた公正価値で測定している場合が含まれると考えられるとされています(金融商品実務指針第308-3項)。

(2) 出資者である企業の会計処理

会計処理に関して、(1)の①及び②の要件を満たす組合等への出資は、当該組合等の構成資産に含まれるすべての市場価格のない株式(出資者である企業の子会社株式及び関連会社株式を除く)について時価をもって評価し、組合等への出資者の会計処理の基礎とすることができることとされました。ただし、時価をもって評価することができる株式の対象として、出資者である企業の子会社株式及び関連会社株式は除かれるとされています(金融商品実務指針第132-2項、第308-4項、第308-5項)。そして、この場合の評価差額の持分相当額は、当期の損益ではなく、「その他有価証券評価差額金」として純資産の部に計上することになります(移管指針公開草案第15号〈移管指針第9号の改正案〉「金融商品会計に関する実務指針〈案〉」に対するコメントNo.20参照)(<図3>参照)。

図3 組合等への出資の取扱いのイメージ

図3 組合等への出資の取扱いのイメージ
出所:EY作成

(3) 企業の選択に関する方針

金融商品実務指針では、組合等への出資者である企業が金融商品実務指針第132-2項の定めを適用する組合等の選択に関する方針を定め、当該方針に基づき、組合等への出資時に金融商品実務指針第132-2項の定めの適用対象かどうか決定することとされています。これは、組合等については、これに対する出資の目的や性質が異なる場合があると考えられることから、範囲に含まれるすべての組合等について一律に適用対象とすることは必ずしも適切ではないと考えられたためです。また、企業の意思により自由に適用を終了することを認めることは、会計処理の透明性や比較可能性の観点から適切ではないと考えられるため、金融商品実務指針132-2項の定めを適用することとした組合等への出資の会計処理は、出資後に取りやめることはできないこととされています(金融商品実務指針第132-3項、第308-5項)。

なお、金融商品実務指針第132-2項の定めを適用することを選択した組合等で、ファンド・オブ・ファンズのように当該組合等が別の組合等に出資しているケースにおいては、当該組合等が出資する別の組合等ごとに金融商品実務指針第132-2項(1)及び(2)の要件を満たすかどうかの判定を行います。この結果、要件を満たした別の組合等についてのみ、その構成資産に含まれるすべての市場価格のない株式について時価をもって評価し、その組合等への出資者の会計処理の基礎とすることになると考えられるとされています(金融商品実務指針第308-5項)。

(4) 減損処理

上記「(2)出資者である企業の会計処理」に記載されているように、組合等の構成資産に含まれる市場価格のない株式について時価をもって評価した場合には、当該株式の減損処理については、時価のある有価証券の減損処理に関する定め(金融商品実務指針第91項)に従って減損処理を行い、組合等への出資者の会計処理の基礎とすることとされています(金融商品実務指針第132-4項、第308-6項)。

これらの会計処理の概要をまとめたものが<表9>となります。

表9 金融商品実務指針における組合等への出資の会計処理のまとめ
 

(1)

対象となる組合等の要件

① 組合等の運営者は出資された財産の運用を業としている者であること

② 組合等の決算において、組合等の構成資産である市場価格のない株式について時価をもって評価していること

(2)

出資者である企業の会計処理(金融商品実務指針第132-2項)

(1)の要件を満たす組合等への出資は、当該組合等の構成資産に含まれるすべての市場価格のない株式(出資者である企業の子会社株式及び関連会社株式を除く)について時価をもって評価し、組合等への出資者の会計処理の基礎とすることができる。

この場合、評価差額の持分相当額は純資産の部に計上する。

(3)

企業の選択に関する方針

組合等への出資者である企業は、金融商品実務指針第132-2項の定めを適用する組合等の選択に関する方針を定め、当該方針に基づき、組合等への出資時に適用対象かどうか決定する(なお、出資後に取りやめることはできない)。

(4)

減損処理

金融商品実務指針第132-2項の定めを適用する組合等の構成資産である市場価格のない株式については、市場価格のない株式等の減損処理に関する定め(金融商品実務指針第92項)に代わり、時価のある有価証券の減損処理に関する定め(金融商品実務指針第91項)に従って減損処理を行い、組合等への出資者の会計処理の基礎とする。


※4 「組合等の運営者」とは、わが国におけるVCファンドの多くで用いられている投資事業有限責任組合の形態においては、無限責任組合員が該当すると考えられる。また、他の法形態に基づく組合等については、投資事業有限責任組合における無限責任組合員と類似の業務を執行する者が該当すると考えられる。

3. 四半期及び中間決算における注記事項

企業会計基準適用指針第31号「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(以下、時価算定適用指針)第24-16項では、貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資については時価の注記を要しないこととし、その場合、注記していない旨及び時価算定適用指針第24-16項の取扱いを適用した組合等への出資の貸借対照表計上額の合計額を注記することとされています。

金融商品実務指針では、金融商品実務指針第132-2項の定めを適用する組合等への出資については、これらの注記に併せて、以下の事項を注記することとされています(金融商品実務指針第132-5項、第308-7項)。

(1) 金融商品実務指針第132-2項の定めを適用している旨
(2) 金融商品実務指針第132-2項の定めを適用する組合等の選択に関する方針
(3) 金融商品実務指針第132-2項の定めを適用している組合等への出資の貸借対照表計上額の合計額

* 当該事項の注記は、時価算定適用指針第24-16項の取扱いを適用した組合等への出資の貸借対照表計上額の合計額の内数に該当すると考えられる。

なお、半期報告書に含まれる中間(連結)財務諸表において金融商品に関する注記を記載する場合※5にも、上記(1)から(3)の注記を行うことになります。

また、第1・第3四半期決算短信においては、金融商品関係の注記は開示が義務付けられている事項ではありませんが、「投資判断に有用と考えられる情報」とされています。東京証券取引所の決算短信・四半期決算短信等作成要領等において、「四半期連結財務諸表における項目の表示に係る取扱いについては、第一種中間財務諸表等での取扱いを準用する」ものとされていることを踏まえると、第1・第3四半期決算短信においても金融商品に関する注記を記載する場合には、上記(1)から(3)の注記を同様に行うことが適切と考えられます。

※5 金融商品については、当該金融商品に関する中間(連結)貸借対照表の科目ごとに、会社(企業集団)の事業の運営において重要なものとなっており、かつ、中間(連結)貸借対照表計上額その他の金額に前事業年度(連結会計年度)の末日に比して著しい変動が認められる場合には、中間(連結)貸借対照表の科目ごとの中間(連結)貸借対照表日における中間(連結)貸借対照表計上額、時価及び当該中間連結貸借対照表計上額と当該時価との差額を注記しなければならない(中間〈連結〉対照表計上額と時価との差額に重要性が乏しい場合を除く)(財務諸表等規則第138条第1項、連結財務諸表規則第111条第1項)。
 

4. 適用時期及び経過措置

VC等の組合等への出資持分に係る会計上の取扱いの見直しに関する金融商品実務指針の改正は、2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用されます(金融商品実務指針第195-20項)。このため、3月決算会社においては、2027年3月期第1四半期から改正された金融商品実務指針を適用することとなります。

そして、適用初年度の期首時点において、組合等への出資者である企業が定めた方針に基づいて金融商品実務指針第132-2項の定めを適用する組合等を決定することとされています。

また、遡及適用は求めず、適用初年度の期首から将来にわたって適用することとし、適用後の当期純利益等への影響が適切となるように、以下の経過措置を設けることとされています(金融商品実務指針第205-2項、第358項)。

(1) 適用初年度の期首時点において、金融商品実務指針第132-2項の定めを適用する組合等の構成資産に含まれるすべての市場価格のない株式(出資者である企業の子会社株式及び関連会社株式を除く)について時価をもって評価し、組合等への出資者の会計処理の基礎とする。この場合、適用初年度の期首時点での評価差額の持分相当額を適用初年度の期首のその他の包括利益累計額又は評価・換算差額等に加減する。

(2) 適用初年度の期首時点において、金融商品実務指針第132-2項の定めを適用する組合等の構成資産に含まれるすべての市場価格のない株式(出資者である企業の子会社株式及び関連会社株式を除く)について時価のある有価証券の減損処理に関する定め(金融商品実務指針第91項)に従って減損処理を行い、組合等への出資者の会計処理の基礎とする。この場合、減損処理による損失の持分相当額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減する。



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