Asahiのチームは変化に対応するため最善を尽くしていたものの、手作業中心のプロセスがインサイト抽出の妨げになっていました。「マーケットごとにスプレッドシートを使って作業しており、それ自体は機能していましたが、多くの時間と人手がかかっていました。プロセスをスピードアップし、より早く成果につなげ、質の高い対話を実現することに大きな可能性があったのです」と、Jipps氏は述べています。
「販売促進活動における効率性や効果がわずかに高まるだけでも、大きなリターンを得られます」と、Bailey氏は付け加えています。
Asahi とEYのチームは共同で、AIを活用したTPOツールを設計しました。同ツールは、3つの連動するインテリジェント機能、つまりRGMデータを分析して売上・販促効果の要因を明らかにする記述分析、そのインサイトに基づいて推奨策や販売計画を導き出す処方分析、販売活動が収益に与える影響を予測する予測分析の3つの機能を備えています。EYのRGMフレームワークを基盤とし、Microsoft Azureの機械学習機能を活用して構築された同ツールは、Asahiが展開する各市場のニーズに対応できるよう設計されており、カスタマイズされたSAP環境とも容易に統合できます。
新たなツールの特長は、高度に洗練された分析機能にあります。また、EYが提供する消費財向けコマーシャル分析プラットフォームも活用しており、「複雑で多層的なデータセットを組み合わせ、さまざまな要因が売上や販促費の効果にどう影響するかを提示できます。POSデータに加え、天候パターン、取引上の制約、地域差なども取り込み、AI、自動化、アナリティクスを用いて、予測やビジネス上の意思決定の在り方を根本から変革しました」と、Hanmerは述べています。
EY Studio+に所属するデザインのプロフェッショナルらは、日常的な利用を促す直感的なインターフェースの設計を支援しました。「ツールの価値は、それを使う人によって決まります。ユーザーが最大限に活用する方法を理解し、いつ最適化や進化が必要なのかを見極めることが重要です。これは、ツールと人の共生です」と、Hanmerは言及しています。
AsahiとEYのチームは、継続してツールを改善しました。こうした継続的な開発へのコミットメントを、Bailey氏は重要な成功要因の1つに挙げています。この経験は、緊密なパートナーシップの重要性を示しており、「AsahiとEYの関係はトランザクション型ではありません。課題に向き合い、協働を促すオープンな対話に基づいています」と、Qinは述べています。
Jipps氏は、より深いインサイトを迅速に得られるようになったことで、状況が大きく変わったと語り、「自動化により、大規模な販促だけでなく、すべての販促を確認できます。何がうまくいっていて、何がそうでないかをすぐに把握できます。テクノロジーが、商品の店頭配置から競合の動きまで、あらゆるデータを統合し、成果を生む要因は何かを特定できるようになりました。記述分析、処方分析、そして予測モデリングがすべて高速に実行できるのです。これらは、スプレッドシートでは不可能でした」と、付け加えています。
セールスチームは、すぐに行動に移せるインサイトへ容易にアクセスできるようになりました。その一例がルーマニアです。
「大小さまざまな数百件の販促施策を確認し、24時間以内に分析結果と顧客に提示できる推奨事項の一覧を作成できました。こうした成果が見え始めると、取り組みは一気に広がり、本格的な浸透につながっていきました」と、Jipps氏は述べています。
Panwar氏は、紙のバウチャーをローコード/ノーコードアプリケーションでデジタル化したポーランドの事例を紹介しています。
「Microsoftのテクノロジーを基盤とする仕組みにより、これまで紙のバウチャーを小売店へ持参していたセールスチームの担当者の負担を軽減できました。今ではその必要はありません。ボタンをクリックするだけで、バウチャーは小売店、卸売業者、そして監査・確認を行う財務チームへと連携されます」
同氏によれば、セールスチームにもたらされた効果は、事業全体にも波及しています。「セールスチームがより多くの情報を得られるようになると、意思決定は速くなり、顧客との交渉もより効果的になります。これは、顧客と当社双方の効率性と成長を高め、コスト最適化にもつながります」