EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
生成AIの機能は日々大きく更新されており、それに関連する新たなテクノロジーやサービスも矢継ぎ早にリリースされています。多くの企業が自社の成長戦略の推進と加速に向けて生成AIの活用を検討しているものの、本来あるべき技術選定や意思決定が非常に困難であるため、先行きが見えない中での一手創出に苦慮している状況です。目の前に見えている表層的な技術を積み上げるだけでは、形式的な技術検証(PoC)に終始してしまうでしょう。骨太なAI活用を進めるためには、生成AIの本質を理解することが何よりも重要です。その上で自社の在りたい姿を描き出し、それを具現化するためのピースとして生成AIを組み合わせていくことで、発展性と実現性かつ実効性を兼ね備えた、解像度の高いアーキテクチャを策定することができるでしょう。EYでは、高度な生成AIに関する豊富な経験と知見を有しており、それらを活用して企業が将来ビジョンを構想し実行していくことを支援し、より良い世の中の実現に貢献します。
この1年で生成AIが爆発的に成長する中で、AI戦略に果敢に取り組み、企業成長を加速させるチャンスをつかむか、あるいは自社が時代に取り残されるのを見過ごしてよいかの判断で、最高情報責任者(CIO)は重大な岐路に立たされています。この課題から、自社の価値創出においてCIOがこれまで以上に重要な役割を担う必要性があることが強く示されています。先見の明があるCIOは新たな時代の最前線に立って指揮を執りながら、サイバーセキュリティの脅威からプライバシーへの懸念に至るまで幅広い潜在リスクに注意を払っています。
今回実施した2024年EY CIO Sentiment Surveyの調査結果から、CIOが先端テクノロジーの導入効果を最大限に引き出すために、このような挑戦にどう立ち向かうべきかについてのインサイトを明らかにしています。また、M&A、事業構想、デジタル成熟度の向上における戦略的役割をCIOがどのように拡大しているかという点も示しています。
半数近くのCIOが過熱する生成AIブームにまだ完全には乗り切れていないものの、大多数のCIOがIT予算の少なくとも10%を生成AIに費やしています。CIOは社内プロセスのデジタル化にとどまらず、事業の成長に貢献しようと意欲的です。実際、多くのCIOは変化のスピードに追いつくという喫緊の課題を受け入れ、自社の将来を見据えた変革的なビジョンを描く準備が整っていると見受けられます。
企業において成長・イノベーション・レジリエンスを推進する主導役、もしくは経営層と対等なパートナーとして、テクノロジー部門の存在感が高まっています。
多くの企業においてテクノロジー部門は、成長・イノベーション・レジリエンスを推進する主導役、もしくは経営層と対等なパートナーとして、その存在感が高まっています。しかし、そうした成長戦略を推進する力を十分発揮できているCIOはまだ限定的です。テクノロジー部門が自社で成長・イノベーション・レジリエンスを主導することが望ましいと捉えているCIOはわずか34%にとどまります。多くのCIOは、テクノロジーの活用で事業成長を実現させることにより、自身の影響力を高め、主導権を握る機会を模索している段階です。
CIOは自社の戦略策定に積極的に関与することで、大幅な改善効果を引き出すことができます。デジタル施策の統括権限を持つCIOは、権限を持たないCIOと比較して成功率が24%高く、その差は歴然としています。新たにデジタルビジネスを構築する例では、CIOが統括権限を持つ企業は、CIOが限定的な権限しか持たない企業、もしくは全く権限のない企業と比較して、成功率が最大79%も高まると言われています。
ディールの目的を十分達成できていると述べているCIOは32%にすぎません。
M&A市場は活発な状況で、多くの企業がジョイントベンチャーや戦略的提携によって革新的テクノロジーを自社に取り入れる計画を立てています。86%のCIOが生成AIをベースとしたソフトウェアのプラットフォームや事業を買収、または関連企業との提携を計画していますが、多くの場合、このような社外企業への投資が、自社開発だけに頼るよりも大きな価値を生み出すと考えられています。
大多数(73%)のCIOは、企業買収などのデューデリジェンスに多大な労力を費やしていると述べています。しかし、戦略の整合性、テクノロジーの統合、および業務の効率化などでこれらのトランザクションの成功率を向上させるためには、準備段階のプレフェーズから企業統合後のポストフェーズに至るライフサイクル全体においてCIOが関与する範囲を広げることが必要です。実際、企業統合やIT業務の変革が実施される、クロージング後の重要な時期に関与しているCIOは、37%にとどまっています。このことが、M&Aなどのディール目的を十分に達成できているCIOが32%に限定されている一因になっていると考えられます。
多くのCIOは、特にデータアナリティクス(43%)、ITとサイバーのデューデリジェンス、そして買収・合併後の統合プロセス(PMI)(いずれも41%)において、AIや生成AIの活用がトランザクションプロセスの改善に寄与すると予測しています。特に、ドキュメント分析の自動化、サイバー攻撃のシミュレーション、ソフトウェアの脆弱性分析、データ統合、また、システム内の重複・非効率性の特定といった用途で大きな影響があると考えられています。
ほぼ半数に当たる49%のCIOは、自社の企業価値を生成AIが大幅に向上させると考えています。これは重要な傾向ですが、同時に半数以上のCIOからは、生成AIへの初期投資ブームを正当化できるほどの信頼を得る状況には至っていないことを意味しています。
このような懸念はさておき、CIOは生成AIへの投資を着実に進めています。83%のCIOは今後1年間に生成AIの予算増額を策定し、中でも12% のCIOが前年比50%以上の増加を見込んでいます。多くのCIOがITの年間予算のうち少なくとも10%を生成AIに投資しており、これは大企業にとってもかなりの額に相当するものです。さらに、CIOとCEOが共同でAI戦略を主導する場合、関連予算は平均レベルを上回り、IT予算全体の13%に達します。
63%のCIOは自社の生成AIの取り組みをけん引しており、次にCEO(55%)が高い割合です。26%の企業で生成AIが本稼働環境で運用されている一方、47%はパイロット運用または技術検証段階です。
多くの企業が既に一定の進展を遂げているものの、生成AIという革新的なテクノロジーから十分な成果を得るためには、その有効な手だてを打ち出し、さらなる努力が必要な実態が調査結果から明らかになりました。
37%近くのCIOが収益創出を生成AIの取り組みを進行させる主な動機にしており、27%はビジネスモデルを再構築する潜在力を理由に挙げています。また、CIOの5人に1人、つまり19%は、コスト削減を生成AIの導入目的に挙げています。
企業が成長を果たすためにCIOができることは、プロセスの最適化を通じた収益創出と効率化を重視するマインドセットへの転換です。実際、こうした転換は既に進行中で、多くのCIOは内部プロセスのデジタル化(53%)にとどまらず、新たなデジタル製品・サービスの開発(47%)にも取り組んでいます。
IT投資の中で、65%のCIOが生成AIを用いてこれまで手動で対応していたIT業務の自動化を目指しており、56%のCIOはヘルプデスクやセルフサービス機能に生成AIを活用する意欲を示しています。
CIOは自社開発よりも、買収や提携を通じて生成AIソリューションの開発に取り組む傾向にあります。テクノロジーを成長ドライバーの主力に位置付けている企業は、生成AIのユースケースを積極的に開発しています。こうした企業では社内人材の活用によるAIソリューションの自社開発の取り組みについて言及されがちですが、本調査では86%が生成AIベースのソフトウェアのプラットフォームや事業の買収、または関連企業との提携に大きな価値を見いだしていると回答しています。
このような外部ベンダーとの連携に注力する傾向は、採用トレンドからも見て取れます。生成AIのスキルを持つ人材を採用すると回答したCIOは11%にとどまり、その他のAIスキルについてはわずか8%です。一方で、クラウドおよびエッジコンピューティング(55%)、IoT(49%)、データサイエンス(49%)といった市場で求められるスキルを持つ人材の採用には力を入れています。
調査によると、製品・サービス開発に注力するCIOは生成AIを積極的に導入する傾向があります。実際に、IT予算の25%以上を製品・サービス開発に配分している企業の94%が、生成AIをパイロット段階または本稼働環境で運用しています。
生成AIに対する見解は業界や企業規模(上場企業か非上場企業)により大きく異なります。例えば、非公開企業は生成AIを事業再構築の好機とみなすことが多いのに対し、上場企業はコスト削減の手段と捉えがちです。また、中小企業(売上規模ベース)は大企業と比較して生成AIのメリットに対する不確実性が高いとされています。大企業の経営者と比較すると、中規模企業の経営者は生成AIに対してより懐疑的です。生成AIが企業価値の大幅な向上に貢献しない(投資に見合うリターンはない)と考えている経営者の割合は中規模企業で43%、大企業では36%です。
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