EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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最先端のリスクマネジメント手法によって、いかにして信頼と確信を持ってディスラプションを受け入れ、価値の創造と競争力の強化が可能となるかをご紹介します。
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価値とビジョン
「変革を成功に導くには、『どんな価値を創出するのか』という目的を明確にすることが不可欠です」EY-Parthenon Global Strategy and Execution リーダーであるJohn van Rossenは、このように述べ、さらに次のようにコメントしています。「その第一歩は、目指す価値を特定し、追求すべき価値機会について、明確で意味のあるビジョンを描くことです。その実現には、社内外の人材やケイパビリティを結集し、戦略目標と実行を行き来しながら、節目では的確に軌道修正を行うといった“価値のオーケストレーション”が求められます。そして最終的に、『価値の実現』、すなわち実質的で持続的な成果を生み出すことがゴールです。そのために、変革を担う従業員の経験や意識といった人的側面を含め、細部にまで目を配ることが重要となります」
価値創出を中心に据えたこうしたアプローチは、多くのリスクマネジメント部門にとって実践のハードルが高く、その結果、変革そのものが難航する要因ともなっています。その背景の一つは、すでに述べたように、リスクマネジメント部門が企業にもたらす価値が、これまで十分に定量化・可視化されてこなかったことです。そのため、「どのような価値を創出すべきか」を見極めること自体が難しい状況にあります。加えて、事業部門間や、リスクマネジメント部門と戦略部門間の足並みがそろっていないケースも少なくありません。こうした整合性の欠如は、人材やケイパビリティを結集し、価値を実現へと導く取り組み(価値のオーケストレーション)を阻害する要因となっています。
もっとも、これを課題として捉えること自体には意味があります。というのも、「リスクストラテジスト」への変革は本質的に、リスクマネジメント部門が企業全体に価値をもたらすことになるからです。リーダーは、変革に関する問いを「価値をどう生み出すか」という観点で組み立て直すことで、組織の移行を後押しできます。
具体的な手順として、まずは、自社が目指すリスクマネジメントの将来像を明確に描くことから始めます。その際の基盤となるのが、「ビジネス価値重視」、「整合性」、「機動力と探求心」、「テクノロジー活用」という4つの原則です。これらを軸にリスクマネジメントの在り方を再構築することで、同部門はより戦略的な役割を担うようになり、価値の特定・統合(オーケストレーション)・実現を効果的に進めやすくなります。この4つの原則については、以下で詳しく説明します。
リスクマネジメントの将来像を実現可能なレベルで描けたら、次のステップとして、現在からその未来へと至る道筋を設計します。その際に鍵となるのは、「フューチャー・バック・プランニング(未来起点の計画手法)」です。従来のビジネス計画では、まず現状を起点に、有機的・非有機的な成長施策を積み上げながら将来像を描くのが一般的でした。これに対し、フューチャー・バック・プランニングでは、最初に「目指す未来像」を明確に定義し、そこから逆算して、必要な新規資産や能力を特定します。その上で、現状とのギャップを洗い出し、投資や能力構築の計画を策定していきます。この手法は、想像力の限界や、従来の延長線上の発想に陥りがちな思考を回避する上で非常に有効です。
フューチャー・バック・プランニングを進めるに当たっては、ケイパビリティや資産への投資に関して、いくつかの本質的な問いに向き合う必要があります。重要なのは、これらの問いをすべて「どのような価値を生み出すのか」という価値起点の視点で捉えることです。例えば、リスクマネジメント変革を構成する要素の中で、どれが自社にとって最も戦略的で、最も価値を生むのか。価値を最大化するために、リスクマネジメント機能は、AIをはじめとするテクノロジーに、いつ、どの程度投資すべきなのか。どのリスクマネジメント手法が、最も戦略的で価値を生むのか。そして、外部のパートナーとどのように連携し、価値をオーケストレーションしていくのか――こうした問いへの答えが、投資判断と実行の質を左右します。
戦略的なリスクマネジメント機能を確立するための主要原則
リスクストラテジストは、複数の基本原則に基づいて組織を構築することで、価値を見極め、それを全社的にオーケストレーションし、最終的な成果として実現していきます。リスクマネジメント変革の進め方や具体像は企業ごとに異なりますが、ここで示す4つの原則は、「あるべき姿」を考える上での共通の指針となるものです。これらは、アンケート調査への回答や複数のインタビューから導き出されたものであり、リスクストラテジストのアプローチに共通して見られるテーマです。
- ビジネス価値重視
- 整合性
- 機動力と探求心
- テクノロジー活用