EYの事例

年功序列の制度からスキルベースの人事制度へ―社員と組織の成長が連動する人材マネジメントとは

職能(スキル)と評価・処遇を連動させ、社員の自律的な成長を促す人事の在り方──今、スキルベース人事制度に注目する企業が増えています。人員配置と育成を最適化し、企業の持続的成長にも結びつく新たな人材マネジメントとは何か。ジェイアール東海総合ビルメンテナンスの事例に学びます。

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The better the question

社員のスキルを評価・処遇に確実に結びつける仕組みの必要性

ジェイアール東海総合ビルメンテナンスでは、建物の維持管理からビルマネジメント事業への転換に向け、技術力と生産性の向上を支える人材の強化が急務に。評価制度を根本から見直し、スキルと評価・処遇をつなぐ新たなスキルベースの人事制度への切り替えを計画します。


事業拡大に向け、技術力を高める人材の強化が急務に

EY 桑原 由紀子(以下、桑原):御社では2025年度より、スキルベースの人事制度を導入されています。どのような事業環境のもとで検討されたのでしょうか。

ジェイアール東海総合ビルメンテナンス株式会社 山崎 泰氏(以下、山崎氏):当社は1997年の設立以来、JR東海グループのビルメンテナンス会社として、主に大型商業施設やオフィスビル、ホテル等の管理業務を手掛けてまいりました。近年では業績の伸展に伴い、高度化・多様化していく業務実態に即して、より高い技術力と生産性を安定的に確保する必要性を感じていました。

そうした折り、維持管理を中心とするメンテナンス事業から、建物の価値を高めるためのビルマネジメント事業への転換を目指し、事業拡大の方針を打ち立てました。2023年に発表した、今後10年の事業指針となる「JR東海グループビジョン2032」および「JRBM(ジェイアール東海総合ビルメンテナンス株式会社)中長期ビジョン2032」に掲げられたその方針のもと、目標達成の原動力となる人材の充実を図るための取り組みを始めたのです。


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ジェイアール東海総合ビルメンテナンス株式会社
代表取締役社長 山崎 泰 氏

桑原:その中で「人事制度の再構築」を優先課題として設定されたのは、どのような理由からでしょうか。

山崎氏:従来のように「個人の経験」や「営業所の工夫」だけに頼っていては、事業環境の変化に機敏に対応することができないと考えたからです。計画的に人材を育て、着実に技術力を高める仕組みが必要でした。そのためには、個々の社員が今、何を身につけるべきかを明確に示し、それに応じて各人が伸ばした能力や成果を、評価や処遇にしっかり結びつける人事制度に変えなくてはなりません。

これまでも社員のスキルを評価する仕組みはありました。ただ、評価項目が非常に多く、細部にわたっていたため、現実的に管理しづらいものになっていました。処遇との連動も不明瞭でしたから、社員からすると、能力を上げようと努力しても、それが正しく評価され賃金が上がると感じにくいという状況にあったわけです。

ジェイアール東海総合ビルメンテナンス株式会社 鈴木 智靖氏(以下、鈴木氏):当社に限らず、高齢化が進む中で技術力の継承は喫緊の課題ですから、私どもでも2020年頃には厚生労働省の職業能力評価シートなども参考に、技術力習得レベルの基準策定に向けた検討を始めていました。その結果、設備・清掃・警備といった職務ごとにスキルの定義はなされたのですが、それを日々の業務改善や社員の成長、処遇へとつなげる道筋までは見えていませんでした。


ジェイアール東海総合ビルメンテナンス株式会社
タワーズ設備統括営業所 所長 鈴木 智靖 氏

スキルを起点に社員の成長を促す人材マネジメントへ

桑原:スキルに基づく評価はあっても、具体的に何をどのように伸ばせばよいか、それが将来にどうつながるかが、社内で共有されていなかったわけですね。


EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
ピープル・コンサルティング パートナー 桑原 由紀子

鈴木氏:設備管理で言えば、スキル評価の指標は約400項目にも及んでいました。その一つひとつについて、○か×かの二者択一的な評価をしていましたので、判断基準も曖昧なものにならざるを得ません。したがって、その評価結果を社員に伝える場面において、「ここがまだ十分ではないね。ここを伸ばせばいいよ」といった具体的な対話にまで発展しづらい。社員のほうも「ちゃんと評価されているのか」と不安を覚える。そんな状況でした。

また、評価項目が400にもなりますと、それを埋めること自体が目的化してしまい、評価者の負担の大きさもさることながら、社員のスキルを把握し、技術力の向上に結びつけるという本来の狙いとは乖離してしまっている状況でした。

桑原:そのような従来の仕組みでは対処しきれない課題に対し、どういった方向性で人材マネジメントを検討されたのですか。

山崎氏:スキルの定義に終始せず、その先の評価・処遇まで一貫して見通せる人事制度への刷新です。具体的には、評価項目を必要十分なものに絞り、社員が段階的に目標を立てられるようレベルを設け、さらに担当する職務以外のスキルについても評価される仕組みを目指しました。小さな営業所ともなれば、設備担当が清掃の補佐に入るというように、業務状況に応じて多能工的な働きをする必要があるからです。

つまり、「どんなスキルをどのレベルで修得しているか」という職能を軸とする人事の在り方への転換です。そうすれば、誰もが将来に向けて目標を持ち、今の職務にとらわれずに活躍の場を広げていけると考えました。

桑原:そうした改革を進めるにあたり、伴走するパートナーとしてEYをご選択いただいた理由をお聞かせください。

山崎氏:いざ進める段になるとスキルの整理からして煩雑で、多くの部署をまたぐ調整や、利害関係を踏まえた公平性の確保、人件費のシミュレーションなどいくつもの課題に直面し、これは自分たちだけでは大変だ、専門家の知見がなければ実現できないと感じました。

EYとは過去に勤怠システムの構築でタッグを組んだ経緯があり、スキルベースの人事制度について実績が豊富なのは知っていましたし、制度設計から実行段階まで一緒に走ってくれるファームであることもよく分かっていたため、依頼を決めました。


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The better the answer

「スキルベース人事制度」の導入により、社員の自律的成長を支える基盤を整備

職務ごとの必要スキルを現場目線で定義し、評価・処遇と連動させる仕組みを構築。公平性や運用負荷にも目を向けながら、実効性の期待できるスキルベース人事制度を導入しました。


必要なスキルの洗い出しと定義・レベルの設定に全力を傾ける

EY 中島 陽平(以下、中島):スキルベースの人事制度、すなわちスキルを起点に評価・処遇まで一貫する制度を構築するには、まず現状のスキル体系を見直し、整理することが先決です。われわれもその作業からご一緒させていただいたわけですが、皆様はどんな点に難しさを感じられましたか。


EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
ピープル・コンサルティング シニアコンサルタント 中島 陽平

山崎氏:どのスキルを評価に結びつけるかという取捨選択の問題が一番難しかったと思います。それから、レベルの設定をどうするか。処遇にも関係する以上、多岐にわたる職務の中でレベル感に違いがあっては不満が生まれます。また、技能に関する資格要件をどう組み入れるかも課題でした。

鈴木氏:スキルの定義の仕方、あるいはその「粒度」をどうするかは議論を重ねました。項目を細かく設定しすぎると形骸化しかねませんし、全体を俯瞰(ふかん)しようとして粗くすると、今度は解像度が落ちて実効性が伴わない。また、定義の中身にしても、単なる「できる/できない」ではなく「一人でできる/上司の指示があればできる/マニュアルを見ればできる」といったレベルを示すとか、「通常業務時/異常発生時/指導教育時」のように場面を設定するなどの細分化が必要です。そういう意味での粒度を、職務やスキルごとにそろえることに苦心しました。

桑原:われわれも議論に参加させていただく中で、職種ごとの個別性と全社的な共通性をどう両立させるかが大きなテーマだったと感じています。そのあたりはどのような整理をされたのでしょうか。

山崎氏:設備・工事・清掃・警備・本社といった大きな枠組み(基礎種別)を整理した上で、それぞれに必要なスキル(基本単位)を網羅的に洗い出す作業から始めました。部門横断の会議体を設け、論点の整理や意思決定のリードにEYの力も借りて、一つひとつ是非を確認しながら汎用性のあるものに落とし込んでいく作業です。

中島:汎用性のあるものに落とし込む段階では、そのスキルが実際の現場で本当に必要なものか、現場でどう使われるのかが、大きなポイントだったように思います。鈴木様をはじめ、各営業所の方にもご意見を伺いながら何度も見直しをしたのを覚えています。

鈴木氏:「どのレベルで何ができる状態なのか」を明確にすることを念頭に、すべての職務を通じて共通化すべき部分と、個別性の高い部分とに切り分けながら、運用可能な形へと整えていきました。また、スキルの定義を表す文言にも気を配りました。○×ではなく、言葉で分かりやすく表現する。例えば、異常を発見した際の対応については、「異常を発見した時には、自ら考えて上司に提案しながら関係者と調整し、適切に対応することができる」というように、具体的な表現を心掛けました。

参考)技術職能習熟度要件表の一例

基礎種別基本単位区分Ⅰ区分Ⅱ区分Ⅲ区分Ⅳ区分Ⅴ/マスター区分Ⅵ/マイスター
電気設備保守電気設備
  • 日常点検での計器の読み取り等の初歩的な業務について、上司や同僚の補助なしで遂行できる(良否の判定は除く)
  • 異常を発見したときには、速やかに上司に状況を報告することができる
  • 各回路の内容を理解しており、絶縁測定、電流測定などの日常業務や契約に含まれた業務が上司や同僚の補助なしで遂行できる
  • 異常時は、上司の指示の下適切に対応することができる
  • 電気設備業務について聞かれた際は、手順書等に沿って十分に説明ができる
  • 電気的な異常(例:分電盤内配線の異常や、ブレーカーがトリップ状態かどうかを見分け)について回路の切り分けなどができ、故障診断ができる
  • 異常時においても、自ら考え、提案しながら関係者と調整し、適切に対応することができる
  • 電気設備業務について聞かれた際は、手順書等に沿ったうえで、自身の経験を踏まえた指導ができる

【必須資格】第2種電気工事士

  • 年間計画および停電点検計画の策定及び指示ができる
  • 停電作業後の復旧操作を理解し遂行できる
  • 異常時は、自身の判断に基づき中心的な役割を担い、必要に応じて外部の関係者(例:依頼人、電力会社等)と調整し、適切に対応することができる
  • 後輩、部下のモチベーション・能力・経験レベルに応じた工夫(相手のキャリアを考えたステップアップを意識している等)、自身の専門性を生かした指導ができる
  • 受変電設備、配電設備、非常用電源設備、弱電設備等の電気設備の種類、構造、使用方法、設置場所、日常の保守管理方法、点検・試験方法を熟知しており、各作業の完成度を高めるための創意工夫を行っている
  • 自分だけでなく部下が行った電気設備管理作業の完成度を確認し、部下から報告を受けた効率化のアイデアの内容を検討のうえ部下に対し具体的な指示ができる
  • 機器更新時の保守契約内容の変更ができる(契約変更見積作成も含む)
  • 業務を円滑、確実に遂行するために部下の能力、適性に応じて業務の割り振りができる

【必須資格】第三種電気主任技術者

  • 関係法令を熟知しており、メーカー及び施工業者と対等の知識を備えている

【必須資格】電気主任技術者として経験5年以上

防災設備(電気)
  • 指示された機器の確認は上司や同僚の補助なしで遂行できる
  • 異常を発見したときには、速やかに上司に状況を報告することができる
  • 各機器の動作原理、設備の役割、日常の保守管理方法、点検・試験方法の基本事項を理解したうえで業務遂行している
  • 異常時は、上司の指示の下適切に対応することができる
  • 防災設備業務について聞かれた際は、手順書等に沿って十分に説明ができる
  • 感知器などの各機器が作動した場合に原因の特定ができ設備の復旧操作ができる(手動操作もできる)
  • 異常時においても、自ら考え、提案しながら関係者と調整し、適切に対応することができる
  • 防災設備業務について聞かれた際は、手順書等に沿ったうえで、自身の経験を踏まえた指導ができる
  • 防災設備について取扱い説明が一通りでき、リスク説明もできる
  • 年間保守計画の策定及び指示ができる
  • 異常時は、自身の判断に基づき中心的な役割を担い、必要に応じて外部の関係者(依頼人、電力会社等)と調整し、適切に対応することができる
  • 後輩、部下のモチベーション・能力・経験レベルに応じた工夫(相手のキャリアを考えたステップアップを意識している等)、自身の専門性を生かした指導ができる

【必須資格】消防設備乙種4類

  • 設備の種類、構造、使用方法、設置場所、日常の保守管理方法、点検・試験方法を熟知しており、各作業の完成度を高めるための創意工夫を行っている
  • 自分だけでなく部下が行った管理作業の完成度を確認し、部下から報告を受けた効率化のアイデアの内容を検討のうえ部下に対し具体的な指示ができる
  • 機器更新時の保守契約内容の変更ができる(契約変更見積作成も含む)
  • 業務を円滑、確実に遂行するために部下の能力、適性に応じて業務の割り振りができる
  • 関係法令を熟知しており、メーカー及び施工業者と対等の知識を備えている
  • 【機械設備保守/防災設備(機械)】について区分Ⅴ/マスター以上である
【必須資格】消防設備士乙種1~7類全種取得、1~5類は上位資格である甲種でも可

図:ジェイアール東海総合ビルメンテナンス株式会社 提供

すべての社員が「頑張れば報われる」制度であるために

桑原:では、スキルと評価・処遇を連動させる上で重視されたのはどんな点でしょう。

山崎氏:端的に申し上げれば、「頑張れば報われる」ことが実感できる仕組みにすることです。スキルを上げれば上げた分、評価が上がり、給与も上がる。そうであればこそ、社員のモチベーションが高まり、行動変容へと向かい、技術力向上につながるわけですから。それも、特定の職務や一部の人材に偏った制度では、社員の信頼は得られませんので、評価制度の刷新は総務・経理などの本社部門も含めて統一しました。

桑原:公平性の確保や、運用負荷のかからない設計にも照準を合わせられたと思います。いろいろな工夫を検討されましたね。

山崎氏:そうですね。例えば、スキルの習得や、それに応じた支給額に上限を設けないこと。挑戦すればするだけ報われる仕組みとしました。また、職務ごとにスキル習得モデルを作成し、それと給与水準をひもづけることで、職務間で比べた時に大きな差異がないことを示しました。さらに、評価プロセスも簡素化し、これまで年2回だった評価を年1回にするなど、評価する側の負担軽減にも目を向けています。

「現場」の実情に即し、スキルが適正に評価される仕組みを

桑原:新しい制度に移行した際、社員の皆様からの反応はいかがでしたか。

山崎氏:スキルベースの人事制度とはどういうものか、最初は理解してもらうまでに戸惑いもあったように思います。職能が評価され、処遇にも反映される。そのこと自体は納得できるとしても、「正しく評価してもらえるのか」は誰しも気になるところでしょう。そこについては、初期段階で評価者研修を徹底したのに加え、個々の社員に対しても、「どのスキルがどう評価されるか」について分かりやすく言語化することに努めました。

そういう時、社員の心の持ちようを含めていろいろな事例を持ち、解決の打ち手にも通じたEYからのサポートは心強いものがありました。やはり制度設計だけでなく、現場での運用を見据える目があることは大きいですね。

鈴木氏:「現場での使いやすさ」についてEYから具体的な提案をいただけたのは助かりました。スキル定義の粒度についても、自分たちでは気づけなかった部分が多々ありましたから。もとより、こうした新しい仕組みを導入しようとすると、既存の制度にとどまろうとする心理が必ず働くものですが、そこに絶妙なポイントで石を投げ入れ、新たな発見を引き出す助言をいただけたのは、本当によかったと思います。


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The better the world works

スキルベース人事制度の導入が社員の行動変容を引き出し、 企業の持続的成長に結びつける

スキルベース人事制度の導入は、社員の成長意欲を高め、主体的な学びを促す効果を生みました。それを基盤として、評価の精度向上や運用負荷軽減も果たしつつ、組織の持続的成長へと結びつける戦略が進められています。


管理のための人事から、成長を促す人事への転換

桑原:スキルベースの人事制度に移行して約1年が経過しました。社員の方々にどのような変化が見られましたか。

鈴木氏:「行動の質」が変わってきたことを確かに感じます。今までは目標とするものが見えにくかったところ、「何を身につけるべきか」「そのために何をすべきか」が明確になり、目標や計画が立てやすくなったので、やる気も上がる、といった効果です。

当社は元来、どちらかと言うと年功序列で賃金が上がるタイプの組織でした。しかし、現実には、ベテランだから一様に技術力が高いとは限りません。これからは、ベテラン/若手に関係なく、スキルがあれば誰でも等しく処遇が上がる。そのことで主体的な学びを引き出し、会社としても「あなたが必要」だと示すことができる。そんな手応えを感じます。

桑原:山崎様はいかがですか。スキルの可視化と評価の連動による価値をどう見ていますか。

山崎氏:社員自身が成長の方向性を自ら考えられるようになったことと併せ、経営側としては、人事制度が「管理の仕組み」から「成長を促す仕組み」に変わったことで、人材の適切な配置や育成のための土台が築かれたように思います。それが最大の価値でしょうか。

大事なことは、社員から「思っていたほどスキルが評価されていない」といった、ある種の不満の声が聞かれるようになったことです。これはスキルの定義や評価基準が明確になればこその声、いわば前向きな抗議であり、成長を志向する姿勢の表れだと受け止めています。

社員一人ひとりの自律的・主体的な学びを、企業成長の原動力に

桑原:では反対に、実際に運用して見えてきた難しさのようなものはありますか。

鈴木氏:今回、新制度のもとで2回目の評価を終えましたが、評価する側にも、後進の期待に応え、その成長に責任を果たそうとする意識の高まりを感じます。それはもちろん喜ばしいことですが、評価者にとっては負荷でもあり、部下のスキルの定着を慎重に判断しなくてはならない難しさや、日常業務の中で部下のスキルがどこにどう発揮されていたかを記録にとどめておく難しさが顕在化しています。こうした負荷の軽減は今後の課題だと思います。

山崎氏:評価者の目線合わせと言いますか、上司が代わったらスキルの解釈や評価の基準まで変わったということのないように、運用の精度を高めることが重要だと思っています。つまり、この制度をどう進化させていくか。評価者教育の拡充もそうですし、スキルと連動した人材育成の仕組みづくり、それに応じて評価と報酬を一元管理するマネジメントシステムの導入なども、次のステップとして進めているところです。

総じて言えば、この制度を起点として、個人の成長支援だけでなく、組織力強化のマネジメントにも発展させることが次の目標です。スキルの把握は、根源的には社員の成長のためですが、そのデータを組織としてのスキル水準の検証にも応用し、重点的に育成すべき技能や望ましい人材配置を考える基盤とする。そうした戦略を実現するためにも、EYの持つ先進事例を踏まえた知見と視点に期待しています。

桑原:ありがとうございます。では最後に、企業の持続的な成長を支える育成文化について、お考えをお聞かせください。

鈴木氏:スキルベースの人事制度を導入したことによって、社員一人ひとりの目標が明確になり、私たち管理職がそれを力強く後押しする体制をつくることができました。しかし、これはまだ制度にすぎません。どのようにして企業文化にまで昇華できるか。社長が申し上げた戦略のゆくえにかかっていると思います。

山崎氏:どんなに素晴らしい育成の仕掛けを整えたとしても、自分自身に育つ意欲がなければ大きな効果は望めないでしょう。育成文化とはつまり、社員自らが自律的、主体的に伸びていく土壌をいうのだと思います。企業の持続的な成長は、その土壌にこそ生まれるのです。




※所属・肩書は2026年6月取材時の情報です。



ニュースリリース

EYストラテジー・アンド・コンサルティング、ジェイアール東海総合ビルメンテナンスの人事制度改革を支援 ~社員のスキルを可視化し、評価・処遇と連動させることで、自律的な成長と組織力強化を支える人材マネジメント基盤を整備~

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 近藤 聡)は、ジェイアール東海総合ビルメンテナンス株式会社のスキルベース人事制度の導入を支援したことをお知らせします。

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