EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2026年1月5日、OECDは、「共存システム(SbS)」に関する包括的パッケージについて、包摂的枠組みが政治的・技術的な合意に達したことを公表しました。本パッケージは運用指針の形式で、新たな簡易実効税率(ETR)セーフハーバー、移行期間国別報告書(CbCR)セーフハーバーの1年間延長、新たな実体ベース優遇税制セーフハーバー、および2つの共存システムに関連するセーフハーバーを含み、グローバル税源浸食防止(GloBE)モデルルールのコメンタリーに組み込まれます。
簡易ETRセーフハーバーは、2027年(特定の条件下で適用を選択した国・地域では2026年)から適用開始となり、企業および税務当局のコンプライアンスの簡素化を目的としています。移行期間CbCRセーフハーバーは1年間延長され、2027年まで適用されます。納税者は、重複する期間に簡易ETRと移行期間CbCRセーフハーバーのいずれかを選択することができます。
実体ベース優遇税制セーフハーバーにより、多国籍企業(MNE)グループは、適格な優遇税制によって減少した税額を当該国・地域に所在する構成事業体の対象税金に加算して扱うことが可能となります。これによりMNEグループは、当該国・地域と経済的実体の関連性を有するという要件を満たす一定の優遇税制について、その恩恵を受けることができます。このセーフハーバーの適用は、2026年から各国・地域ごとに選択が可能となり、これによって、各国・地域は優遇税制の設計においてより大きな柔軟性を得ることができます。
SbSセーフハーバーは、適格SbSを有する国・地域に最終親会社(UPE)を置くMNEグループがSbSセーフハーバーを選択した場合、所得合算ルール(IIR)または軽課税所得ルール(UTPR)の対象とはならないと定めています。ただし、これらのMNEグループは、国内ミニマム課税(QDMTT)の対象にはなります。米国の税制は、更新された最新の「適格ステータスを有する法令に関するセントラルレコード」において、2026年初頭から適用される唯一の適格SbSを有する国・地域として記載されています。米国にUPEを有するMNEグループは、2024年および2025年においてはグローバル・ミニマム課税の適用対象となります。
UPEセーフハーバーは、適格な国内税制を有する国・地域にUPEを置くMNEグループの国内利益に適用されます。UPEセーフハーバーを選択したMNEグループは、そのUPEが所在する国・地域における利益について、UTPRの対象とはなりません。
本パッケージでは、包摂的枠組みがGloBEモデルルールの適用を含む技術面の明確化および簡素化、ならびにインテグリティルールについて引き続き作業を継続するとしています。
本税務ニュースはパッケージの概要をまとめたものであり、これらの動向の詳細については、今後の税務ニュースで取り上げていきます。また、2026年1月12日、最新の第2の柱の動向に関するEYグローバルウェブキャスト(英語のみ)が実施されました。詳細については、こちらをご参照ください。
2026年1月5日、OECDはSbSに関する包括的パッケージについて、包摂的枠組みが政治的・技術的な合意に達したことを公表しました。これは第2の柱のグローバル・ミニマム課税に関するものです。本パッケージは運用指針の形式をとり、GloBEモデルルールのコメンタリーに組み込まれる予定です。
本パッケージは、グローバル・ミニマム課税の実施に関連し、包摂的枠組みが納税者と税務当局の双方に対して、重要な簡素化を実現することに注力するとしています。包摂的枠組みはこの継続的な取り組みの第一歩として、新たな簡易ETRセーフハーバー、移行期間CbCRセーフハーバーの延長、および追加的な簡素化に関する作業計画を含む簡素化パッケージに合意しました。
本パッケージでは、恒久的な簡易ETRセーフハーバーの導入により、グローバル・ミニマム課税に関連するコンプライアンスの負担を大幅に軽減し、経済界の主要な懸念に対応することが目的であるとされています。このセーフハーバーの下では、MNEグループの財務報告パッケージに基づく所得と税額に対し、一定の調整を加える簡易計算によってそのグループのETRを算定します。テスト対象国・地域の簡易ETRが15%以上である場合、トップアップ税額はゼロとみなされ、詳細なGloBE計算は不要となります。
簡易ETRは、セーフハーバーで別途定められる場合を除き、Globeモデルルール第3.1.2条および第3.1.3条の原則に準拠した財務諸表データを用いて計算されます。つまり、ほとんどの場合、MNEグループはUPEの連結財務諸表(CFS)の作成に使用する財務データを用いて、テスト対象国・地域の簡易所得と簡易税額を算定することができるということです。QDMTTを適用する国・地域がローカル会計基準ルールを採用しており、MNEグループがQDMTTの計算に同基準を適用する必要がある場合、そのグループはQDMTTにおける簡易ETR計算に該当するローカル会計基準を使用しなければなりません。
税引前利益に対する調整には、基本調整(受取配当や持分譲渡損益の除外など)、業界調整(金融サービス業および海運業向け)、条件付き調整が含まれます。さらに、合併・買収の影響については簡素化が適用可能であり、特定の任意除外も利用できます。
所得税に対する調整には、政策に基づく調整(対象税金以外の除外、還付金調整など)、簡易税額と簡易所得の整合調整(簡易所得に含まれない所得に関する税の除外など)、不確実な税金に対する調整、繰延税金に対する調整(15%税率への再計算など)、および特定の任意調整が含まれます。
簡易ETRセーフハーバーは、初めてこれを選択する年度に関するルールおよびセーフハーバーへの再参入要件を定めています。移行期間CbCRセーフハーバーに適用される「Once out, always out(一度対象外となると、再び受けることができない)」というルールは、簡易ETRセーフハーバーには適用されません。
簡易ETRセーフハーバーは、2026年12月31日以降に開始する事業年度(暦年事業年度の場合、2027年)から、全ての国・地域のMNEグループが利用可能となります。ただし、国・地域の選択により、特定の状況では2025年12月31日以降(暦年事業年度の場合、2026年)に開始する事業年度から適用することができます。
包摂的枠組みは、移行期間CbCRセーフハーバー(TCSH)を1年間延長することにも合意しました。これにより、TCSHの適用は2027年12月31日以前に開始する事業年度(ただし、2029年6月30日よりも後に終了する事業年度は含まれません)まで延長されます。暦年事業年度を採用するMNEグループにとって、これはTCSHが2027年まで延長されることを意味します。2027年に適用される簡易ETRテストの基準税率は、2026年と同じ17%となります。
これにより、対象となるMNEグループは、移行期間中に新たな簡易ETRセーフハーバーか、移行期間CbCRセーフハーバーのいずれかを選択することが可能となります。
本パッケージでは、包摂的枠組みはさらなる明確化と簡素化実現のための作業計画に取り組むことに注力するとしています。この作業計画の要素としてパッケージで特定されているものには、新たな恒久的なコンプライアンスセーフハーバーのためのルーティン利益テストおよびデミニマステストに関して進行中の作業を完了させること(2026年前半までに完了予定)、GloBEルールに関連する技術的問題に関するさらなる運用指針策定を進めること、および簡易ETRセーフハーバーで簡素化された計算をグローバル・ミニマム課税の設計へ統合することの検討があります。
さらに、本パッケージでは、包摂的枠組みが報告義務の合理化に向けたさらなる作業を行うとしています。この作業では、合意されたセーフハーバーを適用するため、GloBE情報申告書(GIR)、GIR XMLスキーマ、および関連する検証ルールへの適合性について検討します。この作業は2026年上半期に完了することを目標としており、これにより各国・地域は関連するGIRの変更を、今回合意されたセーフハーバーが適用される事業年度に間に合わせることができます。
本パッケージでは、包摂的枠組みが、特定の国・地域における経済的実体と十分に関連性のある適格優遇税制の恩恵を、MNEグループが引き続き受けられるようにするセーフハーバーに合意しています。この取扱いには、各国間の所得税収の奪い合いにおいて、グローバル・ミニマム課税を引き続き効果的な下限とすることを目的とした限度額が設けられます。
実体ベース優遇税制(SBTI)セーフハーバーにより、MNEグループは、適格な優遇税制(QTI)により減少した税額を、当該国・地域に所在する構成事業体の対象税金に加算して扱うことができます。QTIとは、一般的に納税者が利用可能な優遇措置であり、発生した支出額(支出基準優遇措置)または当該国・地域内で生産された有形資産の金額(生産基準優遇措置)に基づいて計算されますが、国・地域における実体に基づくQTIとして認められる金額は、実体限度額によって制限されます。この限度額は、国・地域における給与費用または有形資産の減価償却費のいずれか大きい方の5.5%となりますが、MNEグループは選択により、国・地域における有形資産簿価の1%に相当する代替限度額を利用することもできます。
適格還付税額控除(QRTC)や市場性のある譲渡可能税額控除(MTTC)とは異なり、QTIはGloBE所得に含まれません。したがって、優遇税制をQTIとすることは、QRTCやMTTCの取扱いに比べてより有利になる可能性があります。MNEグループは、特定のQRTCまたはMTTCをQTIとして取り扱う選択を各年で行うことができます。この選択により、QRTCまたはMTTCはGloBE所得から除外され、代わりに調整後対象税金の減少とされ、その後他の種類のQTIと同様に、調整後対象税金を増加させるQTI調整が適用されます。QTIに対する総調整額は実体限度額を上限とします。
申告を行う構成事業体は、2026年1月1日以降に開始する事業年度について、テスト対象国・地域について実体ベース優遇税制セーフハーバーを選択することができます。
本パッケージは、包摂的枠組みは適格税制要件を満たすと認定した国・地域に本社を置くMNEグループに対し、SbSおよびUPEセーフハーバーを適用することに合意したとしています。
SbSセーフハーバーは、適格な国内税制および適格な全世界税制の両方を有する国・地域にUPEを置くMNEグループのみが利用可能です。これらの税制は、MNEグループの国内事業および海外事業に対して最低水準の課税が効果的に達成される場合にのみ適格とされます。本セーフハーバーの適用を選択した場合、そのMNEグループ(構成事業体および合弁事業または合弁子会社を含む)は、IIRまたはUTPRの対象とはなりません。また、これに代わり中間親会社レベルで適用されるIIRの対象にもなりません。
UPEセーフハーバーは、適格国内税制を従来から有する国・地域に本社を置くMNEグループの国内利益に関してセーフハーバーを提供します。本セーフハーバーの適用を選択した場合、そのMNEグループはUPEが所在する国・地域の利益に関してUTPRの対象とはなりません。
包摂的枠組みによって、その国・地域が適格SbSまたはUPE制度を有すると認定された場合、その国・地域はセントラルレコードにその旨が記載されます。
加盟国・地域の要請に応じて、包摂的枠組みは2026年上半期末までに、その国・地域の既存の税制が適格SbSまたはUPE制度の基準を満たすか否かの評価を行います。その他の国・地域に関しては、2027年または2028年に要請した場合、包摂的枠組みはその加盟国・地域の適格性を評価します。
現在のセントラルレコードでは、米国が2026年1月1日時点で適用される適格SbS制度を有する国として記載されていますが、適格UPE制度に該当する国は記載されていません。
全てのMNEグループ(SbSまたはUPEセーフハーバーの適用を選択したグループを含む)は、事業を展開しているQDMTTを適用する全ての国・地域において、引き続きQDMTTの対象となります。本パッケージでは、QDMTTの適用に当たり、国・地域はMNEグループに対しSbSセーフハーバーの適用を認めることはできないと規定されています。全てのQDMTTを適用する国・地域において、全てのMNEグループのQDMTTは、引き続き外国子会社または外国支店への税金のプッシュダウンを考慮せずに計算されなければなりません。
MNEグループは、GIRの一般セクション1(GloBE情報の概要を提供するセクション1.4を除く)を含む特定のGIR提出義務の対象となります。
本パッケージでは、包摂的枠組みが、2029年までに合意されるプロセスに従って実績評価を実施するとしています。この評価では、QDMTTの実施状況レベルを含むグローバル・ミニマム課税とSbSの影響に関するデータを検討します。また、この実績評価では、MNEグループ間で新たに生じた重大な競争上の不均衡や、低課税の結果を得るための利益移転を目的とした企業構造の変更(インバージョンや、QDMTTを導入していない低課税国・地域における利益の著しい増加など)を含む納税者行動の傾向など、意図されない影響についても評価を行います。
本パッケージはさらに、包摂的枠組みが、公平な競争条件や税源浸食と利益移転(BEPS)について特定された重大なリスクに対処する行動を取ることに注力するとしています。このような行動がどのような形をとるかは、特定されたリスクの共通性と重要性、およびSbSについての合意とグローバル・ミニマム課税の政策目標を維持しながら、これらのリスクに対し最も効果的に対処できる方法を評価することで定まるでしょう。
本パッケージは、第2の柱グローバル・ミニマム課税の対象となるMNEグループにとって、重要な新たなセーフハーバーを提供しており、今後のグローバル・ミニマム課税に基づく潜在的な租税負担に重大な影響を及ぼす可能性があります。企業はこれらの新たなセーフハーバーを精査し、潜在的な影響を評価する必要があります。
本パッケージには、GloBEモデルルールのコメンタリーに組み込まれる運用指針が含まれています。各国・地域では、これらの新たなセーフハーバーを導入するために、国内法や規制の改正が必要となる可能性があります。したがって企業は関連する国・地域が運用指針を国内法に組み込むか否か、また組み込むのであればその方法についても注視する必要があります。
さらに包摂的枠組みはセントラルレコードを更新し、SbSセーフハーバーまたはUPEセーフハーバーの対象と認める国内税制を有する国・地域を特定します。企業はセントラルレコードにおいて関連国・地域の取扱いを確認し、自社のグローバル・ミニマム課税計算への影響を評価する必要があります。
EY税理士法人
戸崎 隆太 パートナー
関谷 浩一 アソシエートパートナー
大堀 秀樹 アソシエートパートナー
※所属・役職は記事公開当時のものです
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