EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2025年12月17日、欧州委員会は2026年1月に本格適用期間が開始するEU CBAM制度について定めた包括的な一連の暫定的文書を公表しました。公表された文書には、実施規則および委任規則、提案、修正で構成される11の法令ならびに技術的な付属書、CBAMの影響評価レポート、欧州委員会による作業文書といった裏付資料などの13の補足文書が含まれています。
11の法令のうち8つは、2025年12月23日のEU官報に掲載済みとなっており、残りの法令も近日中に同様に掲載されると思われます。
公表されたこれらの文書は、CBAM本格適用フェーズにおける法的、技術的および手続き的な枠組みを示すものです。それぞれの文書では、体化排出量の計算方法、税関・CBAM登録簿に係る手続き事項、体化排出量の検証および検証機関の認定基準、CBAM証書価格、川下製品へのCBAM対象拡大ならびに迂回防止措置の強化を取り上げています。
全体としてこれらの資料は、EU域外の製造者、輸入者(認可CBAM申告者)およびその他のステークホルダー(体化排出量の認定検証者など)が2026年以降、CBAM関連規則の遵守のための要件およびプロセスを定めています。
この文書は、EU排出量取引制度(ETS)に基づく無償割当の段階的廃止を背景として、カーボンリーケージのリスクのあるEU域内に設立されたエネルギー集約的な産業セクターを対象に、当該セクターに対して臨時的な財政支援を提供するための新たな手段「暫定脱炭素基金(Temporary Decarbonization Fund)」の法的な枠組みを定めています。同基金はCBAM証書の販売によるEU加盟国の歳入のうち25%を原資とし、カーボンリーケージのリスクの高い物品を生産する事業者のための脱炭素投資を支援します。本規則では、EUのより広範な気候中立の目標と整合し、かつ具体的な脱炭素のための取組みを条件とした支援の提供を確保すべく、同基金のガバナンス、適格規準、申請および支払手続きならびにモニタリング要件の詳細を示しています。
この付属書は、CBAMの枠組みにおける暫定脱炭素基金による支援の対象となる物品のリストを示しています。本文書では、アルミニウム、肥料および鉄鋼セクターの製品に係る合同関税品目分類表(CN)コードを掲載しており、どの物品が同基金の支援を受けられるかを明示しています。上記より、本文書は事業者および当局が対象となる物品を識別するための技術的な参考資料として機能し、CBAMの適用に係る明確性や一貫性を確保する役割を果たします。
この文書は、既存のCBAM規則(EU 2023/956)を改正するための欧州委員会による公式な立法提案となっています。本提案は、鋼鉄およびアルミニウムを多く含む特定の川下製品(「複合金属製品〈combined metal products〉」と呼ばれる新たなカテゴリーを含む)までCBAMの適用対象品目を拡大することで、CBAMの実効性を一層強化することを目的としています。対象となる品目の大部分は部品または工業製品(例えば、ギアボックス、機械、ワイヤー、車体、金属製家具といった、主に自動車や機械関連製品全般)に関連するものですが、一部の最終消費財(例えば、洗濯機、乾燥機、冷凍庫、家庭用品など)も含まれます。これにより、EUのCN上では合計180に上る新たな品目が追加されることとなります。欧州委員会は重量ベースによるCBAM適用除外基準を考慮したうえで、製品の適用範囲の拡大により、約7,500の輸入者が追加的にCBAM上の義務を負う事業者になると予想しています。
またこの提案では、回避行為(排出原単位の虚偽申告や、より低いデフォルト値を利用するための恣意的なサプライチェーンの再設計など)の防止を目的とした追加の迂回防止措置についてもその対象としています。また、同提案は、電力の輸入に関するルールを明確化すべく、特に第三国における脱炭素の取組みにおいて、体化排出量の算定方法の精度および柔軟性を向上するものとなっています。さらに、体化排出量の計算においては、前処理段階のアルミニウムおよび鋼鉄くずをCBAM上の前駆体とみなさなければならないという根本的な変更も提案内には含まれていました。
以上のように本提案は、広範なコンサルテーションの手続きおよび詳細な影響評価に基づいて策定されており、川下製品へのCBAM適用拡大、迂回防止および電力に関する規則となっています。提案に内容は段階的に導入されるとの概要が示されており、電力に関する主要な変更は2026年から、川下製品への適用拡大は2028年から開始される見込みであり、厳格なモニタリングと欧州議会および理事会への定期的な報告の下に実施するとされています。また、この文書には、CBAM登録簿および関連するデジタルシステムの構成を含め、予算への影響、人員体制、IT面での要件を詳細に示した立法上の財務・デジタル側面に関する説明も盛り込まれています。
加えて、欧州委員会は追加の製品カテゴリー(例えば、プラスチック製品や化学製品)に対するCBAMの拡大適用に関する法令案を今後提示する可能性があります。なお、欧州委員会が迂回防止のために用いる手段の一環として、ごく短期間のうちにCBAM対象品目に追加が加わる可能性があります。
この文書は、CBAM規則改正案(川下物品へのCBAM適用拡大および迂回防止措置)に付随する総括的な影響評価の第1部です。本文書は政治的および法的な背景から、主要な課題(下流工程でのカーボンリーケージ、CBAMの回避行為および電力輸入に関する不十分な取扱い)を定義するとともに、EUレベルでの対応が必要な理由を説明しています。
また本報告書は、CBAMの全般的および具体的な目標を示した上で、採用し得る政策の選択肢(ベースライン、川下への適用拡大適用、迂回防止および電力に関するオプション)を述べるとともに、それぞれが及ぼす影響の詳細を説明しています。この報告書では有効性、効率性および均衡性の観点から各オプションの比較分析を行っており、それぞれの政策領域における最善策が示されています。さらに本文書は、CBAMの適用による影響のモニタリングおよび評価方法の概要を示すとともに、重要な用語集も含まれています。
このことからも、第1部はCBAM改正案の論拠、政策判断および期待される帰結を理解するために重要な文書であるといえます。
この文書は、上記4.に続くCBAM規則改正案に付随する詳細な影響評価の第2部です。本文書は、手続きに関する詳細、ステークホルダーによって実施されたコンサルテーションの総括および「誰がどのような影響を受けるか」について綿密に分析しています。主要な付属書では、経済モデル手法、競争力評価、中小企業(SMEs)への影響、遵守および執行のコストならびに川下への適用拡大適用、迂回防止および電力に関する追加の技術情報を取り上げています。本報告書は、期待できる便益(カーボンリーケージの軽減やEUの歳入増加など)の定量化、事業者と当局の管理および遵守コストの概要提示、カーボンリーケージのリスクのある川下物品を選定方法の説明を行っています。また、感応度分析、セクター別の影響および望ましい政策オプションの根拠も、本文書内で示されています。第2部についても、CBAM改正案の技術的、経済的、行政的な含意を理解するために不可欠な文書となっています。
これらの付属書は、川下物品に対するCBAMの適用範囲拡大および迂回防止措置の導入に関する法令案を補完する技術的な詳細を示すものとなっています。
付属書Iは、CBAMの対象となる鉄鋼製品のリストを改訂するとともに、複合金属製品に関する新規の表を追加しています。該当するCNコードおよび当該製品のCBAM体化排出量の算定対象となる温室効果ガスが明示されています。
付属書IIは、複雑な製品における体化排出量の算定方法をアップデートし、電力購入契約(power purchase agreement)をはじめとした用語の定義を明確化するものとなっています。また、電力の輸入に関する排出量デフォルト値のルールについても改訂しています。
付属書IIIは、鉄鋼およびアルミニウムくずに焦点を当てており、投入材料(前駆体)とみなされるCBAM非対象品目およびその生産によって排出される温室効果ガスのリストを新規に追加しています。
これらの付属書は、改訂後のCBAMの枠組みにおいて、拡大された製品の適用範囲および技術的な手法を理解するために不可欠です。
このエグゼクティブサマリーはCBAM規則改正案に係る影響評価の概要を示しており、川下製品に対するCBAM適用拡大および迂回防止措置の導入が焦点となっています。この文書では3つの主要な問題として(1)川下製品のカーボンリーケージ、(2)迂回防止措置、(3)電力の輸入における脱炭素化インセンティブの不足があると特定しています。本文書はそれぞれの分野における政策オプションを評価したうえで、カーボンリーケージのリスクのある川下製品を対象とした措置の拡充、迂回防止規定の強化および電力輸入に関する体化排出量算定方法の見直しというパッケージになっています。これらは明確な環境上の便益を提供する一方で、マクロ経済的なコストを最小限に抑えることを可能とします。特にSMEsの観点からは、当該オプションの適用によりCBAMの管理負担を抑えることが可能と想定されています。本文書においてはこれらの変更が幅広いステークホルダーの支持を得ていることを強調するとともに、CBAMの継続的な実施の一環として政策が定期的にレビューされると述べています。
この文書は、川下物品に対するCBAM拡大適用および迂回防止措置の導入に関する提案、その裏付けとなる補完性および比例性の分析を提供するものです。本文書では、EUレベルの行動が必要な理由を説明するにあたり、下流工程におけるカーボンリーケージ、CBAMの迂回防止措置および電力の輸入における脱炭素化インセンティブの不足リスクを挙げています。EU加盟国はこれらがそれぞれ単独で有効に対処できないクロスボーダーの問題であることを強調しています。また本文書は、CBAMに対して比例的な調整を行う理由として、提案の法的根拠、コンサルテーションのプロセスおよびその詳細を示しており、EUによる協調した行動によって公平な競争条件、法的な明確性および環境へのより高い効果が確保されることを強調しています。
この文書は、EU CBAMが移行期間(2023年10月~2025年末)中にどのように実施されてきたかについての公式なレビュー報告書です。本報告書では、カーボンリーケージ対策、グローバルなカーボンプライシングの促進および輸入品に対する排出量モニタリングの改善に関して、CBAMの有効性を評価しています。また本報告書では、ガバナンス、行政運営、執行および国際協力を取り上げるとともに、2026年1月以降のCBAM本格適用期間におけるロードマップを示しています。
重要なトピックには以下が含まれます。
この文書には、CBAMレビュー報告書を補完する4つの付属書が含まれます。
付属書1は、CBAMに関するEUのコミュニケーションキャンペーンについて記述しており、広報・アウトリーチ活動やCBAM対象の各セクター(セメント、アルミニウム、肥料、電力、水素、鉄鋼)向けに開催されたウェビナーの統計情報等を取り上げ、欧州委員会がステークホルダーの関与および一般への情報公開にどのように取り組んだかを示しています。
付属書2は、EUの気候中立政策およびCBAM関連ルールへの準拠を促すために近隣諸国・加盟候補国に対して提供された技術的支援(TAIEX)の詳細を示しています。本付属書には、脱炭素に関する能力構築および協力促進を目的としたEUの取組みを表すものとして、実施されたワークショップ、専門家派遣およびスタディツアーのリストが示されています。
付属書3は、第三国に対するCBAM影響評価のモデリング手法(経済モデル〈JRC-GEM-E3〉、セクターの分類および排出原単位の計算方法を含む)を説明しています。本付属書は、委員会がCBAMの国際的な影響を評価する方法をめぐって、透明性を提供するものとなっています。
付属書4は、CBAMの移行時登録簿のデータ(輸入量、排出量および報告の正確性に関する統計を含む)を示しています。本付属書は、移行期間中、データ品質が時間とともにどのように改善したかを示し、セクター別および国別の詳細な数値を提供しています。
この委任規則は、CBAM制度における検証者の認定、監督および認定の取消しに関する詳細なルールを定めています。本規則は、具体的に認定付与に係る手続き、検証者が満たさなければならない要件および各国の認定機関による検証者の監督・管理の方法が示されています。また本規則は、EU域内の認定機関の相互承認および相互評価についても取り上げ、任意の加盟国で認定を受けた検証者が他の加盟国でもその地位が認められることが保証されています。このような取組み、すなわち一貫した監督および当局間の情報交換により、適任、公平、かつ信頼できる検証者のみがCBAM上の検証活動がすることができるようになります。この規則は2026年1月1日から適用されます。
この文書は、CBAMの枠組みに基づく委任規則の付属書です。ここでは、検証者の認定および監督の方法に関する技術的な詳細を定めています。付属書1は、検証者が承認を受けることのできる物品および活動の種類(セメント、鋼鉄、アルミニウム、水素、電力、関連するプロセスなど)をリスト化しています。付属書2は、検証者の要件が示されており、検証者の資格、検証者が公平性を確保する方法および検証者が作業の実施にあたり従う必要のある手続きを記述しています。本文書は、能力要件、継続的な教育訓練、検証者による利益相反への対処方法、品質管理、実際の検証プロセスに含まれるステップなど、あらゆる事項を取り上げています。
この実施規則は、規則(EU)2023/956に従い、CBAM上の規則に基づいて申告された体化排出量を検証するための原則および手続きを定めています。本規則は、検証者による物理的およびリモートでの現地訪問の要件、現地訪問が免除され得る条件、排出量データの虚偽記載や不適合を評価するための重要性(materiality)の閾値の使用に関する詳細を示しています。また本規則は、検証報告書用の標準化された電子テンプレートを導入するとともに、これらのルールが2026年1月1日から適用されることを明示しています。
この付属書は、CBAMにおける検証報告書にて要求される内容をテンプレートの形式で示しています。本付属書には、施設の排出量データの確認にあたって検証者が含めなければならない情報(身元情報の詳細、チームメンバー、現地訪問、検証の根拠および範囲、排出量および前駆体に関するデータ、最終的な検証ステートメントなど)が明示されています。本付属書は、全ての検証報告書における一貫性、包括性およびCBAM遵守の規制要件の充足を図っています。
この実施規則は、CBAM申告、アカウントおよび関連するデータを管理する集中電子システムであるCBAM登録簿のルールを更新・修正するものです。本文書は登録簿の手続きを最近の法改正に整合させており、登録簿へのアクセスや登録簿の利用が可能な者(委任された代理人および検証者を含む)を明確化するとともに、税関およびITシステムに関する技術的な参考資料をアップデートしています。また本文書は、重量ベースの閾値モニタリング、税関とのコミュニケーションならびに欧州委員会、加盟国当局および税関の間における情報交換に関して新たな規定を導入しています。
この実施規則は、輸入者の認可CBAM申告者の区分を申請、維持する方法やそれを喪失する状況に係るルールを更新・修正しています。本規則は、手続きの簡素化、期限の調整および管轄当局が情報取得のためのデジタルツールを使用できるような容認など、最近の法改正を反映しています。また本文書は、認可の取消しのプロセスおよびCBAM証書の償却時期を明確化するとともに、過去の規則における技術的な参考資料の訂正も含まれています。
この規則は、EUの税関当局がCBAM関連の輸入に関する情報をどのように欧州委員会に報告すべきかを定めています。本規則は、伝達されるデータの種類(識別番号、製品コード、数量、原産地など)を明示するとともに、既存の税関システムまたは代替手段を用いて当該情報を送信・検証する手続きの概要を示しています。また本規則は、データ保護基準の遵守を図ることに加えて、特殊な税関手続きや追加文書の要求についても言及しています。これらのルールは2026年1月1日から適用され、2027年までに見直しが行われることが予定されています。
この規則は、CBAMに基づいてEU域内へ輸入される物品に関し、企業がいかに温室効果ガスの体化排出量を計算・報告するかについて、EUにおける公式なルールを定めています。本規則は、対象となる製品、排出量の定義および測定の方法、ならびに収集・報告が必要なデータについて説明しています。また本文書は、実績排出量データとデフォルト値の双方の使用について記述するとともに、複数の前駆体を使用した複雑な物品の取扱いに関しても指針を示しています。さらにこの文書は、モニタリング計画および排出量報告書に係る要件の概要を示し、全ての企業が透明性と一貫性のある同一の手法に従うことができるように図っています。この規則は製品のカーボンフットプリントの報告にあたって期待される事項を輸入者が正確に理解できるよう促すものであり、端的に言えば、CBAM遵守の技術的な基礎を成しています。
この付属書はEUにおけるCBAMの公式な技術ガイドです。この付属書は、製品(鋼鉄、セメント、肥料、アルミニウム、電力、化学製品など)の温室効果ガス体化排出量を、当該物品のEU域内への輸入時に企業がどのように計算・報告すべきかを詳細に示しています。本文書は、対象となる製品を説明し、全ての重要な用語を定義するとともに、排出量の測定におけるステップバイステップの手法(直接的な測定、計算またはデフォルト値の使用)を解説しています。また本文書は、収集が必要なデータ、また当該データの正確性を確保する方法および当局に提出する報告書に含めなければならない情報の概要を示しています。この付属書はCBAMに基づく報告ルールが透明性および一貫性のあるプロセスとなるように図るものといえます。
この規則は、EU域内に輸入される物品の炭素排出量に係るデフォルト値を、CBAM上のルールの要求に従い、欧州委員会が設定する方法を説明しています。当該デフォルト値は、実績排出量データが入手できないか、または信頼性に欠ける場合に使用されます。
重要な内容には以下が含まれます。
この付属書は、CBAMにおけるデフォルト値に関して、実施規則を補強する詳細な方法論およびデータ表を提供しています。この付属書は、さまざまな物品および電力の輸入について、排出係数およびマークアップの計算の方法を説明しています。
重要なポイントには以下が含まれます。
この規則案は、EU ETSに基づく無償排出枠の段階的廃止を反映して、輸入者が償却しなければならないCBAM証書の数に対する無償割り当て調整に係る計算のルールを定めています。
「無償割り当て調整(free allocation adjustment)」は、輸入される物品の数量、セクター横断的な補正係数、該当するCBAM係数およびそれぞれの製品の適切なEU ETSのベンチマークを考慮しなければならないと本規則は説明しています。この計算は、CBAM申告における報告の内容に応じて、実績排出量データまたはデフォルト値のいずれかに基づいて行うことができます。複数の施設からの前駆体を使用した複雑な物品については、特別なルールが規定されています。
また本文書は、電力の輸入に無償割り当て調整が適用されないことおよびこれらのルールが2026年1月1日から適用され、2027年に見直しが予定されていることを明確化しています。
この付属書は、EU ETSに基づく無償割り当てを踏まえて輸入者が償却しなければならないCBAM証書の数の調整を計算するための技術的なルールおよびデータ表を提供しています。この付属書は、輸入される物品の炭素含有量および対応する調整額を算定するための数式、定義およびベンチマークの詳細を示しています。
本付属書には、実績排出量データとデフォルト値の双方を用いた段階的な無償割当調整の計算手法および単純な物品と複雑な物品に関するルール(前駆体からの排出量を考慮する方法を含む)が含まれています。加えて、本付属書には幅広い製品(セメント、水素、肥料、鉄鋼、アルミニウムなど)に関する詳細なベンチマーク表が含まれ、計算に用いるべき炭素排出原単位の値が明示されるとともに、製品の種類、生産ルートおよび原産国に応じた正しいベンチマークの選定に関する指針も含まれています。
この実施規則はCBAM証書の価格算定および公表の手法を定めており、EU ETSの平均オークション約定価格が当該価格に密接に反映されるよう取り計らわれています。当該価格は、2026年については四半期ごとに決定、2027年以降は週次(常にオークションでの取引量で加重平均された値)で計算され、委員会によって公表されます。また本規則はデータへのアクセス、記録保持および透明性の要件を定めており、欧州委員会のウェブサイトとCBAM登録簿の双方において認可申告者の場合にCBAM証書の価格情報を提供することを定めています。
上記一連の規則および規則案により重要な原則が提示されましたが、2026年中にはさらなる法的文書の提出が予想されています。2026年1月1日にCBAM本格適用期間が開始するなかで、これらの法令は新規則の発効のわずか半月前に提示されました。そのため、CBAMの影響を受ける事業者は目下、これらの規則等の分析、CBAMによる影響の把握および短期・中期・長期の戦略的目標に基づく行動計画の策定が急務となっています。
事業者が検討すべき論点の例には以下が挙げられます。
このような検討すべき論点のリストは、実務上さらに長く、複雑なものとなるかもしれません。影響を受ける企業は豊富な知識を有するアドバイザーに相談し、CBAMの効率的な導入および継続的なコンプライアンス義務履行のための支援を受けることが望ましいと考えられます。
関連する一次的な公表資料については、Carbon Border Adjustment Mechanism - Taxation and Customs Unionをご参照ください。
EY税理士法人
岡田 力 パートナー
上田 理恵子 パートナー
中村 健 アソシエートパートナー
※所属・役職は記事公開当時のものです
EYの関連サービス
世界各国において持続可能な経済成長を志向する中で、主要な国や地域では脱炭素化に向けた新たな租税制度を採用しています。 CBAMとは、欧州連合(EU)および英国で導入・検討される炭素国境調整メカニズムで、域外からの特定の輸入産品に対してその製品が含有する炭素排出量の報告とそれに応じた価格調整のための課徴金を課す制度のことです。 EYは、企業が直面するCBAM上の課題に対して、環境・税務の専門家集団によるアドバイザリーやコンプライアンス支援を提供することで、サプライチェーンにおける効率的な管理をサポートします。
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