EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
2026年4月30日、経済協力開発機構(OECD)は、強固かつ効率的な国内のコンプライアンス体制整備に向けて税務当局を支援するため、グローバル・ミニマム課税導入ツールキット(以下、ツールキット)を公表しました。
ツールキットは、税務当局がグローバル・ミニマム課税を導入する際に通常実施する主な手順および対応を示したロードマップとして構成されており、一連の導入ステップを示すとともに、それぞれについて補足的なモデルを用いて具体的に説明しています。本ツールキットは、OECD税務長官会議(Forum on Tax Administration:FTA)によって、OECD/G20包摂的枠組みの代表者の知見を取り入れて作成され、GloBEモデルルールおよび包摂的枠組みで合意されたその他の基準に基づいていますが、これらの基準の適用または解釈について、新たな解釈を示したり内容を変更したりするものではありません。
あわせて公表されたプレスリリースでは、本ツールキットを導入する国・地域の税務当局が連携し、多国籍企業(MNE)グループに対するGloBE情報申告書(GIR)申告ポータルへのアクセス提供や、他の国・地域との情報交換関係の実施遅延によって生じる可能性のあるコンプライアンスまたは調整上の課題軽減に取り組んでいると言及されています。
同日、OECDはGloBEモデルルールおよびグローバル・ミニマム課税に関するよくある質問(FAQ)の更新版を公表しました。FAQは、セーフハーバー、他の税制との相互関係および執行上の取扱いを含む、グローバル・ミニマム課税の運用に関する実務的な側面について説明しています。
2021年10月、OECDは、税源浸食と利益移転(BEPS)2.0プロジェクトの第1の柱および第2の柱に関する、包摂的枠組み参加国の大枠合意を反映した声明を発表しました(2021年10月11日付EY Global Tax Alert「OECD releases statement updating July conceptual agreement on BEPS 2.0 project」および2021年10月14日付EY Japan税務ニュース「OECD、BEPS 2.0プロジェクトの大枠合意の更新に関する声明を発表」をご参照ください)。
2021年10月の合意以降、OECDは第2の柱におけるグローバル・ミニマム課税について包摂的枠組みで合意された一連の重要な文書を公表してきました。これには、以下が含まれます。
OECDは、合意された運用指針を反映するためにコメンタリーを定期的に更新しており、2024年4月(2023年末までに3回に分けて発行した運用指針をまとめたもの)および2025年5月(2025年3月末までに発行された全ての運用指針をまとめたもの)に、GloBEモデルルールの統合コメンタリーを公表しました。
さらに、2024年6月、OECDは、各国・地域で導入されるグローバル・ミニマム課税の要素の適格性を判断するためのピアレビュー・プロセスに関して情報を提供するQ&A文書を公表しました(2024年6月20日付EY Global Tax Alert「OECD/G20 Inclusive Framework releases documents on Pillar One Amount B and Pillar Two」および2024年7月17日付EY Japan税務ニュース「OECD/G20包摂的枠組み、第1の柱の利益Bと第2の柱に関する文書を公表」をご参照ください)。
その後、2025年1月、OECDは、暫定適格ステータスを有する法令のセントラルレコードを公表しました。これには、所得合算ルール、国内ミニマム課税または適格国内ミニマム課税(QDMTT)およびQDMTTセーフハーバーについて、適格性確認メカニズムのプロセスを完了した国・地域の一覧と、その説明情報(適格性を判断するためのプロセスに関するQ&Aの更新情報を含む)が記載されています(2025年1月17日付EY Global Tax Alert「OECD releases new documents on GloBE rules and on qualified jurisdiction status」および2025年2月5日付EY Japan税務ニュース「OECD、GloBEルールと適格性を有する国・地域に関する新しい文書を公表」をご参照ください)。OECDは、暫定適格ステータスを有する法令のセントラルレコードを定期的に更新しています。
本ツールキットは、税務当局を対象として作成されており、第2の柱の導入に関する一連のプロセス全体を網羅する実務的なロードマップとして構成されています。主な特徴には以下が含まれます。
このツールキットは、税務当局や税制担当者向けに作成されたものですが、その他の関係者にとっても役立つものであると記載されています。また、導入国・地域のグローバル・ミニマム課税に関する経験が蓄積されるにつれ、本ツールキットが随時更新される可能性があることも示されています。
暦年決算のMNEグループについては、最初のGIRは2026年6月30日までに提出する必要があります。本ツールキットとあわせて公表されたプレスリリースでは、税務当局はGIR提出に対応するためのインフラが整っていない可能性があることが示唆されています。また、GloBEモデルルールでは、各対象国・地域との間で適格な権限ある当局間合意が締結されている国・地域において、GIRの一元的な提出が認められています。各国・地域でGIRの情報交換を行うためには、有効な情報交換関係が構築されている必要があります。
プレスリリースによると、MNEグループへのGIR申告ポータルへのアクセス提供や、他の導入国・地域との情報交換関係の実施遅延によって生じる可能性のあるコンプライアンスおよび調整上の課題を軽減するため、導入国・地域の税務当局は連携していることが示されています。ただし、これがMNEグループにもたらす影響についての追加情報は提供されていません。
更新されたFAQは、グローバル・ミニマム課税およびGloBEモデルルールに関する従来の説明を拡充したものであり、直近のFAQ(2025年5月版)以降に包摂的枠組みで合意された内容を反映しています。特に、更新されたFAQは、グローバル・ミニマム課税の設計、簡素化および執行上の取扱いに関して最近合意された内容が含まれています。主な要素は以下のとおりです。
本ツールキットは税務当局を対象としていますが、各国・地域が第2の柱ルールの実務的な運用と執行にどのように対応していくかについて、一定の知見を提供するものです。更新されたFAQは、第2の柱ルールの運用に関する追加情報を提供しています。また、あわせて公表されたプレスリリースによると、税務当局は、GIRの適時提出に関するコンプライアンス上の課題軽減に取り組む可能性があるとされています。企業は、自社の事業に関連する各国の動向を引き続き注視する必要があります。
EY税理士法人
戸崎 隆太 パートナー
関谷 浩一 アソシエートパートナー
※所属・役職は記事公開当時のものです
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