米国、規則案で外国派生控除対象所得(FDDEI)から新たに除外される「除外資産譲渡所得」の範囲を規定

  • 規則案は、外国派生控除対象所得(FDDEI)として取り扱われず、そのためIRCセクション250の控除の対象とならない「除外資産譲渡所得」の範囲を定義している。
  • この除外規定は、2025年にOne Big Beautiful Bill Act(OBBBA)によって制定され、(i)無形資産、または(ii)譲渡人側で償却対象となる種類のその他の資産の譲渡から生じる所得または利得が対象となる。
  • 規則案は、一般的な税務原則に基づいて資産のリースもしくはライセンスと判断される取引、および譲渡人が棚卸資産としてのみ保有する資産の販売は、FDDEIから除外されないことを確認するものである。
  • 規則案はまた、財務省規則セクション1.861-18(c)(3)に基づく著作物は除外措置の目的上、無形資産には該当しないため、外国顧客に対するソフトウェアのコピーの販売は、電子的なものか物理的なものかを問わず、FDDEIの適用可能性があることを確認するものである。

2026年8月20日に米国財務省および内国歳入庁(IRS)が公表した規則案(REG-117130-25)(以下「本規則案」)は、OBBBAによって追加されたFDDEI適用時の「除外資産譲渡所得」という新たなカテゴリーに関するガイダンスを提供しています。本規則案は、通知2025-78と整合する形で、無形資産ならびに減価償却、償却または減耗控除の対象となる資産の譲渡またはその他の処分から生じる所得および利得のうち、DEI(控除対象所得)から除外され、したがってFDDEIから除外されるものの範囲を定義しています。

背景

2026年1月1日以降に開始する課税年度について、IRCセクション250(a)(1)は、米国法人に対しFDDEIの33.34%を控除することを認めています。FDDEIとは、法人のDEIのうち、(i)外国での使用のために米国外の者に対して販売される資産、または(ii)米国外に所在する者に提供される、もしくは米国外に所在する資産に関して提供されるサービスから生じるものを指します。IRCセクション250(b)(3)(A)は、DEIを、米国法人の総所得(特定の除外カテゴリーを考慮せずに算定)から当該総所得に適切に配賦される一定の控除額を差し引いた金額と定義しています。

当初の制定時には、外国支店所得やSubpart F所得合算額など、6つの所得カテゴリーがFDDEIから除外されていました。OBBBAは、除外所得の第7のカテゴリーを追加しました。具体的には、以下の資産の譲渡またはその他の処分(みなし譲渡、みなし処分、またはIRCセクション367(d)の対象となる取引を含む)から生じるあらゆる所得および利得を除外しました。

  • IRCセクション367(d)(4)に定義される無形資産
  • 譲渡人で償却対象となる種類のその他の資産

これらの変更は、2025年6月17日以降に発生する譲渡またはその他の処分に適用されます。

2025年12月4日、米国財務省およびIRSは、これらの規則に関するガイダンスを提供する通知2025-78を公表しました。本規則案は、おおむね通知2025-78と整合していますが、以下に示す追加および変更が含まれています。


除外資産譲渡所得

本規則案における「除外資産譲渡所得」の定義は、無形資産および「その他の除外資産」という2つのカテゴリーの資産について、その譲渡またはその他の処分から生じるあらゆる所得および利得となっています。

無形資産

本規則案は、現行のIRCセクション250規則と整合する形で、IRCセクション367(d)(4)を参照して無形資産を定義しています。重要な点として、本規則案は、無形資産には財務省規則セクション1.861-18(c)(3)に定義される著作物が含まれないことを確認していることです。

本規則案の例では、米国法人が非関連の外国顧客にコンピューター・プログラムのコピーを販売する場合、無形資産またはその他の除外資産ではなく、著作物を販売していることになるため、当該法人が同じプログラムのコピーを自らの事業でも使用している場合であっても、その所得は引き続きFDDEI控除の対象となることが示されています。2つ目の例では、期間が限定された取り決め(例えば、コンピューター・プログラムのコピーを2年間使用する権利)は、販売ではなくリースに分類され、同様に「除外資産譲渡所得」には該当しないことが確認されています。

その他の除外資産

本規則案は、「その他の除外資産」を、譲渡人側で以下のいずれかに該当する資産と定義しています。

  • IRCセクション167に基づき減価償却の対象となる性格を有する、または過去に有していた資産
  • 償却もしくは減耗控除の対象となる、または過去に対象となっていた資産

棚卸資産としてのみ保有される資産は、減価償却の対象となる「性格」を有しないため、「その他の除外資産」には該当しません。

償却対象資産は仮に全額償却済みの場合も、その他の除外資産としての性格を維持します。本規則案の例では、米国法人が税務上全額償却済み、したがって税務簿価がゼロになっている機械を譲渡して得た所得または利得は、除外資産譲渡所得として取り扱われると示されています。

本規則案には、パブリックコメントで提出されていた意見の1つである「再製造に関する例外」は含まれていません。要望されていた例外では、過去に減価償却を計上していた資産が、その後大幅に改造または再製造されて販売目的で保有される棚卸資産となった場合に、当該資産をFDDEI対象資産に変更して欲しいというものでした。財務省およびIRSは、そのような資産は減価償却の対象となる資産としての性格を維持すると結論付けました。同様に、本規則案には、除外資産譲渡所得を過去に計上した減価償却費の額を上限とする減価償却費リキャプチャー制限に関する規定は含まれていません。

譲渡またはその他の処分

通知2025-78と同様に、本規則案は、資産の譲渡またはその他の処分が行われたかどうかを判断する際に、一般的な米国連邦所得税の原則を用いるよう納税者に指示しています。この判断上、譲渡には、みなし譲渡、IRCセクション367(d)の対象となる取引およびその他のみなし処分が含まれます。ただし、一般的な税務原則に基づいてリースまたはライセンスと性格付けられる取引は、この目的上、譲渡またはその他の処分として取り扱われません。したがって、無形資産のライセンス供与から生じる所得は引き続きDEIに含まれ、該当する場合にはFDDEI控除の対象となります。

関連者間の濫用防止規定

本規則案の下では、除外資産譲渡所得としての取り扱いを回避することを主たる目的の1つとして、簿価を引き継ぐ取引により特定の関連者が取得した場合、その他の除外資産は当該関連者の下でもその性格を維持します。関連者は、IRCセクション250規則に別途定義される修正後関連グループを参照して判断されます。

本規則案には、濫用防止規定がどのように適用されるかを示す例が含まれています。この例では、米国法人が、除外資産譲渡所得の規則の適用を回避することを主たる目的として、その他の除外資産である自動車を、IRCセクション721(a)およびIRCセクション351(a)非課税移管を介して関連事業体に移転します。移転を受けた関連事業体は、当該自動車を棚卸資産として保有し、その後、非関連の外国人に販売します。この例では、当該移転が除外資産譲渡所得の規則の適用を回避することを主たる目的の1つとして行われたため、当該販売から生じる所得は除外資産譲渡所得として取り扱われると結論付けています。


FDDEIは引き続きDEIの一部

OBBBAにより、みなし無形資産所得およびみなし有形資産所得がFDDEIの計算から除外されたことに伴い、現行のIRCセクション250規則に含まれる外国派生所得比率は不要となりました。ただし、本規則案は、FDDEIは引き続きDEIの総額を上限とすると規定しています。この点は、通知2025-78では取り上げられていませんでした。


適用日および依拠

本規則案は、原則として2025年6月17日以降に発生する譲渡またはその他の処分に適用されます。FDDEIがDEIの一部であることの明確化は、2026年1月1日以降に開始する課税年度に適用されます。

納税者およびその関連者が当該規定の全てを一貫して適用することを条件として、納税者は、本規則案が連邦官報に掲載される前であっても本規則案に依拠することができます。


影響

本規則案は、通知2025-78のガイダンスを正式化するとともに、特に著作物取引に関して、いくつかの点で同通知を上回る追加的な明確化を提供しています。

潜在的なFDDEI適用検討時に、取引を譲渡またはライセンスのどちらとして性格付けるかは、引き続き極めて重要です。無形資産のライセンスまたはリースからは、引き続きFDDEI控除の対象となり得るDEIが生じますが、同じ資産の譲渡については対象とならない可能性があります。納税者は、一般的な税務原則に基づく適切な性格付けを確認するため、無形資産が関係する取り決めの実態を慎重に検討する必要があります。

再製造に関する例外または減価償却費リキャプチャー制限に関する規定が設けられていないため、譲渡人側で減価償却の対象となったことがある資産は、その後、棚卸資産に転換され、または譲渡人によって大幅に改造された場合であっても、本規則案の下では除外資産譲渡所得を生じさせることになります。事業に使用していた資産を日常的に販売用資産へ転換する納税者は、FDDEIの計算に与える影響を評価する必要があります。



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秦 正彦 シニア・テクニカル・アドバイザー

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