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新時代の舵取り:トランプ新政権下での日本経済の行方と、不確実性を乗り越える企業戦略とは


2025年3月、EY新日本では「新時代の舵取り:トランプ新政権下での日本経済の行方と、不確実性を乗り越える企業戦略」をテーマに、クライアント限定のセミナーを開催しました。

第2次トランプ政権発足後、日々の発言が物議を醸す中で、今後の世界経済、日本経済の行方をどのように認識すべきなのか、またそのような変革期において、企業価値向上を目指す上でCFOの果たすべき役割を、お二人のスペシャリストをゲストに迎えてご講演いただきました。


要点

  • 経営とは時代認識である。的確に時代認識ができなければ経営は成功しないので、各種統計等で示される事実(ファクト)に基づいて、日本の置かれている立ち位置や現状認識を常に修正することが重要である。
  • 将来予測が難しいからこそ、CFOは危機対応と経営危機下の企業変革をASSETプロセスにより標準プロセス化し、活用することで、将来において経営危機が発生した場合でも、即座に適切な打ち手を実行できて、V字回復が容易となる。さらに、企業価値向上に持続性をもたらす経営管理の高度化と、企業変革の断行が統合されることにより経営力向上が実現できる。


左から:大内田 敬、吉松 加雄、寺島 実郎、片倉 正美

左から(敬称略)

  • 大内田 敬
    EY新日本有限責任監査法人 副理事長

  • 吉松 加雄
    株式会社CFOサポート 代表取締役CEO
    前ブリヂストン 執行役専務グローバルCFO
    元日本電産(現ニデック) 取締役専務執行役員 兼 CFO

  • 寺島 実郎
    一般財団法人日本総合研究所 会長
    多摩大学 学長

  • 片倉 正美
    EY新日本有限責任監査法人 理事長 EY Japan マネージング・パートナー/アシュアランス

【寺島実郎氏講演】
トランプ新政権誕生から1カ月。
世界の構造変化と日本―企業経営層が考えるべきこと

日本総合研究所の会長・多摩大学学長の寺島実郎氏は、外交・政治・経済などの専門的知見に基づく鋭い洞察で多方面に活躍し、数々の政府の委員を歴任。また、メディア出演、著書の執筆等を通じて、今の時代に知るべき貴重な情報の発信を続けています。講演では、上記表題をテーマに、第2次トランプ政権が誕生して1カ月が経過したタイミング(本セミナーは2025年3月上旬に開催)での世界をどう捉えるのか、そして企業をリードする経営層がどう行動すべきか等についてお話しいただきました。


「経営とは時代認識」、ファクトに基づいた日本の置かれている立ち位置、「トランプ2.0」が始動した今、問題意識として持つべきものは

寺島 実郎 氏

冒頭、これまでのご経験から「経営とは時代認識だ」と感じているとお話しいただきました。そして、今、自分が生きている時代を的確に認識できずして、経営が成功するはずがないという考え方と共に、世界経済の見通しや世界全体の実質GDPの成長率の推移に加え、日本の消費構造の変化や個人金融資産の推移など、事実(ファクト)に基づいて日本の置かれている立ち位置について分析されました。

次に、トランプ2.0政権について触れられ、トランプ氏が「アメリカファースト」を掲げていることの本質を歴史的な視座等から的確に捉えることが重要で、同盟国としての日本が持つべき問題意識や果たすべき役割について提起されました。

このように時流に即し、経営者が視界に入れておくべきことについての講演をいただき、参加者からは、「深い洞察力に基づく講演で、大変勉強になった」「最新の世界情勢の中で、日本の立場がよく理解できた」といった反響をいただき、盛大に終了しました。


【吉松 加雄氏講演】
CFO組織がリードする変革期における企業価値向上と経営管理高度化への挑戦

吉松加雄氏は、株式会社ブリヂストンの執行役専務グローバルCFO、日本電産(現ニデック)株式会社の取締役専務執行役員兼CFOなどを歴任し、現在、株式会社CFOサポート代表取締役CEOを務めています。長年にわたって国内外のCFOを務めてきた知見を生かし、財務戦略の観点から数多くの企業の変革に取り組んでこられました。


変革期に求められるCFOの主要アジェンダとは

吉松 加雄 氏

講演では企業変革と経営管理高度化のビジョン、持続的な企業価値向上を狙う経営管理の仕組みづくり、CFO人財の確保・定着・育成の3点を中心にお話をいただき、それぞれのテーマに即した解説を事例や吉松氏の実体験に基づいた見解と共にご紹介いただき、企業の変革期におけるCFO組織の挑戦の重要性への示唆を頂く貴重な機会となりました。

とくに、予測が難しい経営危機が発生した際に、ASSETプロセスという、分析、予測、解決策提案、実行、業績好転までの経営危機下の企業変革を標準プロセス化する有用性を、ご自身の体験と共にお話しいただき、このプロセスが企業のバイブルとして、今も活用されているということにも触れられており、リスクを早期に予測することとあわせて、経営危機が発生した際の即座のリカバリーの重要性についてご指摘いただきました。

最後には、CFO育成のご自身の経験にも触れられ、人が仕組みをつくり、仕組みが人を育てること、また未来の優秀なCFOを育成するために、求められるCFOの姿を踏まえた育成モデルが必要であるとお話しいただきました。

参加者からは「豊富な経験と実績に基づく経営現場で役立つご説明であった」や「CFOの最新理論と実務と、その両者の融合の重要性を理解できた」といった多数の称賛コメントが寄せられ、盛大な拍手と共に終了し、参加者にとっても非常に満足度の高いセミナーとなりました。

※本稿は2025年3月4日に開催したセミナーを基に編集しました。


サマリー

世界経済における、またアジア圏における日本のポジショニングの変化、日本の消費意欲の減退、トランプ政権が目指すMAGAの裏に隠れるアメリカの内向きなDNA、米中関係の真の姿などを正しく認識することが経営を舵取りする上で非常に重要です。

その上で予測不能な経営危機が生じた場合に短期間でV字回復させる企業変革のプロセスの標準化、企業価値向上に持続性をもたらす経営管理の高度化と、さらに今の時代に求められる役割を担うCFO人財の育成などを準備することが求められます。


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