EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYの関連サービス
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AI市場の規模は今後も成長・拡大が見込まれています。多くの企業で生成AIに代表されるAIが活用され、合わせてルールの整備にも取り組んでいます。AI の利用により業務品質や生産性の向上が期待される一方、AI の利用には、正確性・公平性・知的財産権・セキュリティ・プライバシーなど、さまざまなリスクが存在します。EY では、組織において AI 活用を進めていくにあたり、そうした多様なリスクに対応したガバナンスの構築や、構築した AI ガバナンスの運用状況について第三者としての客観的な評価で支援します。
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AI(人工知能)を安全かつ責任ある形で活用するためのAIマネジメントシステム規格 ISO/IEC 42001:2023について、ISO認証機関を持つEYがサポートします。
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Ⅳ 企業に求められる対応とは
企業がAIガバナンスを整備するに当たっては、まず上記のようなガイドラインの要求事項を理解し、それに基づいた社内体制の構築が求められます。これには、AIの利用目的の明確化、リスク評価の実施、責任体制の整備、従業員への教育・啓発などが含まれます。
ただし、業界の特性やAIの活用状況によって対応すべきポイントは異なるため、自社単独での検討には限界があります。そこで、業界団体や交流会などの場を活用し、企業間で対応状況を共有しながら進めることが有効です。こうした場では、ベストプラクティスの共有や、共通課題への対応策の検討が可能となります。
また、自社の対応状況を客観的に評価するために、第三者機関を活用することも選択肢の1つです。例えば、各種ガイドラインの要求事項を基に、業界特性やトレンドを熟知した専門家による客観的な評価を受けることは、自社の対応状況を把握する有効な手段となるでしょう。
さらに、AIガバナンス体制に関する認証制度である「ISO/IEC 42001」に対応することは、より一層有効な対応と言えます。この国際規格は、AIマネジメントシステムの構築・運用に関する要求事項を定めており、企業がAIを適切に管理・運用していることを証明する手段となります。ISO/IEC 42001では、AIのライフサイクル全体にわたるリスク管理、公平性の確保、透明性の確保、説明責任の明確化などが求められており、企業はこれらの要件を満たすことで、社会的信頼を得ることができます。
OECD(経済協力開発機構)が提唱したAI原則では、人間中心性、公平性、透明性、説明責任などが重視されています。企業はこれらの原則を単なる理念としてではなく、具体的な業務や技術運用に落とし込む必要があります。特に説明責任の確保は、AIが自律的に判断・出力を行う場面が増える中で、社会的信頼を維持するためには欠かせません。企業は、AIの判断根拠やリスク評価のプロセスを明示し、社内外のステークホルダーに対して説明可能な体制を整えることが求められます。これは、法的責任の回避だけでなく、倫理的な信頼の構築にもつながります。今後、AIガバナンスは経営の中核的課題となり、技術部門だけでなく、法務・人事・広報など多部門が連携して対応することが重要です。