EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY-Parthenonは、EYにおけるブランドの一つであり、このブランドのもとで世界中の多くのEYメンバーファームが戦略コンサルティングサービスを提供しています。
要点
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ROIC経営が注目される昨今、さまざまな取り組みが進む中で、ITマネジメントの重要性は見逃されがちです。しかし、実はITマネジメントは企業価値向上の重要な鍵です。IT投資の管理やROI評価、ビジネス戦略との連携が十分でなければ、資本効率の改善は困難です。EYは、ROIC経営への適応を支えるITマネジメントの高度化をIT・事業の両面から総合的にご支援します。
続きを読むIT・デジタルへの投資は、既存事業の効率化やカイゼン型付加価値の創出だけではなく、新規市場への参入スピードや顧客体験の質の非連続な変化、ひいてはビジネスモデル自体の存続を左右するイネーブラとしての位置付けが高まる時代を迎えており、IT・デジタル投資の総額は年々増加する傾向が続いています。一方で、これまで、多くのIT・デジタル投資の判断は、ROI見込み等を活用してきましたが、実際に適切な果実を得られたかどうかの確認が伴わない、あるいはできていても一部の投資にとどまることが実態となっている企業も少なくないのではないでしょうか。本稿では、膨らむIT・デジタル投資に対し、期待効果の管理を効率的かつ確実に実施する手法について考察します。
EYでは、PBRが高い企業においては、IT・デジタル投資について、投資執行前の期待効果仮説に基づいた判断のみならず、投資後の効果評価も実施できている、との仮説の下、売上1,000億円以上の企業を対象に、PBR(株価純資産倍率)とIT・デジタル投資の管理レベルの相関について独自調査*を実施・分析しました。
その結果、IT・デジタル投資のポートフォリオ管理の実施状況は、PBRが高い企業グループの方が実施している割合が高い、という結果になりました。また、IT・デジタル投資に対する事後評価の実施状況は、PBRが高い企業グループの方が実施している割合が有意に高く(PBRが高い企業グループは92%だったのに対し、低い企業グループは65%)、さらに、評価をビジネス側と一緒に実施している企業の比率は相対的に低いものの、PBRが高い企業グループが74%であったのに対し、PBRが低い企業グループでは57%と同様の傾向を示す結果となりました。この相関はIT・デジタル投資のポートフォリオ管理の実施や、効果評価の重要性を再確認させるとともに、事後評価はIT・デジタル組織単独ではなく、ビジネス組織と協業して実施する必要があることを示唆しています。
高PBRの企業グループの方が、ITポートフォリオ管理やIT・デジタル投資成果の評価を実施している割合や、評価をビジネス側と協業している割合が高いことが確認できます
IT・デジタル投資は件数が多いだけでなく、投資目的も多岐にわたり、効果の検証が難しいものも多いため、個々の投資を個別に評価していくのは現実的ではなく、その結果評価の範囲や方法が限定的にとどまりやすい状況にあるのが現状です(例:前年投資との比較、投資後の効果検証の未実施)。この状況を改善するための初期的な打ち手の一つとして、投資判断・管理・評価を改善するためにIT・デジタル投資ポートフォリオを定義・可視化し、ポートフォリオ単位での評価運用の使い分けを実現することが有効です。全体投資を、ポートフォリオ単位で把握、評価運用することにより、より実態に即した投資評価軸の設定に加えて、類似投資の排除や経年比較の精度向上実現を通じて、ビジネス意思との連動性の検証・説明の実現に貢献が可能です。
前述の通り、EYの独自調査によると、PBRが高い企業グループでは、ビジネス側とIT・デジタル側が協業して成果を評価していることが分かっています。一方、より高精度な評価の実現には、IT・デジタル投資種別を定義し、評価手法を細分化することが必要ですが、投資種別の視点の一部はビジネス側の意思の反映であり、IT・デジタル組織側起点の識別が困難であること、投資効果の一部は、ビジネス側でなければ評価・捕捉できないことがIT・デジタル組織にとってのチャレンジとなっていることがうかがえます。
一例をあげると、システム刷新による処理の高速化などは、投資効果を数値化しやすいため、IT・デジタル側で判断が可能な反面、事業創出や売上増などを目指した実験的投資や、大型業務システム刷新などの投資は、その投資がもたらした効果はビジネス側の判断に基づき財務・非財務効果を含め算出すべきですが、IT・デジタル側での識別は困難です。
より詳しい情報をご希望の方はご連絡ください。
投資分類定義の一例として、Gartner社は、IT・デジタル投資を①Transform(非連続な変化を生み出すための投資)、②Grow(シェア拡大などに代表される成長のための投資)、③Run(運営の効率化を推進する投資)の3つにカテゴライズする考え方を“TGR”として提唱しています。一般的には、前述したシステム刷新投資はRunに該当し、業務システムの高度化はGrowに相当、Transformは事業創出など抜本的にビジネスを変革する試みを指すケースが多いですが、各投資がT、G、Rのいずれに該当するかは、業種・個別企業の状況により判断が異なるため、投資の狙いと期待効果を含め投資分類の精度を向上させる段階からビジネスとIT・デジタル部門の緊密な意思疎通が不可欠と考えられます。
ビジネス側を巻き込んだ投資評価を実現するためには、IT・デジタル投資ポートフォリオはビジネス側の協力を得ながら投資判断・評価を実現できる仕組みの構築が不可欠であると考えられます。
EYでは、IT・デジタル投資をポートフォリオ管理し、ポートフォリオごとに投資種類ごとの割合や金額、また得られる想定成果をビジネス側と定め、評価をしていくことで、IT・デジタル投資の無駄をそぎ落としつつ、成果を着実に創出する、効率的で実現性の高い仕組みに変革できると考えています。
*EY独自調査「ROIC×ITで『資本効率を高める経営』を実現へ」サーベイ概要
企業のPBRとITマネジメントの相関を調査し、質の高いITマネジメントが企業の競争力、収益性、成長性、そして最終的に市場評価を高めることでPBRの向上に貢献することを検証する
回答者の企業のPBRを「高」「中」「低」の3つの段階に分け、ITマネジメントレベルを比較することで、企業のPBRとITマネジメントの相関を調査する
2025年7月
IT・デジタル投資のマネジメント方法(意思決定権者、投資にあたり重視すること、ポートフォリオ整備・管理、ROI評価、ビジネス部門の巻き込みなど)を中心としたアンケート調査
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独自調査からは、IT・デジタル投資におけるビジネスとIT・デジタルの協業とPBRの相関を示しています。
IT・デジタルとビジネスが協業する鍵となるように、IT・デジタル投資を個々に評価するのではなく、ポートフォリオとして評価すべきです。
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