EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EUはEU域内の競争力の観点で厳格な規制が障壁になっていると分析し、規制の簡素化を図っています。なお、規制簡素化はいくつかの分野に跨って行われており、“第1弾”オムニバス簡素化パッケージというタイトルの通り、簡素化対応の1つ目の提案が2025年2月26日になされました。
当該提案はCSRDの簡素化提案を含んでいます。
欧州委員会が提示した第1弾オムニバス簡素化パッケージには以下の提案が含まれています。
上記のうちStop-the-clock指令とコンテンツ指令のステータスは次の通りとなります。(以下は4月18日現在、不定期Update予定)
Stop-the-clock 指令 |
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コンテンツ指令 | 採択の時期に関して公式なソースから公表されている情報はありません。 |
2025年3月27日、欧州委員会からオムニバス法案の一環として、基準設定団体であるEFRAGに対して、現在のESRSを簡素化するための改定に関するテクニカルアドバイスの提示を求めるレターを送付しました。EFRAGから欧州委員会に対するESRSの改定に関するテクニカルアドバイスの提出期限は、2025年10月末までとされています。
2025年4月25日に開催されたEFRAGの意思決定機関(SRB)の会議にて、ESRSの改定に関する作業計画とタイムラインが承認されました。
現時点でEFRAGの想定しているESRSの改定のための作業計画とスケジュールは下記です。(以下は4月25日現在の情報です。不定期ですが適時なUpdateを予定しています)
タイミング | 改定のための作業 |
2025年4月~5月中旬 |
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2025年5月中旬~7月 |
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2025年8月~9月 |
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2025年10月 |
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なお、改訂版ESRSは委任規則として採択後に採用可能となります。このため、2025年10月から改定版ESRSが使用可能となるわけではない点にご留意ください。
委任規則の採択は「CSRDのコアコンテンツに係る指令」の成立後6ヶ月以内になされるという表現が背景文書において使用されています。
オムニバス簡素化パッケージの中で以下のような変更が提案されています。なお、コンテンツ指令に含まれる内容は今後の立法過程で変更が加わる可能性が高いため、当該不確実性も加味した対応計画の策定が必要となります。
日系企業のEU子会社が含まれるいわゆるWave2(従業員500人未満のEU上場企業を含む大企業)のカテゴリーの適用対象と適用時期の現行と改訂提案に係る比較表は以下の通りとなります。
適用対象:コンテンツ指令(4月18日現在、指令未成立)
現行 | 改訂提案 | ||
EU域内企業 | 連結 |
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単体 |
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EU域外企業 | 連結 |
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適用時期:Stop-the-clock指令(指令成立済)
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| 現行 | 改定提案 |
EU域内企業 | 連結 | 2025年1月1日以降に開始する事業年度 | 2027年1月1日以降に開始する事業年度 |
単体 | 2025年1月1日以降に開始する事業年度 | 2027年1月1日以降に開始する事業年度 | |
EU域外企業 | 連結 | 2028年1月1日以降に開始する事業年度 | 2028年1月1日以降に開始する事業年度 |
*Stop-the-clock指令は官報掲載され、その効力が発生していますが、現行CSRD指令の国内法化が完了しているEU加盟国は改訂提案が国内法へ移管するまでは、上記の“現行”の期日が適用されることとなります。
CSDDDの適用対象と適用時期に係る現行と改訂提案の比較表は以下の通りとなります。なお、適用対象については改訂提案の中で変更の提案がなされませんでした。
適用対象:コンテンツ指令(4月18日現在、指令未成立)
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| 現行 | 改訂提案 |
EU域内企業 | 連結 |
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単体 |
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EU域外企業 | 連結 |
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上記以外に、EU域内のフランチャイズまたはライセンス契約を締結している企業またはグループの最終親会社で、EU域内でのロイヤリティが、年間22.5MEUR超、かつ、当該企業またはグループの直近事業年度におけるグローバルでの年間純売上高8,000万ユーロ超の場合のEU企業および第三国企業にも適用されます。
適用時期:Stop-the-clock指令(指令成立済)
対象企業のサイズによる分類分け | 現行 | 改訂提案 | |
EU域内企業 | EU域外企業 | ||
平均従業員5,000人超 、かつ | EU 域内純売上高1,500M EUR超 | 2027年7月26日から | 2028年7月26日から |
従業員数平均3,000人超、かつ、 | EU 域内純売上高900M EUR超 | 2028年7月26日から | |
従業員数平均1,000人超、かつ、 | EU 域内純売上高 450M EUR超 | 2029年7月26日から | 2029年7月26日から |
*Stop-the-clock指令は官報掲載され、その効力が発生していますが、当該延期を含むCSDDDを国内法へ移管して始めてEU加盟内で効力を発揮することになります。
以下のサイトをご参照ください。
CSRD | ESRS/EUタクソノミーの解説(オムニバス提案適用前の解説) | |
N-ESRS(EU域外企業向けESRS) | 今後掲載予定 | |
VSME(中小企業向けの任意の報告基準) | 今後掲載予定 | |
CSDDD | オムニバス提案適用前の解説 | |
CBAM | オムニバス提案適用前の解説 | |
EUDR(欧州森林破壊防止規則) | ||
EUバッテリー規則およびELV(廃車)規則 | サーキュラーエコノミーのリスクと機会 ~ELV規則とEUバッテリー規則を中心に~ |
馬場 翔太
EYベルギー Japanese Business Service