複雑性を増す顧客課題

顧客は何を求めているのか、それを理解するには顧客にとっての課題とは何かを理解する必要があります。顧客の課題は時代と共に複雑性を増しており、時には顧客自身も気が付いていないケースもあります。加えて、課題の解決には常にスピード感を求められます。顧客の置かれた環境、業界を取り巻くトレンド、顧客自身の未来、それらを正しく捉え、共にひも解いていく必要があります。

変容する消費者の行動と価値観

成熟した市場において、嗜好の多様化、購買体験のデジタル化など顧客(生活者)を取り巻く環境は大きく変化しています。生活者はより便利なデジタルサービスを期待し、多種多様な接点における顧客体験を求めています。

もはや生活者は利便性だけでなく、デジタル化で希薄となりがちな「つながり」も求めています。例えばレコメンドされる商品がなぜ必要なのかといった理由にまで意味や共感を見いだそうとします。近年の地域や世界をも越えてデジタル化されたライフスタイルの中で、生活者に選ばれる経済圏には居心地の良い体験価値を提供する、業種業態を超えた幅広い知見とアイデアが必要な時代がすでに到来しています。

企業に求められるビジネスモデルの転換

企業間取引の世界においては、これまで、高性能、高品質な製品を作ることで世界をリードして来た日本企業は大きな岐路に立たされています。今、顧客は製品やサービスそのものだけでなく、それにより提供される価値が自分たちの課題解決にいかにつながるのかという提供価値を求めています。

例えば、製品の機能、性能といった品質を強みとして売り切りモデル販売により、収益を確保してきたモデルも、日本製品の優位性を保つことが厳しい市場も顕著になってきています。企業においてはこれまでと異なるビジネスモデルを模索し、新たな収益モデルの転換に迫られています。

EYができること

私たちは顧客が何を望むのかというビジネスにおける重要課題に対して、現在機能していることと、将来に向けて変革すべきことのバランスの重要性を提案します。そのバランスを維持・変革する上で、「カスタマーエクスペリエンス」「デジタルテクノロジー」を重視したアプローチにより、注意深く変革に向けたアクションを設計しながら向上させていくことで貴社の取り組みをサポートします。

  • パーパスブランディング

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    見えない未来における指針としてパーパス構築とブランディングを行い、経営戦略や事業戦略の実施を加速させます。

    • パーパスを中期経営計画と連動。事業ポートフォリオ整理など事業変革方針の策定と社内文化改革、社員意識改革による変革実現
    • ブランド起点でのCX(顧客体験)変革。事業モデルのリデザインとITインフラおよび業務変革の実現

    事例紹介

    大手人材紹介・派遣業におけるパーパス策定とブランディング

    優秀な人材があらゆる業界で不足する中、M&Aを繰り返し人材紹介・派遣を中心とした事業を行うクライアントでは、事業会社に対する価値を維持し向上させるためにも優秀な人材の就社意向の確保と継続的な所属意欲の向上が重要なキードライバーとなっていました。

    さらなる事業成長に向け、グループのパーパスを定め、M&Aによって広がった事業領域と重複する機能を整理すること、そして商材たる人材に対するアクションを設計し実施することを支援しました。

    パーパスは、社会と業界、取引先、従業員、一般の人々(生活者)などさまざまなエンティティに対して、自社がどのような役割を果たすのか、また、その結果どのような社会や状態を実現するのかを1人称=自社の視点で見つめ直すことから検討を始めます。本案件では人材紹介・派遣会社は、ただ企業と人材をマッチングするのではなく、業界が大きく変化する際に必要とされる技能や経験を持つ人材を、業界をまたがってアロケーションし業界全体の大きな変革をドライブする役割になることこそ、人材紹介・派遣業の役割である、というトップマネジメントの意思に基づきパーパスを制定しました。

    一方で、商材たる人材一人一人が企業に所属する際の動機と、継続的な就業の動機が異なります。さらに持っている技術レベルや職位によっても動機は異なりました。これらの動機を統計的に見える化することで、働き手のEX(Employee Experience)をデザインし、パーパスへの共感・理解浸透のアクションへと落とし込みました。

    本案件において、パーパス構築のみならず、人材採用・就業継続動機をモデル化することで、EXの実現手法を整備し、特にTMT(テクノロジー・メディア・テレコム)業界における採用ブランディングというソリューションへと進化させています。

  • プロダクト&サービスイノベーション

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    製品・サービスのイノベーションを通じ、顧客体験を変革し、事業成長を実現します。

    • 新規事業・サービスデザインの創出や、UXデザインなどを含めた将来事業コンセプトの設計支援
    • 顧客タッチポイントにおける体験変革に向けたオンライン・オフラインを横断した最適化の支援
    サービスデザイン・アイディエーション
    サービスデザイン・アイディエーション

    顧客における潜在課題や志向性を見いだし、新たな顧客体験をデザインし、デジタル技術を活用しつつ、新たな提供価値を共創

    グロースストラテジーデザイン
    グロースストラテジーデザイン

    定量・定性の顧客データおよび、社内のワークログを分析することで、顧客理解の深化を通じてトップライン向上に向けた戦略の立案を支援

    エクスペリエンスデザイン
    エクスペリエンスデザイン

    既存の組織や業務およびデジタル活用の成熟度を診断し、CX(顧客体験)・EX(従業員体験)の観点を踏まえた上でのビジネスプロセス変革の実現を支援

    事例紹介

    大手機器製造会社での新規事業開発・サービスデザイン支援

    従来「強み」であった分野が、テクノロジーの進化や海外企業の台頭によってコモディティ化が進んでいます。当クライアントも例外ではなく、これまで関係性の強かった代理店が他社製品を扱うようになるなど、顧客接点の抜本的な見直しが迫られていました。

    EYは、こうしたビジネス環境の変化に対応するため、同社のビジネスを転換するためのサービスデザインを支援。具体的には、企画構想、要件整理、プロトタイプ開発などを行いました。

    クライアントは、過去にもサービスシフトを構想し、さまざまな企画を行ってきましたが、いずれも経営層がそのサービスの形・ユーザーの体験シーン・メリットのイメージを持つことができず、具体的な仕様検討を進められずにいました。

    そのため本プロジェクトでは、企画構想工程からUXデザイナーやエンジニアが参画し、サービスのプロトタイプやイメージ動画を作成。経営層に実現すべき将来像を明確に伝えました。それにより本格検討へのステップを獲得し、PoCやサービスローンチまで継続して支援を行いました。

    本プロジェクトは、同社にとって、大きなブレイクスルーとなりました。さらに、それを連続的、再現性をもって同社のルールの1つに組み込むことができたことは、DXを定着化させる取り組みとしても大きな意義があったと言えます。

  • マーケティングエクセレンス

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    市場の変化や事業環境への将来対応に向けたマーケティングDXをCXの視点から戦略・組織・業務そしてシステムの面から実現します。

    • BtoCおよびBtoB事業におけるマーケティング、営業DXをブランディング基点のCXとデータ利活用によるBXによる実現を支援
    • 導入ツール(MAやSFA)の実態をアセスメントし、組織・業務変革による営業DXのリスタートを支援
    エクスペリエンスデザイン
    顧客インサイト

    社会的メガトレンドや多様な市場背景、対象顧客の思考・行動分析を通じて、顧客の潜在的な志向性や態度変容要素などのインサイトおよび未来トレンドを導出

    事例紹介

    新領域のブランディングとマーケティング・セールスDXの実現

    多くのBtoB企業から市場環境や規制の変化などによりターゲットと事業ポートフォリオを大きく変化させるにあたって、新規事業の立ち上げとそれに伴う組織・体制づくりを行いたい、というご相談が多く寄せられています。

    本案件はあるICT業界のクライアントから、新たなソリューション領域を立ち上げ、SMB向けに展開し次の収益の柱とするために、事業・ソリューション認知の獲得とデジタルマーケティングを活用した新規顧客の獲得を行いたい、というご相談から始まりました。

    まず、この事業のブランド提供価値を規定しました。顧客像の明確化と、自社商材のバリュープロポジションの規定。また、クライアントがフォーカスすべき顧客問題・課題を明確にし、自社の商材および顧客接点の価値規定を行いました。このフェーズを事業課題整理‐ブランド提供価値規定と呼びます。

    この過程において、ペルソナ(顧客像)の具体化を行い、①顧客が事業問題や課題をどう解決するのかという「クライアント商材による課題解決の体験設計」、②情報を取得し、商材を選定・入手し実際に活用する「ユーザーシナリオの体験設計」という2点をCX(カスタマーエクスペリエンス)として設計します。

    商材のブランド提供価値が明確になることで今後の商材開発の方向性やコンタクトセンターやカスタマーサクセスとしてどのような支援を行うべきか、顧客インサイトを踏まえてどのような価値を提供するのか、といった設計が容易になります。具体的にはコンテンツマーケティングにおけるHPでの商材コンテンツやセールススクリプトなどです。

    そして、体験を実現するための業務・組織・プロセス設計、ITインフラの設計と導入、クライアントが事業を立ち上げ、新たなマーケティングとセールス組織と業務の自走化を進めるとともに、継続的にBtoBマーケティング・セールスの上流から下流までを一気通貫でご支援しています。

    機械メーカーのASEAN販売拡大に向けた現地マーケット推計による海外販売戦略策定支援

    日本の高齢化・人口減少やGDPの伸び悩みなどの背景を受け、日本の市場がシュリンクしていく中で、海外進出・拡大というテーマはどの企業においても成長戦略の1つの柱として掲げられております。しかしながら、海外進出に向けた販売戦略を立てるためには、統計データだけでは粒度が粗く、海外進出先の需要を正しく把握することが難しく、適切な販売戦略を打てないことが多いのが現状です。

    本プロジェクトは上述のような背景に置かれた多くの企業と同様のお悩みを持ったクライアントの皆さまが、現在進出しているASEAN6カ国における販売戦略を立てたいという相談から始まりました。公開されている統計データでは国別の市場規模は分かるものの、価格帯別や地域別などの市場規模になると現地法人の感覚値に頼らざるを得ない状況です。

    そこでEYは「取得できる情報」から戦略を立てるのではなく、グローバルネットワークを生かして現地でのディーラーおよびユーザーへのヒアリング、アンケートを行うことで、「取得したい情報」まで粒度を細かくして市場規模やシェアを推計し、戦略を立てるアプローチを実施しました。

    各国数百件ものデータを集計し、マクロの統計データを参考に拡大推計するとともに、将来の需要も相関関係の高い説明変数で多重回帰分析することで算出することで、販売戦略を立てるために必要十分なデータをそろえました。最終的にはそれを用いて、領域担当や現地訪問したメンバーと共にデータに基づく販売戦略を議論することができ、ASEAN全体のポートフォリオおよび各国のアクションまで落とし込むことができました。

  • セールス・サービスエクセレンス

    顧客接点における従来型の関係性を見直し、営業からカスタマーサポート、およびカスタマーサクセスにおいて新たな顧客体験(CX)の確立に向けた変革を実現します。

    • セールスマネジメント、セールストランスフォーメーション(構想策定・BPR・組織・人員配置最適化実行・KPIデザイン・上市パイプライン構築)支援
    • カスタマーサポート/カスタマーサクセストランスフォーメーション(構想策定・BPR・組織・人員配置最適化実行・KPIデザイン)支援
    • 顧客接点DX(MA・SFA/ CRM・Call Center・CDPなど)グランドデザイン策定、要件定義、プロトタイプ作成、PMO支援
    エクスペリエンスデザイン
    トランスフォーメーション実行支援

    最適な投資配分判断、チャネル間の一貫性担保、各種デジタルツール導入による自動化・業務の最適化といった施策の実行に向けた計画策定・実行を支援

    エクスペリエンスデザイン
    カスタマーサクセス

    リカーリング型のビジネス推進において、顧客への新たな提供価値による顧客体験を確立し、課題解決を共に推進するために必要となる組織や業務基盤の変革・構築を支援

    事例紹介

    大手テクノロジーカンパニーでの顧客接点改革支援

    全国に営業拠点を持つテクノロジーカンパニーであるクライアントは、既存顧客に対する営業による売り上げシェアが高い一方で、事業成長率は極めて鈍化しており、新規開拓が急務となっていました。

    EYは、当社の売り上げ構成の分析や取り扱い商材の分析などを通じて、製品・サービスポートフォリオの見直しとともに、マーケティング、営業など、顧客接点の抜本的な見直しに向けた構想策定の支援を行いました。

    構想策定の中では営業マネジメントの標準化や現場での同行営業など、支援内容は多岐にわたりました。

    マネジメントの標準化は、コンセプトデザイン(企画)で終わらせず、実際にSFAなどのツールのプロトタイプを構築しました。クライアントが目指すマネジメントスタイルを実現できるのかを検証しながら、アジャイル的に議論を進めたことで現場マネジャーの納得感も高く成功裏にコンセプトのインストールを行うことができました。

    また、事業成長の肝となっていたソリューション営業へのシフトも「コンセプト」や「フレームワーク」などのお題目だけではなく、クライアントの営業チームと一体となり成功体験をつくり出し、それを型化、汎化する作業を繰り返すことで、現場チームへスムーズにインストールでき、短期間で事業成長率の改善を実現することができました。

    本プロジェクトは、同社にとってマネジメントや現場メンバー中心に成功体験をつくり、そのプロセスを自らが体験し、EYが再現性のあるフレームワークを構築したことによって、自社での顧客接点の改革を持続的に行うことができるようになった成功事例の1つとなっています。

  • カスタマーデータ&エクスペリエンス

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    顧客データや行政・地域データなど活用しきれていないアセットを活用し、マーケティング・セールス変革や事業構造変革を促すことで新たな顧客体験を生み出します。

    • 顧客体験変革や新サービス開発に向けた顧客データ活用高度化構想および統合基盤の策定支援
    • エクスペリエンス分析に基づく新顧客体験設計および改善PDCAプロセスの構築支援
    • 地域データ活用による地方創生など行政サービス向上支援
    カスタマーチャネルオプティマイゼーション
    カスタマーチャネルオプティマイゼーション

    近年における顧客の行動変容や志向性の変化を捉え、デジタルチャネルの活用など、顧客チャネルの最適化・多様化に向けた戦略策定および計画立案・実行を支援

    事例紹介

    大手日用品メーカーでのライフサイクル起点データ活用支援

    特にスイッチングコストが低いと言われている日用品の分野において、メーカーであるクライアントは顧客とのエンゲージメントを高めるべく、スマホアプリを通じた直接接点の重要性を理解し、いくつかのサービスを開始しておりました。これにより、今まで取得することができなかった顧客データを保持できるようになった一方で、サービスごとに取得しているデータ項目がバラバラであり、実際のところ有効活用ができないということで、顧客データ統合プロジェクトの依頼がありました。

    顧客データ統合およびその活用におけるKSF(成功要因)は、統合したデータを何にどのように使うのか、といったユースケース定義にほかなりません。一般的なユースケースとしては、RFM分析を行い、次の購買サイクルに入るタイミングを予測し、そのタイミングでメッセージを送るということが挙げられます。この点については、クライアントも顧客データを活用して定期的なメッセージ送付・キャンペーン配信は行っておりましたが、効果は限定的でした。

    そこでEYは再購買を狙った購買サイクル予測に向けたデータ活用ではなく、顧客の利用シーンや生活シーンの体験向上に向けたデータ活用方法を提案しました。データ活用の目的を普段の生活での不便や不満といった「不」の解消、生活をよりよくしていくためのサポートにつながる活用とする、つまりライフタイムジャーニー全体に視点を広げた上でサービス設計やコミュニケーション設計をすることにより、結果としてロイヤルティーが向上して購買につながるという「ライフサイクル起点データ活用」を実現しました。

    本プロジェクトは、提供したい世界観の検討から始まり、その世界観に基づくユースケース・体験設計を行うと共に、実現に向けたデータアセスメント、データモデル設計を並行して行い、初期ユースケースをクイックに実現しながら、徐々に提供したい世界観につなげるアプローチで進めています。

寄稿記事

コンサルティングに関するEY Japan の寄稿記事を紹介します。
その他の寄稿記事は、 こちらをご覧ください。
Sales DX総点検 ~いまこそ、顧客接点を再構築する~ 第1回:Sales DX総点検--顧客接点改革の現在地とこれから

(ZDNet連載全6回:「Sales DX 総点検 ~いまこそ、顧客接点を再構築する~」【第1回】)

EYストラテジー・アンド・コンサルティング パートナー 千葉 友範

Sales DX総点検 ~いまこそ、顧客接点を再構築する~ 第2回:Sales DX総点検--営業偏重組織からの脱却

(ZDNet連載全6回:「Sales DX 総点検 ~いまこそ、顧客接点を再構築する~」【第2回】)

EYストラテジー・アンド・コンサルティング パートナー 清水 慶尚

Sales DX総点検 ~いまこそ、顧客接点を再構築する~ 第3回:Sales DX総点検--データドリブン型営業マネジメントのススメ

(ZDNet連載全6回:「Sales DX 総点検 ~いまこそ、顧客接点を再構築する~」【第3回】)

EYストラテジー・アンド・コンサルティング アソシエイトパートナー 青木 健泰

EYストラテジー・アンド・コンサルティング ディレクター 田宮 康一、ディレクター 八巻 学人

Sales DX総点検 ~いまこそ、顧客接点を再構築する~ 第5回:Sales DX総点検--カスタマーサクセスで顧客とのつながりを再設計

(ZDNet連載全6回:「Sales DX 総点検 ~いまこそ、顧客接点を再構築する~」【第5回】)

EYストラテジー・アンド・コンサルティング ディレクター 矢崎 隆弘

Sales DX総点検 ~いまこそ、顧客接点を再構築する~ 第6回(最終回):Sales DX総点検--顧客中心型のビジネスデザイン

(ZDNet連載全6回:「Sales DX 総点検 ~いまこそ、顧客接点を再構築する~」【最終回】

EYストラテジー・アンド・コンサルティング パートナー 千葉 友範

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