経済安全保障

経済安全保障とは、経済的な手段を用いて確保する安全保障の領域のことです。従来の安全保障は、国家や一部の防衛産業の企業が主体となり、外交や防衛という手段を用いた活動によって達成される領域でしたが、国家間の経済的な相互依存や技術力の発展により、サプライチェーンや技術力が武器化し、国家のみならず企業も安全保障の重要な主体となりました。EYではさまざまな角度から官民の経済安全保障の確保をサポートいたします。



経済安全保障が注視される背景

近年、経済安全保障が注視される背景には、国際社会を取り巻く状況が時間をかけて大きく変化してきたことがあります。グローバル化の進展によって国家間の経済的な相互依存関係が強化されたことにより、相手国のサプライチェーンを断絶することで国力をそぐことが新たなパワーの行使の手法として採用されるようになりました。イランによるホルムズ海峡の封鎖に伴う世界的な資源価格の高騰や、中国によるレアアースの輸出停止などがその好例です。

加えて、急速に開発が進んでいる、半導体、AI、量子、バイオテクノロジーなどの民生の先端技術が軍事にも利用されることで、各国の技術競争力が国力に直結する状況になっている中で、各国が自国の優位性を確保するために輸出管理や投資管理、サイバーセキュリティや産業スパイ対策などの政策を次々と打ち出しています。

このように安全保障の確保のために国家によって採用される手段の多くが経済の領域におけるものとなっており、国家の安全保障を確保するためには企業の協力が不可欠な時代となりつつあることが、経済安全保障が広く社会において注目されてきている背景となっています。

企業の視点でも、安定的に事業を継続し、他社に対する優位性を確保しながら持続的に成長するためには、自社のサプライチェーンの強靭(きょうじん)化や、技術情報の保全などの対応が不可欠になり、そのためには従来の経済合理的な意思決定に反するような決断を迫られる機会が増えてきております。経済安全保障を単なるリスク対応ではなく、経営戦略として捉えることが求められる状況にあります。
 

企業が持つべき経済安全保障の視点

国家も企業も経済安全保障の重要な主体でありますが、それぞれの経済安全保障上の目的には違いがあります。国家は、自国の存続と繁栄のためにいかに経済活動を持続・安定化させ、他国に対する技術優位性を確保し続けることで国家の安全保障を確保することが目的であることに対して、企業は自社の持続的な発展を、株主利益の最大化を追求しながら確保し続けなければなりません。

そのため企業には、政府が推進する経済安全保障政策(例えばわが国における経済安全保障推進法や、外為法対応)に従う「受動的」な経済安全保障対応に加え、経済安全保障の自主基準の設定に基づく「能動的」な経済安全保障対応が求められます。政府による指針に終始するのではなく、自主的な重要技術情報の保護、オープンソースインテリジェンス(Open Source Intelligence、以下OSINT)を活用した取引審査、地政学有事を念頭に置いた事業継続計画(Business Continuity Plan、以下BCP)の策定、異なる経済圏の間の社内デカップリング、サプライチェーンの多角化など、自主基準に基づく経済安全保障対応を他社との差別化要因として戦略的に捉え、厳しいビジネス環境を梃にしながら、新たな機会を創出することが現在の経営者に求められています。

企業が持つべき経済安全保障の視点
図:EY作成

EYができること

EYは経済安全保障を単なる規制対応ではなく「経営テーマ」として位置づけています。国際情勢や各国の政策情報について、独自のシンクタンク・アカデミアネットワークを駆使して読み解き、経営の言語に翻訳して経済安全保障の視点を取り入れた経営戦略の策定と、具体的な取り組みの実行支援をいたします。国際関係や経済安全保障を熟知したプロフェッショナルが、自社の経済安全保障対応における成熟度を分析する包括的なアセスメント、地政学有事を念頭に置いたBCPの策定支援や訓練、経済安全保障推進法や外為法・輸出管理規則(EAR)などの各国輸出規制等の制度対応、OSINTを活用した取引先審査や産業スパイ対策、サプライチェーン戦略策定、リマニュファクチュアリング戦略策定などを、幅広くご支援いたします。



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