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EY新日本有限責任監査法人
公認会計士 大山 文隆
2025年3月期決算に係る内部統制報告書における、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目に関する開示の状況を知りたい。
2025年3月期決算から改訂後の「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」及び「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」(以下「改訂内部統制実施基準」という。)が適用されることとなり、内部統制報告書の記載内容について開示の拡充が求められている。
ここで、評価対象とする業務プロセスの識別において企業の事業目的に大きく関わるものとして選定した勘定科目(以下「事業目的勘定」という。)については、決定の判断事由を含めて記載することが適切であることとされている(「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」Ⅱ-4-(4)①)。また、改訂内部統制実施基準においては事業目的勘定については個別の業種、自社の置かれた環境や事業の特性等に応じて適切に判断する点が強調されている。
調査対象会社(186社)について、2025年3月期の内部統制報告書に事業目的勘定を追加した会社数を調査したところ、21社(11.3%)であった。これらの会社においては、改訂内部統制実施基準で例示されている3勘定(売上、売掛金、棚卸資産)以外に各社の事業に個別に関連する勘定科目が追加されているケースが多く見受けられた。前述のとおり、個別の業種、自社の置かれた環境や事業の特性等に応じて適切に判断する点が強調された事が影響していると考えられる。
次に、調査対象会社(186社)について、事業目的勘定の決定の判断事由を調査した。調査結果は<図表1>のとおりである。
記載内容 | 会社数 | 調査対象会社に |
事業内容、事業の特性 | 70 | 37.6% |
指標ごとに決定の判断事由を記載 | 14 | 7.5% |
事業において多額に計上されること | 14 | 7.5% |
企業の収益獲得活動に関連すること | 12 | 6.5% |
事業特性、売上高や総資産等に占める割合 | 10 | 5.4% |
金額的及び質的影響並びに発生可能性 | 4 | 2.2% |
その他 | 6 | 3.2% |
特段記載なし | 56 | 30.1% |
合計 | 186 | 100.0% |
「重要な事業拠点の選定指標」(「第9回 内部統制報告書(重要な事業拠点の選定において利用した指標とその一定割合)」参照)と同様に、「事業目的勘定」においても事業内容、事業の特性を決定の判断事由とした会社が最も多く、70社(37.6%)であった。
また、決定の判断事由について特段記載がない会社56社(30.1%)のうち、46社については「重要な事業拠点の選定指標」において事業内容等が記載されており、これが事業目的勘定の決定の判断事由も兼ねているものと考えられる。
2025年3月期 有報開示事例分析
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