2026年3月期 決算特集!

2026年3月期決算は、会計処理そのものに大きな変更が生じるケースは限定的である一方、早期適用が可能な基準については対応判断が求められます。
 

また、開示面では「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正を背景に、人的資本開示や総会前開示など、当期決算において整理・確認しておきたい論点が増えています。




1. 決算留意事項をひととおりチェック!

2026年3月期 決算上の留意事項|情報センサー

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2026年3月期 会計及び開示の決算上の留意事項|会計情報トピックス

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2. 新会計基準の適用時期及び開発動向 

新しい又は改正された会計基準において、2026年3月期に原則適用となるもの、早期適用が可能なものは以下の表のとおりです。

2026年3月期より原則適用されるもの
 

区分

会計基準等

適用時期

包括利益の表示(※1)

包括利益の表示に関する会計基準

原則適用
2025年4月1日以後最初に開始する年度の期首から適用

株主資本等変動計算書に関する会計基準の適用指針

原則適用
2025年4月1日以後最初に開始する年度の期首から適用

特別法人事業税(※1)

法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準

原則適用
2025年4月1日以後最初に開始する年度の期首から適用

税効果会計に係る会計基準の適用指針

原則適用
2025年4月1日以後最初に開始する年度の期首から適用

種類株式(※1)

種類株式の貸借対照表価額に関する実務上の取扱い

原則適用
2025年4月1日以後最初に開始する年度の期首以後取得する種類株式について適用



2026年3月期より早期適用が可能なもの
 

区分

会計基準等

適用時期

上場会社等が保有する
ベンチャーキャピタル(VC)ファンドの出資持分に係る会計上の取扱い

金融商品会計に関する実務指針

原則適用
2026年4月1日以後開始する年度の期首から適用

早期適用
2025年4月1日以後開始する年度の期首から適用可能

リース

リースに関する会計基準 等

原則適用
2027年4月1日以後開始する年度の期首から適用

早期適用
2025年4月1日以後開始する年度の期首から適用可能


(※1)2024年年次改善プロジェクトによる企業会計基準等の改正についてはこちらの記事もご参照ください。


法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準についての関連記事

2025年3月31日に、内閣府令第31号「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」等が公布されています。本改正は、企業会計基準委員会において、改正企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」が公表されたことを受け、財務諸表等規則等及び財務諸表等規則ガイドライン等について所要の改正を行うものです。


上場会社等が保有するベンチャーキャピタル(VC)ファンドの出資持分に係る会計上の取扱いについての関連記事

上場会社等が保有するベンチャーキャピタル(VC)ファンドの出資持分に係る会計上の取扱いに関して、2026年3月期決算会社は早期適用が可能となります。近年、ベンチャーキャピタル(VC)ファンド等が非上場株式を保有するケースが増加しているなか、金融商品会計基準では、市場価格のない株式については取得原価で評価することとなっています。財務諸表の透明性向上と投資家への有用な情報提供のため、ベンチャーキャピタルファンドに相当する組合等の構成資産である市場価格のない株式を時価評価するよう、会計基準を改正すべきとの要望が聞かれました。こうした状況を受け、ASBJが会計上の取扱いを見直し、改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」を公表しました。



リースに関する会計基準等に関して、2026年3月期決算会社は早期適用が可能となります。従来の日本基準では、借手のオペレーティング・リースの会計処理はオフバランスするとされた一方、IFRS第16号・US-GAAP(Topic842)では、すべてのリースを原則オンバランスする処理をしています。国際的な比較の観点から、2024年9月にASBJより企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」が公表されました。これにより、リースがファイナンス・リースであるかオペレーティング・リースであるかにかかわらず、すべてのリースを使用権の取得と捉えて使用権資産を貸借対照表に計上するとともに、使用権資産に係る減価償却費及びリース負債に係る利息相当額を計上する単一の会計処理モデルによることとされています。

詳細はこちらの記事もご参照ください。

2026年3月期 未適用の会計基準
 

区分

会計基準等

適用時期

バーチャルPPA(Power Purchase Agreement) に係る会計上の取扱い

非化石価値の特定の購入取引における需要家の会計処理に関する当面の取扱い

原則適用
2026年4月1日以後開始する年度の期首から適用

早期適用
公表日(2025年11月11日)以後開始する年度の期首から適用可能

期中財務諸表

期中財務諸表に関する会計基準 等

原則適用
2026年4月1日以後開始する年度の最初の期中会計期間から適用

法人税・住民税及び事業税

防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い

防衛特別法人税は2026年4月1日以後に開始する事業年度から課されることから、2026年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用

後発事象に関する会計基準

後発事象に関する会計基準
後発事象に関する会計基準の適用指針
原則適用
2027年4月1日以後開始する年度の期首から適用


バーチャルPPA(Power Purchase Agreement) に係る会計上の取扱いについての関連記事

2025年11月11日に、企業会計基準委員会より、実務対応報告第47号「非化石価値の特定の購入取引における需要家の会計処理に関する当面の取扱い」が公表されています。


期中財務諸表についての関連記事

2025年10月16日に、企業会計基準委員会より、企業会計基準第37号「期中財務諸表に関する会計基準」等が公表されています。


防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱いについての関連記事

2026年2月27日に、企業会計基準委員会より、実務対応報告第48号「防衛特別法人税の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」が公表されています。


後発事象に関する会計基準についての関連記事

2026年1月9日に、企業会計基準委員会より、企業会計基準第41号「後発事象に関する会計基準」等の会計基準等が公表されています。



その他の会計基準等の開発動向(ASBJ)
 

区分

公開草案等

検討状況及び今後の計画

金融商品
(予想信用損失モデル)
金融商品に関する会計基準(案)
金融資産の予想信用損失に係る会計上の取扱いに関する適用指針(案)

日本基準を国際的に整合性のあるものとする取組みの一環として、予想信用損失モデルに基づく金融資産の減損についての会計基準の開発に向けて検討が行われ、2025年10月に公開草案が公表された

法人税・住民税及び事業税

法人税等に関する会計基準(案) 等

適用対象となる税金についての原則的な定めを置くとともに、関連する実務上の取扱いに関する指針の見直しを行うことについて検討が行われ、2026年1月に公開草案が公表された

継続企業に関する会計基準

-

2025年2月より検討を開始している

譲受人が特別目的会社である場合の金融資産の消滅範囲の明確化

-

2025年12月より検討を開始している

排出量取引制度に係る
会計上の取扱い

-

2025年12月より検討を開始している

ICOトークンの発行・保有等に係る会計上の取扱い

資金決済法上の暗号資産又は金融商品取引法上の電子記録移転権利に該当するICOトークンの発行及び保有に係る会計処理に関する論点の整理
2022年3月15日公表

2022年6月にコメントを締め切り、現在論点整理に寄せられたコメントへの対応を検討している

子会社株式及び関連会社株式の減損とのれんの減損の関係

-

2017年10月より検討を開始している


3. 内閣府令等の改正

2026年2月20日に「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正が公布されています。本改正は、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が策定したサステナビリティ開示基準の適用開始に向けた制度整備、人的資本開示に関する制度見直しや総会前開示への対応を主な目的とするものです。

本改正による2026年3月期決算への影響は以下の通りです。

(1) 人的資本開示に関する制度見直し

人的資本開示の拡充として、有価証券報告書における「従業員の状況」の記載位置が見直されたほか、以下の事項の開示が新たに求められています。

① 連結ベースの企業戦略と関連付けた人材戦略
② 当該戦略を踏まえた従業員給与等の決定方針
③ 提出会社の従業員の平均給与およびその対前年比増減率

(2) 総会前開示への対応

会社の開示負担を軽減し、株主総会前の有価証券報告書の開示を促進する観点から改正が行われました。有価証券報告書の開示への影響は以下となります。

① 総会前開示を実施する場合、有価証券報告書の定時株主総会又は取締役会の決議事項に係る記載について、自己株式の取得及び剰余金の配当に関する事項のみが求められる
 

本改正による2027年3月期・2028年3月期以降の決算への影響は以下となります。

(3) サステナビリティ開示基準の適用

東京証券取引所プライム市場に上場する会社のうち平均時価総額が1兆円以上の会社については、SSBJ基準に準拠したサステナビリティ情報を有価証券報告書等において開示することが義務付けられました。併せて、SSBJ基準に準拠している旨、二段階開示やSSBJ基準上の経過措置の適用状況等についても記載が求められています。また、Scope3温室効果ガス排出量などの定量情報については、算定に用いた前提や推論過程、社内の開示手続に関する説明の記載が求められますが、これらが一般に合理的と考えられる範囲で記載されている場合には、虚偽記載等の責任を問われないとするセーフハーバー・ルールが整備されました。

2028年3月31日以後に終了する事業年度より適用されます。ただし、2026年3月31日以後に終了する事業年度の末日を基準とした平均時価総額が3兆円以上である会社は、2027年3月31日以後に終了する事業年度より適用されます。


4. 総会前開示関連

2025年3月28日に、金融担当大臣から全上場企業に対して「株主総会前の適切な情報提供」が発出され、有価証券報告書の定時株主総会前の開示が要請されています。2026年3月期決算会社は「株主総会前の適切な情報提供」が発出されてから2年目の決算を迎えます。2025年3月期決算の有報開示において上場会社を対象に実施された調査によれば、定時株主総会前に有価証券報告書を提出した会社は1,310社(2025年3月期決算上場会社2,264社のうち57.9%)に達し、過半数を占める結果となりました。これは、2024年3月期における総会前提出会社数42社(2024年3月期決算の上場会社2,300社のうち1.8%)から大幅な増加であり、有価証券報告書の総会前提出が、実務として急速に広がっていることを示しています。

総会前開示関連についてはこちらの記事をご参照ください。



関連動画 

YouTubeで動画配信中

  • 2026年3月期の決算留意事項 -会計編-
    www.youtube.com/watch?v=QPXls7Vm3cg
  • 2026年3月期の決算上の留意事項 -税務編-
    www.youtube.com/watch?v=szqlCtnZDh8




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