収益最大化に向けたバリューチェーン横断の意思決定プラットフォーム

不確実性が常態化する製造業には、OODAループを軸にした製販連携を前提としたバリューチェーン横断での意思決定が柔軟にできる経営基盤が必要です。そのためには、バリューチェーン全体での部門間にまたがる課題に取り組む必要があります。EYでは、営業・マーケティング部門を支援するCXT、調達購買生産等のSCM部門を支援するSCO、経営管理含む財務・経理部門を支援するFinanceの3ユニットが協働して、それらの課題に対するソリューションを提供します。

背景:不確実性が常態化する製造業における柔軟な経営基盤の必要性

近年、継続的な市場の変動が見られる中、サプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性が企業経営に及ぼす影響は従来以上に顕著となっています。 デジタル投資が進む一方、部門のデータ・目的・指標がかみ合わず、全体最適が進んでいない現実があります。従来型のPDCAサイクル(計画→ 実行→ 評価→ 改善)では、変化のスピードと複雑性に追いつけず、意思決定が遅れた結果、機会損失や収益悪化に直結します。この原因の一つに、バリューチェーン横断でのコントローラーの不在が考えられます。多くの日本企業に見られる縦割り組織では、部分最適な意思決定が常態化し、組織間の連携を遅らせ、全体最適での事業収益や製品ごとの生涯損益の最大化ができていません。また、SKUの改廃や販促、設備投資の意思決定と財務指標(LTV/NPV)とが結び付いておらず、財務的な目線が希薄になっており、財務目線での意思決定支援の体制が十分とは言えない状況の場合が多いです。

そのような状況下において、製造業に必要なのは、OODAループ(観察→分析→判断→対処)を軸にした製販連携を前提としたバリューチェーン横断での意思決定を柔軟に行うことができる経営基盤です。
 

課題:バリューチェーン横断での経営基盤の構築に向けて取り組むべきポイント

EYではバリューチェーン横断での経営基盤構築のために、バリューチェーン全体における部門間にまたがる下記①~⑧の課題に取り組む必要があると考えます。


バリューチェーン全体における部門間連携の事業経営への影響

① 新製品開発時に部門間連携が不十分なゆえに、上市の遅れが発生していませんか、もしくは上市後の利益が計画通り獲得できていますか
② 事業全体最適視点で需給調整を行えず、欠品や在庫過剰が発生していますか
③ 設計開発時に、販売・生産部門との連携に基づく精緻な原価企画が実施できていますか
④ 市場・顧客のニーズに対応するあまり、製品バリエーションが過剰となり、事業収益を悪化させていますか
⑤ 顧客FBを製品開発に情報連携できていますか
⑥ 製販計画に基づく業績見通しを基にした投資の意思決定をしていますか
⑦ アフターサービスも含めた収益性を把握し、投資の意思決定をしていますか
⑧ 製品企画段階の収益見通しについて、量産後までトレースできていますか
 

EYができること:3領域の知見を統合

EYは、CXT × SC&O × Financeの協働で、経営基盤を設計・実装します。Financeを中心に、計画・予算/収益性分析/投資判断を業務に埋め込むことで、日々のサプライチェーンオペレーションの意思決定に事業性をもたらします。

  • CXT(Customer Experience Transformation)
    • 顧客起点の体験設計、マーケティング高度化、チャネル戦略の再設計、需要変動サインの抽出と可視化
  • SC&O(Supply Chain & Operations)
    • 需給計画(S&OP:Sales & Operations Planning)の高度化、PSI(生産・販売・在庫)の連携、在庫最適化、生産負荷調整、サプライリスク対応
  • Finance(計画・予算/収益性分析/投資判断)
    • 経営管理プラットフォーム、NPV/ROI分析、SKU生涯損益(プロダクトP/L)、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)管理、投資意思決定のKPI設計と運用
       

提供範囲:ソリューションと期待効果

EYは、CXT × SC&O × Financeの協働で、バリューチェーン横断での意思決定モデルにおける上記①~⑧の課題に対してそれぞれ以下Ⅰ~Ⅵのソリューションを提供できます。

製販連携起点からの関連ソリューション

I. 経営管理プラットフォームへのデータ集約

  • 経営ダッシュボード、KPI設計(収益性・在庫・投資)、データ統合、AIによるデータ統合支援

【期待効果】販売・在庫・原価・顧客データを単一ビュー(ダッシュボード等)で可視化することにより、経営と現場が同じ数字での意思決定が可能となり、判断の一貫性が向上する。システム間のあるデータの差分をAIによって置換することで分析業務の効率化、意思決定の高度化も可能になる

II. 製販データドリブンによる新製品開発・展開

  • SKU改廃、設備投資、販促投資のNPV/ROI評価

【期待効果】SKU別のNPVに基づく投資意思決定できる

III. 製販連携にも基づく中長期損益最大化に向けた製品ポートフォリオ管理

  • SKU別のLPVに基づくモデルラインアップ討、資源配分の意思決定

【期待効果】製品間の複合要素を前提とする製品ポートフォリオ管理が実行できる

IV. Value Chain Finance

  • 製販連携による需給調整情報の連携速度の向上、需要の変動を生産計画へ即時反映、在庫配置の最適化

【期待効果】過剰在庫・欠品リスクの低減、企画別・製品別生涯損益をコントロールし、事業収益を最大化する

V. PSI連携高度化からS&OPの実現

  • 月次から週次/日次サイクルの実現、管理アラート(在庫閾値<いきち>など)の実装

【期待効果】販売計画の更新が生産・在庫へ即時連携されることにより、初動対応が迅速かつ適時化する

VI. CCC管理によるキャッシュ・フロー改善

  • 売掛金・在庫・買掛金の回転を最適化、Finance起点での販売・調達の契約管理の徹底

【期待効果】与信ポリシーと在庫ポリシーと連動した在庫・売掛金・買掛金管理を全社的に行うことで、運転資本を圧縮する
 

アプローチ:段階的な部門横断の変革

EYではバリューチェーン横断での変革を確実に進めるために、EYの製販連携ユースケースを応用したPoC(STEP 2)を含め、全社的な共通認識の醸成から運用までE2Eで段階的に支援できます。

段階的アプローチイメージ

STEP 1: 認知

  • 期間:3〜4週間
  • 実施すること:課題診断、成熟度評価、部門横断Workshop
  • 成果物:優先論点リスト、初期KPI案、データ資産の棚卸

STEP 2: 起動

  • 期間: 6〜8週間
  • 実施すること:優先ユースケースに対するPoC、データ連携の初期構築、暫定ダッシュボード
  • 成果物:PoC結果報告、改善仮説、拡張ロードマップ

STEP 3: 基礎構築

  • 期間:10〜14週間
  • 実施すること:経営管理プラットフォーム本格導入、収益性モデル/NPV・ROI分析の組み込み、S&OP高度化
  • 成果物:本番ダッシュボード、KPI定義書、運用ルール、データガバナンス指針

STEP 4: 運用

  • 実施すること:OODAループ定着、例外管理、改善サイクルの高速化
  • 成果物:月次/週次レビュー資料、改善トラッキング、投資意思決定の記録
  • 注意事項:期間は一般的な目安です。企業規模・範囲・データ状況によって変わります。
お問い合わせ
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