EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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どのように組織がAIによってデータを強化して、イノベーションを促進し、長期的価値を創出し、事実に基づいた意思決定インテリジェンス(Decision Intelligence)を実現するかについて、詳しくご紹介します。
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1. 標準的なデータ分析にとどまらず、根本要因を探るためのインサイトを得る
どのTMT企業も膨大なデータを広範囲にわたって収集しています。それは、ユーザーが何を視聴し、クリックしたか、どの時間帯に、どのような嗜好に基づき、どの広告やWebサイトでエンゲージメントが生じたか、といったものです。しかし、これらのデータがアプリ、スマートフォン、Webインターフェースといった無数のデジタルタッチポイントから蓄積されている一方で、多くの企業がデータの限界に気付いています。もしくは間もなく気付くことになるでしょう。企業が顧客とのタッチポイントから直接収集するファーストパーティーデータに対する規制が従来のユーザーデータ収集方法に影響し、また収集されたデータの多くが非構造化データ(テキストデータ、言い換え含む)であることから、数字から得られる示唆を理解することがビジネスを成功させる上でますます重要になっています。ここで新たなアナリティクス技術を活用すれば、TMT企業はオペレーションと消費者行動に関するインサイトを引き出し、あらゆる企業が求めている、自社の最優先課題とビジネス機会の根本要因を分析することができるでしょう。
従来のデータと、オペレーションや消費者行動に関するインサイトの効果的な組み合わせとでは違いが出る事例を見てみましょう。EYによる大手公共事業会社とのプロジェクトにおいて、カスタマーサービスにおける電話の待ち時間について否定的なフィードバックが急増していたことが判明しました。このような場合、標準的なデータ分析では単純に待ち時間の長さが原因と判断され、カスタマーサービスの迅速化を目指す戦略を立てることになるでしょう。EYの「Intelligent Insights」を活用すると、実際の根本原因は同社のWebサイトに掲載されていた「グリーンエネルギー」のマーケティングロゴであることが明らかになりました。このロゴにより担当者がトレーニングを受けていない問い合わせの急増を招き、回答探しに要する時間が長引いたのです。最終的に、現存しないサービスのロゴをWebサイトから削除しカスタマーサービス担当者向けに適切なトレーニングを実施するという、従来の想定とはまったく違う実行に移しやすい戦略が導き出されました。
2. 顧客の本音を捉え、ブランド体験を明確にする
ITソリューション、携帯電話サービス、ストリーミングTVなど消費者の選択肢があふれる中で、TMT企業が顧客から支持を得るためには、ブランド力を効かせた顧客満足と優れた体験を提供することに尽きます。そのためには、単一のインタラクションだけでなく、複数のタッチポイントから顧客の本音を理解することが求められます。企業は、コールセンターでの通話、チャット、従来型アンケート、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などのさまざまな情報源から得られる顧客データをインサイトとして統合するオムニチャネル型の消費者リスニングのアプローチを導入し、全体的な視点で自社のサービスや問題点、そして製品に対する認識について理解しなければなりません。オペレーションがどのように機能しているのか、また実行中の施策が消費者の認識・行動・嗜好にどのような影響を与えているのかといった正しいインサイトが、データに基づいて多くの重要な意思決定を行う上で強い味方になるでしょう。こうした施策の例として、デジタル領域やフロント業務を強化するための戦略、人工知能(AI)ツールの導入、より優れたオムニチャネル体験を創出し、顧客ロイヤルティーを構築するための顧客サービス戦略などが挙げられます。また、企業内においても従業員エクスペリエンスから得られるインサイトが組織のエンゲージメントを向上させ、マネージャーの効率を高め、リーダーが情報に基づいて人事やビジネス上の意思決定を行えるよう支援し、顧客から本当に愛される製品・サービスをデザインすることにも役立つでしょう。
3. コホート分析により、顧客を理解しエンゲージメントを強化する
ストリーミングサービス、インターネットおよび携帯電話サービス事業者などが自社サービスへの乗り換えを促すインセンティブを競い合う業界で顧客ロイヤルティーを高めるには、大規模かつ費用対効果の高い方法で、消費者の好みを的確にターゲッティングすることが必要です。より深いレベルの消費者インサイトなしに、本来のセグメンテーションは成し得ません。消費者個人の好みや行動様式に着目し、類似の傾向や特徴を持つグループに分類することで行動セグメンテーションを行い、消費者への理解を深め、より大きなユーザーグループ(「コホート」または群)向けにマーケティングを展開することができるのです。また、パーソナライズされたメッセージングや、製品・サービスに合わせた仕様にすることも可能です。その結果、消費者は自分の声が届き、欲しい情報や製品が提供されていると感じるようになるのです。
以上をまとめると
TMT企業は、AIによる音声・テキスト分析から得られたインサイトを広範囲に活用することで、消費者の行動パターンをより正確に予測し、施策の改善や成果に結び付けることができます。いずれ大規模な感情分析やテーマ特定といった手法が、顧客獲得に要する労力やコンバージョン指標などと合わせて新たな成功を測るベンチマークとなることが予想され、経営層から営業、顧客サポート、エンドユーザーに至るすべての関係者にとって有益なものとなるでしょう。