提案価値を最⼤化するための鍵は、適切なテクノロジーです。テクノロジーの導⼊にあたっては、これまでのアプローチは通⽤しません。現在求められている変⾰のスピードや規模に加え、最新テクノロジーが果たす役割、さらにそうしたテクノロジースキルの需要が極めて⾼いことを考えると、ソリューション開発と⼈材開発において新しいアプローチが必要です。成功するためにはテクノロジーのエコシステム間の連携を強化する必要があり、それは過去の取引ベースの関係性とは⼤きく異なるものです。
ディスラプション(創造的破壊)を乗り越え、消費者トレンドの波に乗る
⼩売企業にとってディスラプションは今に始まったことではありません。テクノロジーを駆使したオンライン企業やスタートアップ、マーケットプレイスの新規参⼊に何年も前から⽴ち向かってきました。しかし多くの企業は最先端を⾛ってきたわけではなく、そうした脅威に対して先⼿を打つというより後⼿の対応をしてきました。ここから再スタートを切り前進するには、効率とオペレーショナルエクセレンスを⼟台に、消費者が求めるものを正しく捉えて成⻑していく必要があります。その実現にテクノロジーは有用ですが、消費者の期待はすでにはるか先へと進んでおり、ギャップが⽣まれています。⼩売企業はこのギャップを解消しなければなりません。
テクノロジーによって業界の境界が曖昧になっていることを背景に、小売りのあらゆる側面、つまりマーケティング、調達、販売、企画、物流、経理、⼈事、不動産などの部⾨横断型の後⽅⽀援も含めた側⾯において、テクノロジーによる新たな可能性が生まれているのです。同時に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によってオンラインプラットフォームをベースとしたライフスタイルへのシフトも進み、ショッピング、仕事、フィットネス、エンターテインメントなどで、デジタルな選択肢が広く受け⼊れられてきています。
とはいえ、実店舗は不要になるという予⾔は外れました。EY Future Consumer Indexによれば、消費者は実店舗とオンライン両⽅の良いとこ取りを求めていることが分かります。
- 55%の⼈は、購⼊状況を管理しにくいという理由から、ネットでは買い物をしないと⾃主的に決めている。
- 45%の⼈は、⾷料品の買い物をネットと店舗の両⽅で⾏っている。
- 58%の⼈は、選択肢が豊富な⼤型店舗での買い物を好み、週に一度まとめ買いをしている。
この最後のポイントは、在宅時間が増えて外で買い物をする機会が減った消費者は利便性を追求する、という基本的なトレンドに反しています。