EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
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ヘルスケア関連企業に求められる「長期的価値(Long-term value)」とは
テーマは長期的価値(Long-term value)。サステナビリティを意識した経営を推進してきたヘルスケア関連企業にも、さらなる進化が求められています。本ウェブキャストでは、日本におけるESG情報開示研究の第一人者をお招きするとともに、EYのプロフェッショナルによる講演や対談を予定しています。
Ⅱ 製薬業における環境影響とTCFD対応
1. TCFD提言の概要
TCFDの提言の要素は、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4点であり、11の項目の情報開示が推奨されています※1。中でも、戦略(特にシナリオ分析)については業種ごとの特徴が出やすい領域であり、TCFD対応の中核をなすものです。なぜなら、長期的で不確実な経営課題である気候変動によるリスク及び機会に対して、企業の経営戦略がどのように適応し得るかについて情報開示することは、投資家が企業の気候変動に対するレジリエンスを評価する上での重要なステップであると考えられるからです。
2. 製薬業における気候関連のリスク及び機会の特徴
戦略の開示を検討するに当たっては、気候関連のリスク及び機会の識別が前提となりますが、TCFD提言では、気候関連リスクを二つの主なカテゴリー、すなわち低炭素経済への移行に関連したリスク(移行リスク)及び気候変動の物理的影響に関連したリスク(物理的リスク)に分類しています。そこで、以下ではTCFD提言の整理に沿って、①移行リスク(<表1>参照)、②物理的リスク(<表2>参照)、③機会(<表3>参照)の順に製薬業における気候関連のリスク及び機会の特徴を要約します。