オーストラリアにおけるスコープ3排出量報告義務化へ向けた取組み:スムーズな移行のための具体的な検討事項(2024年12月)

これまでオーストラリアでは、スコープ3 の温室効果ガス(GHG)排出量1、すなわち報告企業の事業活動における上流と下流の排出量の開示は任意でした。しかし、2025年1月1日以降に開始する会計年度において、オーストラリアの気候関連財務情報開示が義務化されることに伴い、スコープ3排出量の報告も義務化される予定です。重要な点は、スコープ3 の排出量を把握するプロセスは、(特に移行リスクへの影響という点において)企業とそのバリューチェーン全体の気候変動に関連するリスクと機会(CRROs)を特定するという、より広範な要求事項にとって不可欠であるということです。本稿では、以下について解説します:  

  1. スコープ3報告を始める組織が考慮すべき主な検討事項 
  2. 1次データと2次データの使い分けに関する課題と検討事項 
  3. スコープ3の目標設定に伴う課題と検討事項

2001年の会社法改正およびオーストラリア・サステナビリティ報告基準(Australian Sustainability Reporting Standards: ASRS))に記載されている、スコープ3に関連する要求事項および利用できる救済措置の概要については、以下の表を参照にしてください。

要求事項

利用できる救援措置

戦略  
事業体とバリューチェーン全体のCRROsを明確にする
 


 

指標と目標 
スコープ3排出量と目標の報告3

企業がスコープ3排出量を決定するために必要な作業を考慮し、以下の経過措置が用意されています:  

  • 2025年1月1日から3年間の取締役に対する修正責任は、スコープ3排出量に適用される(シナリオ分析と移行計画も同様)
  • 企業は、報告初年度はスコープ3排出量を開示する必要はない
  • 企業は、自らの報告期間とは異なる報告期間の情報を用いてスコープ3排出量を測定することができるが、それは一定の条件が満たされた場合に限られる4

脚注

  1. スコープ3とは、企業のバリューチェーンで発生する間接的な温室効果ガス排出(スコープ2 の温室効果ガス排出には含まれない)を指し、上流 と下流の両方の排出を含む。 スコープ3の温室効果ガス排出量は、GHGプロトコル・企業バリューチェーン(スコープ3)Accounting and Reporting Standard(2011年)のスコープ3のカテゴリーを含む。                                                                                                      
  2. Paragraph 13(a) 気候関連の開示(AASB 2)
  3. S2.29(a)、気候関連の開示(AASB 2)
  4. S2.B19気候関連の開示(AASB 2)

スコープ3排出量報告義務化へ向けた取組み:スムーズな移行のための具体的な検討事項(2024年12月)(日本語)

スコープ3排出量報告義務化へ向けた取組み:スムーズな移行のための具体的な検討事項(2024年12月)(英語)



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