10 分 2023年11月2日
マンチェスターの近代的な階段の眺め

Global audit quality report 2022:改善継続の決意

執筆者 EY Global

Ernst & Young Global Ltd.

10 分 2023年11月2日

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鍵となる6つの柱から成るフレームワークを通じて、企業と資本市場への信頼と安⼼感の向上につながる高品質な監査の提供を推進します。

要点

  • 独立性、誠実さ、客観性、職業的懐疑心をもって実施される高品質な監査は、公共の利益に貢献するために不可欠であり、EYのネットワークにおける最優先事項である。
  • Sustainable Audit Quality(SAQ)は、経営トップの姿勢、人材、テクノロジー、簡素化とイノベーション、能力開発と品質向上に向けたサポート、説明責任に重点を置いている。
  • EYはSAQを通じて、資本市場への信頼と安心感を築いている。そしてこれが、投資と経済成長の促進と社会のための長期的価値の創造につながっている。

2015年のSustainable Audit Qualityプログラムの立ち上げ以降、品質と改善の継続を焦点とするEYの取り組みは大きな進歩を遂げており、それは外部検査結果の向上にも反映されています。検査の結果には、リモート勤務を行うチームへの積極的で時宜を得た経営幹部の関与やサポートなど、他にも改善に向け機会があることを示す貴重な情報も含まれています。

EYのプロフェッショナルは、企業と資本市場への信頼と安⼼感の向上につながる高品質な監査を提供することで、公共の利益に貢献しています。これを達成するには、信頼、人材、データとテクノロジー、そして価値に焦点を定める必要があります。
Marie-Laure Delarue
EY Global Vice Chair – Assurance

Sustainable Audit Quality(SAQ)プログラムはグローバルで一貫したアプローチであり、その目的は、EYのネットワーク全体で質の高い監査を維持し提供することです。

本レポートでは、EYが6つの柱のフレームワークの中で、質の高い監査の提供に焦点を当て、SAQを通じてどのように監査品質を継続して向上させているのかをご紹介します。

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持続可能な監査品質と継続的な改善に対するEYのコミットメントについて、詳細をご覧ください。

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フィニーストンの橋のアーチ
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第1章

品質へのこだわり

信頼と信用の基盤。

すべてのEYの取り組みは、品質を基盤としています。

EYが遂行する高品質な監査が、監査対象企業が発行する財務情報および非財務情報の裏付けとなっています。この質の高い情報が企業への信頼性を増し、資本市場における安心感を高め、公共の利益への貢献につながります。

質の高い監査と財務報告を信頼しているステークホルダーは投資家に限りません。従業員、退職者、サプライヤー、債権者などはとりわけ、重要な決定を下す際に高品質な監査を必要とします。このような決定には、どの企業で働くか、ベンダーへの支払期限は守られているか、投資の安全性はどの程度かといった問題が関わっています。世界はダイナミックに変動し、ビジネス環境は絶え間なく変化しています。こうした中で質の高い監査を提供し、新たに出現する数々のリスクに対処するために、EYは進化を続けなければなりません。

EYは、改善の継続と監査人が活躍できる環境の提供に力を注いでいます。これには、才能ある人材の採用、育成、維持、キャリアの形成、イノベーションの導入、簡素化の奨励、監査チームの業務を批評する目で評価して改善すべき領域を特定することが含まれます。その目的は、規制上求められる水準以上の高品質な監査を行うことです。

EYは、監査品質に対するリスクの特定、理解、軽減、および監査の改善を継続して推進することを目的とするプロセスとポリシーを導入しています。これに含まれるものには、独立性に関してグローバルに徹底される強固なポリシー、慣行、システム、監査人の独立性強化の一助となる監査パートナーのローテーションの義務化、EYのメンバーファームによる初回監査エンゲージメントの応諾および各監査エンゲージメントの年次更新に先立ち実施される厳格なリスク評価などがあります。

 
  • 画像の説明

    品質に焦点を置くことを実践するため、EYではいくつかのプラクティスを導入しています。それには、監査品質指標(AQI)、根本原因分析、アクションプラン、マイルストーン、EY Canvas Client Portal 、コーチングなどが含まれます。

EYは、一連の監査品質指標(AQI)を通じて、監査品質に焦点を置くことを実践しています。リーダーはAQIにより、戦略と品質に関する優先課題の実行、良好または良好ではない監査結果の背後にある根本原因の詳細な評価、および調査結果に基づく是正計画の進捗状況を把握することができます。

また、監査チームは、監査完了前にさらに注意が必要な領域を特定するために、実施中の監査の状況をモニタリングします。これに用いられるツールやプロセスには、グローバルな監査プラットフォーム(EY Canvas)のダッシュボードで利用できるマイルストーンプロジェクト管理プログラム、クライアントから受領する監査の裏付け資料の送付・受領を効果的に管理するためのEY Canvas Client Portalの活用、重大な会計上の見積もり、判断、執行に関する問題に取り組む監査チームを支援するコーチングなどが含まれます。

経験談

建設的な課題とリアルタイムのフィードバック

英国・ロンドンのErnst & Young LLPのSenior Manager、Mary Gray DeMetzは、グローバルな大規模公益事業団体の初年度統合監査に取り組みました。それは困難を伴いながらもやりがいのあるエンゲージメントでした。そのため、EYのコーチングプログラムの一環として彼女のチームがサポートとメンタリングを受けることができてよかったと考えています。レポートでご紹介しているMary Gray DeMetzや他のEYのメンバーによる経験をご覧ください。

この品質向上と改善の継続に全力で取り組む姿勢は、EYの監査エンゲージメントの外部検査の結果に反映されています。監査監督機関国際フォーラム(IFIAR)は、2015年の調査の後、初回の削減目標を公表しました。当時のEYの検査指摘率は43%でした。EYは引き続き品質向上に注力し、2019年のIFIAR調査で報告された検査結果において、初回目標である25%削減を達成しました。公表された直近のIFIAR調査(2021年)のEYの指摘率は20%でした。これに対し、6大監査法人の平均指摘率は30%です。

  • 画像の説明

    監査監督機関国際フォーラム(IFIAR)は、2015年の調査の後、初回の削減目標を公表しました。当時のEYの検査指摘率は43%でした。EYは引き続き品質向上に注力し、2019年のIFIAR調査で報告された検査結果において、初回目標である25%削減を達成しました。公表された直近のIFIAR調査(2021年)のEYの指摘率は20%でした。これに対し、6大監査法人の平均指摘率は30%です。

組織の継続的な改善を測る上で、IFIARの検査結果は貴重な情報となります。EYは、150カ国超において監査エンゲージメント検査を実施する150超の外部規制機関(IFIARのメンバーと非メンバー機関の双方)の検査関連の活動を積極的に追跡しています。これらの活動を把握することで、EY Quality Enablement Leaders(QEL)のネットワークは監査品質に関する主要トレンドを察知し、不備への迅速な対応と是正に役立てることができます。

新たに公表された国際品質マネジメント基準1(ISQM 1)は、品質の向上に重要な役割を果たすと思われます。EYはこの導入を整合性と監査品質を向上させる機会と捉えています。EYは、一貫したポリシー、フレームワーク、テクノロジー、そしてメンバーファーム内での基準導入の推進を含む、品質管理システム強化に向けてすでに実施されているポリシーと手順を基盤としています。この基盤の上で組織がグローバルに結び付いていることが、EYの態勢を強化しています。

ロビーで議論するビジネスパーソン
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2

第2章

卓越した人材

高品質な監査の核心にあるのは人材。

人材は、持続可能な監査品質に対するEYのコミットメントの中核を成すものです。EYは、人材が最も重要な資産であることを認識しており、多様な卓越した人材の採用と育成に注力し、それぞれが望むキャリアを形成するために必要なスキルを身につけられるよう、支援をしています。

EYは、多様性を備えたチームがより良い成果を達成すると考え、多様な人材を探し求めています。従って、STEM(科学、技術、工学、数学)教育を受け、データとテクノロジーに対する深い理解を監査に活用できる人材を含め、多様な適切なスキルを備えた人材の採用を目指しています。これには、サステナビリティや環境・社会・ガバナンス(ESG)などの新たな領域に関する知見を持つ人材も含まれます。このような人材の採用は、非財務報告を求める声とこの分野の開示要件の増大に伴い、さらに重要性が増しています。EYのアシュアランスで培うキャリアを通じて、より良い社会の構築にどのように貢献できるのかご紹介します。

82%

の監査部門メンバーが、EYのエクスペリエンスが非常に素晴らしいと評価しています。

専門能力の開発は、EYのエクスペリエンスの中でも重要な要素です。EYは、業務に対して革新的なアプローチをとるのに必要なスキルを習得できるよう、社員の育成に取り組んでいます。そして、これがメンバー自身のキャリアアップや質の高い監査の提供につながります。監査部門メンバーには、クライアントのビジネスに対する理解の裏付けとなる幅広いセクターの学習が求められます。またEYは、今日のデジタルな世界で成功するために必須のテクノロジーノウハウを確実に習得できるよう、支援に力を注いでいます。これには、EY Badges、EY Tech MBA、最近立ち上げられたMasters in Sustainabilityなど、数多くの革新的なプログラムが含まれます。

2022年6月期の会計年度では、EYの監査部門メンバーの合計学習時間は820万時間、平均学習時間は86.5時間でした。

86.5

2022年度の監査部門メンバー1人当たりの学習時間。全員の累計学習時間合計は820万時間。

87%

の調査回答者が、EYは成功に必要なスキルを習得する学習機会を提供していると回答。

経験談

Global Voicesグループを通じたグローバルなインサイトの共有

マレーシア・クアラルンプールのErnst & Young PLTのSenior、Rushdee Badrul Hishamは、EYのアシュアランス全体から選ばれたグループであり、経営陣にフィードバックを提供し、アイデアを創出するGlobal Voicesに参加しています。彼は、Global Voicesへの参加を通じて、監査やアシュアランスの業務を越えてEYについての理解が進み、EYに対する認識が深まり、帰属意識が高まったことに気付きました。レポートでご紹介しているRushdee Badrul Hishamや他のEYのメンバーによる経験をご覧ください。

グローバルな情報が表示されたディスプレイと若い女性
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第3章

データとテクノロジーの活用

信頼、透明性、変革の促進を目指して。

EY Digital Auditにより、EYが財務諸表監査を実施し、変化するビジネスニーズとステークホルダーの期待に応えるプロセスは常に変革し続けています。

現在のEY Digital Auditは、市場で実証されているトップクラスの監査テクノロジーをグローバルに展開することで、EYの態勢を強化しています。EY Digital Auditを支えるのは、監査チームと監査対象企業との関係構築、監査手順とプロセスの自動化、データ分析による監査証拠の収集を基盤とする明確な戦略であり、これらすべてが、EYが行う監査すべての価値を高めています。

EY Digital Auditの核心にあるのは、イノベーションに対する変わることのないコミットメントであり、これは、EYの次世代アシュアランス・テクノロジー・プラットフォームに対する10億米ドルの投資にも反映されています。

10億米ドル

次世代アシュアランス・テクノロジー・プラットフォームへの投資額。

この投資プログラムは、既存のEYのアシュアランスにおけるテクノロジーを1つのシームレスなグローバルプラットフォームに統合し、高度なテクノロジーの活用により、諸機能の刷新と新世代のデータ駆動型アシュアランスサービスの提供を実現しようとするものです。EYは、これらの投資が、信頼、透明性、変革の促進を通して監査品質の向上と監査対象企業やステークホルダーにもたらされる価値の増大につながると考えています。

経験談

監査イノベーションの無限の可能性

米国・シカゴのErnst & Young LLPのBusiness Product Manager、Olga Gaponは、EYのアシュアランスの次世代テクノロジー・プラットフォームの新しいモジュールを開発しています。高度なテクノロジーを活用し、監査エクスペリエンスの変革の可能性と監査チームと監査対象企業にもたらされるメリットについて、彼女は新たな視点を得ることができました。レポートでご紹介しているOlga Gaponや他のEYのメンバーによる経験をご覧ください。

英国スカンソープの駐車中のトラックの空撮
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第4章

長期的価値の創造

高品質な監査を通じて。

EYは、誠実さ、独立性、職業的懐疑心をもって質の高い監査を提供することで、公共の利益に貢献するという責務を果たしています。質の高い監査は、経営陣が発行し、投資家などのステークホルダーが投資決定の際の情報源とする財務・非財務情報に対する信頼と信用を高めます。また、人々の世界の資本市場に対する信頼を高め、経済成長の促進や社会における長期的価値の創出につながります。

EYのグローバルな構造とガバナンスは、このような価値の実現を支え、世界各地で実施される監査に適用される一貫したアプローチを提供し、説明責任の枠組みを導入して改善の継続を推進する中核的役割を担っています。

また、この構造を通じて、EYは必要に応じてリソース調達を適応・変化させることができます。EYの監査チームは世界各地で年間15万件以上の監査を実施し、世界中で共有できる豊富な知識と経験を得ています。

27%

のフォーチュン・グローバル500企業と、27%のフォーブス・グローバル2000企業に対して、EYは2022年度に監査を実施しました。

さらに、税務、テクノロジー、サステナビリティサービスはじめとするさまざまな分野の専門家が知識と経験を結集してEYの監査チームをサポートし、監査の質を向上させています。その一例がフォレンジックを専門とする会計士の存在です。この専門家は監査人と緊密に連携し、規制当局やその他のステークホルダーからの監視が強まる中、重要な監査領域である不正リスクに対処することで、監査に貢献しています。

  • 画像の説明

    全エンゲージメントにおいて、監査に要する時間の12%は、ITや税務など、監査人以外の専門家が実施する業務に費やされています。

経験談

フォレンジックがどのように監査に貢献しているのか

カナダ・モントリオールのErnst & Young LLPのSenior Manager、Aïsha Brillantは、複雑なフォレンジックの責任者として業務に従事しています。専門的なフォレンジック会計スキルと革新的なソリューションにより、従来の監査手順から得られるもの以上の、知見、所見、視点が得られると彼女は述べています。レポートでご紹介しているAïsha Brillantや他のEYのメンバーによる経験をご覧ください。

サマリー

EYの監査人は、データの活用を通じてより良い質問をし、より効果の高い監査証拠を取得し、これらのインサイトから引き出された知見に基づき、ステークホルダーの重要な意思決定を支え、企業と資本市場への信頼と安心感の向上につながる高品質な監査を提供します。EY global audit quality reportの全文(pdf、英語版のみ)をご覧ください。