2 分 2020年6月4日
星空をバックに地球を手のひらに乗せている様子

インド、バイオコン社のキラン・マズムダル・ショウ氏がEY World Entrepreneur Of The Year™2020 を受賞

執筆者 EY Global

Ernst & Young Global Ltd.

2 分 2020年6月4日

本年の受賞者は、500米ドルの投資からアジアをリードするバイオテック企業を創り上げた草分け的存在です。

キラン・マズムダル・ショウ氏にとって、1975年は大きな転機となる年でした。オーストラリアの醸造学校卒業後、インドに帰国した同氏は醸造の専門家としての道を歩み始めようとしていましたが、間もなく、専門知識を持っていたとしても、女性の就業が難しいことを実感しました。しかし、彼女は諦めませんでした。自らビジネスを起こし、「女性だからと言って軽んじられたり、機会を閉ざされたりするようなことがあってはならない」ことを証明する決意をしたのです。

以来、キラン氏はインド、そして世界中の女性実業家の草分け的な存在となりました。1978年にわずか500米ドルで創設されたバイオコンリミテッド(Biocon Limited、以下、バイオコン社)は、今やアジアをリードするバイオテック企業の1つになっています。バンガロールにおけるテクノロジーハブのパイオニアである同社は、地域で最大規模の雇用を生み出している企業の1社であり、その従業員数は11,000人を超えています。キラン氏の名前はインドにおけるバイオテック産業の代名詞になっています。フォーブス誌が選ぶ「世界で最も影響力のある女性100人」とタイム誌が選ぶ「世界で最も影響力のある100人」に名を連ねる同氏は、世界を代表するソートリーダーとして認められています。

Kiran Mazumdar Shaw
起業家精神の中核をなすのは、問題を解決しようとする思いです。最も苦しいときにこそ、最大のチャンスが訪れます。
キラン・マズムダル・ショウ氏
EYワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2020

キラン氏の「自分にはできる」という思いと「決意」は、同社の原動力です。銀行から融資を断られたときも、キラン氏は自身の成長を可能とするビジネスモデルを新たに開発しました。「ベンチャーキャピタルではなく、収益と利益に基づいたビジネスモデルを作らざるを得なかった」と同氏は述べています。こうして生み出されたキャッシュフローは、医薬品の研究と生産のための資金となりました。

キラン氏は次のように語っています。「起業家精神の中核をなすのは、問題を解決しようとする思いです。最も苦しいときにこそ、最大のチャンスが訪れます。それが起業家として歩んできた人生の中で私が得た経験です」

キラン氏のリーダーシップの下、バイオコン社は、スタチン系薬剤や免疫抑制剤といった医薬品の製造から、糖尿病などの慢性疾患の治療に使用するバイオ医薬品の発見、開発、生産を担うまでに進化を遂げました。同社は、インドにおいて最も研究開発支出額が大きい企業の1社として一貫してランク付けされ続けています。

バイオコン社が驚異的な成長を遂げる中、キラン氏を駆り立ててきたのは、科学を通じて社会に貢献するビジネスを生み出すという大きな目標でした。同社は、現在の3分の1となる1日当たり10米セント未満の価格の遺伝子組み換えヒトインスリン(rhインスリン)の生産により、世界中の患者に手頃な価格でインスリンを供給することに先陣を切って取り組んでいます。

キラン氏は、ヘルスケア、教育、科学、スタートアップ、市民・社会問題に関してバイオコン社のCSR活動を主導してきました。同氏は、世界的な慈善活動「ギビングプレッジ」に参加した2人目のインド人であり、インドで最高位とされる2つの市民栄誉賞を受賞しています。キラン氏は今もなお立ち止まることなく、「10億人の患者の命を救う可能性を持つ手頃な価格のブロックバスターを開発する」という目標を追い求めています。

サマリー

インドのバイオコン社のキラン・マズムダル・ショウ会長がEY World Entrepreneur Of The Year™ 2020を受賞しました。キラン氏は、500米ドルの投資からアジアをリードするバイオテック企業を創り上げた草分け的存在です。バイオコン社が驚異的な成長を遂げる中、キラン氏を駆り立ててきたのは、科学を通じて社会に貢献するビジネスを生み出すという大きな目標でした。

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執筆者 EY Global

Ernst & Young Global Ltd.